岳行ノート

金剛堂山 1638m/富山県南砺市

2017年7月10日(月)


尾根道は明るいブナ原生林


 金剛堂山は、富山市と南砺市(ナント)にまたがり、日本二百名山です。前金剛(山頂)・中金剛(最高点)・奥金剛の3つのピークがあります。

 山頂一帯は高い木がなく、風衝草原は好展望です。6月に能郷白山をご一緒した「森羅万象☆トレッキン」さんから山行のお誘いを頂きました。

 私も登りたかった山で、山友の野良人さんに声をかけ、縦走を計画しました。「森羅万象☆トレッキン」さんの山友Iさんも参加、4人パーティです。


 東海北陸道五箇山ICから新山の神トンネルを抜け、北上して新樽尾トンネルを通り、県道229号線を右折して百瀬川沿いを南下。

 4年前閉鎖された旧スノーバレー利賀(トガ)前の竜口橋に来ると‥ 
<駐車地>
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大きい地図
  教科書は、山と渓谷社刊「新・分県登山ガイド/富山県の山」です。




竜口谷駐車地


竜口登山口

△片折山


金剛堂山

竜口谷駐車地

※赤線はGPS軌跡
●は主な分岐点


■この地図の作成に当たっては国土地理院長の承認を得て同院発行の数値地図50000(地図画像)数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである(承認番号 平17総使、第98号)」


江  南:午前5時20分   曇り/26℃
駐車地:午前8時45分   曇り/26℃
標高差:(750m→1638m)888m
往:3時間30分(金剛堂山まで、小休止含)
還:2時間20分(ランチタイム除く)
所要時間:5時間50分

 赤線が代替の竜口登山道
 旧スノーバレー駐車場の利用可
 ゲッゲ、通行止!? 6日前、大雨の増水で道路が洗堀し、栃谷登山口東俣登山口へは通行不可。復旧は年末迄かかるようで、代替の登山道が表示されていました。

 登山できることはありがたい。Iさんが、副竜橋南に立つ竜口(リュウコウ)登山道の案内板を発見。

 付近のスペースに駐車します。周回は出来ないので、ピストンに変更。
(9:00)


 橋のたもとから左岸を遡ればすぐ登山口。いきなり補助ロープがある急登です。


 代替といえ良く整備されています。道は5月の「TOGA天空トレイルラン」で使用されたルートで急登は続く‥


 『ふくらはぎキツッ』 250m高度を上げると栃谷登山道との合流点。そちらは立入禁止テープが通せんぼ。
(9:45)

勾配が緩くなった竜口尾根を辿っていきます。すると大きなブナに出合います。
幹の中心は空間になっており、よく巨体を保持できるものです。


 大ブナから15分で大ブナ2『水が上る音が聞こえるかも』 白神山地で聴診器を当てたけど聞こえません。

 登山道は、丸太の階段や‥

 歩きにくい樋状の溝で山筋が鍛えられます。


 すると「栃谷登山口より2km地点」の距離標。目安になりますが、山頂まで4.5kmなのまだ半分も来ていません。
(10:30)


 中間地点は片折山1346m、山名板は無く、山頂は道の右、猛烈薮の中のようです。 一服金剛とも呼ばれます。
(10:55)


 「栃谷登山口より3km地点」の距離標。私達は栃谷からの出発ではなく竜口です。距離は同じくらいでしょう。
(11:10)

(左)アカモノ       (中)ゴゼンタチバナ       (右)オオバギボウシ


 展望が広がってきました。南西、中央奥の右ピーク:三ヶ辻山1764m、さらに右:人形山1725mです。


 待望の「栃谷登山口より4km地点」。距離標の上に山頂が見えます。
(11:50)


 距離標から登山道は尾根の縁。山頂へは、あと一息。左谷へ目を移せば‥

 北に山間を縫う百瀬川。中央奥ピークは牛岳987m。
十二支は丑年ですが、なぜ牛ではないのか?
 右山肌に旧スノーバレー利賀、追憶のスキー場です。

赤トンボが、ぶつかるほど飛んでいます。
ネマリガタケが増えると‥

 二百名山金剛堂山1638m山頂です。左端下に一等三角点。3人が、囲むのは2m径はある立派な展望盤です。

 奥の祠に江戸時代の鏡師、藤原義勝作の神鏡が納められているそうです。ランチ。
(12:30)〜(13:05)
山頂からの光景、しとやかな風衝草原が広がります。豪雪と風の影響で樹木が茂りません。
南に最高峰の中金剛堂山1650m。その裏に奥金剛堂山1616mですが、姿は望めません。
 
 縦走が出来ず残念ですが、到着した時、登られるかどうかの状況でしたので登頂は感動。
雨雲が迫ってきました。前日、リュックに詰めた「期待」を「感動」に換え下山します。


 雨雲から少しミストを振りかけられただけですみました。

片折岳(14:05)


 お花が少なかったけど、花の時期は賑やかでしょうね。最後の急降は、膝がバテているのでロープがありがたかった。

登山口駐車場(15:25)

 
東海岳行
  “スポーツタイツの効用” 

 登山用タイツを購入し、2005年11月の道草「日本コバ/CWーX使用感」に記しました。降りで膝の疲れ・痛みはなくなり、下半身の筋肉疲労が軽減されたという感想です。数年後、買い換えましたが、年50回の使用で生地がくたびれ、現在は科学技術に頼らず生身で登山しています。

 最近、スポーツタイツ開発者の講義を聞く機会がありました。いくつか疑問があったので応募すると参加OKの返信。店舗の会場は、定員20名です。講師はW社に請われ、世界初のタイツCWX(右)の立ち上げから10年間携わった人です。

 現在はスポーツデザインの会社を立ち上げ、ミズノのスポーツタイツ開発をしています。元アスリートでスポーツ医学、身体の構造、繊維についての造形が深い方です。まず「サポートタイツの3つの役割」について話しが始まりました。



@筋肉サポート(太もも・ふくらはぎ) 膝をついたり蹴ったりすると筋肉の振動が起こり身体の軸がブレがちです。太ももの裏筋は後ろと横から、ふくらはぎは下からサポートする構造。疲れにくくなる効果があります。力を入れたとき、筋肉の盛り上がりをつぶさない環境が重要。

A段階着圧 ふくろはぎは、血液を戻す第二の心です。タイツは、足首の上を締め段階的に圧力を調整して血液の流れを良くします。

Bテーピング タイツに膝関節を両サイドからテーピングしている仕組みで、左右のブレやねじれを軽減。そのためテープが縫い付けられています。スポーツタイツのいかにもというデザインですね。テープは、縦に伸びるけど横には伸びません。動きが制約されるなら身体に合ってません。



 イチローはCWX、本田圭佑はミズノ、錦織圭はユニクロのCMキャラクターですが、彼らはスポーツタイツを着用しません。身体が出来ているからです。出来ていない人は履く価値があります。

<骨盤サポート> 膝を安定させるには、股関節の安定が必要、その股関節を安定するには骨盤の姿勢が重要だと判明した。タイツの腰部で背中は後ろから下腹部は前から押すように段差を付けると骨盤はやや前傾し、重心の安定した姿勢になります。

 そのためミズノは股上がCWXより3cm長いそうです。疲れると姿勢を保てなくなり、アスリートはこの骨盤姿勢を重視しています。



<mizuno/BG9000> 最新のスポーツタイツです。(右) 薄い布地を2枚ノリで貼っています。ノリをドット状にするリキッド接着方式はミズノの特許。ノリの大きさや間隔でテンションを調節します。

 ステッチによるストレスがなくスムーズな動きが可能となりました。また2枚の布地なのでリバーシブルで利用できます。山では蜂が寄ってくるブラックは避け反対側の色にしましょう。

<選び方> 試着は必ずする。まず身長で選ぶ。BG9000の場合、腰まで履いたら尻の下に手を入れ尻肉を引き上げます。立体成型なのでピタッと決まり、途中で下がって来ることはありません。動きやすさが重要です。膝の後ろがダブラなければキチッと履けています



 CWXは直線的な仕上げで下がりやすいそうです。テープを膝の位置に合わせてキチンと履いても下山の時、ずれていて凄く不満でした。もう一つは、ズボンの中でテープ縫い糸で擦れることがあり、若干気になりました。

<タイツの持ちと効用> 週2回の登山でしたら1年間は大丈夫。週1なら2年間ですね。3種類の生地が使われていてその中でゴム系生地が一番弱い。汗が嫌いなので脱いでほっておかず水で汗を薄めると良いとのこと。太陽光線にも弱い。

 そのためネットに入れて洗濯したらそのまま影干しします。スポーツタイツを履くとどんな効用があるのか。これが私の一番知りたかったことです。『100の力を持った人が、履いて110になることはありません』 え〜!? 私は勘違いしていました。じゃあ何のために履くの?

 

 身体能力が若返るという回答を期待していましたが‥ 『疲労しにくくなります。疲労しても早く回復します』 つまり私に置き換えれば、ロングコースを歩けると言うことでしょうか。もう一つの疑問『ユニクロの1620円のタイツと10倍高価な物との違いは何?』(上左)

 『安価な物は段階着圧もなく、テーピングもありません。いわゆるタイツです』
 今度、山屋に行って試着してみようかな。講師はミズノの製品製作に関わっているのでミズノを押すのは致し方ありません。結局は、「スポーツタイツを信じるか信じないかはあなた次第です」

2017.07.17(月)23:50