岳行ノート
夏焼城ケ山〜月ケ平〜大栗山
  889m   938m  915m
愛知県稲武町

2007.9.1(土) 曇り時々晴れ
              22℃
周回時間:4時間00分 (小大休止含)
たたみ君:15分


 朝晩は秋の涼しさ、昼間は夏の暑さ、一日の中で季節が奪い合いを始めました。夏焼城ケ山(ナツヤケジョウガヤマ)は、季節が入った珍しい山名です。そう長野にも夏焼山があります。

 『ここは夏に登らなければいつ登る』と思っていたところ、リンクいただいている「鄙の家」さんが、近くの大栗山を発表されました。

 そこに咲く花の群生写真を拝見し、それなら尾根つたいに歩いてみようと地形図とニラメッコ。単独なので、たたみ君に同行してもらわなければなりません。


 教科書は、山と渓谷社刊「名古屋周辺の山200」です。参考書は「雛の家」さん、「城ヶ山を自然を守る会」にお世話になりました。
駐車場周辺図


サンガ坂峠近くのどんぐりの森


夏焼城ケ山

ぶなの木峠

サンガ坂峠

月ケ平

札場峠

大栗山

登山口



※青線はたたみ君で降る
※色線は実測ではありません。
■「この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)、数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平17総使、第98号)」





 稲武町稲橋交差点から国道257号線を南下します。井出川沿いに左折し、県道をしばらく走行。

 20台は、停められる広い駐車場に車を置きました。道を少し登ると案内板に「馬野ルート」は所要時間40分となっています。
(8:30)

 そのUカーブを左折し、すぐ右折すると林道馬野線にある登山口です。
沢音を聞きながら登り、堰堤を過ぎた先で左に折れ、地道を渡って登山道に入りました。
しばらく薄暗い植林道で高度を上げます。



 登山口から20分ほどで明るい尾根に出ました。ここから第一目的地までは、100m弱の高度しかありません。



 そして北側に展望がある広い夏焼城ケ山889mです。三角点にタッチして景色を楽しみます。恵那山大川入山方面は、雲が覆っている。
(9:25)

稲武の町並みが、しぶとい残暑に焼けだしている。
そして第二目的地へは、トタン囲いの小屋から東に降ります。
(9:45)
 


 途中迷いそうな分岐もありますが、この道標があるブナの木峠まで尾根通しです。ここから月ケ平へは先の岩を超えて行きます。
(10:05)



 山頂からの尾根は、広葉樹中心の雑木林です。道もはっきり、道標もありますが初めての所は地図が離せません。
 



 登山道には、秋のチケットがポロポロ落ちています。拾うと痛い。

 山頂から1時間で林道に出会いました。サンガ坂峠です。
駐車地に1台、先ほどすれ違った単独の方のでしょう。
この林道を右にカーブするとすぐ月ケ平への登山口。また植林下かと思いきや‥
(10:45)


 素晴らしい二次林が広がっていました。鈴鹿のブナ清水を思い出します。
伸びやかな広い空間、せせらぎもありここで弁当を広げたくなります。
惜しむらくは、ここに10分ほどいましたが太陽が雲に隠れ明るい森を撮れません。

どんぐりの森/里山作り事業地/城ケ山を守る会の案内板がありました。


 
 この後、お握りを1個食べエネルギー補充。そして地道の荒れた林道を行き山道に入ります。この階段を登れば‥


 通り道の真中に三角点。月ケ平938mです。昔、ケヤキを月の木と呼び、それがこの山林に沢山あったようです。
(11:30)


 ここを右折し、5分で小ピークに着きそこを左折して降ります。
  

 やがて林道三叉路、札場(フダバ)です。絵地図を見ると登山口は、上の道の少し先にあるようなのでそちらへ進みます。100m行ってもありません。
(11:45)


 戻るとこの写真右の尾根端にありました。10分のロスタイム。『あれあれ』これより第三目的地です。 


 
  植林の道を登って来ると鞍部『?』に山頂表示があります。大栗山915mのベンチに腰を下ろしランチにしました。
(12:15)〜(12:25)


 お握り1個だから早飯です。南へ降ればすぐに‥
「けやきの森」には、鉄条網で保護されたオオキツネノカミソリが群生しています。
すでに盛期は過ぎたようです。私と同じか?

周りは植林ですが、この広い谷だけケヤキが林立している。
不思議だ。ここだけ植林しなかったのはどうしてなのでしょうか?
(12:30)

 案内板によると“今から120年ほど前に宮大工が、稲橋の八橋神社で頂いたケヤキを130本この地に植林しました。

 また住んでいた木地師が、薬草としてオオキツネノカミソリを栽培していたそうです。それが今も花を咲かせているわけです。”

 ここで遊んでいたらあっという間に30分経ってしまいました。
(13:00)

 森から降っていくと林道のUカーブに出ます。矢印の所から谷へ降りました。
そして森から15分ほどで県道に出ます。車が15台駐車中。
8/24新聞で群生地のニュースが出て、見物客が押し寄せてるようです。
(13:15)



 待たせていた“たたみ君”に乗り、夏の坂をスピードに乗って走ります。頬に受ける風は爽やかだ。3km先には秋のゲートがあるかもしれない‥
(13:30)P着

 

 帰路、振り返ると夏焼城ケ山が見送っているよう。「どんぐりの森」「けやきの森」それに大狐、みんないい夏の思い出。

 突然、大きな雨粒がバラバラとウィンドウを濡らしました。空で夏と秋の陣取り合戦が始まったようです。


東海岳行
    「素晴らしき絶景100」の謎     

 山を始める前は、この風媒社刊「素晴らしき絶景100」が私のアウトドアのバイブルでした。東海三県はもとより、奈良・静岡・長野・北陸地方の絶景ポイントが網羅されています。南知多町の【1】桜公園から福井高浜町の【100】音海断崖まで知らない所が一杯。

 まさに愛読書で何回も何回も見ました。そして一つづつ訪れては、マーカーで消していきます。自分で★三つとか評価も記入していました。半分ぐらい塗りつぶした頃、巻頭のグラビアの写真が何ページに掲載されているのか確かめてたのです。

 するとどのページにも載っていないものがあります。2Pの「倉越高原」(長野三岳村)、4Pの「夕立神パノラマパーク」(長野大鹿村)、6Pの「滝沢展望台」(浜松市)です。なら絶景100+3だ。この発見は、嬉しくちょっと得した気分。

 本をよく調べると「96年9月第一刷発行、00年9月増補版第一刷発行」と後ろに記載されています。表紙の右下にオレンジ色で「カラー増補改訂版」となっていました。その後、この本は、左の再編版が出たようです。

 どうやら初版で漏れていたものを残念に思った編集者が、本文抜きで入れ込んだと考えられます。具体的な案内文が載っていなかったので長い間気づきませんでした。そこで先週、その中から「“雄大な山麓の樹海を見渡せる”倉越高原」を訪れ油木美林を歩いたわけです。

 するとリンク頂いてる白影さんが『僕も「素晴らしき絶景100」を持っているのでさっそく開いてみたら…あれれ?載ってない。僕のは96年版なんですけど、山たまごさんのはもっと新しいバージョンでしょうか?』と書き込みをされたのです。という事は、白影さんは初版本を持ってられるのでしょう。

 何軒か本屋さんへ調べに行ったらこの本は見つかりません。風媒社から「東海の絶景50」というのが出版されていました。

 さていつも私の下心やポイントをうまく突いたコメントの書き込みを頂いている白影さんが、この9月7日にHPを閉鎖されます。単独にもかかわらず自身の歩く姿や佇む姿を写真で撮るというこだわり、精力的な山行、パワフルなユーモアなど大好きで楽しみなサイトでした。寂しくなります。いつか再登場されることを願っています。 

2007.9.2/22:15