岳行ノート

三方ヶ峰 2040m/長野県東御市

2010年8月7日(日)


池の平高原の鏡池

正面左ピークは東篭ノ登山2227m


 7月末頃は弱気な夏でしたが、しかし8月に入ると勢いのある暑さが戻ってきました。ということでひよこさんと避暑の高原トレッキングと洒落こみましょう。

 浅間山の東側は軽井沢高原、西側には高峰高原湯ノ丸高原があります。原生林や湿原が残り、高原植物のお花見トレッキングが楽しめそうです。

 古い火口原に池の平湿原があり、そのピークが三方ヶ峰。里から一気に標高2000mに上がる急峻な地形のため好展望です。その後高峯山にも登ります。


 人気の高原でもあり、遠方なので前夜泊することに決めました。長野県上田市小諸市の間、東御市(トウミシ)にある道の駅雷電くるみの里を目指します。


 教科書は、信濃毎日新聞社刊
「信州高原トレッキングガイド」です。参考書として「東御市観光協会」「小諸市観光協会」公式HPの花情報などが役立ちました。 
<駐車地>
[-]広域図、[+]詳細図、ドラッグスクロールで移動



@車坂峠BS(バスストップ)→→池の平BS→鏡池→▲三方ヶ峰→▲見晴岳→▲雲上の丘

→▲雷の丘→池の平BS→→A高峯温泉→登山口→粒ヶ平分岐→車坂峠


 ※赤線はGPS軌跡  ※車坂峠BSから池の平BS間は林道
■「この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)、数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平17総使、第98号)」



前日8月6日(土)
江  南:午前9時00分発  26℃曇り
道の駅:午後1時50分着  曇り一時雨(夜21℃)
 
往:1時間20分  (以下、小休止含)
復:1時間05分
◆所要時間:2時間25分

 朝6時半、道の駅を出て浅間サンラインを東へ7kmほど走りチェリーパークラインへ移ります。快適な道を15km登ると標高を1100m上げ車坂峠です。

 峠は晴れていますが、里の佐久平は朝霧に覆われています。午前中晴れで午後から曇り予報です。
(7:05)
 車坂峠には大駐車場があります。一帯の高峰高原には、ヤナギランニッコウキスゲの群生が8月を演出しています。







 標高1973mの峠には綺麗なトイレがあり、東側に黒斑山(クロフ)2404m〜浅間山2568mの登山口。私たちは西側の‥



 バス停から始発に乗りました。高峰高原湯の丸高原間では、7月中〜8月中の土日祝にマイカー規制が行われます。
(7:30)

 30分間隔の運行で料金500円です。まだ朝早いので全乗客5人。10分ほど未舗装林道を走ると池の平大駐車場到着。



 街のスーパーより広く驚きます。周回コースはガイドブック通り右回りです。トイレ前で池の平湿原の案内パンフをゲット。
(7:45)

 ここは標高が2061mで山頂は2040m。登山というよりも下山。皆さんは、この東屋右方へ。私たちは写真左の遊歩道へ。

 歩きながらひよこさんが、パンフの「花ごよみ」を見て『これだ。‥これも咲いてる』とカメラマンをせかす。(左)ヤナギラン‥蘭のように綺麗な花が咲くのでランの名が付いています。8月の花、群生していました。(右)トモエシオガマ(巴塩竃)もまとまって咲いています。※「可児からの山歩き」さんご教示、感謝です。8/26訂正

 花に気を取られていると目の前に広大な池の平湿原。火口原が何万年もかけて湿原になりました。
乾燥化が進んでいて一見、草原のようです。ひよこさんに声を掛け、木道を左折し東方へ歩きます。
(8:05)

(左)クルマユリ‥5〜6cmと小柄なレディ (中)マツムシソウ‥9月の秋の花と思っていましたが、もう一杯咲いていて蜂や蝶にたかられています。 (右)ホソバノキリンソウも大きな群落がありました。


 湿原に四角形を描く木道。東南角の放開口に来ました。ここは火口壁が崩落した場所で地形図にも描かれています。

 右折して西へ向きを変え、鏡池(TOP写真)へ向いました。そこで小休止後、斜面を登り外輪山稜線を目指します。
(8:45) 





 青空に雲の領域が増えました。足元が礫地になり、稜線に出ると斜面にあの花の保護フェンスがあります。後ほど‥



 そして三方ヶ峰(ミカタガミネ)山頂。正面奥、雲のかかる左ピークは東篭ノ登山2227mです。この辺りは2000mクラスばかり。

 三等三角点は、フェンスの中で保護されています。小諸市方面の眺望は雲に隠れていました。
(9:05)

(左)ウツボクサ‥アップすると産毛のような白い毛が見えます。(中)カワラナデシコハクサンフウロ‥7/18(月)早朝、中継を見ました。なでしこジャパンの優勝は歴史的快挙!感動です。そこで活きのいいナデシコの花を探しましたが、どれもゆうべの大雨を受けています。(右)ウメバチソウ‥秋の花ですね。

次の外輪山最高峰、見晴岳2095mへ向うとき、眼下に池の平湿原の全容が広がります。
すると右上の火口壁崩壊地放開口から勢いよく雲が上りすぐ湿原を覆いました。

見晴岳から来た登山者は『始め山頂の展望は良かったけど雲がきて‥』と私たちの近未来を予言。
彼らは展望は見えたけど、あの湿原に降りれば花々は雲に覆われています。どちらも1勝1敗です。  

(左)クガイソウコヒョウモン‥美しさは甲乙つけられません。 (中)ノアザミ‥春の花ですが、さすが高山、8月に咲き揃っています。クジャクチョウを寄せ付けない。  (右)すっかりガスってきました。フェンスの中にホシガラス。高山に住み人を余り恐れないようです。

 やがて稜線も雲に覆われ、あの花‥8月まで良く咲いていてくれました。コマクサ大群落にも紗がかかります。




 そして火口縁の最高峰見晴岳2095m。これでは、何が何やら誰が誰やらわかりません。

 眺望は得られないけれど、青空湿原で花が綺麗だったから良しとしましょう。
(9:35)





 見晴岳から少し戻り、分岐を左折して外輪山周回を続けます。そして霧中行軍。次のピークは‥

 雲上の丘2110m。360度の山名標があります。浅間山八ヶ岳北アルプス妙高山のパノラマは想像力が及びません。

 ここで早いランチにします。何組かの団体で100人近い登山者・ハイカーがガイドとやってきます。

 ガスで呆然とするお客さんにガイドは、持参の大判の展望写真を掲げ説明します。現実感がないのは致し方ありません。
(9:50)〜(10:10)



 どうも右回り周回してるのは私たちだけでコースは左回りがメインのよう。午前中が好天気の確立が高いようです。

 先に展望を取るか、湿原の開放感を楽しむか‥あなた次第です。雷の丘2108mピークを過ぎヤナギランに見送られます。

「ザ・大自然」 カメラを近づけてもマルバダケブキコヒョウモンは夢中です。
高原の夏の盛りに出合え、いいトレッキングでした。
時計を見ると‥おっ、急がねばなりません。



 ムム!登山口に慌てて降り着くと目の前を‥乗る予定のバスが走り去りました。運転手の笑い顔が残像として残ります。
(10:30)

 駐車場に観光バスが5台も停まっています。次の高峯山に備え30分休憩が出来ると考え、ゆっくり次のバスを待ちましょう。


東海岳行
   本降りの高峯山(長野県小諸市)  

 そして30分後、私たちは11時発の車坂峠行のシャトルバスに乗車。15分で林道途中の高峰温泉(下左)に着き、下車すると温泉客で賑わっています。歩いて100mくらい行くと林道右側に登山口(下右)を見つけました。ここから高峯山2106mへ登り、下山は車を停めた車坂峠へ降りるコースです。


(11:15)高峰温泉 

(11:20)登山口 


 展望のいいルートのはずですが、車坂峠方面が少し覗いただけ。登るにつれ雲中トレッキングになりました。そして山頂と車坂峠粒ヶ平分岐(下左)に着くと‥とうとうポツリと雨粒が落ちてきました。ここから山頂まで往復30分、無理して行ってもこの天気では展望は望めないでしょう。

 躊躇なく『下山しよ!』ひよこさんに言いました。ところが‥ひよこさんはポーチ、私が二人分の荷物持ちなのでリュックの手抜きをしたのです。高級雨カッパは入れず、雨具は折り畳み傘一つと二人分のヤッケだけ。まだ小降りなのでひよこさんに傘を渡し、私はヤッケを着ました。

 濡れた道の降りでは、足は急げません。ところが雨は急ぎ足です。あせりは禁物、あさりは海産物。小粒→中粒→大粒と八分音符が全音符に替わるように増量して本降りになりました。私たちの前にゆっくり歩く人がいます。傘を差したお母さんは赤ちゃんを胸に抱き、簡易雨カッパのお婆さんが続くハイカー。(下右)


(11:40)粒ヶ平分岐 
 
ゆっくり行ってください


 急がすわけにいかないので距離を開けて歩きます。ゲリラ豪雨?滝のような大雨です。ヤッケではズボンが濡れるので木陰に入り、もう一つを前に掛けます。足元にはコキンレイカ群生(下左)‥カメラが濡れるので余裕はなかったのですが、美しさに負けました。

 実はヤッケは、防水効果が切れていたのにスプレーしていなかったのです。ビチョビチョ。雷が無かっただけ良しと‥20分のルートを30分かけ、やっと高峰高原ホテル裏の下山口(下右)に出ました。後からツアー客もしっかり雨に濡れ次々と20人くらい降りてきます。

 私たちが車で着替えていると1本の傘に若い女性二人が入り、Tシャツ・ジャージパンツで歩いてきました。髪も服も滝に落ちたように濡れ、身体は冷え切っているでしょう。バスに戻って着替えがあるかどうか心配です。と人のことを心配する余裕がこの時はあったのですが帰宅して‥


コキンレイカ
 
(12:10)下山口

小諸市の浅間サンラインから北を振り返ると雨は、右の黒斑山(クロフ)2404m以外はあがったよう。
中央が高峯山、その右下の鞍部が、車を止めた車坂峠。左の台地状の山が三方ヶ峰です。


 私も体調を崩し1週間寝込みました。心身とも健康でないと岳行ノートと道草は全く作れません。ようやく病の泥沼から脱出でき健康の丘へ戻ることができました。しかし、長い間レポを作っていないとまとめる能力が落ち、中々はかどりません。この間、新作を見にご訪問いただいた方には大変失礼いたました。

11.08.24(水)20:50