岳行ノート

三子山〜四方草山 568m・667m/甲賀市
2009年4月15日(水)


 朝、三子山(左)と四方草山(右)を望む



 「ヒルの執念」を煎じて呑まなければなりません。

 何らかの事情で撤退せざるを得ない時、いつか再挑戦しようと心に期するものです。ところが日が経つとその執念は飛んで消え他の山をヒョコヒョコ歩いている。情けない。

 四方草山(シオソヤマ)も昨年末、三子山(ミツゴヤマ)から天候不良で撤退。それから4ケ月、「ジオンと山歩記」さんから三子山〜四方草山縦走のお誘いを戴きました。

 逃すなチャンス、沸き上がれ「ヒルの執念」‥というわけで再挑戦のこぶしを振り上げ、集合地の鈴鹿峠へ向かいます。



 教科書は、西内正弘著・中日新聞社刊「鈴鹿の山 万能ガイド」です。
駐車地周辺図
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駐車地

三子山3峰

磐座

三子山2峰

三子山

▲四方草山南峰

▲四方草山

霧ケ岳

錐山

安楽峠

駐車地



※色線は実測ではありません
※青点線は車


■「この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)、数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平17総使、第98号)


江南発:6時45分 14℃
 曇りのち晴れ、次から次へのアップ・ダウンでダウン
前半:2時間25分(小休止含む、四方草山南峰まで)
後半:2時間20分(安楽峠まで)




 鈴鹿峠常夜灯付近の駐車地に置車。曇り空&強風のセットでは心がスキップしない。午後から晴れの予報に期待します。
(9:10)





 部隊の方々にご挨拶をして出発。歩きだせばこっちのもの。一面の茶畑も清々しく、東海自然歩道を東へ山に向います。





 昨日の雨を吸収した登山道は偉い。今日の強風を防ぐ樹林も偉い。登りついたピークで自然歩道と別れ、山道を降登すれば‥




 三子山三峰到着。注連縄から南へ少しトラバースすれば磐座です。さい銭なしで『風よ収まり空よ晴れ給え』と祈願します。
(9:50)

やや?風にへし折られたのでしょうか?三子山は、山名どおり三つのピークがあります。
つまり[登降×3]となり、ふくろはぎには厳しい道のりです。
60mほどの高低差を繰り返し、二峰を乗り越えると‥




 三子山一峰568m。昨年末は、ここで撤退しました。しかし今日もその時と同じ空模様で、展望は白い海しか見えません。
(10:25)





 暫く粘ったのですが諦め、東へ四方草山に向かいます。すると雲が勢いよく走りだしました。さい銭なしでも願いは天に通じる。

90mほど急降して、鹿除けネット横を急登。アセビの間を抜ければ痩せ尾根です。
その岩場では、色の饗宴が始まりました。あ〜心が洗われます。
これで太陽光があれば“鬼にかまぼこ”なんですが‥違うか!
(11:05)

 その先からガチガチのキレット。ツツジも綺麗だけど、それどころではなく、ロープをつかみ慎重に更に

 慎重に足を運びます。降ったり登ったり。樹林の密度が薄いと強風に身を縮めなければいけません。

 足元に笹が出たら、ひと登りで四方草山南峰。ここまで風は届きません。絶好地で楽しいランチ・パーティの開宴です。
(11:35)〜(12:45)



そして南方向に展望があり、明星ケ岳549mが懐かしい。
陽光があれば、山峡の山桜がもっと華やかに見えるでしょう。

 変わった三脚を使う方がみえました。このコンデジ用のゴリラポッドは45gで1300円ほど。脚が自由自在に曲がります。

 変な虫をパンツに付けた方がみえました。約1cmで胴体はペラペラ。食いつくと死んでも離れない登山者の敵山ダニ


 笹に座ったり、リュックをおくと危険。一度に20匹も噛まれた人がいます。




 満腹度120%でも『後は降るだけ』下山しましょう。小さくダウン・アップすれば、切り開きに四方草山667m二等三角点です。
(12:55)




 そこから80m降り、50m登って霧ケ岳630mに立ち寄ります。再度80m降り、40m登れば錐山(キリヤマ)590mは好展望です。
(13:50) 

崖の岩尾根を降って行くと野登山が左に見えます。
その麓の新名神高速道路の人工的なカーブが印象的です。
少し遅かったけど予報通り鈴鹿は、すっかりの青空に輝いています。





 しかし、のんびり景色を味わってはいられません。決心して歯をくいしばり崖縁を必死の降り。





 鞍部で岩壁のタチツボスミレに癒されます。が!この後、60mと50mのW急登で玉砕寸前。下山しているのに登山とは‥



 『見えた!』安楽の地。お迎えが近い‥いや峠は近い、生還できました。ガイドブックは「低山ながらも手ごわい」との但書。

 それはキレットが2ケ所あるからと思っていました。アップダウンの多さに加え、最後のだめ押し急登が手ごわいと気付く。


 ヘロヘロで安楽峠に着き、お疲れ様。40分歓談し、置車で7km走ると10分で駐車場に戻りました。歩けば1時間半でしょう。
(15:05)→(15:55)


※今回の登山オールスターズの皆さんは、水曜会の大福・和たんさん、合流・kayoさん、ヨーグルト・ジオンさん、ハム・ドルフィーさん、カレーうどん・のこさん、ケーキ・みれさん、三脚・乱丸さん、焼きそば・ルネさんと食い逃げ・山たまごの9名の部隊でした。(五十音順)

帰路、国道一号線から振り返れば、朝とは違い明るい春の稜線。
再挑戦は果たせたけど私の錆びた筋肉が、明日はどんな症状になるのでしょう?
そんな心配をよそに口はソフトクリームを欲しがっています。サークルKに寄ろ‥


東海岳行
  “一宮の泡沫タレント”   

 中学生になると男子は春の芽吹きのように色気づきます。どうにもならない第二次性徴です。いたずらも可愛げがなくなる。そんなると担任の先生は大変だ。『誰だ!江口君の家の表札にいたずらしたのは。さんずいが消されたと苦情が入った』それは怒るでしょう。悩みながらも男子は、やがて成人します。

 私も成人し社会人となって何年か経ちました。ある日、パチンコ好きな友人が我が家に遊びに来る。(大道草31)の名乗るほどでもない彼です。『パチンコ屋でBGMに面白い歌が流れる』『タイトルは?』『分からない、金太とか、お万とか‥めちゃ笑えるから、お前も聞いてみろよ』

 私は笑いには目がないので、他の人に尋ねてみました。すると友人が言っていたのは「金太の大冒険」「極付け!お万の方」という歌でLPも出ているようです。そこでレコード屋に行き、早速そのLP「ジョーズ・ヘタ」を買います。一宮市出身の泡沫タレントつボイノリオの作詞・作曲・唄でした。



 内緒ですが、歌で腹を抱えるほど笑ったのはこれが初めてです。しかし、内容は実に巧妙な言葉遊び‥聴くことさえ恥ずかしい。しかもこの2曲は、放送禁止歌になっています。歌詞が公序良俗に反してる。「金太の大冒険」は、美しいお姫様が悪漢に追われ“♪金太!守って”と助けを請うのです。

 書けるのはこれがぎりぎり。(もっと書きたいのでは?) いや、そんなことは断じてありません。もうひとつの「極付け!お万の方」は、この世をはかなんだお万さんが旅に出るというものです。大和を旅し古墳を見ると“♪お万!古墳だよ”と歌われます。言語を絶する、最低だ。

 こんな風に前者は11番、後者は9番まで延々と続くわけです。(レコード捨てれば)いや、それほど嫌いじゃない。私は擦り切れるほど聴き、あの友人にレコードを貸しました。『これはひどい。あまりにひどい。おまえもきちんと聞いて、ことの善悪を判断しなさい』『そんなことより、笑えたろ?』

 『まあね、いやいやそれで収まるものではない』『わけがわからん』
そしてそのレコードを何人かに貸していたら、そのうち戻ってこなくなり、手元から消えてしまいました。(寂しいのか?)いや‥宝物を取られてくやしい。(あれ?)



 4月18日(土)誕生日につボイノリオの還暦コンサートが、尾西市民会館で開かれました。私がネットでチケットを買い、友人のトミさんと入場。3500円とは格安です。

 トミさんが券を見ながら席を探すと『おっ、まん前だ!』2列目のど真ん中。トミさんへのサプライズです。TVカメラが4台入ってます。館内は1000人の観客で満席。

 40代から60代まで男女半々です。ファンは、男ばかりだと思っていました。何と64人編成の大オーケストラが演奏するクラシック「こうもり」序曲で開演します。

 彼らは還暦祝いということで手弁当での参加とのこと。音楽が終わり登場したつボイノリオは腹囲107cm、メタボ体形に変形しています。オーケストラをバックに歌った「極付け!お万の方」は笑い泣きしました。アンコール曲でとうとう「金太の大冒険」やはりバックはオーケストラです。30年振りに聞きました。

 観客は手拍子をして一緒に歌う。私もなぜか歌詞を覚えていて一緒に歌う。すべてが終わると小高アナウンサーが合図を出す。観客は入場時に渡された赤い紙を振り上げます。オーケストラは赤いハンカチを振る。何も聞かされていなかったつボイノリオは驚いてうろうろ。還暦祝いのサプライズでした。

 こんなに彼が多くの人に愛されているとは知りませんでした。60歳になるまで明るい下ネタ・キャラを貫いているからでしょうか。30年前、彼が歌でやったいたずらが、今も多くの人の心に生きていることが素敵に思えます。


※この模様は、CBCテレビ「イッポウ」で4/21(月)17時35分放映され、私たちも、めでたく映っていました。なおCBCラジオで5/16(土)午後9時〜10時にも放送され、今夏8月にはDVDが発売されます。
2009.04.19(日)22:00