岳行ノート
高畑山・溝干山 773m・770m/滋賀県甲賀市

2008.4.5(土)江南7時45分発
           晴れ  8℃
往路:2時間10分 (小休止含)
復路:1時間55分 


高畑山より溝干山への県境稜線
(タカハタヤマ)(ミゾホセヤマ)        


 新名神高速道路が2月23日に開通しました。早期開通割引を6月30日まで実施中でETC時間帯割引も重複適用。大判振る舞いだ!

 一度利用しましょう。亀山JCTから一区間だけ甲賀土山ICまで走ります。ひよこさんは明日、イベントがありそれに備えてお休みです。

 この二山は、三重県側にある不老谷林道で周回しました。そこで今回は、滋賀県側の白石林道などを利用して周回します。
 
 教科書は、中日新聞社刊 西内正弘著「地図で歩く鈴鹿の山」です。
駐車場周辺図
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最後の堰堤

尾根

高畑山

溝干山

林道出合




※グレイの線は林道
※色線は実測ではありません。
※下山口は予定地点

■「この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)、数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平17総使、第98号)」



我が街で一番好きな桜です。この木曽川の堤には連続的に桜が植えられています。
でもこの古樹は少し仲間はずれ。誰がいつどんな気持ちでこの場所に植えたのでしょう。
そんなことに思いをはせ、この桜を見ると春の暖かさ、人の温かさを感じます。


 新名神高速道路を走りました。亀山JCからは3車線で快適です。高架橋やトンネルを抜け甲賀土山ICで降ります。

 国道1号線に入り鈴鹿峠方面へ4km進み、蟹が坂の小さな交差点を右折です。宮の川のコンクリート橋を渡り林道を右折。

 ガイドブックの駐車地Bに置車しました。静かです。
(10:35)




 来た道をこの三叉路まで戻ります。ガイドブックには無かったチェーン・ゲートが新設されました。通行の注意書きがあります。
(10:40)





 この白石林道では、崩壊が何箇所も起きていました。注意をすれば、歩くには問題ありません。が、車の進入は危険です。




 45分休まず上り、林道終点到着です。一息ついて山道へ入りましょう。奥の堰堤を左に渡り右岸にある踏み跡たどります。
(11:20)




 水音に沿った時々のテープで案内されました。やがて先が荒れ、行き止まりです。左上すぐに山腹道が見え急登開始。
(11:40)


するとこの岩場があり、良く見ると踏み跡が登っています。ピンクのテープも見えました。
先の大岩を回りこみ、そのテープを追い強引に岩に足をかけます。





 枝尾根に登り着きました。ここから見ると、もっと岩場を右へ回り込めば楽に登られる斜面がありました。『あれあれ‥』




 そこから高畑山の北尾根へは、アセビと笹の海を泳ぐとたどり着きます。山頂が見え、方向を決め、さらに泳ぐ‥
(12:20)

泳いで泳いで息があがる頃、ようやく三角点にゴールタッチできました。

変な所から出てきた私を見て休憩していたご夫婦が驚かれます。
『ガサゴソ音が聞こえたので熊かと思った』『人畜無害のプーさんです』
朝走った新名神の高速道路が良く見えます。四周大展望、今日は底抜けに明るく風も無い。
(12:45)〜

 直下の大石に腰掛けてランチです。見た目は良さそうですが、実は傾きがあり、ちょっと不安定。以前もここでひよこさんと休憩しました。懐かしい。
〜(13:10)

 この単独の蛾も暖かな日差しが気持ち良さそうです。カメラを近づけても気にしてません。

 wolfgangさんから 「ヒオドシチョウ」と教えていただきました。蛾ではないのか‥『ちょうか、知らなかった』





 さて、そろそろ歩きましょう。頂上から次の溝干山まで県境稜線をなぞります。登ってきた道と違い単純明快で楽なものです。




 やがて溝干山北峰。そして山頂を目指すため左折しました。ピストンして戻ったら右端の赤杭から北西尾根を降ります。
(13:30)




 登り返して5分で溝干山山頂。ピークハントだけで特にコメントはございません。早々に戻ります。
(13:35)





 北峰からの尾根道は、ヒノキ林になり道筋は比較的わかりやすい。とにかく方向を定め降りていきます。


すると崖のロープ降りになりました。洗濯物を吊るすくらいのロープは心もとない。
その細さは、今までのナンバーワンです。
この荒れた道を過ぎると右尾根に誘われますが、まっすぐの尾根を降りていきます。
(14:15)




 しかし知らぬ間に尾根を左に流れ、慌てて戻ると谷を降りられそうです。石積みに来ると下に地道の林道が見えました。
(14:40)
 




 しばらく行くと林道は、随分きっちっとした道になります。『出来たては、こんな風なんだ。いい仕事してる』感心しきり。
 



 時の流れを忘れ、ぼーっと歩いていると‥不意に見えた愛車。寂しい山の中でひたすら待っていてくれ、いとおしほど。
(15:10)

 車に乗るとそこは、我が家へとつながる空間、気持ちは先に飛んでいきます。。。。。

甲賀町ので車を停めました。向うの左ピーク高畑山から右の溝干山に伝わる稜線の波‥


目を転じると段々畑の直線がいくつもあります。
それは幾年、幾人の努力の積み重ねで出来たのでしょうか。そんなことを考えていると、
この風景を作った自然や人々に感謝の気持ちが、湧き上がってきました。

『ねえ、あの桜は、いつ、誰が植えたの?』
お爺ちゃんと小さなお孫さんが植えたの?
里の桜を見ると、ここでも春の暖かさ、人の温かさを感じられます。


東海岳行
     “タマツクリさんの厄除け”
      

 当時、同年同月生まれの同僚が職場にいました。彼は満40歳のとき『今年は本厄なのでお祓いに行きましょう』と私を誘ってくれたのです。男性の数え年42歳(女性は数え年37歳)は、厄年(本厄)で災難に遭いやすい年として身を慎み厄を払い、厄除け祈願のお守りを買ったり、祈祷をしてもらわなければと言うのです。

 そういうことにこだわる人っていますよね。知識を教えてくれありがたい。そこで名古屋駅で待ち合わせて名鉄国府宮駅へ向かったのです。行き先の国府宮神社(稲沢市)では、毎年旧暦の1月13日に超有名な「はだか祭り」が行われます。
 
 駅から近い境内に入るといきなり大変な人です。ごったかえすなか、受付で厄除け初穂料(現在は5000円)を奉納し、列に並びました。

 あまりに列が長く、随分待たなければいけないかと思いきやどんどん吸込まれていきます。廊下を歩き拝殿に入るとこれがまた広く、小学校の講堂くらいに感じました。

 『これなら100人以上でも大丈夫だ』そして前から順番につめて座ります。私たちは正面に向い左端です。やがてびっしり人が詰まるとご祈祷が始まりました。

 白装束の神主さんがお祓いをしていますが、日本語なのに悲しいかな意味不明です。きっとありがたいお言葉だろうと全員が正座で頭を下げて拝聴しています。やがて神主さんがこちらを向き、大麻(オオヌサ)を振り出しました。突然、大声

『どうか、タマツクリ サクジロウの病気を治してください!』


 厳粛な静けさが引き裂かれた。驚いて声の主を探すと集団の中央で頭を深く下げ、頭上に両手を高く上げ必死でこすっている人がいました。恥も外聞も無く訴えるくらいだ、どんな病気なのか?よほどひどいのだろう。しかし神主は動揺も見せずご祈祷を続ける。すると1分もしないうちにまた‥

『どうか、タマツクリ サクジロウの病気を治してください、治してください!』

 彼は懸命です。私たちは顔を見合わせ小声で『このままだと彼一人に御利益を持っていかれそうだ』とささやく。二人は、慌てて同じように頭を深く下げ、両手を上にして拝み倒します。元は取らなくてはと「立身出世! 貯金倍増! 体力絶倫!」など急いで思いついたことを浅ましく念じたのです。

 神主が前に進みでて、更に大きく大麻を振る。彼にいっそう近づいたので、ひときわ甲高く

『タマツクリ サクジロウの病気を治してください!』

 その時、間髪いれず後方から大声

『よしわかった。病気は治る!!』

 迫力があり、いいツッコミだ。周りの人が笑いを堪えています。タマツクリさんはその声で気を静めたのか、もう叫ばなくなりました。やがて儀式が終わり、ご祈祷を受ける人の入れ替えになります。外に出ると私たちは気分も一新し、駅に向かいました。タマツクリさんを探しても人が多過ぎ、わかりません。

 あれから何十年も経ちましたが、彼の病はきっと治ったと思います。なぜならあの時、私が願ったことは、その後一つも叶いませんでした。

 やはり彼の強い願いが、あの場のご祈祷のすべてを吸収したのでしょう。でもその後、私は彼ほど深刻な病気にかからなかったので、それはそれで良しと思っています。

 お祓いを受けた数日後に国府宮神社から「お神酒(オミキ)、お守り、お札」が自宅に届きました。今でもまだ、お神酒以外は大事にしまってあります。これは一生モノなんでしょうか?どうしたらいいのかわかりません。

 さて厄除けは、あの時でもうすんだと思っていたら、会社の人が『数え歳61才のときもあるのですよ』と教えてくれました。よし、その時は「燃料値下、腹囲縮小、年金増額」を祈願しよう。ところが、実際にご祈祷されるのは「厄除け、家内安全、無病息災」だそうです。欲をかいていけないようです。

※名前は仮名です。
2008.04.07/23:40