63  “歓喜乱舞ねぶた祭”

 東北三大祭りは、青森ねぶた祭・秋田竿燈まつり・仙台七夕まつりです。今回は、三大祭りのうち二つを見る二大祭りツアーの2日目になります。先回「大道草62」では、秋田竿燈まつりをご紹介しましたが、いよいよメインねぶた祭です。本州最北の地に毎年300万人以上の観光客が訪れます。

 因み昨年の観光客数ですが、秋田竿燈まつりは126万人、仙台七夕まつりは204万人です。青森ねぶた祭の会期は、曜日に関わらず毎年8月2日〜7日。当日、私たちツアー客は午後4時半、会場近くに建つホテル青森の広大な宴会場へ案内されました。『テーブル・イス、凄い!』計算すると450席!(下左)

 JTB阪急旅行社など大手の旅行社のプレートがテーブル縁に立っています。お弁当プラス温かい汁物・料理を取ってきて早い夕食を食べました。その間、舞台では津軽三味線の生演奏。別フロアーでは、祭りに参加する企業が控室を借り、社員たちが着替えていました。かなりシステム化されているようです。


 夕食を済ませたら、5分ほど歩いて観光客用の観覧席へ向かいました。並ぶ屋台が歩道を狭くし、見物客でごった返しています。でもこれが祭り、気分が盛り上がりますねえ。通りのローソンのレジは長蛇の列、外で氷で冷やしたペットボトルのお茶を200円で購入しました。簡易水洗トイレが各所に設置されています。

 私たちの観覧席は鉄パイプで組み立てられ、午後6時40分に上がると2階の窓の高さかから見物できアングルがとてもいい。(上右) 因みに観覧席券は、個人で買うと2600円です。観覧席は青森市の中心部の道路の歩道にあります。その通りは交通規制されそこをねぶたは周回します。


 運行道路は、東西1200m・南北250mの細長い長方形で全長が約3km。午後6時50分、薄暗くなり、灯りのともされたねぶたが入場してきました。(下左) 拍手で迎えます。わくわくしますね。ねぶたの大きさは、幅9m・奥行7m・高さ5mです。私たちの前の道路幅は、12mなので両サイドに1.5mの余裕しかありません。

 4トンの重量を40〜50人で曳きます。ねぶたの蛇行や回転は、この通りでは困難なので交差点で行われます。製作日数2か月、製作・運行等の経費を含めると1台2000万円! そのため東北で営業する企業の参加・協賛は欠かせません。KIRIN、日通、NTT、JR、東北電力等名だたる企業の名が台車の基盤に光ります。



◆商工会議所会頭賞の受賞ねぶた「不動と竜王」

 台車には発電機が積まれ、内側から電球・蛍光灯・LEDでねぶたを照らします。


 祭りは、オール東北で支えられています。今年の参加ねぶたは22台ということなので総製作費は4.4億円になりますか。この祭りの観光収入は青森市最大で1000億円は下らないといわれています。それに東北各県への波及効果が大きいですね。ねぶたの後ろにはお囃子が付きます。太鼓・笛・鉦の構成です。(上左)

 太鼓がリズムを取り、笛がメロディを奏で、鉦がアクセントを付けます。複数の太鼓から出る壮大な低音は腹に響きます。お囃子に続くのが、跳人(ハヤト)と呼ばれる踊り手。『ラッセイラー、ラッセイラー』の掛け声で跳ねる踊りで汗びっしょり。列には幼児・園児も加わり、ねぶたの魂を繋げていきます。(上右) 

 
ヤマト運輸ねぶた実行委員会「羅漢」


 私たちも『ラッセイラー、ラッセイラー』掛け声をかけてあげました。すると跳人は、正装のあちこちに付けた鈴をちぎり、観覧席に投げます。私たちは2つ取ることができ、クマスズにしようと思いました。しかし音が小さい。CMねぶたもあります。「お〜いお茶」や「リポビタンD」などスポンサーです。(下左)


 祭り開始直前に見た巨大な凱旋太鼓がも一周して戻ってきました。(下右) 各ねぶたは3kmの道路を2時間かけ一周します。そうなるると本日はフィナーレ。さてねぶた祭の起源は定かではありません。300年前にその名が出てきたようです。ねぶたは「ねむりながし」の眠りがねぶたに転訛したと考えられています。

 
 

 昔は、紙を透かして光る燈籠はありませんでした。紙やローソクは超貴重品で庶民が祭りに使用することはできなかったでしょう。200年前の祭りの書が残っています。そこには四角い燈籠を10人くらいで担いでいる絵があります。ローソクが普及したのでしょう。そして江戸末期に燈籠が次第に人形へ変わっていきました。

 勇壮華麗なねぶた、乱舞する跳人、夜空に轟くお囃子は三位一体、、、みちのくの短い夏を焦がす熱気あふれる夜でした。ねぶたねぶた小屋へ、私たちは観光バスが待つ場所へ20分歩きます。バスで青森から南下して岩手の花巻まで3時間走り、宿泊ホテルヘ。『遊ぶのも疲れるわ』バスガイドの名言です。

2015.09.23(水)02:50