岳行ノート

北山770m・岩ヶ峰919m・釈迦ヶ岳1092m
段木883m/三重県菰野町

2012年4月10日(火)


岩ヶ峰尾根で春めく可憐な花 “バイカオウレン”


 2003年9月に購入した「鈴鹿の山 万能ガイド」釈迦ヶ岳を周回するコースが載っていました。岩ヶ峰尾根から段木尾根の岩尾根を歩くものです

 釈迦ヶ岳は、庵座谷道松尾尾根から登ったことがありますが、紹介コースはちょっとレベルが高いと感じました。その地図の中で眼を引くものがあります。

 「鏡岩(巨大な三角錐の奇岩)」と書かれた箇所です。マーカを付けました。このころリンク頂いている山幸彦さんがこの鏡岩を度々訪れられ興味津々。


 一度は歩いて見たいと思っていたところジオンさんが、このコースを最近歩かれ、レポで現況がわかりました。天気の良い日を選んで出かけましょう。

 教科書は、西内正弘著・中日新聞社刊「鈴鹿の山 万能ガイド」です。参考書は「ジオンと山歩記」さんを拝見しました。
<駐車地>
[-]広域図、[+]詳細図、ドラッグスクロールで移動


栃谷橋駐車地→▲北山→▲岩ヶ峰→▲釈迦ヶ岳→▲段木栃谷橋駐車地

  ※赤線はGPS軌跡  ※●は分岐

■「この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)、数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平17総使、第98号)」


江  南:午前7時10分発  晴れ/10℃
駐車地:午前8時50分着  晴れのち花曇り15/℃
往:3時間05分(釈迦ヶ岳まで以下、小休止含)
還:2時間45分
◆所要時間:5時間50分


 国道306号で菰野町に入り、八風キャンプ場へ走ります。7分咲きの桜の向こうに浮かぶ釈迦ヶ岳。‥春ですね。


 キャンプ場の駐車場を過ぎ、栃谷橋の先で空き地へ駐車。少し戻り、西へ栃谷沿いの林道で歩きます。
(9:00)

 5分歩き、川へ降りて右岸へ渡渉。道標はありませんが、そこが登山口です。

 植林の斜面に取付きます。窪地右側にかすかに踏み跡があり、登って行くと‥


 自然林の岩ヶ峰尾根に出ました。狭い尾根は、良く歩かれ踏み跡が続きます。
(9:20)


 最初の岩壁は、登山道をふさぐ要塞のようです。リスがその下を走りすぎました。左の迂回路から急登が始まります。
(9:30)

 鞍部で北に好展望。左端から少し下った地肌のピークが段木です。そこから右の斜面で下山します。

 標高差300m、傾斜が凄い。写真中央が三池岳972m、右端奥は竜ヶ岳1100m。この時点では青空でしたが‥

いつの間にか全面花曇り。西が開けました。左下のコブを登り、右上の岩ヶ峰へ。
山腹に鏡岩が、くちばしを尖らした鳥のよう。左奥に釈迦ヶ岳が望めます。
         
足元に開花の待たれるイワカガミアセビと鈴鹿っぽい道を行けば‥


 通過点のピーク北山山頂。私標は770.4m、小数点以下までよく分かったなと思います。
(10:30)

鏡岩832.6mの核心の展望地。最初、鳥のくちばしに見えたので変だ思いました。
「巨大な三角錐の奇岩」ガイドブックの表記を納得。自然の不思議を感じます。
あの上に立つ人の写真を見たことがあります。トラバースすれば行けそう。
鏡岩変幻写真集。(左)最初に見えた鳥のくちばし、次が(二つ上)の三角錐。
先で(中)水晶の結晶。(右)ランチ後、岩から北西地点の県境尾根から裏側から見る感じ。


 シャクナゲが密集する斜面を登ると、その名どおり岩の積み重なる岩ヶ峰。ここを降ると‥
(11:20)


 窪地に十数m×5mの大きな池。初夏、上の枝にモリアオガエルの卵塊がぶら下がるようです。
(11:30)

 お馴染み稜線下の急勾配。補助ロープは大助かり。迎えたブナは、ザブングルの「カッチカチやぞ」のよう。
(11:55)

 厳しい岩尾根から優しい県境稜線。並木道のような登山道は緩やかな登りです。しばらく歩けば‥

 春霞に浮かぶ静かな釈迦ヶ岳山頂1092m。ランチ中に突然、山腹でザッザッの音にドッキリ!

 灰色の二つの固まりが瞬間見えましたが、カモシカでしょうか? 下山は、県境稜線を北へ歩きます。
(12:05)〜(12:35)

 軽快な稜線街道は多少カーブがありますが、一本道で進めました。広葉樹の森は、新緑や紅葉が素敵なことが想像できます。振り返ると‥

 釈迦ヶ岳から歩いて来た県境稜線が一望です。鈴鹿は断層山脈。右の滋賀県側はなだらかで左の三重側が急峻だということが分かります。


 段木尾根が近くなりました。親切テープがあり、分岐に難なく出合えます。北へ‥
(13:10)
 尾根を降ると道をふさぐ↑大岩。右へ迂回してトラバースしたら方向性がおかしい。尾根に登るとルートは向こう尾根なので失敗! 8分ロス。大岩に戻り確かめました。(右写真)尾根上の踏み跡が、右端に覗く岩のドーム岩ヶ峰まで続いています。

足跡を追わず踏み跡を追わなければなりません。ドームに登ると私標「段木930m」(ダンギ)
ガイドブックは、900mでどっち? (13:40)

帰宅して等高線が2m単位の三重クリックマップスで調べます。
地点は小数点以下まで表記され、段木は883.3m。
第一山北山はプレート通り770.4mで岩ヶ峰は919.2mです。

 段木から降り、シャクナゲの目くらましに悩まされました。歩きやすい箇所を抜けて行くと失敗。

 踏み跡とテープはセットで確認しなければいけません。この後も2個所で失敗をしました。この尾根で計4回!

 テープにホッ。GPSが役立ちます。小さな尾根が枝のように付くこの尾根は、登りより降りが難関です。

 痩せ尾根を降ります。錆びたワイヤーロープがあり川が見え、写真右斜面で降りました。
(14:45)

 川のゴーロは2008年9月の豪雨でしょう。左岸は八風林道です。滝谷出合の案内板で、荒れた林道を辿ります。

 広い三池岳の駐車場。5年前に廃業の射撃場跡から右へ舗装道を歩けば、朝の駐車地です。
(15:20)


東海岳行
   “コメダにて

 
 低山をご一緒する野良人さんから連絡が入りました。『今日、コメダで会いましょう』 約束の時間に喫茶店へ行くとすでに待ってられます。コーヒーを注文してお喋り開始。最初の会話は野良人さんが、岐阜県坂祝町の猿啄城(城山)の岩壁を登ったことです。

 『近在で最後に残っていた崖。岩屋観音にお参りして東の尾根に取付いたのですが、急斜面とロックネットに阻まれ、時間がかかりました。続いて谷を巻き岩壁に取付き、山頂に向ったのですが、斜度がきつく高度もあり結構緊張のルート。一か八かの判断を数回体験させられました』

 60代後半にかかわらずフリークライミングで一か八の判断するなんてどういう根性と体力? ありえない世界です。お互いの最近の登山話が終わると『お呼びしたのは、かつ爺さんに会ったことをお話ししたかったんです』『え!会うことが出来たんですか。良く探されましたね』



 今年2月18日に野良人さんのご案内で本宮山を登り、山の伝説、山姥(ヤマンバ)の棲みか教えて頂きました。その体験から岳行ノートの道草には“山姥の棲みか”を記しています。

 野良人さんが好奇心をくすぐられたのは、HP「里に伝わる伝説」で詳細な伝説の内容が表されていたからです。とても力作で物語の解釈が素晴らしく、私もほとほと感心しました。管理人の方はブログも持ち、かつ爺というHNです。

 かつ爺さんの説では、棲みかは本宮山の隣、相澤山(ソウタクサン)にある「八大龍王神」の洞窟(右上写真)でした。野良人さんは、本宮山山頂近くの「山姥青黄姫竜王社」の祠(左下写真)の崖下で新たな洞窟を発見。その発見をかつ爺さんに伝え、是非意見を聴きたいとたいと思いました。



 しかし、HPもブログも5年前から全く更新されません。野良人さんは、中を丹念に見ました。内容から小牧市か春日井市辺りに住まわれ、可児市の登山クラブに所属しているようです。

 野良人さんは以前、可児市の低山でケイタイを落としました。その登山クラブの方が、拾われ受取りに行ったことを思い出します。連絡してそのような方が所属されていますかと尋ねました。現在は休止中ですが、候補がお一人みえたのです。

 住所などを聞き、野良人さんは早速その方を訪問したのですが不在でした。奥様が図書館に行ってると言われたのでそこへ走ります。そこでお名前を小さな声で呼ぶと、知らない人から名前を呼ばれびっくりする人。近づいてわけを言い、かつ爺さんの話を聴きました。



 大きな病気をされ、パソコンを触らなくなります。まだHPが残っていることに驚かれました。野良人さんは、プリントした私の岳行ノートを見せ発見した洞窟(右写真、左下写真)を説明。

 かつ爺さんは『そこは知っています。祠から崖をロープで降りて見つけました。でもそこへ行くためには、技術が必要で一般の人には危険で公開はしませんでした』 図書館でぼそぼそ話す二人は、係りから注意されます。仕方なく別れました。

 『もう少し話したかった。かつ爺さんは70歳を超えているようですが、登山技術、HPの文章・写真・内容は大したもの。それで、山たまごさんに話したくってお呼びしたのですよ』



 私は『かつ爺さんが、あの洞穴を知っていたことは驚きです。でも野良人さんの探究心、好奇心、行動力に驚嘆します』 野良人さんは私より5歳先輩ですから私も大いに刺激されます。

2012.04.15(日)23:05