岳行ノート

御在所岳3 1212m/三重県菰野町

2012年10月27日(土)


紅葉御礼


 『父さん、登山に連れっててよ』息子から10月初めに電話がありました。家庭を持ち30代半ばになり、どうやら新陳代謝が減速し、腹に肉が付いたようです。

 手を打つか打たないかの分岐点になり1ヶ月間、夜毎ジョッギングをしてると言います。走りながら、目的はあっても目標がないと考えるようになりました。

 勤め先に山ガールが出現したことも刺激になったようです。彼は子供の頃、家族で初詣がてら尾張富士を登っていましたが、登山はそれ以来です。


 最初の登山は、苦し過ぎてもいけないし、簡単過ぎて刺激がなくても行けません。適度に体力的を使い、かつ楽しさにあふれる紅葉の御在所岳を選びました。

 教科書は、中日新聞社刊「東海・北陸の200秀山(下)東海・信州」です。
<駐車地>
[-]広域図、[+]詳細図、ドラッグスクロールで移動


スカイライン路肩→中道登山口→ロープウェイ山上駅湯の山温泉駅→スカイライン路肩


※赤線はGPS軌跡
 ●は分岐点

■「この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)、数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平17総使、第98号)」


江   南:午前7時25分発   晴れ/14℃
登 山 口:午前9時35分着 晴れ後曇り/18℃
往:3時間45分(朝陽台まで以下、小休止含)
復:1時間40分(RW待ち時間含む)
◆所要時間:5時間25分

 ひよこさんは2時間の登りは久し振り。母子でチャレンジの日です。敷居を低くするため出発は遅くしました。

 週末の駐車スペースはビッシリ。これで早立ちの必要性が認識できたでしょう。ストレッチをして出発します。
(9:50)

 数分で中道登山口。ドンドン登山者が登っていきます。『姉に親孝行してきます』ってメールしたそうです。

 因みに登山服・靴など全部私のお古を貸しました。若くても老けて見える。


 ワンダーランドに入場。道の荒々しさにワクワクします。岩道・溝道と行き、裏道分岐です。
(10:25)


 4合目に負ばれ石。息子に見所は何も話していません。声をあげて、『待ってて、潜って来るから』
(10:40)


 展望地で指差して山頂を教えてやります。『え!あそこまで登るの?』 先は、まだ遠い。

しばらく行くと奇岩の金メダル、地蔵岩です。『どうしてあんな風に?』
いつ、誰があそこにサイコロを置いたか誰も知りません。ここから2分歩けば‥
(11:15)


 「立岩」の案内板。後続の方から『面白い岩ですよ』と話しかけられました。この奇岩は知りませんでした。
(11:25)


 雑木林の紅葉もいい感じになったと思う頃、行列のできる登山道。6合目手前から列が、全く進みません。


 キレットの大岩壁で大渋滞。降る人、登る人、擦れ違い困難で大変です。初登山者も『マジ、怖い』
(11:55) 

距離100mを30分かかりました。振る返ると降る人が止まり、登る人を通しています。
左上は立岩の石柱群でしょうか。


 岩上から北眺望、奥に釈迦ヶ岳1092m、手前中央の凹みが腰越峠、その右ピークがハライド908mです。


 藤内壁の上部に当たる大岩壁、急降してトラバースします。ここでも渋滞発生‥20分かけて通過しました。

ひよこさんは息子の補助で難所を過ぎることが出来ました。
『見てこの枝、みんなが持つのでツルツルだ』何を見ても驚く。

紅葉は「山頂は見頃、中腹は色づき進む」土の少ない岩肌によく樹木が育ったものです。
長い岩溝を急登し、鉄階段のステップ登ると‥
(13:05)


 富士見台展望所1180m、絶景ポイントです。伊勢湾方面は霞む。息子が動画を撮っています。
(13:25)


 南方200mには、未訪の大黒岩が望めます。

今日はフル回転のロープウェイゴンドラ。明日は雨予報なので稼ぎ時です。
『姉と妹に動画送ったら“紅葉綺麗でいいね、今度家族で登山したいな”“同感”
と返って来たので“ウソつけ”と送ったら“じゃ、行かない”だって‥』

 観光客も増えた朝陽広場園地でランチにします。定番カップヌードルとおにぎりセットに息子『うまい!』
(13:35)〜(14:10)

 親子登山は今日が最初で最後と思い、ひよこさんも頑張りましたがここでギブです。

 2時間コースが3時間45分もかかる過密登山道でした。下山はロープウェイに乗ります。料金はお一人様1200円。

 しかし!ここも行列のできる索道コース。並んで30分後にやっと乗車できました。


 ゴンドラに乗り、空中から見るキレットの岩壁が新鮮です。 

 12分で湯の山温泉駅。タクシーを呼ぶと30分待ち。仕方ない、写真左奥から車道へ出て歩きます。

 標高差150mの登り、1.5kmはしんどい。 40分かけ駐車地に戻りました。『父さん、次は来月登ろう』
(15:50)


東海岳行
   “夜景クルーズ  

 ブログ「工場萌えな日々」を運営するイラストレーターの石井哲氏は、2007年に写真集「工場萌え」を出しました。テレビで紹介され、コンビナートの製油所、化学工場等の煙突・配管・タンク群が夜間照明で重厚な構造美を浮かび上がらせています。

 彼の監修する工場地帯を見学する船上ツアーが京浜工業地帯で開催されました。四日市市でも2010年夏2ヶ月間限定でツアーが彼の監修で行われたのです。好評で昨年も行われ、私はニュースでこのクルーズを知っていたので『まあ今度の夏いこうか』くらいな気持ちでいました。


<四日市ポートビルで予習して全景を展望>

<鈴鹿川の右岸河口でコンビナートをチェック>

 今年、地元のテレビ局が取り上げ、新聞にも載ったのです。記事によると「一昨年に始まった夜景クルーズは予約はいつも一杯だ」 うかうかしてられません。早速、ネットで調べると「定員30名毎週金曜日、夏は2便、それ以降は1便の運航」予約状況を見ると年内は全て×印。

 余計に行きたくなりますが、諦めざるを得ません。『あ〜あ、来年だな』 取り敢えず来年のスケジュールや申込詳細がアップされるのを待ちました。週末にそのチェックをしていると10月のスケジュール表が「キャンセルのため若干名、空きあり」 ドキッとしました。


<海山道神社(ミヤマド)の菅原道真公にお参り>
杉の一木造りで日本一の大きさ

<割烹初洋で早めの夕食:蛤コースは2100円>
四日市市楠町

 運航日は次週の金曜日。即座に申込み。週明けに予約受付表が届いて小躍りしました。夜景クルーズは、他にも川崎、北九州市、室蘭でも行われています。私達の世代は、1960年から70年代にかけて四日市市の石油化学コンビナートにおける大気汚染や水質汚染を知っています。

 石油系の黒いスモッグ、化学系工場の白いスモッグがモクモクと空に上がりました。ぜんそく患者が出て住民は、行政・企業と戦ったことは衆知の事です。行政も企業も公害の認識がなかった時代。公害訴訟の判決後、行政、企業の反省と改革、住民の努力で綺麗な空が戻りました。


<鈴鹿川の右岸河口はこんな感じに変わる>

<ライフジャケットの説明>

 今ではウミガメが産卵に訪れ、川でホタルも光ります。コンビナートってロシア語らしい。乗船場所の四日市港埠頭ビル船客待合室に18時40分集合。駐車場はビル隣にあります。お一人様3500円を二人分支払いライフジャケットの説明を聞きました。説明する人の近くにいるのがお得です。

 一番早く乗船でき最後尾のいい場所を取れます。窓のある船室もありますが、全員オープンデッキでの見学です。船客は20代30代が多く私達が最高齢。19時に出発して1時間のクルーズです。幸い波がなく、寒さも感じず風を切るのが気持ちいい船旅となりました。


<いざ乗船>

<配管橋から-うまく撮れません>

 元コンビナート勤務の方がボランティアで解説をします。『煙突の白い煙は水蒸気です』『船からしか見えない景色を見ましょう。スピードを落としますので配管橋のここから撮影して下さい』 コンビナートの夜間照明は、24時間稼働する工場をメンテナンスをする人のためです。

 最後に鈴鹿川河口の第一コンビナートへ行きます。暗闇に浮かぶ巨大な人工構造物、ここが一番美しく歓声が上がりクルーズのフィナーレです。帰船途中、後方の水平線に180度光のコンビナートがつながって見えます。初めて見た萌えの景色と別れ、船は埠頭に戻りました。


<石油化学工場の煙突・配管・タンク群>

<重厚な構造美>

 夜景クルーズは、年内の予約は一杯。金曜日がクルーズ、土曜日がツアーと週末2回の運航で乗船客は、一昨年は1000人(7月〜9月)、昨年は2000人(4月〜12月)、今年は3000人(4月〜12月)の目標。来年4月以降のスケジュールは今年12月ごろ発表され、来年2月から受付です。

2012.10.22(月)20:55