岳行ノート
大鈴山・鹿島山 1012・912m/愛知県設楽町

2007.6.21(木)江南7時00分発 
          晴れ  25℃
往:4時間15分 (小休止含)
復:1時間50分


 「平山明神山へのルートは、一級の難路なので安易に踏み込んではならない」と山渓社「愛知県の山」「名古屋周辺の山」鹿島山・大鈴山編に書かれています。

 ガイドブックに忠実な私はその訓戒を守っていたのです。がネットで調べるとそのルートを歩いた方が「標識目印等結構人が入っている」と書かれてました。

 それで和市の駐車場から堤石峠まで登り、ガイドブックの難路を辿って大鈴山へ登頂。帰路は鹿島山経由で戻る反時計回り周回を計画しました。


 教科書は山と渓谷社刊「名古屋周辺の山200」です。参考書は「悠々山歩会の山歩き」さん他多数のHPにお世話になりました。
駐車場周辺図



和市P

堤石峠

峠分岐
(ランチ)

小明神

大鈴山


鹿島山

和市P



※色線は実測ではありません。
■「この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)、数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平17総使、第98号)」

下の写真は、和市から東方向を撮ったものです。以前この峰を岩古谷山と思っていました。
この風景を山渓社「愛知県の山」では「和市から見た岩古谷山」とあったからです。
もちろんその山は、もっと写真右にあってここには写っていません。

するとこの峰は?

上の地図、左端に撮影方向を黄色で表示しています。
この写真右端から凹みが堤石峠、次の峰が地図の、その次の峰が(矢筈山)です。
この印象的な奇峰は、岩古谷山から平山明神山に続く尾根でした。ここを往路で辿ります。





 猿投グリーンロードから足助を抜け、和市に来ました。東海自然歩道の駐車場も平日でガラ〜ンとしています。

 今日の日差しは、ドラゴンズレベルまで強くなるでしょうか?
(9:35)
 




 自然歩道を行けば、十三曲がりのつづら折りとなります。
 



 淡青紫色のコアジサイが時々現れる。ほのかな香りが、リラックスさせてくれます。自然の演出家は、五感を刺激し手を抜きません。




 つづら折りのゴールは堤石峠です。風を受け冷たい緑茶をグビリ。行く先には、手作り道標が[手袋必携コース]とある。身震い一つ。
(10:20)

その通りでたちまち岩場が出現します。高度がそれほど無いので怖さはありません。
足場はきちっとあり、ロープの助けもありがたい。しかし
 


 ひよこさんは、私の5倍ほど時間をかけ自らの体重を持ち上げます。待つ間、岩棚で和市の風景を楽しむことができる。

 この時点ではまだ余裕があり、面白くて楽しいコースだと思っていました。その後、
 
 いくつもいくつも現れる岩場のピークを乗り越えねばなりません。でも自然林のいい尾根です。要所にあるテープ、赤い道標が暖かい。

 ん、岩古屋?突っ込むと悪い。
きっと名古屋の人が作ったのでしょう。
(正:岩古谷)
 




 私が力技で降りられてもひよこさんが無理なら、それがルートの変更基準。探せば女性に可能なルートが必ずあります。
(1)登山口に咲いていましたユキノシタ (2)欠けた花びら野バラ (3)あちこち見つけシモツケ (4)チョットひっかけて来てゲロッ(ヤマヒキガエル)

 変化に飛んだコースでしたが、私が8割がたエネルギーを消耗、ひよこさんがガス欠寸前でヘロヘロです。
やっと大鈴山平山明神山の分岐に着きました。ここまで3時間15分、時間かけ過ぎ!
(12:50)〜
   涼しい風が小走る岩壁前でランチにします。
あの壁を越えたら平山明神山山頂と思い食事後、私一人空身で左から回り込みました。
 5分で標柱に出会い、ここは小明神山頂であると知らされます。
最高峰はまだ15分ほどかかりそうです。諦めて樹間から西の覗きの岩峰を撮りました。
4年前、あそこでランチしたのが懐かしい。あの日も暑かった。
(13:40)
 左)休憩充分で元気回復したら一級の難路を辿り大鈴山へ向かいます。でも、もう岩場はありません。
右)20分弱で鞍部‥ここがグミンダ峠?が足元には止め枝、幹にはテープがバタバタと付いています。
真っ直ぐ進まず右へ鋭角に曲がり、トラバースすればまた尾根一本道です。この箇所が難路かな?
(13:45) <‥手ぶれ防止付カメラが欲しい>




 8分で本当のグミンダ峠です。変わった名前で由来は残念不明。ここから大鈴山までトホホの直登180m。
(14:10)
 

 とりあえず一歩一歩ゆっくりと行きます。途中休みを入れ、20分ほどで笹尾根に登り着きました。一級の難路は、これで終了です。

 ガイドブックにそう紹介されたので皆でテープ・道標を充実させたのでしょうか。普通登山道でした。でも私達の疲労は超一級!


 <‥100gの三脚が欲しい>
 頂上を前にしてバテたひよこさんは、待っていると言う。一人で5分歩いて大鈴山1012m山頂です。
東の切り開きは展望がありますが、午後の乱反射で山並みはシルエット。
西の切り開きは樹木が伸び、身長が2m30p以上ないと展望は無理です。
(14:45)
 



 もうこの先には大きな登りはありません。しかし疲労のスパッツを着けているのか足が重い。

 <‥手ぶれ修正のソフトが欲しい>




 降って鹿島山912m山頂です。三角点は無いけどシンボルの大岩が鎮座しています。展望はありません。(15:35)

そしてジグザグ植林の斜面を降ります。
カキノハグサが林床のあちこちで咲いていました。
東海・近畿地方に見られ稀なもので、もちろん初見です。

(6/25)せきすいさん、同定情報ありがとうございます。


 やがて山腹の池葉守護神社に着きます。天然記念物指定を拒む大杉(8.1m幹周)。地元の方に『みんなの杉だから』と言われました。

 実は、昨年12月第三日曜にこの山を予定していましたが、ヘルニアとの戦闘で中止。毎年その日11時からここで祭礼が行われます。
(16:00)

 暑かった一日。日焼け止めクリームが乾燥してパリパリのひよこさんからいつもの口癖が出ます。

 『今、たった今、美味しいソフトクリームが食べたい!』 パリパリ
(16:35)

◆6/25本屋で「新分県ガイド・愛知の山」を立読みするとこの周回コースが紹介されています。需要がある所に道が出来ると思いました。


東海岳行
    貧者の礼服

 今、彼女は三歳の男の子と二人‥貧しかった。

 10年前、両親に勘当され男と夢を追って都会に出たのです。案の定、夢破れ離婚し古里の隣町で細々と暮らしていました。そして数年経ったとき、突然姉から連絡が入り父親が急逝した事を知ります。『ヨウコ、どうしているかな』と彼女のことを気遣っていたそうです。『明日、告別式よ』と電話は切れました。

 彼女は、小さい頃の父親との思い出に涙を流す。式には出席したい。しかし‥礼服が無い。給料は出たばかりだが、服を買えば今月食べていけない。しかしその夜、近くの大型店に行き婦人服売り場で礼服のスーツを現金で購入しました。黒い靴はある。バックは持たなければいい。

 翌日、子供と一緒に式場へ出向きトイレで礼服に着替えました。一般参列者として出席しお焼香したのです。幼子は練習したとおり小さな手を合わせてくれました。驚く身内の視線を一身に感じる。斎場に向かう車を見送り、再び彼女はトイレで着替えました。その後、あの大型店に向かったのです。

 売り場に行き、きちんと畳んだ礼服とレシートを差し出します。『昨夜、身内が危篤になり礼服を用意したけれど回復したのでもう必要なくなりました』と返品を申し出たのです。店員はいぶかった顔をしましたが、中身を確認し返金してくれました。その店で夜の食料品を買い、子供と家へ帰ったのです。

 数日後、姉から電話で『お母さんが、四十九日には孫と一緒に家族として来て欲しいと言ってるよ』と知らせてくれました。彼女は泣きました。しかしその日の‥





 礼服が無い!

2007.6.24.18:43