岳行ノート

                 がくのどう
学能堂山 1021m/三重県津市


2019年6月6日(木)


美形、、、紅花山芍薬


 水曜会の乱丸さんから学能堂山山行のお誘いを戴きました。山頂は三重・奈良県境です。登山口のある美杉村には、名所「三多気の桜」があります。

 メールに「ベニバナヤマシャクヤクを見に行きます」とお誘いの言葉。『え?』 ガイド本に学能堂山にその花が咲く記載がなく私には新情報でした。

 ベニバナヤマシャクヤク花は、絶滅危惧種です。9年前、奈良県天川村観音峰1347mの群落でその美しい花に魅了されました。


 2018年3月末、観音峰の群落周辺で訪問者の不注意による山火事が発生。心配でしたが、その年の6月、数は少ないけど花は咲きました。

 学能堂山は遠方ですが、美しい花を見に行くだけの価値はあります。生憎その日は都合が悪く参加できません。翌日単独で行くことにしました。

 伊勢道久居ICで下り、名松線沿いを南西に走ります。国道368号線から、、、  教科書は、山と渓谷社刊「関西周辺の山250/改訂版」です。
<駐車地>
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大きい地図







林道駐車地

登山口

杉平峠

▲学能堂山

杉平峠

林道終点から林道へ

林道駐車場


※赤線はGPS軌跡
●は主な分岐点


■この地図の作成に当たっては国土地理院長の承認を得て同院発行の数値地図50000(地図画像)数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである(承認番号 平17総使、第98号)」

江  南:午前07時25分   晴れ/23℃
駐車地:午前10時05分   晴れ/28℃
標高差:(430m→1021m)591m
往:1時間50分(山頂まで、小休止含む)
還:1時間45分(ランチタイム除く)
所要時間:3時間35分

西進すると、右上に「三多気のサクラ」の道路看板を見ます。
その先左に「いせみち」の古い石標があり、そこを左折すると指標「岳の洞登山口→」です。
一車線の道をゆっくり走ります。車窓には大洞山985mとお茶畑、みどりの多い風景です。






 数分林道を走れば、左の路肩に駐車スペースが点在しています。少し奥の4,5台のスペースが、まるっと空いていました。
(10:20)






 置車して林道を歩きます。最初の分岐を見送り、次の分岐で左に青色の指標を発見。左折して倒木の下を潜ると‥
(10:25)







 植林に引かれた道は明確です。写真右には、石積みがありますが、畑の名残りでしょうか。







 沢沿いの道を進むと涸れ沢の渡渉地点。左岸から右岸へ移ります。
(10:55)






 そして林道終点に乗ました。写真左の森から出て来て、広地を横切り石ゴロの右坂を登ります。
(11:00)







 再び植林に入り、10分ほどで涸れ沢を右岸から左岸へ渡渉。次第に勾配がきつくなり‥ 






 待望の尾根に出会いました。この杉平峠には、しっかりした道標が立ち、「学能堂0.8km→」方向に左折します。
(11:40)






 早くも下山するパーティとすれ違いました。左自然林、右植林の分け道にちょっとくたびれた獣害防止ネット。

緩い坂道は新緑のアーケード。やがて斜面を斜行すると‥




 学能堂山1021m山頂二等三角点(点名:石名原山)登頂です。360度のパノラマ、能みそが地球を学ぶ。

 山名は、「岳の洞」「岳の堂」とも呼ぶようです。
(12:10)〜(13:10)







 南西に端麗な山容の高見山1248m。有名な山ですが未踏です。県境は学能堂山から三峰山高見山へと続きます。







 草原状の山頂は日差しをまともに受けるので南方にある木陰でランチしましょう。奥中央右方の最高点が三峰山1235mです。






 その斜面には、赤紫の花がチラホラ。花は5cmほどの大きさで高さは40〜50cm 。9年ぶりの出合いです!!

美しい! 派手系なので外来種かと思ったらベニバナヤマシャクヤクは国産でした。
花びらが全開することは殆どありません。サービスの良い花を一輪見つけました。
黄色のオシベ・4本のメシベ(暗紅紫色の柱頭は先が巻く)が、きっちっと撮れたのは幸運です。

昨日、乱丸さんが水曜会で登頂されたとき、曇り空で綺麗に撮れなかったと言われました。
好天もラッキーでした。群生ではなく30株ほど点在して20株ほどが咲き、まだ蕾みもあります。
西の上村から登る人もいて、30名ほどの登山者に会いました。この花は、スターですね。




 山頂から杉平峠まで戻り、右折して降ります。
(13:30)

 やがて林道終点に出たら、往きとは異なり、この崩壊地を越え林道を歩きます。
(14:00)






 ジグザグ林道のヘアピンカーブ下にブルで整地しただけの別の林道が見えました。この道でショートカットしましょう。
(14:10)

 すると斜面にギリギリのベニバナヤマシャクヤク。。次もカーブもショートカットします。

 またまたベニバナヤマシャクヤク。山中には自生地が、まだまだあるかもしれません。 






 やがてショートカットを終え、ジグザグ林道と登山口手前で合流。そこから駐車地までは、300mちょっとです。
(14:45)
 
 
東海岳行
  “塾の映画会” 


 小学生の頃、私は落ち着きがなく、授業中先生の話しは上の空、他ごとを考えたり、教科書の先のページを読んだり、集中力が欠如していました。それを自覚していた私は、その頃学区内に学習塾が出来たので行きたいと母ちゃんに頼みます。パートに出るようになり少し余裕が出来たようでOKが出ました。

 塾は、家から15分歩いた神社横にある10軒長屋の1軒。小学校を定年退職したおじいちゃんが先生です。案の定、集中力が無い私、講義は耳を素通り。でも三つの理由で塾は好きでした。一つ目の理由は、家の周囲にお年寄りがいなかったので興味を持ちました。

 我が家は、何十軒もの新しい市営住宅で、ニューファミリーが入居してるいて子供だけは多い。その塾は2Kの間取りで、私たちは着くとすぐ台所のちゃぶ台前に座り、おばあちゃんと喋ります。おじいちゃん先生は無口です。おばあちゃんは子供好きでおしゃべりにつきあってくれます。



 『それなに?』『どーゆーこと?』 質問攻めしても一つ一つ答えてくれました。ある日、マッチ箱が置いてあるので『何入っているの?』と尋ねました。中身はマッチ棒に決まってますけど話すきっかけです。『これはねえ、、、』 

 おばあちゃんがマッチ箱を開けると、くたばったハエがぎっしり詰まっています。『うへ〜』『マッチ箱にハエを一杯いれて保健所に持って行くと五円くれる』 私達の知らない情報を知っているって‥おばあちゃんに知性を感じました。

 塾では月に一回、講義が終ると部屋を真っ暗にして映画会が行われます。これは先生の高尚な趣味でこの頃では、きわめて珍しい映写機やスクリーンを持っていました。10人くらいですが、子供たたちは固唾を飲んで始まるのを待ちます。フィルムがローラーの間を自動的に走り、リールに巻き付きます。



 まるでマジックです。フィルムは多分16mmだと思います。スクリーンに映されるのは、米国の無声喜劇映画でした。動きがチョコチョコしていて馬鹿なことや危険なことをするのでみんな大笑い。

 屋根から落ちたり水をかぶったり、車や鉄道を使ったスタントなど初めて見るコメディは新鮮で、異国の文化にも惹かれました。時々、ヒューカラカラと音を立てて映画が止まることがあります。フィルムが切れたのです。しばらく、ちびっ子の観客は休憩。

 先生がカッターとテープで修復したら再上映。3本ほどで楽しい映画会は終了。本当はもっと見たいのですが‥ 部屋の電気を点けると修復で切り落とされたフィルムの断片が落ちています。私は『もらっていい?』と許可を得て持ち帰りました。翌日当然、小学校でこの宝モノを自慢します。


 思えばあのときの映画は、バスター・キートンチャーリーチャップリン主演のドタバタ喜劇でした。そんな貴重なフィルムをおじいちゃん先生はどうやって手に入れたのかは謎です。

2019.06.17(月)23:35