岳行ノート

斑尾高原〜袴岳 (1135m)/新潟県妙高市
2009年5月9日(土)


新潟で出逢ったギフチョウ(赤池周辺にて)



 斑尾(マダラオ)高原は、新潟県の妙高市と長野県北部の飯山市に広がっています。この湿原に咲く水芭蕉リュウキンカ(立金花)は、すごいそうで一度は見てみたい。

 また袴岳(ハカマダケ)は豪雪地帯にあるため人の手が入らず、自然が手付かずに残っています。しかし黄金週間に行けば、渋滞の藪に突入するのは間違いありません。

 混雑を避け翌週末にすれば、いくらか空いてるかと考えました。しかし新潟までは、往復600kmもあり日帰りは超ハード。そこで前夜泊をすることにしました。


 このお泊まりは以前、失敗したことがあり不具合を改善して私が単独で試みます。さて、お目当ての水芭蕉&リュウキンカは、いかがでしょうか。


 教科書は、信濃毎日新聞社刊「信州高原トレッキングガイド」です。現地の花情報は、「斑尾観光協会」のHPで確認しました。
駐車場周辺図
 [−]:縮小 [+]:拡大




無料P沼の原湿原→万坂峠分岐→袴池登山口→

△袴岳→トレイル分岐→赤池(迷道)→小川出合→無料P


※色線は実測ではありません。※青線は車道・林道
■「この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)、数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平17総使、第98号)


江南:前夜19時00分発
  13℃/晴れ、駐車地に戻れば27度
往:2時間45分(小休止含)
復:2時間20分(道迷い時間除く)




 前夜泊の小布施PAから豊田飯山ICを出ると40分で沼の原湿原の駐車地に到着。正面案内板から降ります。
(7:25)

数分で湿原入口に着くと広大な湿地にうねる木道。そこでルートマップの掲示板を見ると‥
どこに水芭蕉リュウキンカが群生しているか一目で分かるようになっていました。
入口から奥の白樺林までは500mくらいあるでしょうか。さらに湿地は右奥へと伸びています。


 小川があちこちにあり水芭蕉がこれでもかと密生していれば白い川のようです。水に浸かって溺れている花もあります。


『どんだけ!』歩いても歩いても水芭蕉、お見事。
そして水芭蕉の大群衆に別れ、湿地から離れます。



 やがて車道へ出て右へ200m歩くと再び山道ルート。右端の白いものは、融け遅れた雪です。
(8:40)

 5分で万坂峠から上って来た道と合流し、そこを右折して斜面を登ります。





 すると小さな湿原。といっても我が家より百倍以上の広さですが。この袴湿原を抜けると‥




 ハート型の袴池?。ここから登山道に入ります。袴岳は、お隣の斑尾山1382mの北に位置し標高で250m低い。
(9:15)



 斑尾山はリゾ−ト開発が盛んです。ところが目指す袴岳は積雪が、5mに達することもあり開発を逃れました。

 お陰でブナを中心とした樹高30m級の森は、ため息が出るほど素晴らしい。クマの爪痕も見かけました。


 直登道は、折り道に作り変えられ『いいなあ、すごいなあ』と独り言を言っていたら三等三角点の山頂です。

 新緑には小虫が集う。わずらわしくないベンチを選択して展望ランチ。
(10:10)〜(10:35)
東に開け妙高山2454mは百名山。外輪山に囲まれた中央火口丘‥昔は暴れん坊だった名残り。
カメラを向けると遠慮ない小虫たちが飛び回ります。やれやれ、一匹だけの写り込みで済みました。
帰路は「信越トレイル」が北へ降りているので、それを辿って戻りましょう。


このトレイル(長距離自然道)は、新潟県と長野県の県境である関田山脈を縦走します。
斑尾山から始まり万坂峠袴岳とつなぎ天水(アマミズ)1088mが最終地。
全長80kmが、昨年9月整備されたばかりです。





 下山もフレッシュな空間。昨夜、空が緑色のペイントを降り注いだようです。一気に山々が、新緑模様を描いています。




 やがて鞍部に着き、ここで尾根に進むトレイルと別れました。緩やかに山腹道を降ると‥
(10:55)

1)リュウキンカ[沼の原湿原]   2)エンレイソウ   3)アズマシロカネソウ   4)ショウジョウバカマ 

ファンタスティック!野草が咲き乱れるお花街道、ここはアズマイチゲがメイン・キャストです。
沼の原湿原は今頃きっと大変な人でしょうが、この天国は私の一人じめです。

1)キクザキイチゲ(紫色のアズマイチゲと思いました)   2)ヤマエンゴサク    3)ミヤマカタバミ    4)タチツボスミレ このコマは、パープルでコーディネート。


 林道に出合うとバイクのお爺さんがフキイノトウを採っています。花が開いたのはダメで蕾を天ぷらにすると言ってました。
(11:35)

 途中、東屋で振り返ると袴岳が思ったより柔らかい姿です。




 ダムの赤池に着くと観光客がいて私のスイッチが切替ってしまいました。もう登山が終わった気分になったのです。
(12:10)


 案内図で確認すると池沿いに二つの登山口があります。この道を登ると車道へ出ました。間違えたと思い戻ります。

 もう一つを登ると、とんでもない方向の道標を見て驚く。結局、最初の登山口が正解でした。45分間、油断の迷走!
(13:00)

 このルートは「赤池ぶな林トレイル周遊」 先ほど勘違いした車道を横断し、尾根に登ると平坦な明るい森です。

 降ると水芭蕉咲く小川に出合います。花が終わった70cmもの葉にビックリ。サラサラ流れの源流に向かうと‥
(13:30)



正面奥に斑尾山が覗いています。出発地の沼の原湿原に戻りました。
ガイドに案内された観光客が、木道を一列で歩いています。
帰着した駐車場は朝3台でしたが、沢山の車が道路まで溢れている。気温27度!暑い暑い。
(13:40)

この斑尾高原は ♪うさぎ追いし かの山〜 唱歌「ふるさと」発祥の地。
作詞家高野氏の出身地で「かの山」は斑尾山、「小鮒(コブナ)釣りしかの川」は斑川です。
現在、斑尾山にはスキー場やゴルフ場、麓にはおしゃれなペンション・ホテルが80軒並んでいます。

『よくこの湿原が残されたなあ』
そんな思いを抱きながら空いた高速でおうちに向かいました。


東海岳行
  “前夜泊しよう”      

 日曜日に「友遠方より来る」ため週末の斑尾高原は土曜日に日帰り予定でした。遠距離なので休日高速1000円は必須条件です。しかし日帰りは、強行軍なので前々から考えていた前夜泊をします。この言葉は、9年前に八代竜也著「岐阜の山歩きベスト55コース」のコラムで知りました。

 それは目的の登山口に前夜に着き、車中泊かテント泊するという内容です。そして私は大川入山大台ケ原御岳山で試みました。前者の二つはまずまずでしたが、御嶽山濁河温泉登山口は完全に失敗。駐車場が傾斜地で硫黄の匂い、モーター音と劣悪環境のため眠られず撤退を余儀なくされました。

 当時、車はCR-Vで前後のシートを倒せばフラットの仕様。しかし実際は小さな凹凸があり、真っ平らでなく身体が落ち着きません。また慣れない寝袋では、ぐっすりの睡眠は困難でした。それ以来、車中泊は行っていません。でも少ない経験から得たこともあり、いつか再挑戦をしようと思っていました。



 今回の最大の理由は、車がCR-Vからエクストレイルになったことです。それにより車中泊環境を次のように改善することができました。

<課題の改善>
(1)エクストレイルのラゲッジスペースは174cm長の完全フラット。これで寝室は真っ平になりました。
(2)そのため慣れない寝袋は止め、慣れ親しんだ寝具・パジャマを使用します。
(3)駐車場は登山口ではトイレ・水場に難が有り、道の駅や高速SA・PAが安心。朝の温かい飲み物も容易です。

 『樋口くん事情が変わった!』以前と決定的に違うのは、休日高速1000円の登場です。これを利用しない手はありません。



<その段取り>
(1)前夜、金曜日に夕食・入浴・歯磨きを済ませます。
(2)その後、車で高速を走り、登山口に近いサービスエリアで前夜泊。
(3)翌土曜日早朝、近くのインターチェンジから下り登山口へ向かう。これなら高速料金は1000円です。

<その他>
(1)銀マットでウインドウシェードを作り窓にセットします。(プライバシーと断熱用)上写真
(2)耳栓・ドリエルやウット(睡眠導入剤)熟睡を確保。
(3)電池式蚊取りも用意します。

 登山体力確保のため睡眠を最低6時間はとりたい。今回、往復600kmですが、こうすれば一日300kmほどの運転ですみます。この方式に慣れれば、金曜夜に出て日曜夜に帰宅する2泊3日もできるかも。

(↓今夜のお宿)
 
<実際に前夜泊してみて>
(1)駐車地に着いたら、寝るだけ準備をあらかじめしておく。寝る前、車内で動くと体温が上がるため。
(2)気温は到着時14度、起床時14度と絶好でした。車内は只でさえ厳しい環境。10度〜20度がその実用範囲と思えるので夏と冬はしない。
(3)銀マット1枚敷くだけでは、わずかな凹凸をお尻が感じた。クッションが必要。窓の銀マットは、直射日光や湿度で伸び縮みするので困ります。やはり発泡スチロールかな。

 今回は、一夜のお宿として6時間の熟睡ができ満足のゆく結果でした。



 さて話は変わりますが、この休日高速1000円についてわからないことが二つあります。

 通常の利用料との差額は、国の税金で補てんされます。例えば3000円かかるところは、利用者は1000円を払います。@その差額の2000円を補てんする。Aだけど従来、休日は100kmまで半額ですから、その料金1500円の差額500円を補てんする。どちらでしょう?

 高速をETC走行すれば、50円につき1ポイントのマイレージポイントが付与されます。ポイントを貯めると点数に応じて無料通行の還元があります。利用料金が、3000円かかるところを@現在の1000円ポッキリなら付与は20ポイントですみます。A従来の半額サービスなら1500円ですから30ポイントです。

 ただ1ポイントの価値は、2円〜8円と幅があります。平均5円とすればAと@の差は50円です。つまり高速道路会社は、この場合ポイントサービスの負担が50円減ります。500円を補てんするとした場合、国はこの分50円を差し引いて450円の補てんにするのでしょうか?


 しかし一番大きな不思議は、2年間経過したら高速1000円はどうなるのでしょうか?継続かサービス内容を変更して‥
2009.05.11(月)16:55