岳行ノート
千葉山 496m/静岡県島田市

2017年1月18日(水)


十本杉で最大の太さ9.5mを誇る「大杉」


 滋賀県の低山は、多く巡ったので未踏峰が底をついてきました。山友Mリンさんから助け船を頂き静岡県の低山、千葉山を訪ねます。

 調べると天然記念物の十本杉、古刹智満寺が山頂近くにあり見所豊富です。尾川丁仏参道入口から伊太和里の湯へ周回しましょう。

 新東名高速道路島田金谷ICで下り、国道1号線を東進。野田ICから県道で2km北進。尾川公会堂から右手を注意して進むと登山口が?


 教科書の地図では200mの範囲にあるはずですが見当たりません。先に下山する伊太和里の湯を確認。戻って登山口探し‥発見できません。
 
 1時間たち諦めました。伊太和里の湯からのピストンにします。教科書は、山と渓谷社刊「新・分県別登山ガイド 静岡県の山」です。
<駐車場>
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大きい地図


伊太和里の湯駐車場

ペンションどうだん

智満寺

@頼朝杉(倒木)

A子持杉(倒木)

△千葉山

奥の院

B開山杉(倒木)
C大  杉
D達磨杉
E盛相杉
F一本杉
G軽師杉
H常胤杉
I雷  杉


どうだん原分岐

伊太和里の湯駐車場

※赤線はGPS軌跡 ●は主な分岐点

■この地図の作成に当たっては国土地理院長の承認を得て同院発行の数値地図50000(地図画像)数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである(承認番号 平17総使、第98号)」


江  南:午前08時30分   晴れ/3℃
駐車場:午前11時30分   晴れ/10℃
標高差:(150m→496m)346m
往:2時間25分(山頂まで、小休止含)
還:1時間35分(十本杉巡り含む)
所要時間:4時間00分

 伊太和里の湯駐車場の北端に置車しました。階段の上り口に右の案内板。
(11:45)

 登って写真右方向へ行くとすぐハイキングコースの道標があり、山道へ。


 尾根道に乗り、植林地の歩きです。踏み跡は、コンクリのようにカチカ。やがて伊太丁仏参道と合流しました。
(12:05)


 江戸時代、近在の信者が祀った石仏さんと時々会えます。今もお世話する方が見えるようです。

この道のハイライト、明るいどうだん原に出ました。
道の両サイドは、数千本のドウダンツツジの群生です。
4月上旬〜5月中旬、白い可憐な花が咲き、11月中旬は紅葉で真っ赤。

満天星と書きますが、誰がこのセンスのいい漢字を考えたのでしょう?
石仏のそばにベンチ・トイレの休憩地、駿河湾の眺望があります。
(12:20)


 北東に延びる尾根は、傾斜が緩く足取りは軽快です。やがてペンションどうだんの裏に出て、正面の広場へ行くと‥
(12:45)

爽快なパノラマが展開します。南東に島田市街地そして‥
ズームすれば、大井川にかかる島田大橋、蓬莱橋(中央より右方)が見えました。
出発が遅かったので食事は菓子パンで済ませます。
(12:45)
 広場の三角屋根はトイレです。智満寺の絵地図が掲示されています。舗装道を1km降り、門前茶屋(右図中央下)へ。階段を上がり仁王門、中門、本堂、そして薬師堂から山頂へ向かう経路です。


 門前茶屋は写真右で写ってません。石段前はお寺の駐車場です。登ると左に石段がため息が出るほど続く。
(13:10)


 仁王門(1605年)と続く中門は、県指定文化財。何百年も前の木造建築が残り、普通に見られるのがすごいですね。
200段以上の石段を上がり、国指定重要文化財の本堂に着きました。
智満寺の開創は奈良時代(771年)、本堂は火災で何度も焼失しました。
現在の本堂は茅葺きの入母屋造り、徳川家康が1590年に完成。

周辺にはの巨木がうっそうと生い茂り、特に大きなものは「十本杉」の名で親しまれています。
樹齢は、800年から1200年を経たものと推定され、国の天然記念物です。
写真左手にはお寺なのに鳥居があり、石段で薬師堂(1588建立)へ行きます。
(13:20)

 薬師堂裏の斜面に@頼朝杉:目通り太さ9.7m、高さ36m。(13:45)

 案内板「平成24年9月2日早朝、樹幹の空洞化により自然倒木」 業者が、2ヶ月かけて搬出しました。


 山頂へ向かうとA子持ち杉(太さ5m、樹齢500年)の案内板。行くと台風で倒れて、今は何も残っていません。


 子持ち杉から10分登れば広地へ出て、千葉山山頂496mに登頂しました。少し下がった所に‥
(14:10)
 奥の院が佇みます。背後にC開山杉。目通り11mの太さで樹齢1200年。十本杉で最初に自然倒木し、朽ち果てた姿が残っています。10本のうち3本が、私たちの代で寿命を終わり、残念です。
 奥の院近くに十本杉の案内板。奥の院から反時計回りで巡ります。(TOP写真) B大杉奥の院から右に、『これはデカイ!』と思わず口走る。圧倒的な大きさで太さ9.5m、高さ40m。

D達磨杉:太さ7m、高さ30m、根が太く姿がダルマに似で、愛嬌があります。

E盛相杉(モッソウ/画像無):盛相(行者)のお手植えという。

F一本杉(画像無):太さ8.5m、高さ45m、千葉山で最も高さがある。


G経師杉(ツネモロ):枝振りはワイルドで生命力を感じます。 

H常胤杉(ツネタネ):幹の裂け目を覗くと空洞です。自重を必死で支えています。

 開設後、大伽藍は火事にあい、源頼朝の命で本堂を再建(1189年)しました。165年後、再び消失。

I雷杉:木の形が雷神の怒りに似ているといわれ迫力があります。
風雪を重ね右の枝が折れました。岩を積んだ上に、雷神が祀られています。
撮影しながらの15分、十本杉巡りは終了。

 雷杉から南へ下山。10分でこの分岐。直進がペンションどうだん方面、ミスって左折し智満寺方面へ降りました。
(14:50)

 10分ロスでペンションどうだん着。往きの道を駐車場へ。(15:05)

 どうだん原着(15:25)
 伊太和里の湯駐車場。車検を終えた愛車が、ご機嫌そう。(15:45)

 不明の尾川登山口は、調べると教科書の登山口から直線で南東500mの尾根端。いつか現地で確認したい。

 
東海岳行
  “消火訓練” 

 以前、勤め先の3階建てビルで消火訓練が行われました。笑顔は禁止。はしご車が、屋上から避難者役2人を救助します。下から見ているとこの役はきっと怖い。次に3階の窓から救助袋を斜めに下し、避難者が袋の中を滑り降ります。若手の男女2人がその役、私は下りてきた人を確保する係。

 まず新入社員の男子が、両手を万歳して袋から滑り下りました。次にジャージの若い女子社員が、同じ体制で袋の中を滑る‥‥何てことでしょう、上半身裸で現れました。服とブラが摩擦でめくれたのです。私は役得‥それは不謹慎・笑顔禁止。急いで服を下ろしてあげました。

 私には忘れられない出来事ですが、彼女も一生忘れられない事件でしょう。先日、山友の野良人さんからケイタイが入りました。『明日、八曽でヘリの消火訓練があるけど行く?』 登山に行ったとき、亀割駐車場で訓練予告の立て看を見たそうです。『道草のネタにしたらどう』 助かります。


 私は2005年8月犬山市八曽山登山の帰路、林道から救助訓練をするヘリを見たことがあります。(右) 消火訓練は未見なので行ってみましょう。知らせてくれた野良人さんは用事で行けないので単独です。

 亀割駐車場
に車を置き、東端にある営林署車道入口から右カーブして10時に歩き出します。道なりに進み、5分でパノラマ展望台標高252mに10時に到着。10人以上の隊員達が東屋にいます。隊長から訓練を見てもいいけど着陸の風がすごいので東屋の後ろにいるよう指示を受けました。

 爆音がしたら青空に光るヘリが飛来。(下左) ヘリポートに上手に着陸。当たり前田の吟。(下右) 着陸寸前、立ってられないほどではありませんが、確かに物凄い風です。隊員が低い姿勢でヘリの下に消火用のバケツを付けます。(下下左) 空へ上がると入鹿池に飛んでいきました。

 

 10分で戻り、旋回して森に水をまきます。(下右) 訓練機は、愛知県の防災ヘリコプター「わかしゃち」です。待ち時間中、隊長にあれこれ話を聞きました。全長17m、高さ4m、ローター径は14mあり、我が家の庭には下りられません。基地は15km先の名古屋空港でここまで10分。

 15人乗り、1800馬力あり、マイカーの10倍以上のパワーを持っています。昨年度は45回出動しました。火災(2件):林野、救助(28件):山岳遭難や水難、救急(8件):滑落や交通事故、臓器搬送(1件):心臓、広域応援(6件):県外の対応。夜間も飛ぶため24時間体制です。

 単独の登山者が到着しました。ヘリをビデオで撮っています。待ち時間に話しかけられました。『山たまごさんですか?』 いきなりビックリ、初めて声をかけられました。『駐車場で赤い車を見て、ナンバーから山好きな人に違いないと思いました』 

 

 彼は昨日、ここである登山者に出会い名刺を貰います。そこに「野良人」と表示され、『山たまごさんと一緒に登ってる方ですね』と話が弾みました。野良人さんが、この訓練を聞き、来たそうです。ヘリは3回の放水を済ませ、11時過ぎに訓練終了。年配の単独者が来られました。

 『訓練は終わりましたよ』と教えてあげると残念そう。『一緒に帰りましょうか』言われ、話ししながら車道を戻ります。昨年11月に天皇・皇后両陛下が、入鹿池へ視察に来られたのを並んでお迎えしたそうです。『陛下にお会いしたのは生まれて初めてだよ』と顔がほころぶ。

 夜、野良人さんいお礼の電話をすると『ああその人は、前日一緒に八曽山へ登った山友で訓練の見学を薦めた』 70代に見えましたが何と80才で毎日のように尾張富士へ登り、まもなく3000回になるそうです。野良人さんに薦められた3人が八曽山に集結したことに驚きます。影響力半端ない。

2017.01.30(月)00:15