岳行ノート

鳩吹山3 313m/岐阜県可児市

2011年4月4日(月)


鳩吹山よりの絶景

くねる木曽川には 遥か御嶽山の雪解け水も




 足助よりも良いと噂のある鳩吹山カタクリ群生地に私は訪れたことがありません。2週連続で山行した野良人さんから見頃ですよとメールを頂きました。

 ご近所の低山にめっぽう詳しい方です。事前に岳行ノートを調べ私の未踏ルートでカタクリ山行しましょうと魅惑のお誘い。

 大脇登山口で集合し、コースの概要をお聞きすると確かに9割が未踏ルートでした。コース中には厳しい岩場もあり、気を引き締めて出発します。



 参考書として、「可児からの山歩き」さんにお世話になりました。鳩吹山のいくつかのレポには、殆どのルートが表された地図が掲載されています。
<駐車場>
[-]広域図、[+]詳細図、ドラッグスクロールで移動



大脇登山口P→パノラマルート分岐→▲鳩吹山→284P→一休さん→二の滝・一の滝→
川岸の滝→展望ピーク→氷場登山口→カタクリ群生地→小天神登山口→大脇登山口P

 ※赤線はGPS軌跡 黄丸は分岐
■「この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)、数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平17総使、第98号)」


江  南:午前8時05分発  快晴
駐車場:午前8時55分着  
往:2時間25分(一休さんまで以下、小休止含)
復:2時間25分
◆所要時間:4時間50分





 あっぱれの青空、お天気がいいのが何より!大脇登山口駐車場は平日でも8時には満車。人気があり何よりです。
(9:00)





 国道41号線の下を潜り、水路沿いに歩きます。先日まで瞬きしていた春は、桜が咲き満ち、薫る風が生まれそうです。

 そして小橋を渡り、100m足らずで‥

 写真左端、枝の赤テープを見て脇道に入ります。



 大脇サブルート尾根(以下ルート名は「可児からの山歩きさん」の地図を参考に)は、岩道で所々で展望開けました。

 いくつか分岐に出逢ったら登り道を取り、東屋を経て‥ 

鳩吹山313m三等三角点山頂広場に到着。
雲一つない青空、北東の御嶽山3067mと乗鞍岳3026mの雪が映えます。
(9:50)

北に転じると左端奥平家岳1442m、中央が高賀三山。右の雪山は白山2702mです。
本日の最高点を制覇できましたので次の未踏の道へ進行します。





 縦走路分岐を経て北方向へ降りました。左手の急斜面の稜線が岩場ルートです。登られることが信じられません。 



 降りた所がT字分岐、ここを左折しました。右折すると氷場登山口カタクリ群生地へ向かい下山時に歩きます。
(10:10)

 1分ほどで道は、危険な尾根を避け、少し降り小沢沿いの踏み跡になりました。やがて‥


 V字の峠に出て急降すると岩の転がる沢です。

 左奥が滝場ルート、右は3段の小滝で木曽川に流れ落ちます。目指す岩場ルートは、写真中央の光る岩場を登ります。
(10:25)

最初の目標の284mピークまで200m以上の高度を稼ぐ超急勾配です。
途中、枝道がいくつかあり、木曽川側のルートを選択します。
岩場に巻き道があれば、私は当然その安全パイをチョイス。

スパイダーマン野良人さんは、躊躇せず岩場を選択します。
巻き道で先回りし、高度感たっぷりの写真を撮りました。
次はビビリーマンの私が頑張る姿を撮影していただきます。



 300mの低山とは思えない登りです。突然、ミツバツツジが鮮やかに美しい紅紫色。厳しさの中の優しさに癒されます。

 ガイドのあるお陰で比較的怖くないルートで登れましたが、このルートはマーくもなく低山といえ上級者向けでしょう。



 50分かけた急登は、ようやく終わり284mピークです。正面は迷い防止の白ロープ、左の道を行くと谷へ降りていきます。

 これは違うと戻り、探すと右の岩に隠れた道を発見。道標もテープも無いバリバリ・バリルーを再認識します。 


 軽く降って登れば一休さんです。北に白山が望め、この小広場でランチにしました。
(11:25)〜(12:30)

 ここから西山北周りルートで南東に15分降ると‥



 木橋手前から滝場ルートに入ります。気軽なハイキング感覚では歩けません。非公式ルートで自己責任です。

 私も単独ならこのルートは選びませんが、野良人さんのガイドが心強い。すぐ右手奥に二の滝があり、高さは5m以上?
(12:45)



 岩場ルートに比べればなだらかです。ただ1ケ所慎重になる高巻く道がありました。何度か徒渉を繰り返します。

 適切な案内を頂き、ムダなく降れました。やがて9コマ目の岩の転がる沢に着き、木曽川の川岸の滝を見に行きます。
(13:10)

大いなる流れ、木曽川は長野県の鉢盛山2446mを水源とし延長229kmで全国7位の長さです。
岩床にはポットホールもありました。歩きやすい場所を選んで右に回り込み‥




 崖に行くと少し入り込んだ所に3mほどの高さの滝があります。ミニアドベンチャーを終え、岩の転がる沢へ戻ります。
(13:35)





 下山途中、展望ピークに立ち寄り小休止しました。木曽川が二手に分かれています。左側は増水したとき流れるそうです。
(14:05) 





 そして鳩吹山北斜面にある氷場に着きました。
(14:20)





 この氷場は、大正時代の製氷場です。長方形の石垣で囲われ、プールより大きなものもあります。

『お〜素晴らしい』斜面に満開のカタクリ。大勢の見物客に交じり、カメラを森の妖精に向けます。
15年前から地元の小中学生が種を採り、種まきをして規模が年々大きくなりました。
充分観賞したら群生地と分かれ、車道を歩きます。国道41号線を潜って南へ行けば駐車地です。
(14:55)


東海岳行
   “小太郎3/卒業の天井” 

 先回は入学式のお話しでしたが、そこから連想出来るのは卒業式‥ちょっと強引です。3月にパソコンが壊れたので今回のお話が繰り下げになりました。昨年の道草に高校時代の思い出 「小太郎の秘密ノート」「小太郎2/富嶽百景」を載せましたが、そのお話の続編です。読まれた方は同級生の小太郎を覚えていますか?

 秀才で高校生にして官能小説家でした。さて高校生だった私たちも3年が過ぎ卒業です。その日は、学生カバンを持たず自転車で登校しました。教室に入り、後ろの私の席に座ります。クラスは何だかいつもよりテンションが高く賑やかです。親友の田光道草「途切れない飲み物」の彼です)が、スルスルと来ました。

 彼は『おい、あれ見ろよ!』と上を指さします。見上げると‥漆喰が塗られた白い天井に真っ黒な足跡。左右の裸足一対です。昨日までは、もちろんそんなものはありません。天井までは3mはあるでしょう。『どうやって付けたのだろう?』良く見ると実物大の足跡は1mmくらいの厚みがあります。



 どうも厚紙のようなものを貼り付けたようです。『誰がやったのかな?』田光が呟きますが、私には心当たりがあります。天井には大きな梁があり、足跡はその近くなので教壇からは死角です。そういう場所を選んだのでしょう。やがて先生が来られ式段取りの話をされましたが、誰も訴える者はいません。

 講堂でつつがなく式は終わり、教室へ戻ってきました。先生が来られる前に小太郎の所へ行きます。『天井のは、お前の足跡だろ?』彼は何の返事もしません。「小太郎2/富嶽百景」の事件と類似しています。早朝、誰もいない教室へ来て黒板上の額の中身をすり替えた事件です。

 今回も朝早く来て、机や椅子を積み上げ足跡を接着したのでしょうか。それは謎です。その20年後、学校近くで同窓会がありました。始まる前に田光と学校へ行きます。教室の天井を見ると黒い足跡は消えていました。天井は全面的に白色ですが、あの場所には盛り上がった足跡の形が残り二人で喜び合います。



 足跡を剥がすことは出来なかったようです。小太郎は、同窓会を欠席したので謎は残ったまま。その後、私達の学び舎は耐用年数が過ぎ、残念なことに新校舎に建て替えられました。そのため卒業式の日に忽然と現れた足跡は、今は心の中に残っているだけです。

11.04.14(木)23:00