岳行ノート
針ノ木大雪渓 1800m/長野県大町市

2017年7月31日(月)


ニッコウキズゲのお迎え 雪渓は天空に向かう 

(写真中央、ランチ中の団体)


 暑い日が続きます。夏の季語に雪渓があります。雪渓は涼しいでしょう。日本三大雪渓は、白馬大雪渓剱沢雪渓、そして針ノ木雪渓です。

 白馬ほど幅広くなく、狭い道は急勾配。その分登山者が少なく、穴場の雪渓です。雪渓に降りる直前、お花畑もあります。

 今頃は、標高1800m辺りが雪渓末端です。針ノ木岳は往復で9時間のロングですが、雪渓末端までなら3時間40分と楽ちん登山。


 さて雪の大谷ウォークで名高い立山黒部アルペンルート・ツアーで、立山黒部ダム扇沢駅と辿ったことがあります。

 今回の出発点は、その扇沢駅。山友の野良人さんをお誘いしました。教科書は、しなのき書房刊「信州日帰りでゆく山歩き/中信・南信」です。
<駐車場>
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大きい地図


無料駐車場P2→扇沢駅→針ノ木登山口→林道横断(林道トンネル南)→
湧き水→大沢小屋→針ノ木雪渓無料駐車場P2

※赤線はGPS軌跡  ●は主な分岐点

■この地図の作成に当たっては国土地理院長の承認を得て同院発行の数値地図50000(地図画像)数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである(承認番号 平17総使、第98号)」

江  南:午前5時00分   晴/27℃
駐車地:午前9時15分   曇り時々晴/22℃
標高差:(1370m→1800m)430m
往:2時間35分(雪渓末端まで、小休止含)
還:2時間00分(ランチタイム除く)
所要時間:4時間35分

 信濃大町から県道45号線で西進。扇町駅の手前500m、市営無料駐車場P2が、10台空いていて駐車しました。
(9:35)

 準備しているとドンドン埋まっていきます。県道を扇沢駅に向かうと‥ 


 無料のP1は満車。駅近くの1000円駐車場は空いていました。トロリーバス扇沢駅でトイレを拝借し、写真奥へ。


 駅外れの登山口で登山届を提出。雪渓までのピストン、と言ったら受付のネエさまが『そうなの?』と意外そうな顔。
(9:50)


 楽ちん登山する人は、きっと珍しいのでしょうね。森へ入ります。登山道は、扇沢駅から上ってきた林道を3回横断。

 4回目が最後の林道横断。舗装道右はトンネルで、左が広場です。中央奥、雲から2百名山針ノ木岳が覗いています。

 ここから針ノ木岳2821mまでの標高差は、1300mです。
(10:15)
しばらく急登を続けて行くと巨大なブナが右にそびえていました。
この20m先にもデカイのがあり、直径1mは優にあります。何年物でしょう?

<ミニ知識>@戦国時代佐々(サッサ)成政が厳冬期に富山側の針ノ木峠から長野・大町に辿った「さらさら越え」と呼ぶ伝承があります。成政は、名古屋市西区で生まれ、織田信長に仕えました。


 深い森から抜けて明るいゴーロに出ました。誘導テープが入り口・出口にあり安心です。


 ブナ林は緑の日傘、日差しを弱めます。解説板:林床の笹は、太平洋側はスズタケですが、日本海側は千島笹です。
(10:50)

 「湧き水」
で小休止。苔生した岩間から豊富に湧き出る水は、驚くほど冷たく美味しい。日本の山は、貯水タンク。

 流れがゆっくりだと岩からカルシュウムなどを吸収し雑味が出ます。急流ならば水そのもの。日本の水は上手い。
(10:55)
赤沢というゴーロの広い谷を渡渉します。
岩に印された青ペンキの矢印通りに歩けば大丈夫。
(11:15) 

A信長に富山城主に任じられましたが、本能寺の変信長が死去しました。
その後の清洲会議の結果に彼は反対し、家康に再挙を促そうと考えます。浜松の家康に会うため‥

 そして定員20名の小さな大沢小屋。雪渓で必携のアイゼン貸出し料500円。外のトイレ、テント場も確認しました。 
(11:20)

 玄関横の岩に百瀬慎太郎のレリーフ。日本初の山案内人組合を作った人で彼がこの小屋を建てました。

 沢音が聞こえ樹間に流れを見ると突然道は、右折して岩の急登になります。何の理由があるのか方向転換に面食らう。

 5分ほど登ると雪渓へ近づく下降道に変わりました。トラバースの道、ダケカンバの大木を跨ぐ辺りでは‥


 対岸に蓮華岳赤石沢の雪渓が見え、標高1900m付近で消えています。この雪渓の左500mで細い滝が落ちています。


 下山パーティが、壊れかけの梯子に慎重です。向こうに待望の大雪渓を確実に捕らえると‥
(左) ?          (中)タマガワホトトギス      (右)オオバギボウシ

 天然のクーラーの涼風をほほに感じ爽快です。
日の当たる岩場に数々の高山植物が咲き競います。針ノ木岳新・花の百名山
山頂まで、まだ道半ばにも至っていませんが、我々は終盤が近い。


 とうとう大雪渓取り付けです。クレバスが口を開けている。パーティーの辿って来た道をなぞり、大雪渓の中央へ‥
冷気は半端なく、たちどころに汗が飛びます。安全な岩場に腰を下ろしランチです。
ちょうど大雪渓の奥に針ノ木岳が姿を現してくれました。山頂までは4時間必要です。
街では普通のおじさんが、ここでは完全無欠の山男。
(12:10)〜(13:05)

B秀吉方の大名の領地を割けた困難なルートを選び1584年出発。
家康の説得は失敗し翌年秀吉に降伏しました。「さらさら越え」は奇跡か、偶然か、実力か?

 クレバスは近づけないのでズームします。ここが雪渓の末端です。ゴーゴーと吠えて雪解け水の川が流れる。

 山際でもクレバスが大きな口を開けています。深さ1m、落ちたら這い上がれません。雪渓歩きの経験・知識は無く下山します。

(左)ヨツバヒヨドリ      (中)コキンレイカ        (右)シモツケソウ

 登頂はしませんでしたが、後立山連峰に来ただけでも嬉しいですね。また初めての雪渓に乗れ、充実した山旅でした。

大沢小屋(13:40)
林道出合(14:25)
駐車場P2(15:05)

 
東海岳行
  “レトロミュージアム” 

 2015年9月、岐阜県山県市椎倉323のレトロミュージアム。昔のパチンコ台や懐かしい自動販売機、駄菓子屋などレトロな昭和空間を再現した民間の博物館です。クセの強いゲーセンは気になります。マニアックすぎ、あっという間に閉館するか…1年経ち現在もバリバリで営業しています。

 長男の息子菊千代(小学一年生)が、一学期好成績だったのでご褒美にレトロなゲーセンへ二人を連れて行ってあげましょう。でも現代っ子が昭和をどう感じるのでしょう。山と田圃に囲まれ、のどかな田舎の道路沿いに建っています。(下左) 営業は、金曜〜月曜(10h〜17h)です。

   

 駐車場は建物裏、入口の券売機でとりあえず1時間500円の入館券を購入。時間が超過したら帰りに精算します。右のコガネパンの看板を潜りました。(上右) こちらはテーブルセットと自販機が並ぶ休憩所。自販機は殆ど稼働しません。存在するだけでも貴重なことです。

 奇跡的に動くのは300円のチーズバーガーと500円の天ぷらうどん。(下左) 何気に置いてある自転車やスクーターも懐かしい。隣接のゲームコーナーに行けば、たちどころに昭和にタイムスリップ。対面対戦型テーブルゲーム「ストリートファイター」に夢中のおじさん。(下右)

   

 ケイタイゲーム世代の菊千代は訳がわからない。とりあえず「ワニたたき」をしました。ゲームは遊び放題。つまり入館料を払ったらどの機種も何度でも遊べられます。旧型のパチンコは、大人も子供も人気です。(下左) 係のお姉さんに沢山の玉をプラ箱にもらい打ちます。(下左)

 玉が無くなったらもらいに行きます。玉を購入するお金が不要で夢のよう。私と長男は2箱の玉が、あっという間に消えました。菊千代「ピンボール」という良い台を選びましたが、大当たりを何度も決め夢中です。仕掛けがピカピカ点滅し、景気の良い音楽が流れ、玉がジャンジャン出る。

   

 隣で見ていても楽しい。20分ほど打ち込んで3つのドル箱を満タンにしました。もちろんどれだけ出しても景品交換は無し。館長(43歳・S49年生まれ)は、古い台や機械を求め全国の閉鎖したパチンコ・オートレストランを巡り、パチンコ台・自販機・アーケードゲームを収集したそうです。

 最後に駄菓子コーナーに行き、菊千代が選びます。悩んでいるので『10個買っていいよ』と言いました。小さな籠を手に迷いに迷う。見たことのないお菓子やくじで結局10分近くお買い物を楽しめました。代金290円。五感で感じ味わえ、遊ぶことが出来る貴重な空間でした。

2017.08.07(月)22:25