岳行ノート

矢頭山 731m/三重県津市

2009年7月14日(火)



矢頭の大杉
(波瀬神社境内
直径2.7m、幹周9m、樹高40m、推定樹齢1000年



 このところ空に元気がない。たちの悪い風邪をひいたようにどんよりとして回復が遅い。天候で「日照」や「降雨」の必要性はわかるけど「曇り空」の役目は何だろう?

 太陽を隠し雨粒を落とさず天空の蓋となり、季節を灰色のドームに閉じ込める。まっ、お天気劇場の幕間ってところかな‥とっ、午前限定の晴れ日が訪れました。

 予定を組んでも中々いけなかった矢頭山(ヤズヤマ)です。登山口近くにある有名な矢頭の大杉にも憧れていました。きっと暑くなると思い水分は、キンキンに凍らせて持っていきます。



 教科書は、山と渓谷社刊「関西周辺の山250」です。

駐車場周辺図
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大杉前P

登山口

不動滝

椿小屋

展望所

大日拝展望台

風尾ケ岳

△矢頭山


地蔵岳

仁王峠

大杉前P


 ※赤線はGPS軌跡
※青線は林道

■「この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)、数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平17総使、第98号)」



江南:午前6時55分発   27℃
   曇り時々晴れ、その時は太陽がくれた季節
往路:2時間00分 (小休止含)
復路:1時間30分

伊勢自動車道の一志嬉野インターから波瀬川を遡って走ります。
周囲は、密度が高い稲田。車は緑の海を進む船のよう。
やがて波瀬の集落を抜けると細い一本道でスローダウン。


 矢頭中宮公園に着くと川からおじさんが上がって来ました。『煙草を吸ってたらスズメバチが来たので帰る』
 
 心しなければなりません。眼前の大杉を横に出発。車道の右沿いにある遊歩道を120mほど先へ歩きます。
(9:50)





 コンクリート橋手前で車道を横切ると「まむし注意」の登山口。まむしとハチと暑さに気配りが必要です。





 御峯登山道は、最初トラバースしています。霊山の道で歩きやすい。不動滝分岐でロープの張られた道を降れば‥

落差10mほどの稲妻型段瀑がありました。
「岸壁に二体の線彫仏像あり作者、年代共不詳である」と道標に表されていました。
探すと写真右下「不動滝」の矢印の先、苔が付いた岩に何か彫られています。
(10:00)



 道に戻り不動滝休憩小屋を過ぎ、渡渉して沢を一旦離れました。椿小屋を見ると仁王峠からの林道終点に出ます。
(10:20)

 気落ちせず100m先の登山口へ‥





 やがて10分ほど進むと尾根の急登が待ち受けていました。この蒸し暑さ、急登汁が全身からほとばしる。





 たまらず丸太ベンチで水分補給します。更に急登は続き、小ピークごとのベンチが嬉しい。その都度座ります。





 尾根は雑木林に変わり、これでもかと登ると牛ケ嶺(大日拝展望台)。残念ながら樹木が伸び展望は名前だけ。
(11:25)



 
しかし、降りの鞍部で展望があり、南の髯山688mが近い。ガイドブックでは、矢頭山は周回2時間20分です。

 余力があれば、あの山も登ってみましょう。



 ピークには、それぞれ牛ケ嶺不動ケ岳風尾ケ岳と名前があります。ここは不動ケ岳(東峰723m)です。

 そして御峯(山頂)、地蔵岳と続きます。それぞれが寄りあい高くそびえ漁船帰港の目標と公園の由緒書にありました。





 でもピークの間には、痩せた岩尾根、岩場と気が抜けません。ところが必ずロープが張られ安全安心を提供してくれます。 

四等三角点山頂731m到着。ここはとても雰囲気がいい。
お手製の山頂プレートが四方八方にぶら下がっています。
もう少し簡単な登山だと思っていましたが意外でした。握り1個だけの軽ランチ。
(11:50)〜(12:05)



 漁船から山頂が見えるなら伊勢湾が望め‥今日は、展望の高望みはできません。朝通った波瀬集落は見えます。

 波瀬小学校が卒業記念登山をしました。蜂が威嚇しに来たので早々に下山。「仁王峠まで1158m」の道標から降ります。




 下山の尾根道も全く斜度は緩みません。大きく降って少し登れば地蔵岳ピーク。その先には登って良し避けて良しの岩。
(12:25)



 一帯は植林地となり壁のような容赦ない急坂もロープに助けられました。その援助は、切れ目がないほど続きます。

 きっと児童たちの登山行事が安全にできるように設置されたのでしょう。ご苦労様です。



 登りが恋しいほど降りをこなすと眼下に車道。この仁王峠(地形図には矢頭峠)には関所があり楼門もあったそうです。
(13:20)

 あとは車道を右へ降って行きます。

歩いて行くと斜面に明るいピンクの小花。何とかフウロだろうと思っていました。
2人がかりで春夏の野草辞典を見ましたが載っていません。やれやれの同定ヘタ‥

※7/17ゆきっちさんより「ムラサキカタバミ」と教示頂きました。
江戸時代南アメリカから来た帰化植物、繁殖力が強くどこでも生える雑草‥『ひぇ〜



 やがて駐車地に帰着。東海岳行の写真は、地デジと同じ16:9の横長サイズです。巨木のように縦に長いものは苦手。

 それで2枚合わせにしました。上下で露出が違うのかアンマッチな色です。なかなか難しい。
 

 西から撮影しましたが、東側にはなぜか枝がありません。この周囲にも数本の巨木があります。
(13:35)

 矢頭山案内図では登山2時間、下山1時間。髯山登山の余力はないのでここで2回目のランチをしたら帰りましょう。


東海岳行

    “取りあえず水を”

 テレビでお笑い系の司会者が、ゲストの郷ひろみ『独身になられ、女性とお付き合いはいくらでも自由ですね?』と下世話な質問をしました。『ぼくは2005年に離婚しましたからそれ依頼、女性とは全くお付合いしていません』

 『え〜!でも郷さんも男だから女性を恋しくなるときがあるでしょ。そんな時はどうします?』
何とかスターの人間性を引き出そうと司会者も必死。『ん‥そうですね。取りあえず水を飲みます』大爆笑。さてその離婚のとき『これからは郷ひろみを極めたい』と宣言したのは知っていました。

 私は、特に彼のファンだというわけではありません。しかしエンタティナーとしては超一流だと思います。自分を律して体形や体力、運動能力を維持しているのはすごいなあと感じていました。



 歳を重ねるごとにカリスマ的スターになって行くようです。10年前ならどうってことないけど今、53歳であの若さを維持しているところが大いなる魅力だと思います。

 7/8岐阜市の長良川国際会議場で公演をするというのでどんなステージで楽しませてくれるかということで出かけました。会場は2階まであり全1700席、うち1階が1300席です。余談ですが「東海岳行」の1週間のカウントは、お陰さまで1300件前後ですから実数を目で見ると驚き感動しました。

 午後6時開場しましたが観客が入場するのに20分間もかかり6時半の公演ぎりぎりです。もちろん満員で95%がご婦人、中心帯は彼と同年代。みんなウキウキです。



 私たちは左客席図の9列目端っこ(赤色マーカー部)。ポジションは良くないけど舞台まで10数mでマズマズです。双眼鏡は握っています。

 8人編成のバンド演奏が始まると観客は総立ち。同時に幕が降り、ひろみの歌声は聴こえるけど暗い舞台に姿はありません。上から巨大な「GO」と読める英字のセットが降りて来ました。

 ピン・スポットが当たると「O」の中に手を振るひろみが立つ。『ギャー』すざましい嬌声。観客の両手に持ったダイコンが右に左に揺れる。いや、伸ばした腕だ。祭りが始まった。



 デビューからのヒットメドレーが20分間。私が好きな「哀愁のカサブランカ」も歌いました。ダンスの動きもシャープです。舞台の左に来ると顔がはっきり見えます。そっくりさんでなく本物だ。

 曲間の話もとてもうまく、客席との会話のキャッチボールもユーモアがあって楽しい。『ぼく以外で今、誰かに拍手を贈るとしたら誰?』『マイケル・ジャクソン!』『ぼくは羊だから彼はイノシシでしょ』大笑い。『とうとう来年55歳になるんですよ』『え〜!!!』

 『え〜じゃないでしょ。皆さんも同じように年を取るんですよ。ていうかぼくを追い越す人もいるかな‥冗談ですよ』
話しているときの立ち姿が実に美しい。背筋がスーッと伸びて20代に見えます。



 いつも手の平を拡げ、大きなジェスチャが若々しい。衣装替えも5回ほどありましたが、ジャケットを脱ぎスケスケの網シャツになると歓声が上がる。『そう、こういうのが好きなんだ。今後の参考にしなくちゃ』

 双眼鏡で見ている人を見つけ『そんな風に見られることもあるのでニップレスを貼ろうか悩みました』彼は、ヒット曲も多く持ち歌に困りません。『ジャパ〜ン』は、みんなで叫べます。

 『アチチ、アチ』
では、全員が振りをします。ひろみは舞台を右に左に走る走る、廻る廻る、飛ぶ飛ぶ。やった!ジャケットプレイ。この曲が終わるとさすがに息が切れたようです。しかし、そぶりを見せないこらえている。



 7割がたは、ツアーのたび彼のステージを見に来るリピータです。『次が最後の一曲です』『いや〜もっと聴きたい』『う〜ん、今日は随分歌ったけどなあ〜』ひろみの声は、もう枯れています。

 『じゃ、あと何曲聴きたい?』『10曲!』『ではその10曲分の思いをこの曲に乗せて歌います』『ひえ〜』 我がひよこさんは、新御三家では西條秀樹がお好みだったようです。見ると隣で手拍子しながらステップを踏んでいました。

 休憩なしの2時間半。歌はうまいし見ごたえがありました。もっと大きな舞台でも満席にできるでしょうが、客席の一体感を考えこのくらいのキャパを選んでいるのでしょうか。エネルギーに溢ふれた人を見ると、こちらにも少しおすそ分けしてもらったような気になります。



 終わって外に出ると道路の両側にズラリ並んだ乗用車。運転席にはもちろん‥ご主人様。素晴らしい時間を楽しんだ奥様が車に駆け寄る。ドアを開けて現実という席に座ります。拍手は送り出して迎えに来てくれた人に‥

2009.7.16/00:15