岳行ノート
小富士〜幻の滝 1979m/静岡県小山町


2016年5月13日(金)


褶曲模様は富士山噴火の歴史




 富士山は大きなスポンジのようで、雨や雪解け水は地中に染み込み川や滝はありません。長い時間をかけ、ろ過され湧き水として裾野を潤します。

 しかし雪解けの5〜6月、須走5合目南に沢ができ「幻の滝」が出現するのです。数年前にそれを知ったのですが、いつ行けば良いかわかりません。

 今年、その滝出現日を見つける方法が判明しました。東富士山荘のTwitterで日々、滝情報が更新されます。毎日チェックしてその日を待ちました。


 折角、290km3時間半掛けて行くので須走5合目北にある小富士にも行ってみましょう。御殿場インターで下り、国道158号線で須走へ走ります。

 教科書は、東京新聞社刊「富士山ハイキング案内」です。参考書は東富士山荘てんきとくらすにお世話になりました。
<駐車場>
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大きい地図



須走口五合目第2駐車場

小富士遊歩道入口

△小富士

三等三角点(点名:小富士)

五合目東富士山荘

幻の滝入口

森林境界

幻の滝

須走口五合目第2駐車地


※赤線はGPS軌跡

<謎の線>△小富士から破線が下り@で右へ曲折しています。(道草参照)


■この地図の作成に当たっては国土地理院長の承認を得て同院発行の数値地図50000(地図画像)数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである(承認番号 平17総使、第98号)」


江  南発:午前7時45分    晴れ
駐車場着:午前11時15分   晴れ時々曇り/13℃
小富士往復:1時間20分(三角点まで、小休止含)
幻の滝往復:1時間10分(ランチタイム除く)
所要時間:2時間30分

道の駅すばしりからじあざみラインに移り、12km西進します。裾野の樹林帯を抜ける道は快適。
富士山に向かって走ると40か所ほどカーブがあり、ライダーには絶好のツーリング・ロードです。
この溶岩谷を横断。ふじあざみラインの今春、ここは土石流で埋まり、ブルが復旧工事をしました。






 終点の第2駐車場に停めます。右道を上れば、上段の第3駐車場です。舗装道を少し戻り、須走口五合目へ歩きます。
(11:25)






 食事・宿泊処の山小屋が2軒並び、奥へ進みました。200円の有料トイレは、無臭で綺麗です。200mほど北進すると‥






 東屋の左に小富士遊歩道入口。黄看板は須走口ルート入口富士山へ向かいます。積雪通行止ですが、乗り越え‥
(11:35) 




 階段を登ると左に小さいけどしっかりした造りの古御岳神社(コミタケ)。富士登山の安全祈願をし、回れ右して森へ入ります。

 踏み跡を数分降ると小富士遊歩道入口から来た山道に出合う。道には誘導ロープが張られすぐわかります。





 シラビソの樹林は香しい。5分ほどで小さな溶岩谷を横断。遊歩道といっても溶岩やむき出しの根っこで完全な登山道です。

 ありがたいことに起伏が小さく標高が高くても息は切れません。





 十数分で突然、森は終わり、砂礫地にひょっこり出ます。ピークに大きなケルンがあるので小富士かと思ったら違いました。

 ピークの向こう側へ行くけば‥

大正15年建立のコンクリ祠が小富士1979mです。谷川岳1963mより標高が16m高い。
一般的に富士山は中腹から見上げると平たい迫力のない山容ですが、ここは違う。
小富士が山腹に踏み台のように出っ張り、見事な眺望が得られます。富士の樹海が広大です。

西暦802年、この樹林帯で火山噴火があり砂漠化しました。その火山跡が小富士です。
1200年過ぎても無樹林のまま。自然の復活には、どれくらいの歳月が必要なんでしょう。
東へ400mほど(標高差73m)降って、三角点へ行ってみます。
(12:00)

 砂礫地と樹林の境を3分ほど降れば、この森への進入口です。森の踏み跡を辿れば‥

 砂礫地に立つ三等三角点1906m。ここまで来る人は少ないようです。上奥に見えるのは山中湖。(12:05)






 最近は、富士登山をできない外国人が小富士ハイクを楽しみます。さて帰りは往路を戻り東屋が見えたら小富士遊歩道入口
(12:40)


 東富士山荘に入り、名物のきのこ汁を食べました。きのこの種類も多くボリュームがあり完食です。

 女将さんにTwitterを見て来たと告げ感謝すると『息子が作ってます』 すると「幻の滝、流れ始め13時22分」と更新されました。

 行かねばなりません。料金を払うと女将さんが、山荘のパンフをくれました。
(12:45)〜(13:50)






 山荘1970mから第3駐車場へ歩くと南はずれに「須走まぼろしの滝→」の道標が立ちます。右がブル道、左は溶岩谷です。
(13:55)






 100m西進してこの溶岩谷を横断。こちらもやはり誘導ロープがあり、観光客も行きやすくなっています。樹林に入り‥





 30m標高を上げる急登で観光客が弱音を吐く所です。登り切ると森林境界に出て以後、砂礫地の山腹をトラバースします。
(14:10)






 踏み固められた水平道を行くとやがて水音が聞こえてきました。男性が立っている場所が、滝全景を見る観曝地2060mです。


幻の滝は、左写真のように三段滝で気分上々の時は落差10m。
出現の条件は、@残雪が多い、A午後の気温が16度以上あることです。
10度以上でも流れますが、滝は小規模になります。今日は気温が13度くらい。


滝出現! 近づくと下のように一段目は、幅20pで3mの高さを落下しています。
最盛期より水量が少ないため砂礫に吸い込まれ、2段目以降はささやかです。
決してしょぼいとは思いません。出合えることが稀なので充分満足しました。
(14:20)








 滝から振り返った写真で、人が立つのが観曝地です。ここは成就沢(ジョウジュ)と呼ばれます。では滝上部へ登ってみましょう。






 滝の落ち口ギリですが、岩壁を右から左へ落水しています。水に触れると意外にぬるい。ここは2070m、そして沢の源流方向‥

かなり積雪が減った富士山山頂。溶岩流がトヨになり、融けた水が染み込まず流れます。
富士山には川がないと言われますが、私は川を見たと言いたい。決してしょぼい川とは言いません。
今年の幻の滝は、4/22から5/18の期間限定でした。  第2駐車場帰着(15:00)

頂いた山荘のパンフに「五合目付近の遊び場」が3枚の写真で紹介されています。
それは、、、@小富士、A幻の滝、Bグランドキャニオン Bは?
Bへ行ったことがある人がみえたので、おおよその場所を教えていただきました。道草へ続く‥

 
東海岳行
  “いいの? キャニオン” 

 須走口五合目第2駐車地からふじあざみラインは、麓へジグザグと高度を下げます。その北側のカーブ(TOP地図@Aの個所)をカウントしてHつ目。脇のスペースに車を停めました。(下左) 写真左側、奥へ向かう道があります。森に入るとすぐ「馬返し→」の指標(下右)、ここですね。

 
<スペースに駐車>

<馬返しの指標>

 馬返しはどんな所か興味がありますが、今日は行ってられません。ひとまず指標の方向へ数分山道を降るとすぐ掘道に出合いました。(下左) 昔は、馬に荷物を乗せ、この道を辿って5合目を目指したと思われます。今は倒木が残されたままで整備されていません。向こう岸に踏み跡が続いています。(写真右端)

 渡って北へ100mほど行くと大きな谷に出合いました。崖縁には木が茂りすっきり左岸が見えませんが、ここがグランドキャニオンでしょう。(下右) 崖縁に沿ってガイドロープが膝の高さで張られています。杭には「富士学校」? いい写真を撮りたいと思い、眺望を求めて右岸沿いを歩くと‥ありません。


<掘道>
 
<左岸、見えにくい>

 300mほど緩い傾斜を登るとガイドロープがなくなり、30m近くあった崖は5mほどの高さになります。斜行して谷へ降りました。谷底からは、見たことがない景観が目に飛び込みます。本家米国の規模には及びませんが、日本にもこういう渓谷があるかと感動しました。左岸は地層が露出して褶曲模様が美しい。(下)

 富士山噴火で出来たスコリアという小さな粒粒(火山灰や噴火物)が、何層にも重なっています。もろく崩れやすい地質なので落石や落木があると逃げるところがありません。早々に引き上げましょう。撮影したら来た道を戻り、30分の渓谷見学は終わりました。

 
<毎年の雪崩で浸食された絶壁>

 帰って疑問に思ったことを調べると‥
(1)「富士学校」は、ふじあざみライン入口近くにある陸上自衛隊富士学校でした。あのガイドロープは敷地境界を示していたのでしょうか。『?』

(2)TOPの地形図で小富士から下の@へ破線が延び、Aへ右曲折しています。登山道ではありません。この辺りは東富士演習場エリアでその境界線のようです。でもその中を一般道路が通っています。『?』 小富士へ辿る登山道もあり、有料ツアーの登山客が何十人と歩いていました。『?』

(3)その富士山の有料トレッキングツアーでは、小富士幻の滝、そしてグランドキャニオンのコースもあります。山荘のパンフにもこの3か所は遊び場として紹介しているぐらいです。『いいの?』自己責任。



 私は自衛隊と争う気持ちはこれっぽっちもありません。違法だとご指摘があれば削除します。でも小富士からの絶景、幻の滝の出合い、グランドキャニオンでは日本とは思えない光景、富士の裾野の広さを知り、増々その魅力に魅かれます。次はどこを探索しようか、、、演習場には入り込まないよう注意します。

2016.05.24(火)21:35