岳行ノート

            だいぼさつれい                           
大菩薩嶺 2057m/山梨県甲州市 

2013年10月13日(日)


まさに秀麗!日本最高峰を見る

大菩薩嶺から大菩薩峠への稜線より


 大菩薩嶺百名山ということも知らなかったくらいです。どこにあるのか地図を見なければわかりません。小説や映画の「大菩薩峠」は少し知っています。

 中里介山作の長編時代小説で虚無に取りつかれた机龍之介が主人公です。ナビ検索すると片道300km4時間20分と山梨県甲州市はさすがに遠い。

 とても人気のある山で朝早く着いても駐車場が満杯で相当難渋するようです。総合的に勘案して前夜泊に決定。中央自動車道の勝沼インターまで走ります。


 ぶどう農園を横目に国道411号線を北上し、裂石温泉で右折。暗闇の中、一車線の心細い県道201号をクネクネ上ります。


 教科書は、大菩薩観光協会HP「大菩薩登山ガイドマップ」です。参考書として多くのHPのお世話になりました。
<駐車場>
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大きい地図


上日川峠駐車場→福ちゃん山荘→雷岩→▲大菩薩嶺→賽の河原→▲親不知ノ頭
大菩薩峠(介山荘)→▲熊沢山→石丸峠→林道出合・横断→上日川峠駐車場


※赤線はGPS軌跡  ●は主な分岐点 

■この地図の作成に当たっては国土地理院長の承認を得て同院発行の数値地図50000(地図画像)数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである(承認番号 平17総使、第98号)」


江  南:前日午後5時30分発  晴れ/21℃
駐車場:前日午後9時50分着  晴れ/9℃
起  床:当日午前5時30分   快晴/9℃
往:2時間05分(山頂まで、小休止含)
還:3時間45分(ランチタイム除く)
◆所要時間:5時間50分 撮影時間かなり有

 県道201号線を上りきると上日川峠(カミニチカワ)1580m。そこのロッヂ長兵衛を回り込み、青い道路標識の奥へ進みます。

 すぐ右に公衆トイレがあり、そこから道沿いに80台の駐車場。22時前ですが、既に3台がお休み中です。私も23時に就寝。

 翌朝5時半に起床。車から出ると何と50台ほど停まっています。ロッヂ長兵衛の右奥へ舗装道を登ると‥
(6:40)

 50m歩けば、道標が「大菩薩嶺(登山道)」と百名山の入口を示していました。右の舗装道を歩いても良いのですが、もちろん山道へ‥

 登山道は、シラカンバミズナラの大木の森。やがて朝日の暖かな光が降り注ぎます。気温は9℃、爽やかな空気感で一本道を行くと‥




 福ちゃん山荘に出て小休止。綺麗な公衆トイレもあります。写真右に分岐点があり、唐松尾根を選択しました。
(7:10)





 標高は1700mに達し、森は色づき始めています。15分ほど登ると富士山が樹間に覗きました。上に稜線が見えるころ‥

 完璧な富士の展望。ここから45km離れています。
『大菩薩湖がアクセントになるなあ』と思ったら上日川ダムのダム湖でした。
今年は富士山の初冠雪が遅れているようです。因みに過去100年間の平均初冠雪日は10月1日です。




 ススキの斜面を登ると稜線の目印雷岩。昔、落雷したのでしょうか。左に折れ山頂を目指します。
(8:35)




 緩い降りと登りで2057m、二等三角点登頂です。樹林に囲まれ展望はありません。なので雷岩まで戻ります。
(8:45)

 岩上に登り、大展望を満喫。西方面には、長大な南アルプスの連なりです。
未踏なので何も言えません。甲府盆地には甲州市・甲府市・南アルプス市等の町並み。
さすが百名山の展望は一級です。そして雷岩から大菩薩峠まで眺望を楽しむ稜線歩きができます。



 その進撃の醍醐味コースは、笹分けの道です。右端の笹と樹林の境が親不知ノ頭。遠くは丹沢山地でしょう。

 途中、標高2000m標柱を過ぎ、さらに降り‥



 降りた所が避難小屋のある賽の河原。江戸時代は、この辺りが青梅街道大菩薩峠でした。(振り返って撮影)

 またマツムシソウの群落地でしたが、鹿の食害で最近、消滅したようです。そして少し斜面を登ると‥
(9:50)




 親不知ノ頭の標柱があるちょっとしたピーク。3連休の中日で多くの登山者が歩いています。ここで食事する人は朝食なのかな?
(10:00)

先を見ると中里介山の小説「大菩薩峠」に因んだ介山荘
そこの広場が近年、認定された現在の大菩薩峠です。
登山道が山荘の中を潜っているように見えます。背後は熊沢山1990mです。



 「大菩薩峠 海抜1897米」の標柱前は、記念写真の人が後を絶ちません。右は国立公園の表示板。
(10:20)

 介山荘を潜ると福ちゃん山荘への下山ルート分岐です。そこに山荘の車が3台停まり、その道に魅かれません。そこで、、、



 時刻も早いし、稜線をもう少し歩くことにしました。これは正解です。介山荘の先は、ワイルドな道に変わりました。

 熊沢山1990mをトラバースして進むと‥





 再び笹原になり鞍部が石丸峠です。そこに右へ降りる下山ルートが見え、駐車した日上川峠にダイレクトで降りられます。



 峠の空き地で手早くランチ。富士山小金沢山2014.34mの方から覗いています。今日は、運よく上天気でした。
(11:00)〜(11:25)

 小金沢山は、来年の西暦標高登山マニアで賑わうかな? 究極の3月4日は積雪してるでしょう。

下山道は山腹をトラバース。黄葉のカラマツ林からシラカバ林と変化があります。

 途中、南の小金沢山の紅葉を撮影。実はこのピークの後ろに日本一の山が隠れていました。牛奥ノ雁ヶ腹摺山(ウシオクノガンガハラスリヤマ)山名長さ14字です。

 やがて林道出合。右に折れ、100m先で再び山道へ入ります。
(12:05)



 予定と違う道ですが、道標は適切にあり心配ありませんでした。大菩薩湖に注ぐ沢を渡渉。
(12:05)

 この後、2回小さな渡渉があり、ほどなく右上に駐車場を見て日上川峠へ帰着しました。
(12:55)

 帰りは、峠から大菩薩湖の東側の道で走ります。往きと違いこちらの道路の方が状態が良く途中、大菩薩湖に寄り道。

 そこは東電の揚水式上日川ダムで丁度歩いた醍醐味コースが望めました。左端雷岩から右端大菩薩峠です。

 勝沼インター近くには、ぶどう農園が並んでます。試食したら甘い! もぎたてを1s900円で購入してお土産にしました。


東海岳行
  “道草セレクション:1%の確率” 

 今回は、矯正という仕事に情熱を持っている人のお話です。中高年向きの話題ですがご辛抱ください。


1.加齢なる一族

 会社の人と宴席がありました。6人で飲んで食べて喋っていると全員、眼鏡をかけていることに気づきます。50歳から59歳なので加齢なる人ばかりです。やがて一族の中で最長老の方が、自慢話をしだしたのです。
 『最近、遠近両用の眼鏡を作ってもらった。十万円もしたんだぞ』

 さて45歳を過ぎると誰もが、目の変化を感じます。ある日、新聞を腕を伸ばして見ている自分がいる。細かい字の書類が読みにくくなっていることにも気づく。お店に薬を買いに行っても箱の効能書きがさっぱりわからない。やがて近眼の人は眼鏡を外して舐めるように文字を読むことになります。

 近眼なのに近くが見えない!遠くも見えない!『何とかしてくれ〜』と叫びたくなり、悲哀を感じるときです。でも最長老のように遠近両用眼鏡をかければ大丈夫。私ももちろん愛用中です。遠くの山を見るときは、目玉が上向きになるのでレンズ上部の近眼エリアで景色を見ます。



 書類を見るときは、目玉が下向きになるのでレンズ下部の遠視エリアで字を見ます。その遠近のつながりは、ズーム方式なっていて近眼から遠視に自然に変化しているのです。良く考えられていて実に具合がいい眼鏡だと思っていました。が、そのときが最長老は全然違うことを言い出したのです。

 『十万円もしたのにまったく、眼鏡が合わずクラクラする。調子悪くて結局は今までと同じように近眼用のをかけ、書類は裸眼で見ている』彼はこの地区では有名な某眼鏡チェーン店で作ったそうです。自分の目は、遠近両用には向いていないようだと嘆いています。

 すると別の人が『俺もその店で十万円近くかけて遠近両用を作った。やっぱり目に合わなく結局、いつもは近眼用眼鏡をかけ、面倒だけど首から遠視用をぶら下げて必要なときにかけ換えている』



 なんともう一人『同じですな。眼鏡を作るといったらあの店ですよねえ。しかしやっぱり私も遠近両用は合わないようで、運転用、仕事用と何本も使い分けしています。十万円の眼鏡は引き出しにしまったままですよ』

 私もがんじがらみの近眼で実は48歳の時、遠近両用を作りました。でも一度も不便に思ったことはありません。十万円はしませんが、それなりのおきつめの値段です。実は、彼ら3人が合わないわけを知っています。ある眼鏡屋さんに『眼鏡をその人の目に合わさなければいけないのです』と教えてもらいました。

 つまり自分に合ってない眼鏡にみなさんは大金を払っているのです。


2.眼鏡屋さん

 さて私も以前は、某眼鏡チェーン店で作っていました。あるとき作ったばかりの眼鏡をかけたら、枠が左耳の上あたりで強く当たっていて痛い。それに良く見えるようになったのですが、一日かけていると頭痛がする。あまりにひどいので苦情を言って返品したのです。その時は、まだ近眼用眼鏡でした。

 そして仕事の関係で知っていた岐阜の個人がやっている眼鏡屋さんで作り直したわけです。そのお店は、我が家から車で30分かかります。それでも私に合うものを作ってくれるので20年以上出向いているわけです。店長(社長)さんが、私の苦労した話を聞いてとても面白い話を聞かせてくれました。



 『眼鏡を作るには、重要なポイントが四つあります。@検眼、Aレンズ選び、Bレンズのセッティング、C眼鏡のフィティングです』


 @検眼『お客さんと話をしながら今、困っている目の状況を聞きだします。車を運転するのか、仕事でパソコンをするのか、台所仕事をするのかなど生活視力を確保することが大事です。視力矯正は、日常生活で困らないようにしなければなりません』

 私も1.0の視力では、疲れるので0.9で合わせた方が良いと言われて驚きました。何が何でも1.0にあわせる必要は無いという意見は初めてです。仕事のときと運転するときと眼鏡をかけ換えることはしませんので一つでオールマイティにしてくださいと注文しました。



 Aレンズ選び『度の強い人は薄くて軽いレンズを選んであげます。メーカーによる特性も考えなければなりません。テレビで国会議員が書類を読むとき、鼻眼鏡をして答弁していることがあるでしょ。思わずそんなことしなくてもいい合った眼鏡を作ってあげたくなりますよ』

 でも性能のいいレンズは、価格が高いのが欠点。しかし、それで完璧に見えるならその価値はあります。視力の低下は、眼鏡で殆ど治るのでありがたい。病気だとこうはいけません。小学生のとき、初めて作った眼鏡をかけて何重にも見えていた月が、くっきり見えた喜びを覚えています。

 でも度が進んで眼鏡を作り替えるたび目が眼鏡に合わせようとしていたことも覚えています。



 Bレンズのセッティング『レンズをカットして眼鏡のフレームにセットするときは細心の注意がいります。例えばレンズをフレームのどこで固定するか、前・真中・後、その人の焦点距離に合わせます。そして目の中心点とレンズの中心点がずれないようにセットします。コレがとても重要です。

 つまり眼鏡をかけたとき、左右の目の幅と眼鏡レンズの中心点の幅がぴたっと一致していること。フレームの中心点とレンズの中心点とを合わせることではありません。この中心軸が狂っていると眼鏡をかけているるのがイヤになります。

 その場合一日、脳は目と眼鏡の間でずれた中心軸を修正するため必死です。あるお客さんは東京の有名眼鏡屋さんで作られた眼鏡でしたが、測ると4mmもずれていました。長い間、原因不明の肩こり、吐き気、頭痛で悩んでいましたが、正しい眼鏡を作ってあげたらぴたりと治りましたよ』




 私の返品した眼鏡は、この取付け方が悪いと教えてもらいました。私の場合、中心軸が0.5mmずれてもダメだそうです。

 C眼鏡のフィティング:『鼻に出来た眼鏡パットの跡に新しいパットをきちっと合わせ眼鏡をかけます。ツルを左右の耳に合うカーブにし、かけてもらいます。鼻と両耳の三点に重さが等しくかかるよう調整すると重さを感じません。フィティングのいい眼鏡は、顔を上下左右に振っても動きません』
 しかし店長は『今や眼鏡は雑貨のように売られている』
と嘆きます。『その人に合った眼鏡というのは世界にたった一つしかありません。新しい眼鏡をかけたとき、目が今までより楽になるのがいい眼鏡です。力が入るようでは、その眼鏡は合っていません』



 お店は創立35年になりますが一度もチラシを出していません。『長くやっていると親子三代で来てもらえ、必要ありません』と自慢げ。因みに岐阜出身のマラソン選手、Qさんのご両親もこのお店の常連さんです。ひよこさんは目がいいのですが、近くが見えなくなったので辛抱たまらずここで遠視用を作りました。

 今まで眼鏡をかけたことが無く、精神的に随分葛藤があったようです。店長が『必要な時にかけて下さい。でも眼鏡をかけたほうが楽なのでずっとかけていたくなりますよ。遠くを見るときも見やすいレンズにしておきました』それが悔しいのでかけないようにがんばっていましたが、結局、今は店長の言うとおりになりました。


3.確率

 あるとき、店長に気になっていたことを聞いたことがあります。
『ところであの四つのポイントが、きちっとできる眼鏡屋さんはどのくらいあるのですか?』
『全国で眼鏡専門店は約1万軒です。きちっとした眼鏡を作れるのはその中で‥そう1%でしょうか』
『え!そんな少し。では県に1、2軒じゃないですか。そのお店に出会うことは奇跡だ』


 1%という事は、200人眼鏡の人がいたらラッキーなのは二人。その二人は私とひよこさんで二つの席を埋めている。するとこの道草を300人の眼鏡人が見たとき、やっとあと一人ラッキーな人がいることになります。確率ひく(低)! 

 さて、最初の十万円の使えない眼鏡を作った加齢なる一族の人たちにもあの夜、このことを話してあげました。そしてお店の名前と場所も教えてあげたのです。でも誰一人行っていません。その理由は‥私には良く分かります。一族の人たちは、自分に合う眼鏡が世の中にあること自体信じられないと思っている。



 それに多少我慢すれば、工夫して何とかやっていけます。命にかかわるほど重要ではないことです。でも私は運がいい。一つの眼鏡で快適に暮らせるのだから店長に感謝しなくてはなりません。遠視の度は、容赦なく進んでいくそうです。だから3年ごとにレンズを変えなければいけません。

 老人力に対応するのにも中々お金がかかります。(2008.03.02)

13.10.15(火)23:45