岳行ノート

位山 1529m/高山市
2008年9月23日(火)秋分の日


乗鞍岳を背に豊穣の大地



 位山登山は、臥竜桜の咲くころを予定していました。その機会を失して来年にと思っていたのです。最近購入した「信州花の湿原を歩く」に山里の苅安湿原が載っていました。

 9月末にエゾリンドウなどが咲くとのこと。2年前、そのことが中京テレビ「リアルタイム」で紹介されたとメモにも残っていました。それでは行かねばなりません。

 そのあとの登山ですが、スキー場から一度歩いていますので、ダナ平林道終点の巨石群登山道からにします。土日の天気が良くなくて本日に変更しました。単独です。



 教科書は「癒しの道・南飛騨森林回廊21」です。参考書として信濃毎日新聞社刊「信州花の湿原を歩く」を見ました。
駐車場周辺図
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<巨石群登山道>
林道終点P
禊岩
御門岩
日抱岩
光岩
朧岩
豊雲岩
鞍の岩
休憩地
餅の岩
八重雲岩
蔵立岩
スキー場登山道分岐
鏡岩
天の岩戸
御魂岩
山頂分岐
天の泉
山頂
(広場)
スキー場登山道分岐
林道終点P

※蔵立岩を厳立岩と誤表記しました
※色線は実測ではありません。

■「この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)、数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平17総使、第98号)


江南:6時45分発  19℃/曇りのち晴れ、時々秋 往路:1時間15分(小休止含)
復路:1時間20分



 道の駅「モンデウス飛騨位山」駐車場の西、分水嶺公園に苅安湿原はあります。木道を歩きエゾリンドウを見つけました。

 全天空を雲が覆い予報外れです。

@ヒダキセルアザミ:1988年新種として報告されました。  Aマツムシソウ:上品な淡い紫に秋の気配を感じる。  Bミゾソバ:茎をよく見ると下向きのとげがあります。  Cエゾリンドウ:濃く深い青紫色、茎は直立し花は日が射さなければ開かない意志の強さを持つ。

 エゾリンドウが、枯れ色の湿原でひときわ目立って群生しています。日本海側と太平洋側の分水嶺を見学すると豪華な岩石で水路が作られていました。しかし流水がないのが玉に瑕。こうして小さな湿原でお花見をしたら車に乗ります。



 ダナ平林道は、岩が転がるわがまま地道。慎重に自転車速度以下で走ります。未舗装道5kmを20分がかりです。

 途中、巨木の案内板が林道沿いに左右4ケ所あります。帰りに見ましょう。


 林道終点は、駐車場にトイレ。位山登山はゲレンデからの3時間コースもあります。今日は短時間コースが人気があるようです。

 ちょうど能郷白山を登る時、能郷谷からか温見峠からにするかの登山道選びに似ています。鳥居の右から山に入りました。
(10:20) 



 ミズナラモミの大木が『おいでやす』笹の中にシラカバダケカンバも起立するご丁寧なお迎えが嬉しい。

 入口にあった巨石群登山道の案内板に掲示されていた銘岩を全部見つけて見よう。(上の地形図右に13ケ所表示)





 2分も歩けば、いきなり第一岩石「禊(ミソギ)岩」です。登山道沿いにあるので楽勝です。岩名板も年季が入っている。



 道は急登で足場を選ばねばなりません。土が湿っぽい。キノコがあちこちにあります。

 この木は、悲しいかな汚物まみれになったようです。臭いはしません。なんというキノコか不明です。

5,6ケ所、岩の名を確認すると急登もいよいよ盛りを迎えます。
そして小広場の休憩地に出てひと息。ベンチが朽ちていました。
樹間から少し山並みが望めます。息を整えたら‥
(10:45)




 もう急登は終わったようです。殆ど斜度がないありがたや道。泥土用丸太を踏む時、滑らないように注意します。


 ひょっこりとスキー場登山道との分岐に出ました。そこには鏡岩天の岩戸が、前後に並んでいる。
(11:05)

 この岩の周りを廻ると不思議な魔力で方向が分からなくなります。私も先回も今回も間違えました。



 道標どおり山頂方向に進みます。すると5分で右へ[頂上へ0.3km]の分岐になりますが直進しました。

 降りながら笹道を行くと左に思いがけなく乗鞍岳や北アルプスが樹間に見えて得します。さらに直進すると‥
 天の泉、山頂から標高わずか30m下がった場所に絶えない水場です。『どこから水が来るの?』不思議だ。

※7年前、沖縄の39歳の男性がこの辺りで道に迷いました。18日間野営をして登山者に発見されヘリで救助されたのです。

 横の岩を見ると営林局の境界見出標が、直接岩に掘ってある。『変わってる』



 道を戻ると山頂への近道階段があります。登り切るとあっという間に1529mです。
(11:35)

 展望は全くないので少し先の広場へ行きましょう。

 昔あった展望台の骨組みの木材が片隅に寄せられていました。でも大丈夫、背伸びしなくても白山連峰は、2702mを頭にちゃんと40km先でそびえています。位山より1200mも高い。

 ではではランチにしましょう。凍らしたお茶では不都合になってきました。そろそろコンロを持ってこなくては。
(11:45)〜(12:05)

 ここを何人もの登山者が通り過ぎ山頂へ行きます。数えたら12人。想像してたより人気があります。京都、富山の人もいました。 

 さて今日は、お握りとゆでたまご‥


空はすっかり秋の雲。ゆでたまごを食べていたらふいに記憶が呼び戻されました。
小学生の運動会で母が作ったお握り、当時は大御馳走のゆでたまごが嬉しく美味しい。
そして私が父親になり子供の運動会で一緒に食べたお握りとゆでたまご‥

どうやら天空に近い山では、時の旅人になれるようです。 「ひつじ雲 遠い記憶の ゆでたまご」




 短い時間旅行を楽しんだら下山します。帰りは往きに見つからなかった岩を懸命に探します。

 これは蔵立岩ですが、帰りに見た側が、かっこいい。



  お!一度逢いたいと思っていたヌメリササタケでしょうか。ナメコのようにぬらめく姿が素晴らしい。味は抜群だそうです。

 私の性格が、このようにぬらぬらしていたら‥どうでしょう。ぬらぬらの友達一杯できるかな?



 これは日抱石です。全部の岩を写真掲載はしてませんが、巨石探しは餅の岩鞍の岩が未発見で13勝2敗に終わりました。

 駐車地の高台に着くと北アルプスが見えるので必死の写真撮影です。そして車に乗り道脇の巨木を見ながら帰りました。
(13:15)
ダナ平林道の出口近くに来ると広い空き地があります。
そこから北東方面の展望が、抜群なので車を止めました。
『山の眺望よりいいじゃあ〜りませんか』

笠ケ岳穂高連峰、エトセトラ‥それから里に下りて豊穣の大地を撮ったわけです。
そうだ、ETCは9/16から土日祝の6時から20時まで、高速料金を50%offになりました。
『ありがたや、それではチャレンジしてみましょう』(‥大丈夫でした)


東海岳行
  “リアル・コピーバンド”
      
 私は、ビートルズに夢中でした。青春時代は、デビューから解散までその後を追っていたものです。そして学生時代はビートルズのコピーバンドをしていたので、全部の曲を歌え、ギターでも弾けLPの曲順まで覚えていました。だから彼らの曲は、思い出箱に入っている宝物です。その曲を聞けば、昔が鮮やかに蘇ります。



 今年の6月、友人の奥さんが旧友のご婦人からビートルズのコピーバンドを聴きに行きましょうと誘われました。演奏会場のケントスは名古屋の錦にあり、アメリカン・オールディズを生で聴けるライブ・ハウスです。私も20歳の頃、朋友と1度行ったことがあります。

 そのご婦人は、ご主人がリタイアしたらケントスの近くに引っ越しするというほどのケントス・フリークです。ステージは、1回40分の演奏で30分の休憩をはさみ、4回行われます。

 夜7時半から始まり、最終は11時40分。結局、二人とも最後のステージまで見て、タクシーで帰ったそうです。その時の様子を奥さんが、楽しそうに私に話してくれました。

『あのバンドは京都がホームグランドで名古屋には3ケ月ごとに来てるのよ。次回は9月に決まっている』と言います。
『その時にひよこさんと行ってみようかな』と私が応えると奥さんは動きが速い。

 すぐ旧友婦人に電話して予約を取ってくれました。
『その日に友達も行くと言ってたので私も行くわ』皆で行くのは楽しい。その日が、9月の“小さな幸せの日”になりました。



 旧友婦人は、月に3、4回ケントスに行くお得意様。予約席はベストポジションのソファ席。上写真左がステージ、写っていませんが、右端に1段高い場所が我々の観覧席です。当日ひよこさんは都合が悪く結局3名となりました。

 バンドは「ビートリップス」といい、4名にキーボードの女性が1名加わっています。2年前、ビートルズのコピー・バンド世界大会が英国のリバプールで行われた時の日本代表です。
 
 「ヘイ・ジュード」「サムシング」など馴染みの曲はもちろんですが「ミスター・ムーンライト」「ワン・アフター・909」とマニアックな曲もリクエストに応えて演奏します。ギターの細かなフレーズもバッチリ本物通り。コーラスがうまく、サウンドがライブならではの厚みと迫力があります。

 さすがビートルズのリアル・コピーバンド。「イエロー・サブマリン」という有名な曲があります。潜水艦は目立ってはいけないのに「黄色い潜水艦」のタイトルでほのぼの曲調。これをレコード通り楽しげにやったのです。波の音、水兵の声、効果音も入ってとても出色な出来でした。

 旧友婦人や奥さんが、私に感想を聞くので正直に『超楽しいです!』と答えます。曲が始まると一緒に歌い、手と足が自然に動く。二人がいなければきっと懐かしさで涙していたでしょう。お客さんは、サラリーマンの中高年男子が圧倒的に多く満席でした。

 たまたまこの日、誕生日の人がいてステージに招かれ、記念撮影の後♪ハッピーバースディ・トウ・ユー〜を全員で歌いました。そのあと、バンドがビートルズの「バースディ」をはじけて演奏してくれたので盛り上がる盛り上がる。結局この夜は、3ステージ見て帰りました。

 ラスト・ステージまで見たかったけど終電の時間があります。代金は、ミュージックチャージ1500円、ドリンク500円〜と15%の税サービス料です。何ステージ見てもよくてお値打ちかな。次回の予定日が発表されなかったけど、もう一度といわず何度も聴きたい。虜になりそう。

 ビートルズのデビューから解散までをオンタイムで聴け、いい時代にいたと思います。そうあの頃、夢中になれるものがあって本当に良かった。
2008.9.25(木)00:50