岳行ノート

風越山 1699m/長野県上松町

2010年9月27日(水)

カヤトの丘から

左:糸瀬山1867m、中央:南木曾岳1677mmで
恵那山2191mはその左奥ですが雲で見えません。



 風越山(カザコシヤマ)は、6年前に分県ガイド(1998年発行)を持って出かけました。ところが掲載された「敬神コース」は、登山口まで増水で行けなかったのです。

 その時は、次案の「吉野コース」で登りました。今回も同コースを登ります。山頂展望地から間近に木曽駒ヶ岳を見るのが目的です。

 今夏のベストハイク、宝剣岳・中岳・駒ヶ岳を裏側から懐かしんでみましょう。



 教科書は、山と渓谷社刊「新・分県登山ガイド 長野県の山」です。
<駐車地>
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駐車地→御岳展望→カヤトの丘→▲風越山→展望地→敬神分岐B→敬神分岐A→駐車地

 ※赤線はGPS軌跡

■「この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)、数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平17総使、第98号)」


江  南:午前7時00分発  18℃晴れ後曇り
駐車地:午前9時50分着 
往:2時間15分(頂上展望地まで以下、小休止含)
復:1時間40分
◆所要時間:3時間55分

 中津川市から国道19号線を走り、長野県に入るとJR須原駅手前で中央アルプスが現れました。
今日はお天気が良く、すっきりした展望が期待できます。





 上松町の寝覚の床交差点を右折。1km近く走ると滑川の吉野橋。ここを渡り、道なりに進めば集落から林道を上ります。




 2度、ヘアピンカーブを過ぎると右に鷹鳥屋(タカトヤ)登山口。近くの駐車地には仮説トイレがあります。地下足袋を履き‥
(10:10)




 6年前、登り出しは記憶に残る急登でした。覚悟してましたが、慣れは素晴らしい。小さなジグザグも傾斜を緩めてくれます。

 時々、距離道標が現れ‥





 30分でこの大赤松です。カヤトの境まで半分くらい。♪ヘイヘイホーと歌いゆっくりずむ。斜面の黒土は雨後は滑るでしょう。

左)ノコンギク(野紺菊)        中)アキノキリンソウ(秋の黄輪草)  右)シロヨメナ(白嫁菜)

 ふと振り返ると御嶽山の展望。山頂には雲がかかっています。この風越山は、田中澄江「新・花の百名山」に差し替えで入選した山です。
(11:00)

秋の野花たちに迎えられカヤトの境の道標に出合うと地球の丸さを実感できるような絶景が広がります。
北アルプス・乗鞍岳は雲がかかっていますが、写真右奥、御嶽山3063mは雲が取れました。
その斜め左下が台ケ峰1502mと上松町(アゲマツマチ)の町並みです。

 この花野は草原ですが、平原ではありません。
傾斜は強くボウボウの草と灌木が混じる道は、足元を見て登ります。
(11:25)



 昔、この草原は木曽馬の牧草地でした。木曽八景のひとつ「風越山の青嵐」と称されその名残がこのカヤトの丘です。

 そうここは秋会場、蝶が風と来て、風と消える丘。



 樹林と草地の境を歩き、カヤトの丘道標に着きました。風越山山頂は左の藪に隠れ、右ピークが山頂展望地です。

 奥に見える凸峰が独標2339m、その右は蕎麦粒岳2320mで宝剣岳2931m〜三ノ沢岳から降りてきた稜線にあります。
(11:45)

 左)ノアザミ(野薊):葉の縁に刺がありました。 右)マムシソウ(松虫草):上に見えるのは花後の実です。





 やがて風越の頭1640mピークに着くと、ほっとひと息。ここからは優しい尾根歩きになり、ほんの少し降ると‥
(12:00)

緑一色の見事な森が広がります。ミズナラの巨木を見上げ、太い倒木を跨ぐ。




 そして二等三角点山頂です。ツガに囲まれ眺望はなく地味ですが、道標の「至 展望5分」が期待できます。
(12:20)




 おっきい!ヒノキの大樹です。風越の頭からここまでに敬神(ケイシン)分岐が二か所ありました。

 下山の時に6年前歩けなかったルートを確認してみましょう。



 山頂道標から5分で展望地へ到達するには、小走りでないといけません。

 展望のランチです。久しぶりにコンロでお湯を沸かしみそ汁を飲みました。
(12:25)〜(13:00)

秋気澄む‥これが望みです。今、世界でただ一人、この景色を見ている。
滑川が樹林を割り、山肌を刻み宝剣岳へ突き上げています。

右ピークが三ノ沢岳2847m、中央のつくつく峰が宝剣岳2931m‥登りました、今夏。
その左に中岳2925m、歩きました。更に左、雲の端木曽駒ヶ岳2956m、登頂しました。
その時、そこからこの風越山は雲で見えなかったのが心残りでした。

 下山時に敬神コースをチェック。山頂近くの敬神分岐Bは尾根道です。道は低い笹に覆われていました。

 風越の頭手前の敬神分岐Aは、トラバースする道ですが、テープもなく踏み跡もわかりませんでした。


 旧・分県登山ガイドの風越山の敬神コースは、左図の赤点線です。図の合流点は、敬神分岐Aと思われます。ここでは、山頂南の展望地はまだありません。

 上松町観光協会のHPより:「敬神コースは標識改修後、マップに追加いたします。(現在のところ、建設砂防工事と雨天時の増水のため、整備しておりません)」滑川の渡渉が今は困難です。

 今年8月、GPSを持って挑戦された方のレポを拝見しました。何とか渡渉をされましたが撤退されています。砂防工事が終った頃を見計らい、観光協会のHPを確認してみましょう。


左)カワラナデシコ(河原撫子)この花は6年前ここで初めて見ました。可憐で触れると生地のようです。
中)トリカブト(鳥兜)   右)ウメバチソウ(梅鉢草)

 再びカヤトの丘(13:40)で野花を愛で、粘土質の急降へ向かいます。何しろ今日は登山靴ではなく地下足袋でしたので心配でしたが、手は何度かつきましたが尻餅は逃れました。
駐車地着(14:40)



 下山が早い時間だったので少し寄り道します。寝覚ノ床は何度も訪ねてますので、それ以外をドライブ・散策しました。

 上松町は中山道の信州木曽上松宿。山里の町並みの中に車の少ない路があり、郷愁を覚える風景が残っています。


東海岳行
   “ためしてガッテンためして  

 7月14日放送のNHK「ためしてガッテン-驚き!超ラク山登り術絶景を味わう科学ワザ」は、初心者のために「疲れない山登り、筋肉痛を防ぐ極意、お薦めの食べ物等」を教えてくれました。知っていることもありましたが、なるほどと思うこともあり、一度試してみましょう。

 というわけでお日柄もよく今回の風越山でためしてガッテン。では番組の具体的な内容を要約すると‥

@登りは「歌をくちずさむこと」‥歌いながら息が上がらないペースで歩く。
A降りは「小またで歩く」‥登山靴を地下足袋に変えれば、足裏が地面の感触・衝撃を感じ自然に歩幅を調節。
B食事に温かい「みそ汁」‥不足しがちな塩分、エネルギーを作りだすビタミンB1を多く含むため。

 他には「ストックは足腰の負担を軽減しますが、降りのとき歩幅が大またになりがち。足とストック合計4ケ所の置き場を選び歩き、傾斜の緩急で長さを変えることは大変なことです。そんなとき臨機応変にストックの持つ場所を変えましょう」さて@登りの“ゆっくりずむ”は、それでしか私は歩けませんのでOK。



 A降りのため地下足袋を購入しにホームセンターへ出向きました。山仕事用は3980円、プラスチィックのスパイクが付き、滑り止めが施されています。『良さそう』でもお試しなので最安値980円を買いました。足袋は子供の頃、七五三で履いて以来です。こはぜ(つめ)が10本あり、足の太さに合わせ3段階調整できます。

 登山口で生まれて初めて履きましたが、鳶職人のようで何だか嬉しくなります。

 ところで地下足袋には次のような心配事がありましたのでその感想を記しました。


(1)サイズは? 登山靴は1cm大き目にしますが、地下足袋は足が中で動かないようピッタリがいいでしょう。
(2)岩の角や小石で足裏は痛くないか? 乗った瞬間はありますが、スニーカーと同じ感覚です。
(3)防水は? 防水材をスプレーすれば朝露は大丈夫と思いますが、渡渉はツメから水が浸入します。
(4)ムレは? 気温18℃でスパッツの1/10くらいのムレ具合でした。

(5)靴下は? 五本指のを1枚履きましたが、次の理由で2枚重ねで履くといいかも。
(6)降りは? 粘土質の斜面で3度滑りました。でも小またなので手をつくほどではありません。登山靴もこのくらいは滑るでしょう。ぴったりサイズなので指先と指股部が少し痛みました。
(7)恥ずかしい? 赤兎山で履いてる方を見ましたが目立ちます。女子はファッション的に無理でしょう。



 番組では「登山靴の場合、長時間の登山における足の負担を減らしてくれますが、足裏の感覚は鈍くなりがち。下山前や休憩時に一度登山靴を脱いで靴下で何歩か歩き、感覚を思い出してから下山してみてはいかがでしょう」

 さて地下足袋は、山道を降ると自然に小またになりました。登山靴と異なることは、屈曲性があり接地感覚は抜群、軽量・安価な点は長所です。調べると地下足袋も進化していてファスナータイプ、完全防水タイプ、クッション入りと色々あります。

 また上写真の祭用は、とてもファッショナブルです。B食事では、みそ汁を食べました。今回は4時間程度で登山後のひどい疲れはありませんでした。それが、みそ汁のお陰なのかはどうかはわかりませんが、お握りにみそ汁は当然ですが合いますね。



 いずれにしろ「ゆっくり登り、ランチでみそ汁をとり、小またで降ること」をこれから実行しましょう。ところで地下足袋はどうする?春秋の渡渉がない山ならOKですが、スパイク付きのが欲しいですね。

10.10.03(日)23:00