岳行ノート

白草山・箱岩山 1641m・1669m
岐阜県下呂市


2009年6月7日(日)

白光と緑光、そして青空
<白草山(シラクサヤマ)山頂のシロヤシオ>


 『白草山山頂のシロヤシオは、まだ蕾で2週間後が見ごろです』この情報を5/23(土)に小耳に挟みました。花が開くのに2週間?半信半疑です。

 その日以降、私が登った山は満開状態。6月になり白草山シロヤシオは、終わったと思いました。ところがネットで確認したら‥

 読売新聞が、6/3(岐阜)「山と空に映え白草山-山頂付近でシロヤシオが見ごろを迎えた」と知らせています。たまげた!山のベテランの言葉は正しかった。


 そこでひよこさんと花咲く山へ向います。教科書は、山と渓谷社刊「名古屋周辺の山200」です。開花情報は‥
駐車地周辺図
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駐車地P

△白草山

△箱岩山

分岐

駐車地P

※色線はGPS軌跡。
■「この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)、数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平17総使、第98号)」


江南発:6時20分 19℃
   晴れ、ひょっとした出合い  
往路:2時間30分(白草山まで、小休止含)
復路:2時間20分(箱岩山経由)

 愛知県から41号線で美濃加茂市に入ります。3月に全線開通した美濃加茂バイパスは信号なしで早い。

 下呂市257号線の宮地交差点から1.5km、ジョモのY字路を右へ。三ツ石集落を経て駐車地へ向かいます。

 黒谷林道手前の路肩スペースに駐車しました。すでに10台の車が並んでいます。

 5週間振りのひよこさんは、絵地図に記された「登り1時間50分」にちょっと心配気味です。
(8:50)


 林道に蝶が多く舞う。お馴染みアサギマダラ。何とかヒョウモンが元気一杯で私の頬にぶつかってきました。

 林道歩きに飽きたころ、高さ20m以上の大岩壁を通ります。上を見るとオーバーハングしていて怖い。

※写真は帰路に

小広場に出て登山口の木橋を渡りれば、いよいよ山道です。
(9:25)

沢沿いを10分ほど歩いた後、山腹に取り付きます。
尾根まで標高200mを登らなければなりません。


 視界が広がり、カーペンターズの歌のように癒されます。耳に「♪トップ・オブ・ザ・ワールド」


 しかし登山道は、岩道と地道の繰り返しで歌っている暇はありません。

 下山者と道を譲り合う『山たまごさんですか?』『白影さんですか?』
 
 実は巻頭に記したこの山のシロヤシオ情報を2週間前、私の小耳に入れたのは白影さんでした。

 登山道で拾ったゴミを袋に入れ、ぶら下げてみえます。お会いで良かった。

 展望の良い尾根道に乗ると傾斜が緩みます。やがて↑のような奇岩三ツ岩が眼上にそびえる。
(10:55)

※写真は山頂台地からズーム

右が白草山山頂です。シロヤシオが北斜面に群れています。
近づけない場所で花が咲かなければ、私には、何の木か分かりません。
今まで気づかなかったわけだ。といっても3度目の登山ですが‥

 箱岩山との分岐で右を選びます。小さな湿地があり、白い仏炎包を落とした水芭蕉が9株咲いています。

 自生か植栽かは分かりません。『不思議発見』 湿地は以前より小さくなりました。笹が押し寄せています。
(11:00)
 愛らしい花が頭上に咲いていました。樹名は不明です。

 同年代の登山者に声をかけられました。

 『ほら笹と針葉樹の間に‥』
 『シャクナゲが咲いていますよ』信じられません。笹海をバタ足で50m泳ぐと確かに!『不思議発見その2』

 トップの地図で頂上手前に右へ赤線がはみ出ているのがそれです。

 1本だけ笹の波打ち際で咲く。昔は、仲間が大勢いたかも『ロンサム・シャクナゲ‥出会えて良かった』

 山頂1641m到着。御嶽山は南へ雲を作っています。小虫は少なく、お店を広げます。左隣に3歳の男の子。

 沢山食べてる。私がその子を見ながらパントマイムをするとよだれを垂らして笑いだす。
(11:20)〜(12:00)

山頂の周りでは、シロヤシオが白い花をどっさり付けて緑の風を受ける。もうすぐ夏が来る。
そんな気持ちにさせるこの青空と日差し。

 帰りは箱岩山に寄りましょう。向こうに見えるピークの左端が山頂です。白草山より28m高い。

 ガイドブックでは、脇役的な扱い。山頂から御嶽山は樹林で見えません。

 それが主役になれない理由だと思うけど名前も地味で損してるよう。

行く途中、西に展望があり、シロヤシオで賑わう斜面越しに下呂の乗政地区が見えます。
写真右下、ジョモのあったY字分岐から斜め右下へ進む道を走り、駐車地に向かったのです。

 15分で箱岩山1669m。やはり山名標は、主役とは違いますね。単独のネエ様に周囲の山名を尋ねらます。

 降りてから展望写真を撮らなかったことに気付く。『ちっちゃい事は気にするな!それワカチコ・ワカチコ』
(12:15)〜(12:25)


 爽やかな風が、下山を助けてくれます。沢沿いの道に戻れば、流れが涼を呼ぶ。ひと息ついたら登山口です。
(13:50)

 林道では、ベニドウダンが風と遊んでいる。登山口看板に「シロヤシオドウダンツツジが山を彩ります」

 『シロヤシオ、、、今までこの表示が目に入らなかったなあ』
(14:20)

 久しぶりの山歩きを心配していたひよこさんも「案ずるより横山やすし」でした。

 御厩野(ミマヤノ)地区から白草山を望みます。中央方向が山頂です。人と花々の出会いがあり充実した1日でした。


東海岳行
  “スーパーサーカス”
      

 スーパー・サーカスのシルク・ドゥ・ソレイユは直訳すれば太陽のサーカス。カナダに本部がありツアーショーと全世界で9ケ所の常設公演(日本は昨年TDR内で開幕)を行っています。通常のサーカスは曲芸を一つづつ見せていくものですが、シルク・ドゥ・ソレイユは全体にテーマに基づいたストーリーがあります。

 ページをめくるように物語が展開するのですが、演出・衣装・音楽・曲芸の見せ方は、統一されとても独創的で芸術性の高いものです。人間の肉体を使った演技が主体で動物は出演しません。私がこのサーカスを初めて見たのは、今から17年前日本で最初の公演でした。

 スポンサーだったキリンのプレゼント企画で運よく当選したのです。ひよこさんと名古屋レインボーホールに出かけました。無料席はサイドですが、円形舞台に比較的近い場所です。館内は8割程度の入り。まだその内容がよく知られてないからなのでしょう。



 私たちも始めて見るシルク・ドゥ・ソレイユに対し白紙状態です。演目が進むうち次第に今までのサーカスとはまったく異なる演出で繰り広げられる演技に引き込まれていきます。バックミュージックは生バンドで演奏され、演技とピタッとシンクロしていることに驚愕したものです。

 物語が展開していくうちに天井から吊るされた長いストラップを手に絡ませ館内を飛び回るフライングマンという演目がありました。高まる音楽と感情を込めた演技にジーンときて思わず涙したのです。すべて演技が終わってもいつまでも残る余韻。その強烈な印象は何日も心に残りました。

 その後シルク・ドゥ・ソレイユは、1年おきくらいにテーマを変え来日しています。しかし当時、仕事に追われていた私はその後、16年間行くことはありませんでした。



 そして昨年、ようやく時間的な余裕ができた私たちはシルク・ドゥ・ソレイユの新作を見に出かけたのです。中国のドラゴンをベースにした「ドラリオン」は、期待にそぐわず大きな感動を得ました。

 特にトランポリンで飛びあがり水平の体勢で巨大な壁を歩くように登ったり飛び降りたりするのは迫力充分でした。今年は「コルテオ」(イタリア語で行列)という道化師の最期というテーマです。ナゴヤドーム隣に巨大な円形劇場ビッグトップが開設されています。

 駐車場の観光バスは、岐阜・三重・浜松ナンバーなど。当日、午後2時開場でしたが、機材トラブルで入場できたのは3時10分。入場料金は平日だと6000円〜12000円で全3000席あります。チケットはネットで購入したのですが、今年はツキがあり前から3列目のいい席でした。ステージまで2.5mの近さ。



 そこには眼の前にな絵画が描かれた半透明の巨大カーテン。ワクワクしてきます。直径13.2mの回転式円形舞台を中心に長さ32mのステージで客席を二分していますが、客席は埋め尽くされました。

 そのステージ脇4ケ所にバンド・ピットがあります。ミュージッシャンは、別れていて演奏は難しいでしょう。見上げると天井まで20mほどでしょうか。そこから演者が降りてきたり吸い込まれたりします。

 20の演目が前半1時間、休憩30分を挟み後半1時間で進行しました。今回印象的だったのは、可愛い女子がヘリウム・バルーンで観客席を空中浮遊する演技です。彼女は、降りてくるとあちこちで観客の手で押し上げられ飛び続けます。子供のころの夢を見ているような気持ちになりました。



 圧巻なのは立方体の鉄棒で4人が四方に別れ、大回転をスレスレですれ違うのは見てる方が緊張します。 午後6時、夢の世界から出て大曽根駅へ300mの長いデッキを歩いていきました。二人の口は、今日の感想で止まりません。鍛えられた肉体、数々の神業、大きな感動は、やはり涙を誘いました。

 人間ってすごい。


※「コルテオ」名古屋公演:5/21(木)〜7/12(日)

2009.6.9/15:05