岳行ノート
宮ノ越の御嶽神社 1188m/長野県木曽町

2021年8月11日(水)


盛夏に多発チチタケ



 中央アルプスを挟んで東が伊那・飯田、西が木曽町・南木曾町です。東西とも長野県ですが、私は西側が岐阜県のイメージなんですね。

 先回、「らっぽしょ祭り」で火文字が炊かれる木曽町山吹山を登頂しました。下山後、信州そばランチして第2山御嶽神社を目指します。

 東南のらくらくコースで往復すれば35分ですが、教科書に示された展望周回コースを歩きましょう。コースタイムは、2時間程度です。


 1188m山頂御嶽神社が祀られ、鉄塔巡視路で辿ります。中津川ICから国道19号線で北上。木曽町JR宮ノ越駅東まで走ります。

 教科書は、信毎書籍出版センター刊「新版・信州の山/南部」です。
<駐車帯>
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大きい地図





三角駐車帯

中乗りさん登山口

鉄塔№110・№55

▲御嶽神社

大山社

三角駐車帯


※赤線はGPS軌跡
●は主な分岐点



■この地図の作成に当たっては国土地理院長の承認を得て同院発行の数値地図50000(地図画像)数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである(承認番号 平17総使、第98号)」


江南発:午前06時30分     晴れ/24℃
駐車地:午前12時20分     晴れ
標高差:(880m→1188m)308m
往:1時間30分(御嶽神社まで、小休止含む)
還:1時間15分(ランチタイム除く)
所要時間:2時間45分


 国道19号線、登山口と下山口の中間点の広い三角駐車帯に置車します。国道を北へ600m歩くと‥
(12:30)


 対面に「酒は中乗りさん」の看板。右見て左見て、車に注意して横断します。右の簡易舗装路を奥へ。
(12:40)


 奥の分岐角に手書の古看板「全面入山禁止」 教科書になく知ってたら来ません。すみません,自己責任で入山。


すぐ植林下の道を進み、中電の鉄塔指標「№110→」からこのトラバース道です。
やがて‥


 尾根に出合い、指標「№110→」で鋭角に右折し左奥へ。登山道右にその鉄塔を見て、緩く登っていきます。
(13:05)



 広くて歩きやすいフカフカ道です。次の関電の‥


 鉄塔№55手前で森が切れ、南東に展望があります。右端:水沢岳2003m、中央右奥:大棚入山西のJCP2320m。


 鉄塔№55を過ぎて振り返ります。中央左ピークは、北西の風吹峠南にある三角点1437mです。ここで‥
(12:25)

給水休憩していると、加齢臭付の汗がしみこんだリュックにヤマキマダラヒカゲ(多分)。
山の友達も給水休憩してるのか、なかなか離れません。



 マツの混成林にかじられたツチカブリ。キノコのファンのみならず、登山者にも関心を引くキノコです。


 登山道の周囲が立派なマツ林になる。松茸わんさか、入山禁止は頷けます。(時期は、9月~11月上頃)


 山頂手前で右下にピンクテープ。下山で利用する山腹道入口です。

そして広い平坦地の西側に鉄の鳥居、多数の石碑。ボロボロの祠、御嶽神社1188m。
朽ちた祠の中は空っぽです。展望はなさそうですが、山頂広地を一周してみしょう。
(14:00)


 南側に行くと南東の野上地区から上がってきた林道の終点です。一周したら山腹道入口へ向かいます。


 山腹道も良い道です。すぐ御嶽神社からの西尾根に乗ります
(14:15)

降ると程なく小さな祠に出会いました。左下に、「御嶽神社」の石碑。
山頂からここに移されたのですね。動物にやられないようガッチリ鉄条網で囲まれています。
(14:20)


 祠から左折して南へ尾根を急下降。ピンクテープを追います。祠から7,8分で右の尾根へ。


 やがて目標にしていた大山社の祠にピッタリ。写真奥で林道に降り、北西に歩きます。
(14:50)


 5分で林道分岐、試しに右へ。国道19号線に沿う良い道が北に延びてました。それで周回したら良かった。


 上写真左奥のゲートを抜けます。ここにも古い「入山禁止」看板。すみませんでした。すぐ国道19号線です。
(15:05)

 北へ400m歩けば、駐車帯です。
(15:15)


東海岳行

  “姿のない来訪者 

 先回に続き山の住人が、体験した不思議な出来事です。石川・岐阜の県境にある白山2702mがお話の舞台になります。豊かな水をもたらしてくれる霊峰は人々の信仰を集め、奈良時代以降は修検者による山岳信仰が盛んになりました。

 里に住む長田さんは、自給自足の生活に憧れ9年前、狩猟免許を修得。農業や林業の被害を防ぐため罠を仕掛け、害獣を捕獲しています。お話は20年前、白山の登山道修復仕事をしていた時の体験です。

 白山を観光で登山したことは1日もなく、若い頃は仕事場でしかありません。多くの登山者が歩くので、傷んだ登山道・丸太階段の整備をしていました。それは1個1個石を運ぶ気の遠くなる作業です。

 
<霊峰白山>
 
<石積みの階段>

 季節は秋、午後2時頃、長田さんは仕事仲間と現場の片付けをしていました。作業道具を集めている間に天候が急変。ガスが立ちこめ、アラレが降ってきたり、雨が降ってきたり、ついに雪になり辺りは急に暗くなりました。

 『もう帰らないでみんなで避難小屋に泊まろう』 非常食は持って来ているし、寝るスペースはあります。ところが小屋は朽ちていて戸がびくとも動きません。大人3人で力を合わせて必死に開けました。中に入り風雪を避けるためキッチリ閉めます。

 『酒持ってくれば良かったなあ』 なかばピクニック気分でバカ言いながら話していると、トップリ日も暮れました。すると外からシャンシャンと錫杖の音が聞こえます。『こんな天気でも修検行者はいるんだ』 シャンシャンが小屋に近づいてきた。

 
<避難小屋>
 
<錫杖>

 ふっと音が消える。突然、屋根の上からギシギシの足音とシャンシャン。上でもお祓いするのかという感じで、『随分頑固な人だ。いや小屋に入りたいのか』 そうこう言っているとシャーッと戸が開いた。簡単に開く戸ではない。

 そこからヒューッと風が入ってくる。しかし、そこに誰もいない。全員目が点になる。小屋にシャンシャンが入ってきた。でも人は入ってこない。『私、チビリました』 みんな信心も無いのに手を合わせ、隅に固まりガタガタ震えていた。

 するとシャンシャンが遠ざかり、ストンと戸が閉まった。何かを確認しに何かが来たのか、何も見えない。動かない戸が開くし、普通でないことは確かだ。怖くて怖くてやり過ごすしかなかった。一睡も出来ず明るくなったら、みんな無言で帰った。

 
<修験者>
 
<白山のお花畑>

 長田さんは振り返る。『あの時はただ怖く、訳がわからない気持ちでした』 でもあれがなければ、無理して下山して途中でもっと天候が悪くなり滑落したかもしれない。今、冷静に考えれば、来て何かを伝え、守ってくれたと思えます。

 多くの人が白山を崇めますが、守られている安心感とか、何かがあるのでしょうね。
NHKBS「異界百名山」より。

2021.08.29(日)22:25