岳行ノート
三国岳・焼尾山 894m・922m/滋賀県多賀町

2008.4.27(日)江南6時30分発
      曇り時々晴れ 13℃
往路:2時間25分 三国岳本峰)
復路:2時間05分 (小休止含)


三国岳への稜線から焼尾山(右ピーク)を
ツピーツピー‥ヒガラと望む




 『イワウチワ見たいな』とひよこさんが言う。今の時期何処も有名山は、大変な人出でしょう。なるべくメジャーでない所をとこのコースにしました。

 ガイドブックは、周回コースになっています。先週のツアーのお疲れもありますので軽めのコースにしました。三国岳は、岐阜の時山から登ったことがあります。

 でもその時、三国岳本峰で一杯一杯で、今回登る最高点は未踏なので楽しみです。
 
 教科書は、中日新聞社刊 西内正弘著「鈴鹿の山 万能ガイド」です。
駐車場周辺図
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鞍掛峠

焼尾山

最高点

三国岳

岩場

最高点

鞍掛峠




※色線は実測ではありません。

■「この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)、数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平17総使、第98号)」





 藤原町から国道306号線をクネクネ登って来ました。コグルミ谷辺りからトンネル前まで駐車場はもう満車です。

 しかしトンネルを抜けて滋賀県に入ると駐車場は空き空き。『トンネルが、心理バリアーになっているのかな』




 新緑でホクホクの山肌を眺め遣り、駐車場奥の登山口に向かいます。紫色テープが、千本は巻かれた植林地を結構ジグザグ急登。
(8:35)




 暗がりから開放されると鉄塔を過ぎます。山腹をトラバースすると鞍掛峠です。お地蔵さんに祠が出来ていました。
(9:00)

 


 5分がんばると鉄塔です。御池岳や走って来た国道が見えます。朝日の逆光でボヤ〜として写真になりません。帰りならいいでしょうか。

次第に尾根道は、岩と潅木が多くなります。これがいいんですよね。
鈴鹿らしくて‥胸がどきどきします。それは急登のせいか。




 天気は曇り勝ちで青空が欲しい。最初の注意ポイントはポカリ・ポイント、焼尾山への分岐です。右の細い道へ入ります。
(9:20)




 あっけなく焼尾山山頂922mです。三国岳最高点911mよりも高い。先着の団体が、あちこちでカメラを構えています。
(9:25)

 お目当てのイワウチワは、もう盛期を過ぎたのか不作なのか、葉は多いけど花は少ない。でも斜面で白やピンクが楚々とした美しさを見せてくれます。

 団体の方が、教えてくれました。頂上のシャクナゲが、花開いています。でも殆ど蕾なのでGWごろ来れば良かったかな。

今年もイワウチワに出会えて満足。以前、最初の大群落を見たのがこの花です。
それ以来、一番好きな花になりました。撮影を終えたら次の登山者に席を譲ります。
これから向かう三国岳最高点までの稜線です。ゆるく降ったあと、急な登りになるのがわかります。





 崩壊地の尾根道でひよこさんが、崖下を覗き声を上げました。ショウジョウバカマの群落です。眼のいいひよこさんのお手柄だ。




 焼尾山は、登山者が温泉のように湧き出て賑やかでした。三国岳まで辿る人は少ないようです。

 一旦、降りその後160mは登らなければなりません。





 鞍部から中々手厳しい登りです。ひよこさんは、ミツバツツジを愛でる余裕もありません。

カタクリが、登山道脇にポツンポツンと咲いています。
道から遠い場所だと落ち葉に覆われ花も咲けません。道に咲くと踏みつけられる。
誰かが周りに岩を置き、誤って踏まれないようしてます。




 小広い最高点に着きました。『ここが未踏の峰だったのか』急登のご褒美は?と、周りを見る‥展望はありません。
(10:45)
 


 気を取り直し向うの三国岳本峰を目指します。この山は、本峰最高点三角点とピークのフルライン。

 どうして分け合ったのか不思議だ。今度は数10m、少しのアップダウンで助かります。 



 最高点に着くと空から風が降りてきました。コンロを持ってこなかったことが悔やまれます。少し着込んでブルブル・ランチ。
(11:00)〜(11:30)

 若干、西側に切り開きがあります。

次の三角点までは、往復30分の登降で三峰制覇は今日は止めました。
その方向に10分ほど降ると好展望の岩場に出ます。 向うのピークはダイラの頭803m。
眼下には、満ちる潮のように新緑が芽吹きの海に広がっています。
(11:40)
 



 春の展望を楽しんだら帰りましょう。途中、キランソウにも会えました。数は少なかったけど春の姫君たちに会えて良かった。



 子供達の『ヤッホ〜』が向うの中腹から聞こえます。こちらが見えてるらしい。すると駆け降りてきてあっという間に通り過ぎました。

 鈴鹿の空気を元気という名のマドラーでかき回してくれる。

 4コマ目の鉄塔に着くと何とか写真が撮れました。春霞で平野は映りません。駐車地は、さらにぎっしり詰まったようです。

 ここから5分降り鞍掛峠を通過します。
(13:20)

 往きに急登と思った杉林は、降りでは降り易い角度に感じました。下山すると駐車場の車は殆ど入れ替わっている。
(13:35)


東海岳行
     “ちょっとミッシェル”
      

 初恋の人と偶然すれ違ったり、過去を知る人とばったり会ったり、そんなめったにないことがドラマや小説では、いとも簡単に起きます。ところが私にもそれに近い出来事が最近あったのです。

 
 3月27日の夜遅く、学生時代の友人から突然電話がかかってきました。その稲田君は名古屋に住んでいますが、卒業以来三十ん年間会っていません。『どうしたの?』と尋ねると私に頼みがあると話し出しました。

 『助けると思って50万円貸してくれないか』『生まれたダックスを一匹貰ってくれないか』ではなく『ちょっとベースを弾いてくれないか』と言います。彼とは、学生時代に5人でビートルズのコピーバンドを2年間ほど組んでいました。断る理由は全然ありません。

 『いいよ。で、いつ、何処で、誰と、何曲やる?』
 『4月20日に松本でボーカルの森井君と3人で3曲ほど』
 『うへ〜、その日は石垣島ツアーから帰ってきた翌日だ。でもいいよ』
 
 ひよこさんが『出来るの?』と呆れ顔です。

 ボーカルの森井君主催で彼の友人を偲ぶ会があり、そこに出演するとのこと。リードギターとドラムスは不参加です。2日後に早速、譜面が送られてきました。コピーは11曲もあります。すぐ稲田君に連絡します。『11曲は、練習時間が足りなくて無理だ』『じゃ俺がベースやるから、リズムギターやって』『それなら何とかできそうだ』

 3年間弾いてなかったギターを出してきて自主トレ開始。張り替えたスチール弦を押さえる指先が痛い痛い。昔はそこが硬質化していたのに今はフニャフニャです。30分弾いているとギターを支える右腰筋が痛くなる有様。毎夜2〜3時間ギターの特訓をします。10日後、仕事終わりに名鉄駅で稲田君と待ち合わせしました。

 『お〜』『よ〜』三十ん年振りでもすぐお互いがわかり、変わってないのが嬉しい。近くのカラオケ屋までいき、ギターやアンプを両手に持ち部屋に入ります。カラオケマシンを使うことなくひたすら弾き合わせをしました。結果はメガひどい『これじゃ、お金を払って聞いてもらわないといけない』  (右写真:右側が山たまご)

 彼の穏やかな性格はそのままで休憩の時、昔や今のことを話せとてもいい時間でした。でもフラフラの3時間、それぞれ課題を持ち帰り別れました。さらに個人練習に励み、3日ごとに夜カラオケ屋で男二人、ギター&ベース合同練習を計3回こなしたのです。

 曲順、イントロ、間奏、エンディング、ハモリ、服装など沢山の決め事もまとめ、ようやく聞けるようになりました。最後の練習を終えた翌日、私は石垣・於茂登山ツアーに飛び立ったのです。当然、ギターは持っていかないので4日間の空白が密かな心配事でした。

 帰宅して疲れを取る間もなく、翌朝、松本へ車を走らせます。ひよこさんが『私も聞きたいから行く』と同行してくれたのは嬉しかった。現地の小劇場でボーカル森井君(千葉県在住)とも握手で再開。即3人で練習‥でも30分ほどで??? 3人は昔の面影がしっかり残っているけれど、あちこち朽ち果て欠け落ちている仕方ありません。

 聞く人は彼の知人ばかり10数人ほどなので若干安心します。当日、演目は3つあり最初は前衛の二人芝居で「紅い花」(つげ義春原作) これが傑作で緊張の後にオチがあってひよこさんも大笑い。次に私たち初老バンドで9曲を演奏しました。まあ急ごしらえなので出来がどうのこうのとは言えません。

 3人でバンドすることは楽しい。もう二度とないこの空間と時間。1曲1曲惜しんで演奏しました。トリの演目は、往時のバンド仲間が米国でプロのサックス奏者になっていて、このために帰国した彼をフューチャしたアマのジャズ演奏。練習を聞いたのですがうますぎ!

(中央が山たまご)
 私は演奏後、疲労困憊でジャズも聞かずに彼らにお別れを告げ車に乗ります。『ごめん、於茂登山のレポ作りも待っているので』稲田君が、別れ際にビートルズの曲をギター一本で演奏しているCDをくれました。『これいいよ』これが神技的超絶技巧で今も毎日聞いています。

 そして3人の演奏は、ひよこさんがケイタイで動画を撮ってくれていました。懐かしんでいます。後日、私がつげ義春漫画のファンだと知った森井君から『参加してくれたお礼に彼の本を贈るよ』とメールが届きました。私こそ素晴らしい青春の時間をくれたお礼をしなくてはいけませんのに律儀です。

 「いただけるものは、遠慮せずいただきなさい」というお母様の教えを守りますと返信しました。二人は心配りのできる立派な大人に成長したようです。そういう私は貰うばかりで石垣島土産の「ちんすこう」を余分に買えばよかったと反省‥しても遅い。

 最後にビートルファンのため当日の曲目をご案内します。ロックはありません。バラード中心で無理せず相応にしてます。なお稲田君は「大道草3 山頂のレーザー光線」でメジャーを忘れた君です。

(1)ザ・フール・オン・ザ・ヒル(以下ギター&ベース)
(2)ミッシェル
(3)When I’m 64
(4)Lucy In The Sky With Diamondos
(5)アクロス・ザ・ユニバース(以下2ギター)
(6)イン・マイ・ライフ
(7)ノルウェーの森
(8)ヘイ・ジュード(以下ギター&ベース)
(9)イエロー・サブマリン
2008.04.29/22:25