岳行ノート

       たかやしろやま
高社山 417m/岐阜県多治見市

2012年1月27日(金)



高社山の東、V字谷を歩く


 高社は町村合併前、多治見市一の標高を誇り三角点もあります。中央高速道で岐阜から愛知に入る時に見える堂々とした山容は馴染み深いです。

 先週の小牧アルプスをご一緒した野良人さんに『どうして高社山が岳行ノートにないのか、不思議なんですよねえ』と尋ねられます。

 そのわけは‥2009年8月の大道草34「最後のメッセージ」で登られなかった高社山を記しました。以来私は、登頂気力が湧かず、特に単独では行けません。


 すると野良人さんは、山仲間のAさん、Oさんも誘われ、先週に続くオールドパーティで高社山の表・裏コースを歩く企画を組まれました。

 「低山で一日遊ぶ」が信条の野良人さんのご満足コースに出かけます。
<駐車場>
[-]広域図、[+]詳細図、ドラッグスクロールで移動
 国道19号線の内津峠から多治見市へ走り、富士見町交差点で左折、‥ 


高社神社P→反射板→▲高社山→谷出合→沢合流地→根本城跡→秋葉神社・北→
高社神社→愛宕神社→秋葉神社・南→ドコモ電波塔→金毘羅神社→高社神社P


※赤線はGPS軌跡


■「この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)、数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平17総使、第98号)」


江   南:午前09時00分発  曇り/1℃
登 山 口:午前10時15分着  曇り時々晴れ
                 /0℃
往:40分(山頂まで以下、小休止含)
還:3時間25分
◆所要時間:4時間05分

 大原町3交差点を過ぎ更に北上。ドコモのアンテナを右に見て、先で左の石垣手前から狭い坂道を登ります。

 すぐ高社神社の鳥居前スペースです。気温は0℃ですが、風が無いのが救い。出発します。
(10:25)


 参道とは思えない急登の山道。10数分登れば傾斜は緩やかになり、2つ続く分岐では愛宕神社を取ります。

 お社の愛宕神社は注連縄、蜜柑、丸餅、御神酒とお正月模様。総本社は京都愛宕山924m山頂の愛宕神社です。

 防火・鎮火の霊験があり「火迺要慎(ひのようじん)」の火伏札を台所に貼ります。
(10:45)

 神社から先に行けば反射板の広場へ出ます。南から東にかけて展望がありますが、曇り空なので期待はできません。(10:50)

 それでも南には、内津峠を挟んで愛知丘陵の弥勒山437m(右)、道樹(ドウジュ)416m(左)が逆光線にシルエットで見えます。


 気温は氷点なんですが汗は出る。一枚脱いで落葉の道を軽快に進めば‥ 


木々に囲まれ展望のない小広い高社山三等三角点山頂。
標石の「十」が、方位を指しているはずです。
しかし方位磁針では、40度近くずれていました。『?』
(11:05)


 踏み跡を辿り、南東尾根を降りました。岩道になり、きつい傾斜になりますが樹木が支えになります。


 10分で谷に到着。右折して涸れ沢を下流へ歩きます。谷歩きが、地質学に興味がなくても実に面白い谷です。
(11:20)
 その詳細は最下段の道草で‥ハプニングもあったりして35分かけ、沢の合流地(左写真)に着きました。沢音のBGMで風流ランチします。珈琲&デザートで締めたら、下流へ20m行き、赤テープ(右写真)から右へ涸れ沢を登りました。(11:55)〜(12:40)

 10分進むと谷のあちこちに白い雪玉が‥『?、なんじゃこりゃ!』 おびただしいゴルフボールです。

 谷の向こう側には多治見北ゴルフ倶楽部があります。パー3の2番ホールは、左のOBが浅いので注意です。
 『ファー』と聞こえたら20mの高さを越え、ゴルフボールが登山者に当たるかも。
谷は百年後、ゴルフボールで埋まり、歩くこともままならないかもしれません。
ランチ後に歩き出し15分で左の尾根へ適当に登ります。


斜行すれば、すぐ尾根の登山道に出合いました。
やがて道は、方向を変えます。
2つの分岐@Aに出合いますが、いずれも右へ‥
←@    A→


 小さな堀、大きな堀切を渡るとそこが根本城跡285m。16世紀後半、武田一族の若尾氏が築城しました。
(13:15)

 東に団地やゴルフ場など多治見市らしい展望が開けます。雲が無ければ中央に恵那山2191mが見られるはず。

 城跡南の登山道を降ります。

 急斜面になると踏み跡は消えました。木々の隙間をジグザグ行くと‥

 「ポキッ」期待した枝に裏切られ、私は足をくじき痛みに耐えます。歩くには支障が無く、不幸中の幸い。


 城跡から10分で谷へ降り、右岸の道に乗り、上流の堰堤へ進みました。
(13:35)

 涸れ沢を10分、沢が分かれる箇所に出たら左です。詰まってきたら尾根は近い。そこから左へ山腹道を取りました。

 道が尾根筋に出合ったら秋葉神社の祠に出合います。浜松の本宮秋葉神社傘下で防火・鎮火の神です。(14:10)

 尾根をアップダウンすれば、広場に高社神社。写真左後の建屋に多くの絵馬が奉納されていました。

 表現自粛の絵もあります。さて‥
(14:15)

神社の石段を降ると「展望台→」の道標。行くと再び「展望台→」の道標があります。
4コマ目の反射板に出ました。ここが展望台で朝0℃の温度計が6℃です。
山頂への道を少し歩き、最初の分岐を南へ‥


 道は採石場の近くですが、危険ゾーンを避けます。道標から秋葉神社へ寄り道、4つ目の神社です。
(14:55)

 植林を降れば車道に出ます。(写真左)道を渡るとドコモのアンテナがあり、金毘羅神社へ寄り道。
(15:05)

 往復5分でここに戻り、100m北上すれば石垣の坂道に出ます。
駐車場着(15:15)


東海岳行
   “岩脈の谷”  

 高社山の東側で谷を南北に刻む沢を歩いたのですが、印象に残りました。面白いルートは、少しのスリル、むき出しの岩脈、低山とは思えないワイルドな風格があります。南西尾根から谷へ降り、沢の合流地点まで約1kmの距離。標高差は70m程度で急傾斜はなく30分余りで歩けられます。

   

 8コマ目から沢を歩き出しました。最初は涸れ沢ですが、ヌタ場(上左)辺りから沢に溜り水が見え出します。『これは素晴らしい。地質学の見本だ』とOさん。堆積岩の一種で頁岩(上右)とのこと。読み方がわからない。『ページいわ?』『その字に音読みあるの?』『けつがんといいます』


   

 写真のように薄く層状に重なり、もろくて割れやすい岩で犬山や各務原の低山でも良く見かけました。『昔は、本を糸で留めていた。岩が一枚一枚重なりそんな形を連想し、ページの頁の字を当てられた』私が、長い間不明だった岩名がやっとわかり大満足です。

 話に花を咲かせてると急峻な崖に取り囲まれ、幅の狭いV字底を歩く様になりました。(上左) 次第に沢には澄んだ水が溜まり、足場のパズルを解きながら進みます。おや、ビバークできそうな岩屋(上右)もありますね。

   

 20分で頁岩の小滝(上左)を巻きます。流水に洗われ光るチョコレート色の岩(上左) 見事な頁岩(下左) 真っ黒な岩(下右) これが泥炭か石炭の鉱脈の一部だとしたら一財産築けられそうです。

 

 溜まり水の中に落ちたくないので、岩にしがみつき避けて歩きます。(TOP写真) 写真の箇所を通る時、『あっ!』と大声。少しジャンプして濡れ岩に着地したAさんが入水。両足が膝上までつかりましたが、両手をもがいて必死でバランスを取り、全身浴は避けられました。

   

 Wサンドのような大岩(上左) もっともっと巨岩(上右) やがて沢の合流地に着きます。悠久の歴史を黙して語る岩に囲まれランチをしました。この流れは、先で犬山市の八曽山327mから来た流れと合流します。そして八曽自然休養林キャンプ場を抜け入鹿池へ注ぎます。
              
2012.01.30(月)11:50