岳行ノート

富士山1 3776m/静岡県富士宮市

2013年7月10日(水)


富士山頂大噴火口

左下が火口底3535m、右上は富士宮口の浅間大社奥宮と頂上富士館


 「富士山は見る山で登る山ではない」といわれますが、私もその考えに同調していました。裏返すと体力的に自信がない、また高山病が怖い。

 それに歩行時間の長さ、登山道の渋滞を考えるとその気になりません。6月、世界遺産になった機会に宝永山へ登りました。

 すると富士山が結構、身近に感じられその後、登山計画を立ててみます。御来光目的の弾丸登山は無理。1泊すると随分楽になりそうです。


 車中泊か山小屋泊か‥前者で挑戦してダメなら次回に後者でと決定。新東名高速新富士ICで下り、富士山スカイラインへ走ります。

 教科書は、山と渓谷社刊「新・分県登山ガイド 静岡県の山」です。参考書に多くのHPにお世話になりました。
<富士宮口五合目駐車場>

大きい地図


富士宮口五合目P

E雲海荘・宝永山荘
Eは六合目

F御来光山荘

元祖F山口山荘

G池田館

H万年雪山荘

(9合5勺)胸突山荘

浅間大社奥宮

富士山剣ヶ峰


 ※赤線はGPS軌跡
●は主な分岐点

■この地図の作成に当たっては国土地理院長の承認を得て同院発行の数値地図50000(地図画像)数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである(承認番号 平17総使、第98号)」


江  南:前日午後2時15分発   晴れ/43℃
駐車地:前日午後6時30分着   晴れ/17℃
(就寝:22h〜起床:4h)  曇り後晴れ/15℃
往:6時間20分(小休止含)
還:4時間15分(ランチタイム除く)
◆所要時間:10時間35分

 富士山スカイラインを上る。心配事は、駐車場の空きです。3台すれ違ったのでその分は空いているでしょう。

 西日を受ける富士山が見えてきました。宿泊地富士宮口五合目の難点は、夕日も朝日も見えないことです。

 500台収容の2段駐車場は、上段は埋まっていましたが、奥に数台の空き。下段は半分以上空いています。

 携帯は、富士山総合指導センターの近くでひよこさんにつながりました。中央の膨らみは宝永山です。
 コンビニ寿司を食べて就寝準備。窓に断熱シートを張り、後部シートを倒し、ニトリの羽毛布団を敷きました。朝食と登山の準備をして目覚ましを4時にして21時横になりました。真っ暗でトムソーヤ的気分。

 狭い空間で活動したため脈が異常に早い。足元がスースー。半ドアです。外で天の川を久しぶりに見ました。脈が落ち着き眠れそうです。

 4時起床、朝食を済ませ準備してストレッチ。今日は猛暑予想、ここは15℃。山頂を踏めるか‥緊張の夏、日本の夏。

 富士宮口五合目登山口2380mから約1400mの標高の旅に踏み出します。
(5:00)

 溶岩のステップを登り公衆トイレを過ぎると砂礫の道です。進入禁止の右のブル道と並行に辿ります。

※荷物運搬のブルトーザー専用道は、山頂まで延びます。運搬費は1s200円、怪我して運んでもらうと私は12000円?

富士の裾野を朝霧が覆い、愛鷹山塊(アシタカ)が浮いて見えます。
手前に富士宮口五合目Pの東端が緑を切り抜いています。やがて六合目2493mに‥

 雲海荘宝永山荘、背後の球形は1.4km東の宝永山2693m。これからの高さの目安になります。ペットボトルは300円でした。(5:20)

 宝永山荘の東端から左折し、登山道へ向います。右は200円のバイオトイレです。賑やかな山荘前を過ぎると‥

 岩ゴロ道にステップを探し足を置きます。いよいよ富士登山が始まる!テンションを上げ、ペースは上げず。

 30分毎に5分休憩。登り6割、降り4割の体力を充てる計画です。そうなら登りの休憩は、1時間になります。


 新七合目2780mの御来光山荘が石垣の上、砦のようです。道脇には誘導ロープが続き、夜間でもこれなら歩けます。
(6:25)


 次の元祖七合目3010mの山口山荘は営業していません。石室のような石積みで富士山らしい小屋です。
(7:20)

五合目からの平均勾配は31%。山頂までの距離は4.3kmと短い。
他の3つのルートの勾配は21〜23%で距離は6.3km〜10.5kmと長い。
既に御嶽山3067mより高い。眺望は西南西方向で南アルプスは斜面に隠れています。

 八合目3250mの池田館富士山衛生センター(診察無料)に着きましたが開いていません。トイレに困りました。

 この辺りから高山病に要注意。体調・ペース・水分補給・呼吸などで予防します。睡眠不足はないので体調良好。

 ←左上のピーク宝永山2693mが、かなり下です。

 富士市街地や駿河湾は残念賞。スキー板を担ぐ人→、どこで滑るの?

 上に大雪渓が見えました。ここなら滑られそうですが‥そこに

 九合目3460mのその名も万年雪山荘。営業していません。トイレ困った。(9:05)

 万年雪を右に登ると 九合5勺3590mの胸突山荘。営業していません。飲料水、購入できるかな?
(9:50)

 山小屋の500mlペットボトルは500円。ブルの運搬費(200円/1kg)は100円ですが、せめて300円にして欲しい。

登山者と抜きつ抜かれつ。3人のでかいアメリカン若者3人は、大股で抜いていきすぐ休憩。
私が小股で彼らを抜く。金剛杖のアメリカンが抜き返す。すると『オーマイガー!』
トイレに困ったアメリカンが、溶岩に向って馬のような勢いの立ち小便。。。。。


 山頂手前、白い鳥居にアメリカンと同時に着きました。影は彼らに譲ります。Tシャツ・短パンの観光スタイル。

 頂上浅間大社奥宮。ここも閉じています。前の売店も閉店。あと1本半のペットボトルでは心もとない。

 左に有料トイレ(300円)、営業中で助かりました。意外とバテてず、体力は温存されています。
(10:45)

整備された道で剣ヶ峰最高点へ向かいました。
7月、富士山頂の最高平均気温は7.3℃、最低は2.0℃。
平均風速は8.1mもあり、今日も砂礫を飛ばす強風が吹いています。
『凄まじい』大迫力の火口、直径780m、深さ237m。1周2.4kmのお鉢巡りは1時間40分。
剣ヶ峰登頂前に溶岩に腰掛け、ランチしました。賑やかなので振り返ると‥
(11:00)〜(11:25)

 自衛隊が30名剣ヶ峰に向かっています。高さ50mの馬の背ですが、急こう配で岩に砂が乗り難所です。
 
 きつそうでリュックはデポします。有名な山頂レーダードームは、1999年気象衛星に役目を譲り解体されました。

 15分登り、夢だった日本一の剣ヶ峰に立ちました。日本人で富士山の嫌いな人はいない。私も富士山愛

 中央は二等三角点3775.63m。富士山は標高3776、24mなので差は61p。その謎は次回の岳行ノートで。


東海岳行
   “見る山・登る山” 

 富士山には、4つの登山道があります。それを簡単な表にまとめました。登り時間は火口外周までで剣ヶ峰往復は入っていません。吉田ルートが人気が高いのは首都圏から近距離、整備された登山道、切れ目ない16軒の山小屋と、充実の内容だからでしょう。

  五合目登山口 
標高
駐車台数  登り時間 降り時間   五合目までの
道路通行料
 マイカー規制 32万人
利用率
 吉田ルート 標高2305m 850 5:55 3:10 ¥2000 31日間 ※60%
 須走ルート 1960m  200 6:55 3:00  0 37日間  11%
 御殿場ルート 1440m 500 8:20 3:30  0 無し 5%
 富士宮ルート 2380m 500 5:10  3:30  0 52日間  24%

 私は、車中泊可能、日帰り登山、剣ヶ峰に近いなど総合的に鑑み、岩の富士宮ルートで登ることにしました。このルートだけ下山専用道がありません。岩場が多く、下山向きではないようです。そこで隣接の御殿場ルートを辿り、途中で宝永山へ移動するコースにしました。

 距離は増えますが、砂走りの道で時間短縮と独特の下山を楽しめます。富士山の横腹に大穴を開けた宝永山で球形の荒野を通過し、変化が味わえるでしょう。今年の山開きは、7/1(富士宮ルートは7/8)です。山開きは、荒れた登山道が整備され、山小屋が営業開始します。



 富士宮口五合目へのマイカー規制は、7/12(金)17h〜9/1(日)17hです。規制直前で、天気予報が良い7/10(水)を登山決行日にしました。尚、7/末から入山料1000円が徴収されるようです。

 ルートが決まったので10時間登山をこなすスタミナ対策。昨年2月に発売されたゼリー状エネルギー食品新ドリンク「後半で差をつけろ!アミノバイタル パーフェクトエネルギー」(アマゾン:200円)を手に入れました。

 何とエネルギー源アミノ酸が5000mgです。早い話し5gですけど。登山前・下山前に補給します。一番心配な高山病対策をしなければなりません。今まで御嶽山3067mが、私の最高標高です。富士山3776mは別次元。そのため駐車した五合目2400mで前夜泊して高度順応します。



 高山病対策の載ったHP「後悔しない富士登山/高山病の話を見つけました。それは腹式呼吸法で富士山へ行く前日、練習のため90分のウォーキング中、ズーッとそれで歩いてみました。

 もう一つリュック重量の軽量化です。ペットボトル最低4本2kgは必要でしょう。そこで2本を持ち、足りない分を山小屋で調達します。余談ですが最近、富士山が世界遺産になり、テレビで特集を見ました。■その中で紹介されていた實川欣伸(ジツカワヨシノブ)さんに驚かされます。

 富士山に1400回以上登頂し今も日々記録を更新中。彼は70歳の登山家です。家族登山した42歳が最初で、5年前退職してから4年連続200回のペースを続ける富士登山のイチローです。75日間連続で1日2回登頂、54時間不眠で8回登頂など超人的な記録も持ってられます。



 冬にも登られますが、そんなふうに数をこなすと登山靴は何日で履きかえるのでしょう? ■記録と言えば梶房吉さんは、仕事とはいえ50年間の強力生活で登頂1672回を残しました。

 彼は御殿場口登山道七合目の砂走館の上、七合目半にある自分の小屋まで馬で荷物を運び上げ、そこから80kg以上の荷を担いで登っていました。今も小屋の石垣が残っています。(右上) ■25年前の1988年8月8日に五十嵐定一さんが101歳で登頂されました。希望の星です。

 
13.07.15(月)19:05