岳行ノート

安土山〜繖山〜猪子山 198m・433m・268m
滋賀県近江八幡市

2017年12月4日(月)


帰ろかな〜

(猪子山から下山



 「森羅万象☆トレッキン」さんから山行のお誘いを頂きました。そこで低山縦走を企画。山友のお二人も参加され、4人パーティとなりました。

 「安土山〜繖山〜猪子山」 各々の山を単独で登ったことはありますが、縦走は初めてです。安土山には、1579年に築城された信長の居城跡。

 繖山の中腹には観音正寺が建ち、猪子山には北向岩屋十一面観音が祀られています。山登りと一緒に歴史的な好奇心も刺激されるでしょう。



 名神高速道路湖東三山PAで下り、西方の東海道本線を越えます。県道2号線安土城址前交差点を北上すれば、すぐ右に‥

 教科書は、山と渓谷社刊「新・分県登山ガイド/滋賀県の山」です。
<駐車場>
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大きい地図


入山者専用
無料駐車場

△安土山

北腰越登山口

▲繖山

観音正寺

猪子山
十一面観音

JR能登川駅
(電車)

JR安土駅

入山者専用
無料駐車場


※赤線はGPS軌跡
●は主な分岐点

■この地図の作成に当たっては国土地理院長の承認を得て同院発行の数値地図50000(地図画像)数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである(承認番号 平17総使、第98号)」


江  南:午前6時40分   曇り/7℃
駐車地:午前8時50分   曇り/10℃
標高差:(90m→433m)343m
往:3時間00分(繖山山頂まで、小休止含)
還:4時間20分(ランチタイム除、電車移動含)
所要時間:7時間20分

 安土城址は親切君。有料駐車場手前にある入山者専用駐車場に停車しました。第一山へは空身で出発します。  (9:00)

 直ちに受付処で拝観料700円を払い入山。頂上往復時間は、約1時間と掲示されています。この安土城址は、国指定の特別史跡です。

残念なことに本能寺の変(1582年)以後、城郭・屋敷・寺は消失し今は遺構だけです。
登って行く大手道周辺は、発掘調査がほぼ終わり、整った石段・石垣が続きます。


 150mの標高差を見学しながら登りました。二の丸、本丸を経て礎石の残る天主台安土山198m山頂です。
(9:40)


 天主台の石垣に登ると手前に大中の湖干拓地。マザーレイク琵琶湖は、霞んでいます。奥は武奈ヶ岳1214m。

 下山時、分岐の「帰路→」を右に取れば、創建時から残るそう見寺三重塔(重文)。左のそう見寺跡は、琵琶湖の展望地です。(10:00)

 少し降るとやはり創建時から残る重文の仁王門。門内には、仁王像(重文)が安置されています。この下で左折して受付処へ戻りました。


 周回1時間20分で駐車場に戻り、リュックを背負います。県道の歩道を行くと、東南に第二山の繖山


 Pから20分ほど東へ歩くと北腰越登山口に到着します。山頂まで333mの標高差です。

(10:45)


 登山道を辿れば、数分で子授地蔵。左上の石祠には、海上安全の彫字があります。湖上安全でないマザーレイク。

200m近く標高を上げると、素晴らしい岩場の展望地に出て歓声が出ます。
西方に左:安土山、その後ろは西の湖、遠くは比良山地の山々です。
(11:30)

 北腰越登山口から1時間15分で繖山
433m二等三角点山頂。難しい山名、何て読むのか‥「キヌガサヤマ」です。

 ランチ時ですが、行動食を取り、もう少し頑張って観音正寺を周回します。
(12:00)


 山頂から南へ200mで観音寺城跡分岐で右へ。意外と急降です。降りた分岐で左折して観音正寺へ。

観音正寺。本堂は平成5年に全焼し、平成16年に再建されました。
総白檀の大きな観音様を拝顔できます。境内から南に近江八幡市が好展望。
本堂右の石積みが凄い。1m前後の大岩を垂直に積み上げています。どうやって?
(12:20)
 寺入口の舗装道を北東へ行くとすぐねずみ岩。右方向から無理すればねずみに見えるかも。ここを登ります。 (12:35)
 山道を急登すると石垣の壁に出会いました。佐々木城跡です。尾根に登り、北西へ三角点に向け、緩やかな勾配の道を進みます。


 繖山433m二等三角点山頂でちゃちゃっとランチ北尾根を辿り、第三山を目指します。趣のある黄葉の笹道。
(12:55)〜(13:20)


 降ると左に展望岩があります。そこから北に猪子山、尖りピークは山頂手前の310m峰で、山頂はその右です。
(13:30)


 217m標高を下げ、五叉路の地獄越216mには、地蔵尊の祠。昔、戦があり多くの兵士の亡骸があったとか。
(14:00)

 尾根には、丸木階段が整備されています。見ると1本1本に年月日・氏名が書かれてました。新しいものも古いものもあります。

 この先の猪子山山頂辺りに「登山道整備の丸太運びのお願い」があり、運んだ人がサインします。この丸木は、つい6日前の物でした。


 そして猪子山(イノコ)四等三角点山頂268m。この先に神の降臨する岩座(烏帽子岩I)があり、左に回り込むと‥
(15:05)
 
マザーレイク(この言い方が好き)琵琶湖方面に開けた崖縁に北向岩屋十一面観音(キタムキイワヤ)。
扉を開けると△形の岩窟中央に像高さ55cm、石造りの観音様が祀られていました。
何と奈良時代に安置されたと言われています。下山は、車道を降り‥

 猪子町集落に出ました。10分歩くと東海道本線能登川駅。南の安土駅までは1時間に2本。20分待ちで乗車して、一駅で‥
(15:50)

 安土駅に着きます。農道など25分歩き、駐車場に戻りました。お疲れ様の7時間20分。車をデポしたら6時間ですが、電車は楽しめません。
(16:45)

 
東海岳行
  “大だるま絵” 

 「富嶽三十六景」でおなじみ、江戸時代の浮世絵師葛飾北斎は、200年前の名古屋西別院で120畳分の紙に達磨大師の半身を描きました。

 今年9月、中日新聞に北斎「大達磨絵」再現の記事が載りました。この催しは、名古屋西別院が開創300年記念事業として企画。

 そのアイデアは素晴らしいと感心しました。江戸時代の興業は、1817年11月22日の開催ですが、今年は11月23日(木・祝)に設定されました。



 場所は当然、名古屋西別院。当時の様子を描いた絵が残っています。(上) 東寺、絵を描き終えると北斎は、観衆から大喝采を浴びました。北斎は我国の誇る絵師です。企画に行きましょう。 9時から始まり16時に終了する予定。通しで付き合うのはきついので14時に行きました。

 当時を描いた絵の右に三河から移築された鐘楼が描かれています。境内の鐘楼(下左)は戦災を逃れ現存していました。出店する屋台で小腹を満たします。作画は9時半から描き始め、2時間15分で完成していました。12時前には、既に終わっていたのです。

 

 その様子を後でニュースで見ましたが、生で見られなかったのは残念。(上右) さて紙は愛媛県の手すき和紙です。大きさは18m×11m、60坪の大きさ。描いたのは、県立芸術大の日本画家や準教授、3名。墨汁や朱墨の用意、拭き取りなどの補助に大学院生が加わりました。

 総勢15名で挑んだ超大作。ひよこさんと西別院に着いた時は、絶賛乾燥中。中京テレビのカメラ(下左) 他のテレビ局も来てます。空には取材ヘリが飛んでいました.。時間つぶしに本殿へ入ります。ちょうどアマチュアのジャズバンドの演奏会が始まるところでした。


 メンバーは15名、金管楽器がメインでご年配の方が多い。MCが50年前の中学時代から続けていると話されました。これだけの大所帯、練習はどういう所でするのでしょう。(上右) スタンダードナンバー、ボサノバ、歌謡曲等レパートリーは広い。30分楽しまさせて頂き、外に出ました。

 本堂正面に大画を引き上げる準備中。完成した絵をロープで吊るし、当時のように観衆に披露されました。期せずして拍手喝采。住職や画家が挨拶されます。(下) 『事前練習で頭頂とあごの位置をきっちり決めれば後は臨機応変にやれると分かりました』


 200年前のことは詳細な記録が残されています。その書は名古屋博物館所蔵品で、絵は風に揺れ『まるで生きているようだ』と書かれています。今日も風が吹き、当時と同じ感動が得られました。この日は2500人の観客とニュースで聞きましたが、意外に少ないですね。

 その後は本堂で絵を広げ乾燥させたのですが、ニュースの影響か6日間で5100人が訪れました。北斎の大胆なアイデアには脱帽です。その3年前に「北斎漫画」を発刊したのでプロモーションかもしれません。これは57歳の時、6年後に「富岳三十六景」の製作が始まりました。

2017.12.10(日)23:30