岳行ノート

観音沢から八島ヶ原湿原 1646m
長野県下諏訪町

2019年8月27日(火)


観音沢


 長野中信の霧ヶ峰高原といえば、三菱エアコン霧ヶ峰を思い浮かべます。12年前、ひよこさんと高原の八島ヶ原湿原車山を周回しました。

 2017年1月NHKBSで湿原の約4km西、大平(東俣)から観音沢を遡り、八島ヶ原湿原へのトレッキングコースが紹介されました。

 湿原から登山口へ戻るには、県道で可能ですが、5.6kmもあり車をデポしたいところです。山友の野良人さんをお誘いします。


 すると野良人さんの山友Lさんも同行され、3人パーティになりました。岡谷ICで下り、国道142号線の和田峠経由で八島ヶ原湿原へ。

 教科書は、NHKBSテレビ「にっぽん百名山/八島ヶ原湿原」。参考書は、信濃毎日新聞社刊「信州高原トレッキングガイド」です。
<駐車地>
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大きい地図


八島ヶ原湿原駐車場(車)→東俣駐車地→コース入口→屏風岩→旧御射山遺跡(ランチ)→
八島ヶ原湿原周遊→八島ヶ原湿原駐車場(車)→東俣駐車地

※赤線はGPS軌跡  ●は主な分岐点 ■は木橋


■この地図の作成に当たっては国土地理院長の承認を得て同院発行の数値地図50000(地図画像)数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである(承認番号 平17総使、第98号)」


江  南:午前06時30分   曇り/25℃
駐車場:午前10時30分   曇り/21℃
標高差:(1080m→1646m)566m
往:2時間25分(旧御射山遺跡迄、小休止含)
還:1時間45分(ランチタイム除く)
所要時間:4時間10分
 八島ヶ原湿原駐車場に着くと。東俣駐車地へ行く県道199号線は全面通行止。(落石対策など、〜9/30) そこで和田峠〜国道142号線〜県道199号線〜東俣川右岸を車で東進しました。 

 湿原駐車場から大回りの35分、大平(東俣)の廃村に到着。旧バス待合所前に駐車して奥へ‥
(10:45)

 150m、右に「熊出没注意」の看板。番組もこのコース入口が出発点でした。ここを右折して未舗装道へ。

中部電力の取水施設を過ぎると、眼下の東俣川の姿は一変しました。
八島ヶ原湿原からきた川は、水量があり水音もすごい。
観音沢トレッキングコースに期待が高まります。


 すぐに橋が架かり左岸へ。この後、幅広の道にある二つの分岐は、道標「八島高原→」、「八島→」へ進みます。


 突然、森を抜けて草原の斜面。昭和21年、この地域に21世帯が入植され、牧畜を営まれたそうでその名残でしょうか。
(11:05)


 再び森に入り、踏み跡を辿れば‥

 林道に出合います。指標「八島高原・御射山→」で左折して、東へ10分弱行くと‥      (11:40)

 右斜面に「山火事用心」の横幕。道標「八島高原・御射山→」が立ち、ここから本格的登山道です。

この時期、沢沿いの道は涼しくてありがたい。
周囲は、シダの群生、苔むした岩、音を立てる清流と自然環境抜群です。


 しばらく左岸を緩く登ると、巨大な岸壁が現れました。圧巻の屏風岩は、高さ数十m、長さ200mほどでしょうか。
(12:05)


 川から立ち上がる屏風岩を避けるように丸太橋で右岸に渡ります。振り返ったところです。ほどなく案内板が立ち‥

 正面の屏風岩中段に千手観音様が安置されていると解説。写真左上の辺りをズームすると‥

 石像。鎌倉時代、御射山の武芸競技前に武将が参拝しました。どう安置したの?(12:15)


 案内板から沢に降りるとすぐ向こう岸の木に赤テープ。(写真中央右の細い木) 左岸へ移ります。
(12:20)


 するとロープ手摺りの木橋があり、右岸へ。渓谷の木橋は5ヶ所ですが、これが最上級。
(12:25)

 高度を上げ、斜面のトラバース道を進みます。この大木は、左から迂回。

◆2連の丸太橋で左岸へ(12:40)
◆2分後、2連丸太橋で右岸へ
◆数分後、丸太橋で左岸へ


 程なく分岐点。直進「御射山→」が正解。標識を見逃し左折して15分ロス。戻り直進し、ビーナスラインの橋梁を潜ると‥
(13:00) 
 日本最古の円形野外式競技場旧御射山遺跡。(モトミサヤマ) 何と本日午前、恒例祭祀が、50名参加で行われました。ランチします。
(12:10)〜(12:50)

 ここは諏訪大社下社の山宮です。神社横のススキで作った鹿は祭祀の名残です。鎌倉時代〜江戸中期の武士達の武術会に倣い、弓で射ちました。



 遺跡からヒュッテみさやま前を通ります。ここでランチしても良かった。道標「八島ビジターセンター駐車場→」から木道へ。
好奇心の扉を開ければ、標高1640mの日本最南端の高層湿原。
1万2千年の時を積んだ泥炭層は8mに達します。
湿原内には木道は引かれず、縁を延びています。

国の天然記念物は裏切らない。お二人は、広大な湿原に感嘆の声。
木道の向こうに霧ヶ峰高原最高点車山1925mの気象ドームが望めます。

年間360種類もの花が、6〜9月に季節の列車で運ばれます。『いつが一番いいの?』
映えるのは、6月末レンゲツツジが周囲の山肌を赤く染める頃、
7月中〜下、車山周辺のニッコウキスゲの頃でしょうか。

(左) ヨツバヒヨドリ      (中)ノハラアザミ       (右)ヤマハハコ

湿原起点の駐車場近くまで、南側の木道でゆっくり30分。
一番の見所八島ヶ池は美しい池です。二分間黙って見よう。
木道は北側に続くので歩きましょう。
(14:30)


 木が湿原に進出しようとしています。泥炭層は、栄養が少なく土が無く、木は高くなれません。場所取り合戦は続く。
北側の木道の端、鎌ヶ池アサマフウロの群生が楽しい。
湿原は一周3.7kmで、2/3の2.5kmが木道です。

この先の旧キャンプ場で休憩したら湿原駐車場に戻り、ビジターセンターへ寄ります。
今朝、センターのお姉さんに観音沢トレッキングコースの様子をお尋ねしました。
(14:55)
 『7月末はOKでしたが、8月の台風で警告の木橋が心配です』 『報告します。橋は大丈夫でした』 『最新情報ありがとうございます』 笑顔で手を叩き喜ばれました。では展示の狐君さらば。
(15:35)
 
 
東海岳行
  “L氏の喜悦” 
 
 今回、観音沢トレッキングコースをご一緒したLさんと道中、話が盛り上がりました。私より10才若く現役の方です。金華山・鳩吹山など低山を集中して登られ、時々野良人さんと鈴鹿に出かけられます。『今日は、初めての本格的な登山です』と話され、渓流沿い美しいコースに喜ばれました。

 八島ヶ原湿原のスケールや花の多さに悦ばれます。私もご紹介した甲斐がありました。これからも遠征登山を楽しんでいただければと思います。さてLさんは、15年前の東海岳行始まった頃よりご訪問頂き、野良人さんに私のHPを教えられたとのこと。今までの道草を思い出しながら‥


トリカブト

ワレモコウ

ヤナギラン 

コバギボウシ

 『定点写真もずーっと見ています。最初はお二人でしたが、家族が増え‥今はまた二人に戻ろましたね(2008.1.3)』 私とひよこさん・家族・わんちゃんを同じ場所で毎年正月に撮り続け、大道草として上げました。印象に残った道草の内容を話されます。

 『ひよこさんの手首骨折も知っています』『鈴之助君とのエピソードも見てます』『貧者の礼服は面白かった(2007.6.21)』『東京江戸博物館(2007.2.24)、ご長男の反抗期に叱ったこと、伊勢湾台風での被災(2007.9.22)‥』 10年以上前の道草もあり、Lさんお記憶力に驚きました。


アキノキリンソウ

フシグロセンノウ

サラシナショウマ
シラヤマギク

 『○○と◆◆の書き込みは私です』 それは、私も覚えています。コアな訪問者に出会えたことは嬉しい。人の心に引っかかるモノを作ることは、シロウトの私には奇跡に近いこと。ビートルズポール『どうしてそれだけヒット曲が作れるのですか?』というインタビューがあります。

 彼は、『毎日、1曲作る。すると1年に1回奇跡が起きる』と応えていました。天才でも努力を怠らない。道草は1年に50作ほどですが、凡人の私に奇跡が1年に1回起きて欲しい。道草では、ネタ探しが難しいのですが、良いエピソードに出会ったり、見つけたりすると創作意欲がわきます。


キオン

タチフウロ

マツムシソウ

アサマフウロ

 見方を変えると単なる自慢話になってしまうので気をつけなければいけません。さて今回のように良い山に出会うととても幸せです。湿原は、お花のテーマパークで多くの花を見ることが出来ました。どう紹介すれば良いかと悩みましたが、小さくて不本意ですがこんな形になりました。

2019.09.03(火)23:00