岳行ノート

刈込池 1095m/福井県大野市

2010年10月27日(水)

赤白の 美し合戦 三ノ峰

(刈込池より)



 ひよこさんが、先週の鎌ヶ岳の紅葉を岳行ノートで見て『私も見たいなあ』と呟きました。コースタイムが短く、高低差も少ない良い紅葉スポットがあります。

 白山三ノ峰の麓、原生林に囲まれた刈込池(カリコミイケ)です。1300年前白山開山の祖、泰澄大師白山に住む千匹の大蛇を刈り込んだ(閉じ込め)所と言われています。

 そこの紅葉情報が、今週から見ごろになりまた。しかし週間天気は台風の影響で良くありません。ピンポイント予報で確認すると福井県大野市はこの日は曇りです。


 前夜、準備を進めるひよこさんを見ていると、その紅葉狩への熱い思いで空の雲も溶けるかもしれません。


 教科書は、大野市HP「大野市>観光のご案内>観光スポットを探す>刈込池」です。参考書として「福井大学ワンダーフォーゲル部OB会」にお世話にになりました。
<駐車場>
[-]広域図、[+]詳細図、ドラッグスクロールで移動



上小池駐車地→橋→刈込池のほとり→吊橋→三ノ峰登山口→幅ヶ平→上小池駐車場

 ※赤線はGPS軌跡
■「この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)、数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平17総使、第98号)」


江  南:午前6時55分発  8℃晴れのち曇り
駐車地:午前9時35分着  4℃
往:1時間10分(池ほとりまで以下、小休止含)
復:1時間25分
◆所要時間:2時間35分
 東海北陸自動車道の白鳥インターで下り、九頭竜湖に架かる箱ヶ瀬橋を見て背伸びタイム。この橋は、ダムと同じ52年前に完成しました。
 国道158号線を西に走り、勝原(カドハラ)スキー場を過ぎると道路標識が、刈込池への右折点を教えてくれます。駐車地まで21kmです。



 ひよこさんの思いが雲を溶かしたのか、予報がいい方に外れました。途中、鳩ヶ湯温泉から三ノ峰だけは雲が覆っています。

 昨夜のニュースが冬型の気圧配置のため高山では初冠雪になると言いました。山腹の白いものは霧氷ではないようです。



 小池公園から更に走ると上小池駐車場。家から2時間半で着きました。今朝のニュースは各地の初雪を知らせています。

 ここも冷え込んで気温4℃です。水洗トイレで整え、フリース・手袋を着用して出発します。やはり「クマ出没注意」の掲示板。
(9:45)




 10分ほど山道を降ると打波川(ウチナミガワ)河畔です。橋を渡り左回り周回でここへ戻ります。日陰の所が凍っていて危ない!
(9:55)





 「石段コース」の名どおり早速石段の急登となります。池まで686段のプレートは、励ましてくれてるのか、驚かしているのか。

急勾配が続くと気温が低くても、さすがに汗が噴き出てきます。
やがて原生林となりブナミズナラなどの樹齢数百年を超える巨木が圧倒的です。
この辺りはまだ紅葉してなく、ネットの紅葉情報に少々疑念が湧きます。

 タヌキノチャブクロ:つっつくと煙状の胞子を放出。その様子を撮ろうと5分ほど二人で試みましたが、互いのタイミングが合いません。

 ツリガネタケ(釣鐘茸):薬用のサルノコシカケは有効性が3ランクあります。これはAクラスの下。肉質が、見るからに硬いようです。






 30分ほど急登を耐えれば、気分の良い雰囲気が嬉しい平坦地。いつしか紅葉の華やかな森に包まれています。





 樹間に水色がチラチラし出したら、道は少し降りになり刈込池のほとりに着きます。さあ夢のほとりになるでしょうか‥

おめでとうございます!素晴らしい。。。空の雲は消えましたが、山の新雪は残っていました。
一緒に着いた堺市のご夫婦と撮影場所を交代しながらシャッターを押します。
ポケットに入れて持って帰りたい景色です。『何枚撮っても飽きへん』『あの赤が利いてるねえ』

願経寺山1690mの北西の麓に原生林が囲む幅ヶ平(ハバガタイラ)が広がります。そこの標高1095mに
周囲400m、水深最大4.5mの刈込池。写真右の三ノ峰は、標高2128mなので標高差1033mです。
池に流れ込む小川はありますが、流れ出る所はありません。住民は森青蛙黒山椒魚赤腹井守さんたち。

 岸辺に近い所は風があるようですが、池の中央は鏡面になっています。
内なる天使の警告音が鳴ったので軽食をここで取りました。
(10:55)〜(11:30)



 帰路は池の東端に進みます。突然『ドキャ〜ン』大音が下から‥驚いて行くと堺市の男性がヌルんだ木道で転んでました。

 恥をかかせないよう武士の情け、見ないふり『乗った途端に転んだ。やばい、やばい』反面教師にさせていただきます。


水辺には水草が生えていて緑の葉はフトヒルムシロ。各務原市の各務野自然遺産の森で見ました。
左端の倒木がうまい具合に上部が削られ先端で立てるので思わずここで記念写真を撮りたくなります。
感性が目覚める彩り、日本の紅葉は世界に誇れます。海外は赤なら赤、黄なら黄の紅葉のようです。





 池から離れると再び原生林。森は強い、森は森だけで生きられるが、人は森なしでは生きられない。(北欧建築家アアルト)
 





 途中、北方の展望がありました。三ノ峰に向かう稜線は1400mと標高があり、白い幹のダケカンバが紅葉しています。





 帰路の岩場コースも階段はありますが、往きと違い230段程度です。雲が増えてきました。もう鏡面の池は難しいでしょう。

 三ノ峰が源流の打波川に吊橋。渡れば登山道から林道になります。JTBツアーもあり、30名近くとすれ違いました。紅葉の団体さんともお逢いしましたが‥
(12:15)

 林道を降ると三ノ峰登山口に出合います。ここから4時間で山頂‥堪りませんね。入山者カウンターが見えますが、駐車場にも同じものがありました。
(12:30)
 登山道には、各所に13枚の豆知識表示板があり、岳行ノート作りに役立ちます。例えばこの崖の解説は‥

 「昔、願教寺山が水分を含まない岩屑なだれで北西方向に大崩落。刈込池のある平坦なヶ平もこの時形成されました」


 打波川の向こう岸にあるこの崖がその名残りです。

やがて林道は、朝に渡った橋へ合流します。
(12:45)

往きの降り道は、帰りは登り道です。沢山のイガが落ちているなと思ったら横に大きな栗の木
朝、見逃していました。上小池大栗ノ木は幹周5.7m、樹高19m、樹齢320年です。
ひよこさんの左手にスーパーの袋。道中ずっとぶら下げていたのですが、今日の収穫は?


 結局、ランチなしで駐車場着。そこから見える三ノ峰の雪はもう溶けていました。車で道をしたり小池公園でラーメン定食。
(12:55)

 背後はよも太郎山1581m、右に地名の元の小さな池があります。カラスが残飯を狙って草地をウロウロ『あげへんで〜』




 ひよこさんは道々で落葉拾いしました。スーパーの袋に一杯です。帰宅して収穫パーティ。洗って新聞紙に並べ乾燥します。

 そして食卓テーブルの透明マットに挟むと押し葉が溢れるほどです。遠くからやって来た秋が、キッチンを彩っています。


東海岳行
   “シイタケの実力  

 昨秋11月始め、ひよこさんと鈴乃助(5歳)の家へ遊びに行きました。さんざん遊んで帰りがけ娘が『シイタケ、持っていく?』と思いがけないことを言うので尋ねると。家庭栽培で沢山出来たのでおすそ分けということ。『え〜?』私達が不思議がるとビニール袋に入れたホダ木を見せてくれました。

 長さ60cmに見事に咲き誇っています。早速、私達は帰り道、娘が購入したホームセンターへ寄り1本980円の種駒が打たれたホダ木を手に入れました。それはきのこがすぐ発生するようになっている家庭栽培に適した成る木というものです。1ケ月程度できのこの芽が出ると説明されました。

 一日水につけ、庭の日光が当たらない木陰で雨が当たる場所に斜めに立て掛けました。夜間気温が15℃に下がると芽が出るはずです。それはそれは楽しみで、待つこと1ケ月、私達の夢と希望は静寂の樹からポコリとも顔を出しません。



 堪らず12月のある日、岐阜のシイタケマスターの友人に教えを請うことにしました。彼はコナラを伐採して原木造りからやっていてシイタケパーティに招かれたこともあります。

 『もう菌は眠ったと思います。来年の秋まで待ちましょう。どうしても欲しいのなら木槌で叩いて菌を起こしてやれば春に芽が出るかも。温度が高く湿気の多い場所、風呂場においてみてください』即座に先生に仰ることを実行しました。その2ケ月後、年も明けた2月中旬に芽が出たのです。

 下左写真ですが、横に百円玉を置きました。翌日から次から次へと笑いが止まらないほど‥とはならずトホホの1本だけ。傘が乾燥肌でササクレだっています。成長は早く1週間ほどで十分な大きさ(下中)になったので野菜鍋で食べました。自分たちで栽培したものは、親ばか感想ですが『肉の食感がカチッとしてうまい』



 スーパーで売っているシイタケは、おかくずによる菌床栽培が主です。原木栽培は手間がかかり、そのシイタケはお値段がお高い。栽培方法は、秋に樹を伐採し次の春に種菌を接種、その原木を1年、森で寝かします。その後、原木を柵に立て掛けて並べ、半年から1年ほど経過すると芽が出て3〜4年間収穫が可能です。

 海外では日本産はブランドになっているようです。英語、フランス語、オランダなどでは、そのままSITAKEと呼ぶ現地語になっています。さて我が家の980円で購入した成る木は1本の高級シイタケを産み出すとただの木棒になったのです。私は興味も失せ、庭に立て掛けたまま忘れていきました。

 猛暑が過ぎ、8ケ月後の10月下‥旬『あっ芽が出てる!き・来て』と庭からひよこさんの大声。飛んでいくと1cmほどの可愛い3つ子が芽を出していました。私たち夫婦は新しい命に大喜び。翌日、雨が降り三日後には、傘が10cm径の魅力的な肉体に育ったのです。食べてと言わんばかりで早速3本とも焼きシイタケに‥



 ヒダに醤油をかけフライパンで焼くと、やはり自分たちで栽培したものは、親ばか感想ですが『肉の食感がカチッとしてうまい』 シイタケは鮮度が落ちやすい食材ですが、乾燥してもよし、焼くもよし、煮るもよしと料理では大活躍。実力では松茸より勝ると思います。

 子供の頃、松茸が今のように貴重品種で無かったため松茸ご飯をよく食べました。それ以来、私にはこれといった松茸の記憶を口に持っていません。5年くらい前からひよこさんは、眼にいわし雲を映し『松茸をお腹いっぱい食べてみたいなあ』と独り言を毎年言うようになりました。

 すると私は『ああ我が家にも秋が来たなあ』と思うのです。

10.10.31(日)22:35