岳行ノート

天狗岩 1964m/長野県松本市

2012年9月29(土)


感動的な眺望の天狗岩 (奥左八ヶ岳、右南アルプス)

『撮るぞ‥』ちょっと危ない撮影。少し探さないと天狗岩をこのアングルでは取れません。



 ガイドブック「東海・北陸の200秀山」が紹介した山で一番印象に残ったのは天狗岩です。それは、見所や特色というものでなく筆者の思いに魅かれました。

 「‥静かな珠玉の山はそっとしておきたい気もするし、紹介するにあたって複雑な心境である」静かさを味わうため、単独で山行しなければなりません。

 中央自動車道の松本インターで下り、上高地へ向かう梓川沿いの国道158号線を走ります。途中、県道315号線で北上し梓川を渡り、西の金松寺へ。


 教科書は、中日新聞社刊「東海・北陸の200秀山(下)」です。参考書として「新まつもと物語」を拝見しました。
<駐車地>
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駐車地→登山口→山頂分岐→▲天狗岩▲金松寺山→山頂分岐→登山口→駐車地

※赤線はGPS軌跡 ※●は主な分岐

■「この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)、数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平17総使、第98号)」


江   南:午前5時40分発    曇り/19℃
駐 車 地:午前8時30分着   曇り時々晴れ/21℃
往:3時間30分(以下、小休止含)
還:2時間10分
◆所要時間:5時間40分

 梓川を渡ると金松寺山(左)と天狗岩(右)が望めました。
この峰の裏、へに直線で18kmに上高地大正池があります。
金松寺を左に見て金松寺林道を走れば‥




 突き当たりに金網ゲート。その前のスペースに駐車させて頂きました。無施錠の金網を開閉して林道から出発します。
(8:45)




 林道を詰めて行くと国有林の表示横に通行止めゲート。ここを抜けると道は高度を稼ぐためくねり出し‥
(8:55)

 『ん?』道の先に黒い影が動く。『獣か?』

 『キーッ』10匹のパーティが、去るのを待ちます。




 あずさ(みずめ)の木を中学生が植樹したあずさの森を過ぎ、出発から45分で林道終点に到着。そこが登山口です。
(9:30)





 左に沢音を聞き、ビシッと決まった登山道を歩くのは気持ちがいい。やがて沢も終わりのトラバースすると‥





 カモシカの食害除けの網や網戸が何ヶ所もあります。最近は植林が増え、個体はあまり見ないそうです。



 山腹を北に大きく巻くと金松寺山の直登道分岐に出合います。そこは帰りに訪れましょう。往きは山腹の迂回路を辿ります。

 この辺りまでで登山道右に珍種しだれカラマツがあるはずですが、発見できませんでした。
(10:50)

分岐から10分ほどで尾根に出ます。ここまでズーッと登ってきましたが、やっと緩やかになりました。
植林から解き放たれ、空が拡がります。笹刈りがされた道に感謝。
高い空、シラカバ林が爽やかです。ここから登頂には150mの高度を上げなければいけません。

 スタミナ切れか苦しくなり、ゆっくりとした一歩を重ねる。足元に秋色のキノコ、右に常念岳2857mの展望を見ます。








 電池が切れかかる寸前‥




 三等三角点の山頂(15年前設置された山名板の下)。しかし木立が少々邪魔で展望は、天狗岩で楽しみましょう。

(12:15)



 忘れる所でした。山名板の後ろを向くとカラマツの間から北西に明神岳2951mから穂高岳3190mが横一に望めます。

 すると高校生が3人元気に登ってきました。彼らはここで食事をするようで私は頂上手前の天狗岩へ行きましょう。

 少し降り、分岐を右にすぐ天狗岩。スパッと切れ落ち素晴らしい展望です。右が鉢盛山2446m、中央奥が木曽駒ヶ岳2956m。

 先生2人と高校生3人が移動してきました。6人がくつろぐスペースはあります。お話をすると地元の方たちです。
 私が山頂手前の急登が苦しかったと話すと、計測器を渡されました。指を入れると普通60~70/分の心拍数が♥99と高い。

 通常96%の血液中のヘモグロビン量が
84%と低く、酸素の供給量が減っているので心拍が上がるそうです。

 安静してても2000m近い高さに身体は対応している。因みに高校生は
95%。標高700mに住み高度に順応してるようで若さには勝てない。
※計測器はパルスオキシメーターといい、動脈血中のヘモグロビンが何%の酸素と結合しているかを表すものです。

曇り空ですが、さすが秋空の雲は高く感動的な眺望です。
松本盆地の奥、中央左が八ヶ岳(左端は蓼科山2530m)
右が南アルプス、先生が富士山が見えますよと指を差しました。

南ア甲斐駒ヶ岳2967mの左に富士山が覗きました。→
富士山を見ると嬉しくなります。

東南から南西に目を転じると堂々の御嶽山3067m(左)と乗鞍岳3026m(右)
久し振りに完璧な眺望にスーパー満足、皆さんとお別れし下山します。
(13:20)




 緩やかな尾根道に青紫色のオヤマリンドウ、清々しい秋の空気感を感じる。しばらく行くとデッカイ熊の糞‥恐怖感を感じる。





 やがて尾根道は、金松寺山と迂回路の分岐です。直進して20mほど標高を上げると‥
(13:55)

 ほどなく金松寺山山頂。右下の赤い石標は、林野庁が設置した主三角点、国有林の官民との境界です。

 南東へ急斜面を直降する道がありますが、東へスタンダードな道を降ります。
(14:05)

 植林の山腹道を歩いているとすごいスピードで下りて来たあの5人に簡単に抜かされました。



 のいた林道に来ると茸取りのおじさんが、地面に座り込んで休憩中です。収穫は芳しくなかったのかな。そして駐車地。
(15:30)

 帰りの車から外を見ると、まだ赤に決めかねているリンゴが畑を連なっていました。


東海岳行
   “行幸啓(ギョウコウケイ)  

 小学生の時、私は名古屋の南区に住んでいました。或る日、登校すると全児童が校庭に集合させられ、学区のはずれへと歩きます。目的地の東海道線に着くとみんなは線路の土盛り沿いに並び、日の丸を渡されました。長い時間待っていると列車が鉄橋を渡る音が伝わってきます。

 スピードを落とした列車には菊の紋が付き、旗を一生懸命振ります。窓が開いていて天皇陛下が立って手を振られています。少し離れた窓で皇后様が同じようににこやかに手を振られていました。僅か2秒くらいの出来事で列車が見えなくなると近所の人も子供たちも緊張から解き放たれ、お喋りしながら解散です。

 そんなわけで昭和天皇が、名古屋方面に来られるときは度々お迎えをしていました。しかし、平成になってからは名古屋市から江南市に移住したのでまったくそのような機会はありませんでした。そんな折、今年は岐阜で国体が開催されます。



 国体には出席されるのが恒例です。その場合、新幹線の特別列車で羽島駅に来られ、お車で岐阜市へ向かわれるのが行幸啓のルートです。9月28日金曜日12時半ごろ駅にご到着され、県道151号線を走って北上されることが分かりました。

 私達夫婦は二人ともまだ陛下・妃殿下にはお目にかかったことはありません。『よし、この機会を逃すとチャンスはもうないかも知れんぞ』ということで当日、羽島市の県道151号線へ向いました。12時から交通規制がひかれることを告知板が知らせています。

 羽島駅は警備も厳しく混雑がと想像され、駐車のできる会館近くでお待ちすることに決めました。歩道に予め決められた場所が何か所もあり、お迎えする人がそこに固まっています。役所の人が日の丸の旗を配りました。三重県警から来た二人の私服警官が注意事項を説明します。



 『12時38分に駅に着かれ、ここを48分頃通過される予定です。日傘は直前には下ろし、旗は小さく振ってください。マラソン大会のようにお車を追わない事。そんな人には容赦なくタックルします』

 冗談ではありません、本気です。白バイやパトカーがひっきりなしに走ります。駐車する車は追い立てられ、交差点には巡査が立ちました。窓が全開の警備車に乗る4人は、異様に鋭い目つきで威嚇されます。関わりたくない人たちです。


 さてその時刻ピッタリ、先導の白バイ2台と黒塗りの前駆車が来ました。そして少し離れて両脇に白バイを従えスピードを落とした御料車です。ナンバープレートの場所に菊の紋国旗を付け。多分プジョーのエンブレムの上に国旗。間違いありません。



 全開の窓から美智子妃殿下、奥に天皇陛下が笑顔で小さく手を振られています。
お目にかかったのは、ほんの2秒です。注意事項を破る人は誰もいません。国旗を振って見送るだけです。

 あとに続く車の多いこと、後衛車、マイクロバス、無線車、報道陣のバス、白バイなど10数台。100人以上は随行されているでしょう。パレードが終わると一般市民は、晴れやかな気分で解散です。ひよこさんが『全然違うね、気品があるね』と感動していました。



※皇太子殿下は登山をされますが、22年前奈良県の山を登られたことがあります。その時、記された「大峯山中で皇太子殿下にお逢いするの記」は、行者還岳山中でお逢いする計画と実行を描いた快作です。
2012.10.03(水)14:10