岳行ノート
宇連山 929m・棚山 760m/愛知県新城市

2008.3.23(日)江南6時45分発
         曇り    11℃
往路:2時間40分 (小休止含)
復路:1時間25分 


麓の“川売 梅花まつり”


 この時期、棚山高原の里では梅花まつり絶賛開催中のはずです。新城観光協会へ事前に尋ねると20日が満開とのこと。しかしその日は雨でした。

 そこで3日後の日曜に予定変更。その川売からは、棚山経由で宇連山(ウレヤマ)に登られます。棚山は以前、頂上を間違えたので確認しなければなりません。

 宇連山は、県民の森から5時間のロングコースを辿ったことがあります。今回の周回コースは、3時間40分とお手ごろです。なお、春の登山服に改めました。



 教科書は、山と渓谷社刊「新・分県登山ガイド 愛知県の山」です。
駐車場周辺図
 [−]:縮小  [+]:拡大





瀬戸岩

棚山

宇連山

林道出合




※色線は実測ではありません
※青線は林道歩き

■「この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)、数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平17総使、第98号)」








 川売(カオレ)の里から林道を走ります。あちこちに雄花序をタップリ垂らしたギブシ。タクシーが2台、通り抜けて行きました。
 

 縦走の団体さんは、荒れた地道の手前で降ろされたようです。私たちは、終点の駐車地まで乗り入れました。

 するとワンボックスとジムニーが、ゲートを開けて林道を上っていきます。揃いの赤ジャンパーを着ている。『何かな?』
(9:20)





 沢音を聞きながらのんびり登ります。15分も歩けば広い道になりました。荒れ気味ですが‥





 先行のご夫婦の姿が消えました。この東海自然歩道で宇連山に向かったのでしょう。私たちは廃キャンプ場を抜けて行きます。




 東屋前に2台の4WDが、乗り入れていました。『何だろ?』ここで直角に左折し、クマザサの広い道を行くと‥
(9:50)

道標で右に進み高度感満点の瀬戸岩に到着です。
眼下の玖老勢(クロゼ)集落まで500mの標高差があります。
天辺の腰を引き気味の人影は、団体の方で私ではありません。
(9:55)
 
 元の道に戻れば、すぐ鳳来寺山への分岐です。あの赤ジャンパーの人がいるので何事か尋ねました。

 『トレイルレースの32kmコースで選手が間もなく来ますので気をつけてください』8時に県民の森をスタートしたそうです。

 早い人は4時間ほどのタイム。信じられない!私たちなら32時間、2日がかりだ。
(10:10)
 


 分岐を左折し、尾根分岐までアップダウンを繰り返し歩かなければなりません。レースの最大の難所です。

 棚山の山名表示があるピークに着きました。以前は、ここを山頂と思ったのです。758m標高点ですが、展望はありません。
(10:25)
 

 時々、笹狩りしてない道が出てきます。選手は短パンだと笹で足を切りそうだ。

 参加人数は、32kmコースは320人、11kmコースも同じくらいとのこと。新城市が、町おこしでアウトドアスポーツを応援しています。

 今年2回目で昨年は大雨でも実行したそうです。『よーやる』 



 歩きながら時々後ろを振り返らなければなりません。選手が来てぶつかったらお互い大変だ。

 やがて地形図にある760m最高点に着きました。ただの通過点のようで記念写真も撮りづらい。
(10:40)
 


 突然『※£▲!』大声がする。振り返るとすごい速さで若人が、人生坂を駆け降りてきます。横に逃げる。

 『すみません』
笑顔で息も切らさず‥短パンだ。1分後にまた2位の選手が‥彼は息が切れている。
 


 尾根分岐までの急登は辛い。選手も歩く。ようやく出ました。右は県民の森から登ってきた道でまだまだ選手が走ってきます。

 左が頂上で、道を譲りながらひと登りです。
(11:45)
 

 山頂は、登山者、食事をする選手と賑わっています。
展望のいい岩場でランチにします。『ブヒー!』
突然、山名板を囲んで記念写真をしていた女子が悲鳴を上げました。
(12:00)〜(12:40)

 足を置こうとした岩に赤銅色のトカゲ君。脱皮したばかりでしょうかテラテラしています。

 山頂展望は、東方面に開けています。明神山が両翼を広げ、鳳来湖は渇水です。
 



 帰路は一旦、東海自然歩道を北へ降りていきます。すぐにベンチの沢山ある場所に出て左折です。
(12:45)
 


 そこから山腹道になり、ランナーのため細い道をあけます。しかしまだ半分にも達してない距離でゴールはいつになるのでしょう。

 走り出して5時間ですよ。若い女子選手は笑顔があります。中高年選手はかなりヘロヘロ。ジ、ジ、ジーパン選手がいる!




 やがて林道出合に出ます。中々レースのコースどりがいい。この道で一息つけます。私たちも山道を終え気が緩みました。
(13:20)

20分ほど歩くとコンクリート橋を渡ります。そこを過ぎると大島の滝が左手にあるようですがわかりません。
橋から10分ほどで川へ降る林道の誘惑を振り切って直進の林道を選びます。
やがてヘアピンカーブを過ぎると駐車地は近い。大岩の真下を小さなひよこさんが歩く。
 



 ゲートが見えます。帰りは、休憩を殆ど取らなかったので疲れました。いくら道が良くても栄養ドリンクより休みを取りましょう。
(14:05)
 川売に戻ると観光客の車が沢山並んでいます。駐車場は無料で丁度開いたので停めました。
 いい匂いが〜。臨時の休憩所で五平餅を焼いています。400円握り4番目に並びました。
1本200円とお値打ちだ。おばちゃんが、忙しそうにタレを付けて炭火に立てかける。



 浅過ぎたのか1本が、ポテツと灰の上に倒れた。『アリャ』拾ったおばちゃんが、よけるかと思いきや‥
無造作に灰のついたままタレの寸胴に入れ、かき混ぜて汚れを落とす。
『これこれ、灰は調味料か』突っ込みたい。何事も無くそのまま炭火に立てた。

その五平餅が、私たちに当たらないよう、おばちゃんに全力で気を送る。


東海岳行
     “神奈川沖浪裏”     
      
 『名古屋でランチするなら何処がいい?』と会社の女子に尋ねると『それなら鈴波よ』と3名が推薦してくれました。心では『粕漬の店かい』と思う。名駅地下街のエスカ店で5人目に並び、注文は先に出しました。

 席に座るとたちどころに鈴波定食が運ばれます。粕漬は脂が乗り骨無しで皮まで食べられる。丹波黒豆、寄せ豆腐、赤だし‥和づくしで実に美味。1150円で食後に梅ジュース付。30席の殆どが女子です。

 ひよこさんが 『家では、こんなに奇麗に焼けない』と感心しています。

 腹が膨れたら白川公園の名古屋市美術館に行きます。「北斎展」が3/23に終了するので雨の20日に出かけました。券売所に百人ほど並んでいます。当然、館内も大賑わいです。(左写真:美術館裏庭の彫像))

 私は美術にそれほど興味を持たないのですが北斎は別です。1階のオランダから里帰りした肉筆画の作品群を観賞したいたら1時間過ぎてしまいました。2階にお馴染みの富嶽三十六景などの版画が展示されています。

 目当ての「神奈川沖浪裏」前は人だかりです。最初に目に飛び込むのは、大きな円の中心にある三角形の富士山です。遠近感タップリ。しかしその富士山をさえぎる船がいます。どうして主役の前にかぶせたのでしょう。謎です。富士山は画の中心点より右に外れ、その不安定さで波の躍動感が強調されています。

 背後の雲と波が呼応しているようです。弧を描く波は強大で、波頭は鳥の足形のようで怖さが伝わります。

 手前の小さめの波は、奥の富士山と相似形で奥行きが演出されている。左下の船は、今にも転覆しそうです。

 その右の2船はきっと上からの波に飲み込まれるでしょう。波の高さは、漁師の大きさから測れば15mもあります。

 こんな荒れた海に出るのでしょか? 当時富士山は山岳信仰の中心的存在。神に守られ必死で漁をする。

 見続けると漁師に情が移っていきます。激しい動きの一瞬を切り取った画は当時としても珍しい。

 さて謎ですが、この画で富士山を見るとかぶさる船に気づきます。そして画の海を探すと波間に隠れたり、波と同じカーブで見にくいけど3艘も浮かんでいる事に驚きます。荒くれた自然に挑む漁師たちの姿に心が動かされます。そこに導くためテーマの富士山に船をかぶせたと思いました。ここで主役は富士や波でなく命懸けの漁師だ。

 でもこの画に富士山が無かったら‥こんなに強烈なインパクトもないし、感情移入も出来ません。いずれにしろこの画は大好きで日本の誇る作品だと思います。

 絵、写真、映画、音楽、歌など作品から強く感じることを素直に受け取る。そんな簡単なことを観賞法にしたらどんな作品でも楽しめるようになりました。ところで粕漬と北斎のつながりは‥特にございません。
2008.3.25/22:30