岳行ノート

竜ケ岳  1099m/三重県いなべ市

2005.4.28(金)江南6時20分発 登り:計3時間50分※小休止含
          晴れ 17℃    降り:計3時間25分※小休止含


竜ケ岳頂上手前から県境縦走路・遠景は藤原岳
  ホタガ谷西尾根→中道は、私には初めてのコースです。中道の堰堤にかかる長い垂直梯子が、怖さ半分、見たさ半分です。
 40年前、中学校の遠足で宇賀渓に行きました。あまりに楽しかったのでその後、友人達ともう一度訪れ「長尾滝」で記念写真を撮ったのを思い出します。帰りに「長尾滝」へ寄ってみたい。
ひよこさんは、静養中で単独となりました。
 
 ガイドブックは、西内正弘著中日新聞社「地図で歩く鈴鹿の山 ハイキング100選」です。
 

      P
      ↓
 ホタガ谷西尾根
      ↓
    竜ケ岳
      ↓
     中道
      ↓
    長尾滝
      ↓
      P
     
※赤線は実測ではありません。

■「この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)、数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平17総使、第98号)」

 岐阜の海津市から養老山脈の庭田園地を峠越えします。県道25号線は険しい山をトラバースしてグングン登っていく。
 うららかというより暑いくらいの陽光の下、新緑に着替えた山が笑ってる。でも景色に見とれていては危ない。
 「宇賀渓」の無料駐車場には、もう10台以上停まっていました。
 アーチをくぐり売店のはずれを右に進み、宇賀川沿いの林道をのんびり歩いていきます。
(8:20)

林道のマムシグサ

マムシ?赤地に黒模様の派手なジムグリの幼蛇
「宇賀渓白竜吊橋」
注 意
危険防止の為、一度に8人以上
渡らないで下さい。

 
 林道歩きが終わるとこの注意書きの橋を渡って山道となります。
(8:50)

往復2分の寄り道で「魚止滝」に行き、右の写真の標識まで進みます。

右手、山沿コースへ進みます。帰路この道標が待ち遠しかったのはこのとき知る由もない。
 岩壁をロープで超え、しばらく行くと登山道が右カーブしています。道標が木に引っ掛かっている箇所を尾根に向かって登ります。ここからホタガ谷西尾根コースです。
(9:05)
 このコースでは、イワカガミを始め思いもよらず色々な花に出会うことができました。若いアオダイショウやシマヘビにも出会いますが、そちらはノーサンキューです。
 裏道や中道と違いこのホタガ谷西尾根コースは、人気が無いのか誰とも出会いません。小鳥の声を聞きながら静かな山歩きを楽しみます。展望が開け「竜」の姿が見えます。『まだまだ遠いな』
 突然、広葉樹の集まるとても雰囲気のいい所に出ました。

 通過するだけでは惜しい。「竜ケ岳」にこんなところがあるのだ。来て良かったと思う瞬間です。
 やがてガイドブックにもある岩の転がる尾根登りの箇所に来ました。ここで右手を見ると木に赤テープがあるので『楽な巻き道のほうがいいや』とそちらへ進みました。ところが行き止まりになり、またここへ戻ってきます。がっかりの20分間ロスタイムです。
(10:35)

登ってみると岩道はたいしたことなく、花が多い。

キランソウ          リンドウ
 カタクリも‥。あれ、よく見ると鹿のフンがネエサマの前に転がっている。『アンダコノヤロー』(志村ケン風に)

 その時、谷のほうで音がしたので見ると白と茶色の後姿が、あっという間に樹林の中に消えました。鹿のお尻かな?
 アセビが茂る道を過ぎると最後の赤テープがこの木に巻いてあります。背丈を越える笹がスクラムを組んでこちらに向かって倒れこんでいます。『アンダコノヤロー』
 踏みつけたり掻き分けたり、道なき道を悪戦苦闘して磁石を片目で見ながら必死に北西に向かいます。
 10分後、やっと県境縦走路に抜け出られました。『開放!』中央、ストックの立っている左から出てきたのです。いま来た道を帰りに使うことは出来ない。道標も入り口もないから。いい経験をさせていただきました。
(11:50)
 柔らかな曲線を描く「竜ケ岳」山頂に向かいます。10分ほど歩くとガイドブックのコピーを落としたことに気づきますが、戻って探す気にはなりません。25000分の1の地図はあるし、帰りの中道コースは頭に入れてあるつもりです。
 実は、このことが後で‥。

 多数の人が集う山頂。しかし展望は、春のおぼろの中に溶け込みピンボケ状態。(12:10)
 歩行時間が3時間を越えたのでランチの後、休憩を充分をとってストレッチをしました。中道コースの道標に従い下山します。ひとつ向こうの尾根が登ってきたホタガ谷西尾根です。
(12:55) 
 広葉樹が多い尾根道を降りていくと先のほうでガサッと音がして白と黒の動物が走り去りました。その動物がいたと思えるところに行くと水溜に蛙の卵があります。周囲に新しい足跡はありません。
 白と黒ってカモシカ?ツキノワグマ?


 やがて土石流に埋まった横谷に出ます。砕石業者なら泣いて喜ぶほど岩や石が転がっています。
 いくつもの堰堤を左岸よりに乗り越えていくと32段の鉄梯子に着きました。高いけど思っていたほど怖くありません。
 帽子を忘れたので黄色のタオルを巻いています。セルフタイマーで撮りました。ここまで来たらもうすぐ「長尾滝」への分岐だ。
 水分はペットボトル3本分を持ってきましたが、あとボトル半分ほどしか残ってません。 
 帰る方向と反対ですが、5分ほどで行けるので「長尾滝」に寄ります。(14:45)
 中学生のとき友達とこの「長尾滝」でおにぎりを食べたはずですが、どこなのか思い出せないので目安をつけ何枚か写真を撮ります。
(14:50)
  







上の写真は、滝を右方向から撮った40年前のものです。
長尾滝

前半終了<道草>して後半へ続く
    1963年春 ぼくらの宇賀渓        
@大江中学2年の遠足は「宇賀渓」だった。とても楽しかったのでぼくらは、もう一度春休みに思い出の「宇賀渓」に行くことに決めた。

A3/26(火) 4人とも名札の着いた詰襟の学生服を着て、国鉄三里駅まで行きバスに乗り替え宇賀渓口に降り立つ。


B風も無く晴天の空の下、小さなナップザックを背負い「砂山」に向かった。









Cザレた登山道には、まだ雪が残っていてズックや学生ズボンが濡れる。でも気にしない。 
D頂上でポーズを決め写真を撮った。

E山から渓谷に入る。川は冷たい。









F
長尾滝」で車座になり母ちゃんのお握りを食べる。

Gその後は川を渡り、岩を越え、ロープをつかみ大冒険の連続だ。ぼくらは川を下っていく。
H夜、名古屋に着き誇らしげに胸を張って玄関を入る。今日、自分はもう子供でなくなったと思った。それは幼い勘違いだけど、今でもぼくは、あの過ぎた春の日を忘れない。

 後  半 (危 機)
 写真をいくつか撮り「長尾滝」から先ほどの「中道」分岐へ帰ります。そこでいったん堰堤をひとつ戻り、山沿コースへ入るのが正解ですが、ガイドブックを落としたためそれを気づきません。その分岐に着くとちょうど堰堤の方から降りてきた40代の単独男性が、川沿コースのほうへ向かい軽快に転石を渡っていきます。確かめもせず私も彼の後を追って川沿コースに入って行きます。川沿なのに山沿コースと勘違いしている。
(14:55)
 前を行く彼の姿を追いそのルートを辿るが、すぐに彼は視界から消え、自分でルートを探すことになる。5m進んでは、探すその繰り返しだ。

 転石の渡渉は、うんざりするほど何度も何度もある。足が届く箇所ばかりではない。飛び移ったとき着地した石でヌルッと滑り、右足が川の中へ落ちてむこうずねを打つ。慌てて川から上がったけど、痛さでクラッと軽い貧血を起こし、ブルーな気持ちになった。
 渡渉がいやになり、ついついルートを岸に求める。細い崖をあがるとそこは5mの高さ、さらにあがり道がなければ戻るとき高さは絶壁10mになってしまう。『落ち着け、落ち着け』と何度も口にし、細い場所で身体を反転し、もう一度川へ戻る。『危険に挑戦するな、避けるんだ。命を守れ!』と自分に言い聞かせる。

 少し冷静になり、川の両岸をよく見る。岩の向こうにアルミ梯子が隠れていた。降っていく場合、上からは見つけにくい。梯子を降りた後、岩壁のロープをつかむが、足は下に降ろせない。写真では見えないが、下は川だ。岸壁の右端まで来たら足を降ろし、また違うロープをつかみ左下に少し見える大岩によじ登る。
 川を上がる方向でこのルートは出来ている。そこを今は逆に降りている。だからルートの発見や判断が困難だ。降りるとき、踏み込む足にかかる体重で滑りやすさが増加する。危険の大きさと多さに気づく。
 
 元気で体力のある往きなら川沿コースもよいが、疲れて体力のない帰りに川沿コースはこの歳ではキツイ。また知識も経験も無いに等しい。

 この川沿コースでも帰ることはできるが、山沿コースより倍の時間がかかる。ヘルメットや沢用のシューズなど装備が欲しい。でも手袋はあるがしない。自分の手の感覚で岩やロープをつかんだほうがよいと思ったからだ。
 向こう岸に渡らなければならない。心細い丸太橋の下は、流れが速く深い。その先は滝だ。二本のロープはテンションがなく上下左右に1mほど緩い。二本まとめてつかみ横向きで進む。あと1mぐらいのところでバランスを崩し、のけ反りながら必死でロープにしがみつく。五十肩に激痛が走る。なんとか向こう岸へ渡り、痛みにしゃがみこむ。声も出ない。(二本のロープの中に体をいれ左右の手にロープを持つのだろうか)中学時代は冒険だが、今は試練だ。

 この後2mほどの岩場を鎖で降りるとき、下に足場がなく仕方なく川の中へ左足を置く。さすがに水が浸入してきた。そのおかげで足を水の中に入れたくない気持ちから開放された。開き直りが遅い。
 ようやく朝、通った川沿いコースと山沿いコースの分岐に着きました。目指していた待ちに待った場所です。へたり込んで一口残った水を飲み干しました。『助かった』 緊張が抜け、写真のピンボケを気にする気力もありません。この後、夜寝るまでずーっとのどが渇いていました。
 
 命がけの長い長い1時間が終わりました。本当に無事でよかった。林道を真っ直ぐ歩けないほど疲労困憊しています。
(15:55)
 駐車場から「竜」を見ます。今日は反省文を書かなくてはいけない。地図のことやルートのこと‥。ひよこさんに無事メールをします。帰り養老山脈の峠越え運転はやめよう。

 いつもの達成感や幸福感が、今日はわいて来ない。安堵感はあるけど満足感はない。とりあえずコンビニでアイスクリームを2つ買おう。そして家でビールだ。生きてる幸せに乾杯しなければ‥。
(16:20)

中学の写真で<山たまごを探せ>                             
■ヒント1.ハンサム・ボーイです。              
■ヒント2.駅前では中央、雪道では前方、砂山では後方
  渓谷では大岩の上、車座では白シャツ
   ■ヒント3.本当は小柄で眼鏡のブサイクさんを探そう