岳行ノート
岳  781m/東近江市

2007.11.23(金) 江南 6時20分発
  曇り時々晴れ(強い北風) 5℃
往路:2時間40分 (小休止含)
復路:2時間10分


尾根の鉄塔から御池岳方面の眺望
(下に土倉岳とT字尾根)


 先日の雪で通勤途上に見える藤原岳伊吹山が冠雪しています。滋賀県に入る峠は通行止めとなり鈴鹿の峰々を登る計画を変更しなくてはなりません。

 何にもまして踏み跡がない雪の登山道は怖い。今回も三つの登山プランを持って滋賀に走ります。現地で雪の様子を見て決めるつもりでした。

 そうして決めた(ダケ)は、日本一の山なのでいつか登りたいと思っていたわけです。単独で登りました。


 教科書は、中日新聞社刊/西内正弘著「鈴鹿の山 万能ガイド」です。
駐車場周辺図

駐車地

林道入口

登山口

R179



R178



駐車地


 ※色線は実測ではありません。
■「この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)、数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平17総使、第98号)」




八日市インターから永源寺ダムに着きました。
標高934mの日本コバが、等高線に合わせる様に白雪をトッピングしています。
これなら800m以下の山を選択すれば、苦労しなくてすみそうです。



 そこでダムから標高781mのに向かいました。八風街道から御池川に沿って折れ、政所(マンドコロ)集落の廃品集積所横に置車します。
(9:15)

 宮の谷林道を歩いていくと川の手前でこの分岐になり右の道へ入ります。(9:20)

 さらに川沿いを進むと再び分岐に出会い右へ上ります。※木が白いのはハレーション(9:40)
 



 林道は、最後にこの堰に当たり終点です。写真左の暗所に登山口があります。中電の鉄塔巡視路表示が、その道標代わりです。
(10:00)
   


 谷から上に向かって登ると植林の急登尾根が待ち受けています。我慢の高度稼ぎに専念。

 やがて稜線に近づくと葉が落ちた木々の間から強い北風をまともに受けます。そして道の右にそびえ立つ鉄塔L179に着きました。

そこから見る白い山が鮮烈。
左の三角錐が天狗堂、右に御池岳のテーブルランド。
秋を一夜で冬に変えた季節の勢いを感じます。
(10:40)
 



 周りの尾根では、強引な冬に上書きされた秋が震えているようです。表示板でR179を確かめ、そんな季節ミックスを踏んで歩きます。
 


 樹脂階段を登りながら考えました。これだけ山に出かけても今まで鉄塔巡視の人に会ったことがありません。いつ検査するのか?

 多分その人の趣味は山登りではないだろう。そんなことを思っていると上からカ〜ン、カ〜ンと鉄塔を叩く金属音が聞こえます。『お、点検中?』
 
違いました。凍った雪が、上の碍子から融け落ち鉄塔に当たっていたのです。
このR179から見渡せば、くっきりした山並みに心が揺さぶられます。

左端の御池岳は10/28、鉄塔右の藤原岳は11/13に登ったのですが‥
ついこの間の思い出は、雪にパッケージされてしまった。
その右側には、静ケ岳竜ケ岳が双子峰のように並んでいます。
(11:00)



 振り返ると日本コバの下、愛知川に沿う八風街道。ここで展望ランチにしたいけど辛抱して鉄塔から南へ降りました。
(11:15)

 すぐY字分岐ですが、左を選ぶと鞍部に着きます。一度小ピークを登降すると‥
 



 鈴鹿らしい明るい雰囲気、晩秋のコバです。名残惜くていかたありません。何度も何度も振り返り、秋の最後を目に焼付けました。
(11:30)
 


 やがて人工林の鞍部に出ると雰囲気が一変します。谷のような溝地を登ると突然の大杉です。幹周は4m以上かな?
(11:40)

 この溝地を登りきってから左の高見を目指します。尾根に出たら右へ歩き‥


 の山頂は切り開かれていますが、展望は残念賞です。では雪見ランチにしましょう。
(11:55)〜(12:25)

 座って登山パンツの裾を見るとスパッツを面倒がったため、はなはだしい汚れ‥反省。質素な食事が終わったら南へ降ります。

針葉樹の葉には雪が残り重そう。その下を潜ると

すぐにこの広い二次林になり、大きなヌタ場があります。
向こう側に回りこみ進むと下にも小さな二つのヌタ場が見えました。
そこからは注意深く西へ進み、尾根の突端のような場所を探します。

 このテープの目印を見つけたのは良かったのですが‥ 西北西を目指すべきなのに歩きやすい所を探すうち、右へ右へといつか北へ降りていました。
(12:40)

 辺りは急斜面でガレた足場が脆く崩れやすい。『集中!』真性の尾根に戻らなくては‥ところがまたもや右へ右へ流れてしまう。私は骨盤が右上がりで、どうも体が右へ傾いているようだ。‥方向音痴の言い訳
 

 やっと正しい尾根に向かう巡視路があり、鉄塔に着くと一安心。下に黄和田の集落が見え緊張緩和の小休止をとります。
(13:20)

 ここから植林下の踏み跡を辿れば、最後の鉄塔に着くことができました。
 


 さらに降りると溝道になりモミの大木下に堰堤が見えます。先には杉の古木があり、寄り添う岩谷三社祠で緊張から開放されました。
(13:55)
 

 周囲には、城址の石垣が何列も並んでいます。ここからガイドブック通り集落裏に出ますが‥。興奮した犬が猛り狂って吠えまくる。

 つながれているけど怖いので草むらに回り込み舗装道に出ました。どうもこの石垣の奥に先ほどの祠と舗装道への参道があるようです。
(14:10)
 

 なぜなら舗装道を進んでくるとモミジの祠に出会います。ここから林の中へ延びていく参道があったのです。『あ〜あ、やれやれ』
※参道はガイドブックに点線で表示有り

 愛知川の紅葉を愛でつつ、道を間違えないよう駐車地まで20分ほど歩きます。
(14:35)
帰路、永源寺ダム湖沿いにとんでもなく美しいグラデーション並木を発見。
その湖畔から見ると日本コバの雪がすっかり消えています。

モミジが見ごろの永源寺前の駐車場は、観光バスも待ち並んでちょっとした渋滞です。
最後の紅葉狩りの騒ぎを後へ流し、アクセルを家路にゆっくり踏み込みました。

登頂したは日本一短い山名です。山にってシンプルの極みだ。
字数の日本一はエサオマントッタベツ岳(1902m/帯広市)と
カムイエクウチカウシ山(1979m/北海道新冠郡新冠町

因みに読み方で一番長いのは牛奥ノ雁ヶ腹摺山(ウシロノガンガハラスリヤマ)
標高1995mで山梨県大月市。北海道は遠いけど山梨ならいつか行けそうです。


東海岳行
     沈黙の夫婦

 今秋、長野に出かけたときホテルに一泊しました。夕食の予約時刻になりレストランへいそいそと二人で向います。案内された部屋にはテーブルが四つあり、私たちとほぼ同年代のご夫婦がそこに座って料理を待ちました。一応、懐石料理なので順に一つずつ運ばれます。

 『美味しいね』『何だろ、これ?』『どーやって作るのかな』など他愛もないお喋りをしながら食べてました。ふと気付くと4組中2組は、一言も会話をせずに料理を口に運ぶだけ。旦那さんは難しい顔してたり無表情だったり、隣室のけたたましい団体さんとは好対照。‥沈黙の夫婦だ。

 友人が似たような話をしてくれたことがあります。彼は子供たちが幼い頃は、よく家族旅行をしていたそうです。子離れしてから奥さんとしばらく温泉など行っていたのですが、その後なぜか夫婦旅行はまったく消滅しました。ただ奥さんは成人した子供たちとは旅行していたようですが‥

 ところが、どうしても二人で奥さんの田舎へ行く用事が出来ました。そこで実家まで長時間ドライブしたのです。その時のことを彼が半笑いで私に話してくれました。『俺たち実家に着くまで3時間、一言も喋らなかった。すごいだろう』‥沈黙の夫婦がここにもいる。

 話は変わりますが、以前テレビの「特命リサーチ200X」という番組が好きで欠かさず見ていました。その日のテーマは“すれ違う男女の会話”でした。男の会話の特質は一言で言えばプライド、ようは自分が相手より優位に立とうとする会話スタイル。私も男だからこれは良く分かります。私もそうですし‥

 例えば、会社帰りの酒席で『うちの部長は上向いて仕事してる』『あんなやり方じゃあ、どうなることやら』『好き嫌い人事は会社をダメにする』と愚痴ります。裏を返せば“俺の方が勝っている。自分ならもっといい結果をだせる”と同じ意味です。つまり自慢話ですが、女子はお見通し。そう私も言っている。

 自分が一番だとか、自分が正しいとか、プライドの高い男性はいくらでもいます。そういう人は、まさに男らしいさを剥き出している人だ。だからその人のプライドを傷つけると大変です。だから男の人と話すときは、その人のプライドに配慮すればうまく会話が出来るということです。

 さて女子の会話の特質は共感です。和を乱さず相手と協調しようとします。これを理解することは私には難しい。例えば会社で上司にひどく怒られた女子がいます。あなたに『頭にくるわ』とそのことを話し出しました。聞いた後『馬鹿だなあ、そういうやり方だと怒られる。事前に準備し、部長に確認するといい』と教えてやります。

 良くあることです。ところが女子はそんな助言を求めているのではないという。『あなた、上から目線で何言ってるの』とむくれてしまう。まず話をしっかり聞いてあげる。これが共感の第一歩。『遅くまでがんばって君は良くやった』と共感してその後でアドバイスをすれば、女子は気分がいいそうです。

 番組の結論は、男女が会話するには相手の特質に合わせると良いという内容でした。『あ〜もう少し早くこのことを知っておれば‥』と悔やんでも後の祭り。

 さて仕事場では日常的な男性のプライド会話を家庭にも持ち込んでしまうと‥ “おれ利口、おまえ馬鹿” “おれ正しい、おまえ間違い” さらに女子の特質である共感を無視し、奥さんの話にも聞く耳を持たない。こんな夫婦関係が長年続けば、愛で結ばれた二人はどのように変わっていくのでしょう。我が家では‥『う〜ん』

 先の友人が、この春ぽつんと私につぶやきました。『俺も仕事辞めたら山に連れていってくれないか』驚きました。彼は酒タバコ、そして大食漢です。その体重で今も膝を痛めているほど。とても山歩きの体型ではないし、元々身体を動かすことが嫌いでした。だからその頼みは余程のことだと思ったのです。この続きはまた‥

 

2007.11.25/21:00