岳行ノート

御嶽の氷柱・氷瀑とスノーハイク
長野県木曽村・王滝村
 

2014年2月17日(月)


氷結した清滝

(落差は30mあり、中央の親指形が氷塊です。滝上にしめ縄が見えます)





 先週、本宮山をご一緒した岳魚さんとメールをして私は御嶽白川氷柱群、岳魚さんは清滝・新滝の氷結滝を見たいと思っていることがわかりました。

 それなら一緒に周りましょうということになり、二人だけではもったいなく野良人さんをお誘いしました。野良人さんは、以前御嶽でスノーハイクをされています。

 その場所は田の原天然公園です。ちょうど清滝・新滝からさらに上ると「おんたけ2240スキー場」があり、ゴンドラ終点の三笠山からハイクされました。



 では、「氷柱・氷瀑巡りとスノーハイク」の三点セットで冬の御嶽で遊ぶことに決定。岳魚さんが冬用タイヤなので同乗させていただきました。
<おんたけ2240駐車場>
[+]詳細図、[-]広域図、ドラッグスクロールで移動

大きい地図


@白川氷柱群→A清滝→B新滝→Cおんたけ2240スキー場


※赤線はGPS軌跡

■この地図の作成に当たっては国土地理院長の承認を得て同院発行の数値地図50000(地図画像)数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである(承認番号 平17総使、第98号)」





 岐阜県中津川市から国道19号線で北上。約60km行くと道の駅木曽福島で、その先の元橋交差点を左折します。

 県道20号線を13km30分ほど走り、、、そろそろ白川氷柱群に出会うはずですが‥



 左の西野川方向を注意していると『あれなんだ』と野良人さん。右岸の崖に写真で見た氷柱が並んでいます。

 でも50mほどの長さで規模が小さい。すると県道から左へ下りる小さな道を発見。しっかり除雪されていて下りると‥
(9:30)




 「旅館けやきの湯」に着きました。声をかけ車を駐車させていただきます。登山靴に700円のゴム製アイス・スパイクを装着。

 建物裏に延びる雪道で西野川へ歩きます。すぐに‥
川岸。着いた瞬間、正面を見て三人とも思わず『お〜!!』声を上げる。
 『これはスゴイ、凄い』連なる氷柱は迫力があり、まるで氷のカーテンだ。
いいアングルを探して右往左往、、、

 ここは厳冬期、マイナス20℃にもなり崖からしみ出る御嶽山の伏流水が凍ります。
大氷柱群は最大で幅250m、高さ50mにも達し、壮観な自然の造形美を見られました。
17:30から4時間ライトアップされるそうで今年は1/18〜2/23です。



 晴れているからでしょうか、氷柱は神秘的な青さで美しい。『ここ知らなかった。遺産をもっと売り出せばいいのに』

 車に乗り込むとちょうど観光バスが県道に停まり、2コマ目の氷柱群を乗客に見せています。『降りなきゃ、凄いの見えないよ』
(9:55)



 県道20号線を戻り、三岳黒沢交差点で右折。県道256号線へ移り、おんたけ2240スキー場方面へ走りました。

 氷柱群から22km35分で清滝前の駐車場に到着。雪帽子のトイレを借り体勢を整え、左下ヘアピンカーブから登ります。
(10:30)




 雪の谷斜面に掘られた雪道では時々のズボ足。5分で清滝水行場更衣室に出合いました。この時期はできませんね。

 「清滝不動尊」の幟の先に‥
 
氷結した清滝です。すざましい氷の量に『これはすごい。今日はいい所へ連れてきてもらった』
野良人さんが感動しています。いずれにしても3人は、凍りついた滝は初めてです。
落差30mもの氷瀑『いいもの見た』 (滝全体は、TOP写真をご覧下さい)

 滝の左に鳥居と祠があり、岩壁には不動尊が鎮座されています。滝行は見たことはありますが経験はありません。一度は体験したいふんどし。

 帰りは雪道注意。降り坂で滑りやすいのですが、アイススパイクが役立ちました。スパイクはわずか6本ですが。(10:55)



 新滝は、400m上った次のヘアピンカーブです。車を駐車場に止め「新滝参道入口」の案内板から登ります。
(11:00)

 鳥居を潜り、雪の谷斜面に掘られた雪道を行きますが、清滝より少々長い道のりです。





 それでも5分も歩けば、でかい氷塊が見えてきました。この新滝も落差30mです。見上げると‥

 滝水が落下しています。完全氷結ではありません。今は滝水が氷塊を融かしているでしょう。日が沈むと、きっと氷塊を太らせる。

 ここは興味深い「裏見の滝」。裏側から滝を見られます。折れたツララが降ってくるので頭上に注意して左から回り込みました。
 
下には落ちたツララが岩盤の氷に融合していました。青い氷が清々しく感じます。
3か所巡りましたがそれぞれ違い、興味は増し好奇心が満たされます。
『氷柱、清滝、新滝と見る順序がいい。いい企画だなあ』
 満足顔の野良人さん。



 無邪気に自然の不思議に驚嘆しました。きっと気温は低いと思いますが、青空で無風、動いているので寒さは感じません。

 かなりお腹が空いてきたのでテキパキとスキー場へ向かいます。
(11:25)



 さらに20分舗装道を上るとおんたけ2240スキー場のガラガラ駐車場に着きました。

 ランチは、レストランでしましょう。その後、左の建物でゴンドラの券を購入します。右上、青空に堂々の白い御嶽山です。
(11:45)



 何ということでしょう。券売所1680mは無風快晴ですが、ゴンドラ終点2240mでは25mの強風のため運行中止とのこと。

 にわかに信じられません。ならスキーリフトに乗ろう。しかしスノーシューで乗ること禁止。最初の計画は変更せざるを得ません。
(12:45)
ゲレンデの端を歩いてくださいと指示があり、シラカバの中を登ります。
雪は締まっていてスノーシューは、深くても10cmしか沈みません。
身体が温まり振り返ると『お〜ぅ! 素晴らしい』 東の木曽谷の向こうに壁のような中央アルプス

木曽駒ヶ岳2956mを中心に稜線が南北に延びています。
リフトは一番下しか稼働していないのでこの辺りは誰もいません。すると突然の突風。
舞った雪が頬を痛いほど打つ。写真を撮っていた私は強風に転びそうになりました。
(13:30)



 気を取り直し、取りあえず写真中央の三笠山まであと315m登ろうと進みます。ところが再び地を這う突風に意気消沈下山決定。

 駐車場は1675m、ここは1925mなので250m登りました。同じ道では退屈なのでゲレンデの反対側に移ります。
(13:45) 





 ゲレンデ縁を降りてくると、しばらく雲に隠れていた御嶽山が、いつの間にか御姿を現されています。『シャッターチャンス』

 スノーシューでもやはり降りは楽です。駐車場に到着すると風が収まったようで中間のリフトが動き始めました。
(14:20)

 帰道、御嶽山三笠山が重なって見えます。今日の「氷柱・氷瀑巡りとスノーハイク」三点セットは実に充実していました。

 野良人さん『ゴンドラが動いていれば言うことなしだったなあ』 機会があれば‥


東海岳行
 “道草セレクション:江戸東京博物館の涙” 

 当時は仕事上、好奇心を鍛える必要があり、新聞チラシを毎日見て色々なものに興味を持つようにしていました。これは時間もかかり中々辛い訓練です。楽しい訓練もあります。2ケ月に一度、東京出張の機会があり、仕事前後に時間を作り新しい伊吹きを吸収しようと評判のスポットを訪れました。

 サンシャインビル都庁お台場・フジテレビなど等。もちろん自費ですが、その中で今も心に残る場所、、両国国技館東に1996年開館した江戸東京博物館です。オープン間もない頃、仕事が速く終わったので行ってみました。

 入口前スペースで大勢の小学生が見学前に先生の注意を聞いています。観覧料は600円、7階建てでスケールが大きく、さすが東京は違うなと感じされらえました。



 吹き抜けに原寸大の巨大な日本橋があり度肝を抜かれます。順番に巡りながら6階の展示室に行きました。そこは江戸庶民の住環境が再現され、共同井戸や共同便所、棟割長屋。入ると6畳の部屋とかまどがある土間の1DKです。

 そこに地下鉄工事のとき発掘された日常用具が展示されてました。美術的な価値は低いでしょうが、庶民の生活の匂いがして興味を引きます。その中に3pほどの小さな素焼きの土器が数多くありました。

 小さな茶碗・湯のみ、鍋・釜、また犬・猫の小動物などなど。その頃、手作りされた玩具でしょう。形はどれも無骨ですが魅入られます。それを見ていると往時の情景が浮かんできました。



夕方‥『帰ったよ』
幼い娘が『おとう、あそぼ』と抱きつく。
『おう、お菊、何したい?』『おとうにごはんつくった、たべて』『よしよし』 足を洗い部屋に上がる。母親は夕食の用意で忙しい。

父親は仕事帰りでゆっくりしたいところ。でも彼の帰りを待ちわびたお菊がいる。父親が作ってくれた素焼きの小さな食器を並べ、
『はい、おとう』
『ご馳走だなあ。何から食べようか?』 
小さな茶碗には、泥だんごや草が乗っている。
『お菊のご飯は、うまいなあ〜』 
食べるマネをすると娘は、一番の笑顔で喜ぶ。


 きっと幼い娘は、おとうが大好きだ。父親も娘が可愛くて仕方なく、その土器の玩具をたくさん作ってあげたのでしょう。数の多さで愛情の深さが伝わります。空想をしているとなぜか下瞼に涙が溜まってきました。見学の小学生たちの声がして慌てて外へ出ます。壁を向きベンチに座りました。



 親が子を愛する気持ちは、昔も今も変わらない。私の子供はもう成人し独り立ちしています。我が家の子供が幼かった頃の情景が蘇ってきました。

私が団地のドアを開ける。『ただいま』
『きゃっきゃ』小さな二つの元気が、靴を脱ぐ私に飛びつく。
両腕に娘と息子を抱えて居間へ。
ひよこさんは、にっこり『お帰りなさい』と夕食の準備中。

私があぐらをかくと右足と左足に腰掛ける。
『あそぼ、あそぼ、あそぼ!』堰を切ったように声を揃える。
本当は新聞やテレビを見たい。仕方ない夕食が来るまで馬乗りや電車ごっこで相手しよう。
『きゃっきゃ、きゃっきゃ』二つの笑い声が弾ける。




 遠い思い出に涙が溢れ、もうダメです。これでは見学できそうもなく出口に向かいます。その頃、親離れしていく子供に寂しさを感じていました。江戸東京博物館で知った過ぎ去りし時の輝き‥人生で最も家族が触れ合っていたあの日々が懐かしい。

 もし願いが叶うなら、もう一度あの団地のドアの前に立ってみたい。そして『ただいま!』っと扉を開け、駆け寄る小さな二つの温もりを抱きしめたい。ありったけの愛で‥


2014.02.23(日)23:15