岳行ノート

摺古木山 2169m/長野県飯田市

2010年8月16日(月)

山頂から南へ降る尾根

(この稜線はやがて恵那山へ辿り着きます)


 地図を見ると木曽駒ヶ岳2956mから南下した木曽山脈(中央アルプス)の稜線は恵那山2191mへと続きます。摺古木山(スリコギヤマ)は、ちょうどその真ん中あたりです。

 眺望も良く、景観も独特で2000mを越す標高でこの時期涼しげです。ガイドブックのコースタイムは3時間20分と短く、登りやすいと思いました。

 唯一の難点は、登山口へのアプローチで大平宿から入る東沢林道は道が荒れていて緊張を強いられます。事前に駒ヶ根観光協会で道路情報を確認しました。


 6年前の登山では雨に降られましたが、この日の天気予報は晴れ。先週登った木曽駒ヶ岳・宝剣岳に再び出会うのが楽しみです。単独です。


教科書は、山と渓谷社刊「名古屋周辺の山200」です。
<駐車地>
[-]広域図、[+]詳細図、ドラッグスクロールで移動



東沢林道終点
自然園休憩舎P


砂床の沢

分岐点

(シャクナゲ)
天然自然園

展望岩

摺古木山

(シャクナゲ)
天狗の庭展望岩

分岐点

東沢林道終点
自然園休憩舎P



 ※赤線はGPS軌跡

■「この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)、数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平17総使、第98号)」


江  南:午前7時55分発   29℃曇り
駐車地:午前10時55分着  23 ℃曇り時々晴れ 
往:2時間10分(以下、小休止含)
復:1時間45分
◆所要時間:3時間55分



 中央自動車道の園原インターで下り、256号線から県民の森へ走り、大平宿に着きました。江戸時代栄えた宿場です。

 古い町並みが残されています。このからまつや前の石碑には「左いいだ道 右きそ道」と彫字され、左へ50m行くと‥

 公共トイレがあるT字路が、東沢林道への入口です。道標が摺古木山へ誘います。意を決して走ると1.5kmで地道に変わりました。

 砂礫地の斜面から岩が落ちそうです。道を横切る雨水の溝で車は左右に大揺れ。両側の草が時々こするので時速20km以下でゆっくりと。



 先回より縦割れの溝が埋められ改善されていました。8kmを30分かけ林道終点。トイレの建物の奥に自然園休憩舎です。

 標高は1775m、空は雲が多いようですがマズマズでしょう。写真正面の登山口から笹道を登ります。
(11:05)





 気温は23℃で高原仕様。おや笹に少し水滴が残っています。多少ズボンが濡れても気に掛けず、山腹を右カーブすると‥




 砂床の沢の清らかな流れです。この後も小さな渡渉が周回路分岐点まで3ケ所続きました。
(11:40)


 やがて現れた巨岩脇を梯子でクリア。

 ○○富士って富士山に憧れて名づけますが、本物よりは弱い。ということは日本アルプスって本物と比べてどうでしょう。

 結構いい線いっていると思いますが、本物を見たことがありません。日本が良い点ってあるのでしょうか。森林とか紅葉とか?

(左)ヒメキマダラヒカゲ[姫黄斑日陰]漢字だけ見ても蝶だと分かりません。翅の後ろが破損しています。
(中)ヨツバヒヨドリ[四葉鵯]ヒヨドリは「火を採る」から転じ、この草の枯れたものはよく燃えます。
(右)トリカブト[鳥兜]まるで毛細血管、流れる血は青色。




 周回路分岐点に1時間で到着。どちらで回りましょう、「猪木の選択?」6年前は左回りして雨に降られたので今日は右回り。
(12:05)





 左道は山腹の小沢を渡渉して進みます。5ケ所目で沢の岩場を少し登ると尾根に出ました。シャクナゲの木が目立ちます。


 やがて天然自然園の右折点に出れば、辺りは白い世界。予報に裏切られましたが、この先雷雨になったら怖い。
(12:40)

 ガイドブックは、空木岳、南駒ケ岳、越百山の圧巻の連なりが見えるとなっていますが‥お握りを行動食に歩き続けます。

白い闇は深い。和風的風景の中を行くと中央に小さな水たまりがありました。
突然、周囲の小虫が私に驚き飛びあがります。億の虫はすざましい。
耳鼻咽喉に入ったら大変、慌てて逃げます。ところが朝、降雨があったようで笹葉にすざましい水滴。





 時々、夏の日差しがあるのですが、空の真ん中の青空ホールだけ上天気。『雷雨は無いな〜』でもズボンはびちゃびちゃ。

(左)ヤマハハコ[山母子]何匹も蜂が止まり、夢中でお食事しています。
(中)エゾリンドウ[蝦夷竜胆]登山道には、この花と右のアキノキリンソウが続いていました。でも開いた花を一輪も見つけられません。
(右)アキノキリンソウ[秋の黄輪草]もう山は秋衣装を取り出したよう。


 山頂手前で踏み跡があるので覗くと展望岩です。雲が無ければ、先週登った中央アルプスの眺望を楽しめるはずでした。
(13:10)

 御岳山3063mも当然、望めません。雲が流れるので少し待ってみますが、この天然自然園方面が精一杯でした。



 展望岩から1分で山頂2169m一等三角点。樹木があるのでどの程度の眺望かわかりません。お握りをもう一個咥えます。

 台所用品の変わった山名、「すりこぎ」にどういう謂れがあるのか謎です。
(13:15)



 さて本日は次週の訓練でもあり、大休止は今日は取らないでいきます。下山は尾根道ですが、雲で遠望はききません。

 晴れだったら天狗の庭から、この山より21m高い南の恵那山2190mが見えるはずでした。「たられば」の話ばかり。




 山腹を刻む道になると5mほどの大岩が登山道脇にあります。近寄ると登りやすいステップがうまい具合にあり‥
(13:50)

 難なく登られ、3m四方の岩テラスに立てました。これだけ広いと怖さはありません。
絶景は手に入らなかったけど、ここはとても気分のいい場所です。
大岩から登山道を降ると5分で周回路分岐点、そこからは同じ道を戻ります。(14:05)

(左)ニカワホウキタケ:小さいけど存在感が伝わる鮮やかな黄色です。
(中)ヒメカバイロタケ:倒木や切り株に無数に発生し、小さな旅芸人と呼ばれるように可愛い。
(右)マスタケ:傘の色がサーモンピクなのでこの名。これは立ち枯れに40cmの大ものです。

 やがて自然園休憩舎の駐車地に帰着。8kmの東沢林道は6年前、これほどの悪路はないと思いましたが、人の慣れは大したもので余裕をもって運転できました。現在の状態なら普通車でも20km/hのスロー運転で慎重に走れば、ビビリますが何とかなりそうです。さあ通勤割引まで時間があるので巨木に逢えます。
(15:00)

園原インターに向かう途中、「小黒川のミズナラ」(コグロガワ)を見に行きました。
長野県阿智村清内路にあり、地元では山の神の分身として崇められ祠が根元にあります。
樹齢300年、幹回り7.25m、樹高18.2m。幹が螺旋形に捻じれているのが不思議です。

コナラに対してオオナラとも呼び、欧州ではブナは「森の女王」、ミズナラは「森の王」‥風格があります。
北海道の「有里々のミズナラ」が枯れ、この木が日本最大となり国の天然記念物に指定されました。



東海岳行
   “横断歩道を歩く恐竜  

 今年1月東海テレビ「ザ・ベストハウス123」で紹介された「まるで本物!?超リアルなエンターテインメントロボット」は衝撃的でした。実物大の恐竜が動き回るそのショーは今まで見たことのない世界です。3月に番組で日本公演の告知がありました。「絶滅した恐竜が現代に蘇る!」これは行かなくてはなりません。

 1993年、映画「ジャラシックパーク」が大ヒット。その6年後の1999年、英国BBCテレビが6時間半のCG恐竜ドキュメンタリーを制作。当時、私はその番組をNHKテレビで見ました。恐竜はメキシコ湾に落ちた直径10km巨大隕石で絶滅し、その遺伝子は現在の鳥に受け継がれているという結末が驚きです。

 その番組をベースにオーストラリアの会社でエンターテイメントショーが企画されます。リアルな動きの実物大恐竜ロボットを20ケ月かけて制作しました。2007年1月オーストリアでライブショーを初演したところ大ヒット、30ケ月のロングラン公演になります。そして20ケ国でワールドツアーが行われアジアでは日本が最初です。



 名古屋では日本ガイシホール「ウォーキング ウィズ ダイナソー」として8月12日(木)から4日間10回公演されました。チケットは10500円から3150円まで5種類です。(右写真:会場前で)

 12日の開演2時間前に駐車場に着き、終演後すぐ出庫できる場所に停車。会場に行ってお土産を先に購入し、車へ戻り車内でサンドイッチ・ディナーをとります。こういう時はわくわくしますね。

 18時に開場、コンサートでアリーナ席になる広いフィールドが恐竜ショーのステージです。私達は1階から2階へ階段状に作られたステージ前の席でした。フラッシュ撮影・動画撮影は禁止ですが、なんとカメラはOK。タイムスリップした古生物学者が司会役ですが、日本語の吹き替えがあるので大丈夫です。


(左)リリエンステルヌス:他の恐竜の赤ちゃんを咥えたどう猛な肉食、全長5mでも動きは素早い。
(右)ブラキオサウルス:全長22m、高さ10m、体重80トン。脚はモーターで動き、身体の動きは何人かでリモコン操作します。


 19時開演、卵からかえる恐竜、それを食べる肉食恐竜、親が守る。会場を動き走り、咆哮しバトルを繰り広げ大迫力。草を食べ、肉を食べ、排泄。親子、兄弟、敵、味方とバラエティに富んだ恐竜が10種20体。その顔が近づくと鼻が濡れていたり、白い鼻息がフンッと出るのも見え、細かい箇所にもこだわりがあります。


(左)ユタラプトル:全長6m、死骸を食べていますが良く作られた着ぐるみです。脚が見えますね?
(右)トロサウルス:全長9m、大きなフリルとひたいの角がいい。2匹が格闘し角がポキリと折れました。


 1部45分(休憩20分)2部45分の構成です。さて恐竜は2億4500万年前に誕生し、6500万年前に絶滅しました。2億年近く生物の頂点として君臨。当時宇宙人が地球に来たら言ってもわからない恐竜に呆れて帰ったでしょう。原人が200万年前に出現しましたが、恐竜に比較すると人類の歴史は1/100と以外に浅いです。

(左)アンキロサウルス:全長11m、装甲板のようなヨロイと尾先端の骨質こん棒を振りまわし敵と戦いました。尻尾の後ろに学者がいます。
(右)ティラノサウルス:全長12m、体重6トン「ジェラシックパーク」でT-REXとして登場して人気ものです。史上最大の肉食恐竜。写真下に子供と学者の頭が映っています。


 ティラノサウルスの出現は強烈でした。『デカイ、これは最強だ』そして隕石が落ちて‥終演。このチームは、今後「キングコング」「ヒックとドラゴン」のライブショーを行うと発表しています。日本で公演するときは、絶対行きましょう。しかし舞台裏に恐竜が20体も入る控室があるのでしょうか。(動画集)



 さて先日、隣の一宮市へ買い物に出かけ横断歩道で止まりました。驚くことに‥ティラノサウルスが歩いてきます。足を引きずって歩き、渡りきって段差に苦労している。『もう少し右、足をあげて』の声も聞こえました。良く見ると尾が破れています。

 技術大国日本の最新テクノロジー。エンターテイメントに関してはもう少し頑張ってもらいたいけど、ちびっ子たちが笑いながら付いていくので、これはこれでいいか‥

                 
10.08.18(水)22:05