岳行ノート

夜叉ケ池山  1212m/岐阜県坂内村

2004.10.11(月)江南7時発 曇り       登り:2時間10分(小休止含)
池に木道が出来ていた 下り:1時間50分(小休止含)

増量した夜叉ケ池

 今日は、トミさん(会社の友人)の2度目の登山に付き合い「冠山」を目指した。(1度目は天王山を案内) しかし、藤橋城まで来たらなんと道路が台風で崩れ通行止めです。車をUターンして次の候補「夜叉ケ池山」へ向かいます。
 
 ガイドブックによると冠山は登り1時間20分、夜叉ケ池なら登り2時間15分、,高低差は両山とも300mです。でも時間が長い分「夜叉ケ池山」は、ブナ林・滝・岩場・池・動物などお楽しみがいっぱい。今回でトミさんは、山を好きになってくれるでしょうか。(私達夫婦とトミさんで合計160歳のお達者クラブ)
 
 ガイドブックは、山と渓谷社「名古屋周辺の山200」です。


  クリック
  

 P→夜叉ケ池→夜叉ケ池山→P

   往復登山です。

  ※赤線は実測ではありません。
■「この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)、数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平17総使、第98号)」


 池ノ又谷林道終点の駐車場に着くとこの有様です。どおりでここに来る途中帰っていく車と何台もすれ違ったわけだ。

 トミさんが「先生どうしましょう?」と私に決断を促します。天気予報は曇りのち晴れだけど、行けるところまで行き雨が強くなったら戻ろうと決めました。

 小降りになるまで待ち出発しました。
(11:10)
 最近の台風の影響で橋が壊れたのか、架け替えの工事をしています。ご苦労様です。
 登山道から夜叉壁が見えてきました。しかし福井県の方からどんどん雲が流れて来ています。
 ここはブナの大木が、なだらかな登山道脇に何本も林立し最高のプロムナードです。トミさんもここまでは余裕たっぷり、しかし足下はスニーカーで登山靴を買う決断がまだ出来ていません。彼は、山男の道に入るかどうかの分岐点に来ています。
 雲は残るけど雨は止み、ブナの向こうにそそり立つ夜叉壁がはっきり見えます。よしこれなら行けそうだ。

 3年前、あの壁を始めて見たとき「え?本当にあの上に行けるの?登山道あるの?」と半信半疑っだったことを思い出します。
 「幽玄の滝」です。出発から1時間ほどですがまだ高度を100mしか稼いでいません。
(12:10)
 滝の周囲にいた蟹と蛙です。
 登山道周辺に咲く花、左はリンドウ‥かな?右は‥可憐な花。
 
 花の名前は、本当に難しい。中学から生物は苦手だった。他のHPでは、小気味よく花を名指ししていますが、当HPでは‥モニャモニャモニャ。
 雨で濡れた岩場を慎重に登り、夜叉ケ池に着きました。おや、いつ作られたのか?木道が祠まで続いています。今年は池の水量が多く、この木道が無かったら歩けない所でした。
(12:45)

 パトロールの方の話では『池側は福井県に属していて、川とつながって無いので水の入れ替えが無い。一度汚すと取り返しのつかないことになる。また国定公園なのでコンロなどの火は使えません』と言われた。 そういえば鈴鹿も国定公園ではなかったか?
 ※後で調べたら鈴鹿は国定公園で、ここは「水生昆虫生息地保護林」でした。
 
 木道の上から人なつっこい「ヤシャゲンゴロウ」と「イモリ」が観察できます。
 増水した池の周りに座る場所は少なく、登山者もいっぱいだ。ここでランチは無理なので、いったん戻り「夜叉ケ池山」に向かい頂上でランチにしよう。
(13:00)
 岩壁の上にあるギリギリの登山道でトミさんは、恐ろしさに体が硬直しています。私たちは一度ここを登っていますので恐怖感は薄くなっています。スパッと切れた崖は、登山暦2度目のトミさんには強烈過ぎたか。しかし彼も男だ。ひよこさんが着いてくる以上は進まなくてはならない。

 このとき、一瞬雲が切れ陽が差し、崖の東側の広大な眺望が展開します。よかったトミさんにいいところを見てもらえて‥でも彼は、それどころではない『ここを降りて戻るときはもっと怖い』と思っているでしょう。
 岩のコブのところで池の全景を撮りました。紅葉にはまだ早く、「三周ケ岳」は雲の中。
 山頂に行く道が、成長したクマザサに隠れ難儀をします。「夜叉ケ池山」1212m山頂に着くと小虫が猛烈に飛び回っていてとても食事は出来ません。
(13:20)

ほうほうの体で下山し、取りあえず池の稜線に座り手早くお握りだけ食べます。

 トミさんの岳行1度目の「天王山」に比べれば『これが山というものか』と言わんばかりの厳しさ。恐怖の後にまた困難‥山の現実でトミさんは、疲労を重ねたはず。
 また雲が厚くなり、雨が降りそうなので急いで下山します。
 左に「昇竜ノ滝」を見て降ります。
 









 迫力のある夜叉壁です。岩にへばりついている木々は、きっと原生林でしょう。
 この橋のところまで来れば、あと少しで駐車場です。トミさんも今日は、興奮と感動と疲労のミックスジュースだ。お疲れ様‥

 初心者のトミさんが、今日で山登りを嫌いになったのか、好きになったのかは分からない。でも体験で得た「思い出ビタミン」を心の栄養にして欲しい。

 トミさんが、今履いているスニーカーを登山靴に変えたときが、山を好きになったときだ。
(15:10)
 思い出ビタミン


◇10/11 岳行の夜ちょっと心配なので山たまごよりトミさんへメール送信◇
    「体重は?今日はハードだったので、明日は筋肉痛かな。でもそれは思い出ビタミンが、心に染み込んでいくときの痛みだガマンガマン!」

◆トミさんのメール◆

   『体重は500g減った。筋肉痛予防にストレッチとチールで被害を最小に。今日は楽しい思い出ありがとう。m(_)m足手まといでなければ又よろしく』
 
      いいぞトミさん!今日の夜叉ケ池でへこたれなかったんだ。


◆2週間後‥トミさんのメール◆
   『の購入考えている』

◇すぐに山たまご返信◇
   
「次の岳行はを買ったら御在所、まだなら簗谷山ですね」


◆その翌日‥トミさんのメール◆

   『土曜日は、御在所に決まりましたのでお知らせ致します

      いいぞトミさん!登山靴を買ったんだ! 


 こうして彼は、東海岳行の特待生になりました。御在所編は、04/10/31の岳行ノートをご覧ください。