岳行ノート

宮田高原 1711m〜駒ヶ根高原 850m
/長野県宮田村

2009年7月20日(月)



『さて問題です。アザミには何匹の昆虫が止まっているでしょうか?』



答は6匹‥ではありません。



左のアザミに2匹(ウラに)、そして右へ3匹(極小が)、1匹、2匹で計8匹です。



 大雨で増水した木曽川の早い流れをボ〜ッと見ていました。ふっと思う‥

 淡水魚を海に入れたときと海の魚を淡水に入れたときでは、どちらが長く耐えられるのか。多分どちらも陸の人間が水中に入られる時間よりは長いと思います。

 何千mもの高地で育った人が、歳をとってから低地で暮らすのとその逆に低地の人が高地で暮らすようになるのでは、どちら身体にいいのか。


 人生には何も役立たない疑問でした。さて今週はピークハント目的ではありません。ひよこさんとゆったり高原トレッキングをします。


 教科書は、信濃毎日新聞社刊「信州高原トレッキングガイド」です。

<宮田高原>駐車地周辺図
[+]:拡大 [−]:縮小


管理棟前P

高原の家

まきばの家

宮田高原頂上

△大平山

高原頂上分岐

木道

鉄塔

ブナの池

湿地

管理棟前P


 ※赤線はGPS軌跡
※青線は林道

■「この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)、数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平17総使、第98号)」



江南:午前7時5分発  26℃
   曇りほんの時々晴れ、やがて涼感高原
往路:35分 (大平山まで、小休止含)
復路:1時間15分

 
 駒ヶ根インターで下り、その北にあるパノラマロードで約11km登ります。途中、 眼下には駒ヶ根市街が広がっていました。

 左奥のとんがりは仙丈ケ岳でしょう。


宮田(ミヤダ)高原への道は、今年は7/1から3ケ月間ゲートが開けられるとのこと。(宮田村観光協会0265-85-5864)




 標高1650mの管理棟に着くと気温は、5℃下がって21℃。さらっとして快適です。管理人さんに道の様子を伺い出発します。
(10:15)





 車道を少し戻り、高原の家前のチェーンを跨ぎ、牧場道路を進みました。今日一番楽しみにしていた場所へ向う‥

2分も歩けば、中央アルプスが迫るヨーロッパ風大展望『星★★★だ』(行ったことはありませんが)
左のピークが空木岳、右奥に‥見えませんが宝剣岳。牧場柵が、草原と樹林の境界にあります。
ウシ君たち寝そべっていれば抜群の絵になるのですが。この光景を楽しみながら牧場の縁を辿り‥





 まきばの家に着くと霞んでいますが南アルプスの展望も開けてます。ここから「高原頂上まで150m」の道標に従いました。
(10:35) 




 丸太の階段を上がると宮田高原頂上です。眺望はあまり無く、有刺鉄線を潜ってさらに南へ登ります。
(10:45)

左)イチモンジセセリが、懸命にアザミから吸密しています。  中)赤トンボ達が飛び交っていました。この子はベンチでひと休み。  右)あちこちで見られたウツボクサにでかいハチ(クマバチ?)がホバリング中。
昆虫の配置を左上から右下へ流れるようにしてみました。



 大平山1711m山頂は小広場ですが、指標もなく殺風景。宮田高原頂上へ戻る途中、西へ降る道が2か所ありました。
(10:50)

 その道を行けば、地形図にもある山腹道に出合います。でも笹刈りがされてないのでパス。




 戻って有刺鉄線を潜り返します。南方向を指している道標「中央アルプスパノラマコース」から西北へ進みました。
(10:55)


 道は「グリーンフィールドコース」と呼ばれ、2ケ所の牧柵を跨ぎます。10数分でパラレル鉄塔が見える↓分岐点で右折。






 しばらく左谷で緩く降るとこの分岐です。鋭角に曲がり「せせらぎコース」を選びます。
(11:15)

沢音に近づきながら丸太階段を降りました。一面が苔生していて雰囲気がいい。
ところがこの木道は滑りやすく、ここは短足を生かしたチョコチョコ歩きがいい。
笹刈りは途中で終わり、笹藪になりますが気にしなくてもいい。

 クマの爪痕が付いた「せせらぎコース中間点」の道標を左折し尾根を登ります。







 左上のパラレル鉄塔を経由して分岐点に出ればミニ周回終了です。
(11:30)




 もう一度同じ道を降ります。分岐があり左折すればブナの池です。そこから地道へ上がりログハウス棟が右下に見えると‥
(11:35)

木道が施設された湿地です。降りてみましょう。これはアヤメの群生。
他にも‥これだけ咲いていると写真の撮り甲斐があります。
(11:55)

ノハナショウブ      カキツバタ       ハナショウブ       ノコギリソウ

地道に戻り、湿地の反対側斜面を見ると「こもれびコース」の道標がありました。
白樺の林間コースを辿ると北の大駐車場に下ります。汗は殆どかきませんでした。
眼と鼻の先の管理棟に着けば、ゆったり高原トレッキングは終わりです。
(12:05)

さてお腹が空きました。宮田高原から車で下る途中、眺望のいい場所でランチします。 駐車場↓
次に向かった駒ヶ根高原は1時間弱で到着。太田切川の南側には木曾駒ケ岳ロープウェイに向かうバス乗り場があり混雑していました。目的地は北側なので大丈夫。



太田切川                      ■は木橋


往復:1時間15分(往路:40分 復路:35分) 
  



 太田切川駒ヶ根橋から上流を眺めます。中央にツクンと小さく尖るのが木曾駒ケ岳宝剣岳です。

 この川は、駒ヶ根市内で天竜川に合流しています。両岸は切り立った崖のため、昔は生活用水を得ようにもままなりませんでした。

 大きな吊り橋(こまくさ橋)が架かる太田切川北側の無料駐車場に車を置きます。
(13:55)

 一旦県道を横切り「こもれ陽の径・西エリア入口」から黒川のせせらぎに近づいていきました。
(14:00)

『お〜涼しい。素晴らしい‥』これ以上求めるものはありません。奥入瀬渓流のミニ版だ。
この黒川の清流は、浅い平坦な川底をすごい速さで流れます。水量もすごい。川が近い。

入り口周辺はマレットゴルフ場になっていて中高年プレーヤーは素敵な環境で楽しそうです。
(それはゲートボールの道具でパターゴルフをやるようなものですが、やればよかった。)
せせらぎには、アカマツスギヒノキの大木やカエデ類が緑陰を作っています。




 太田切川は、大昔からたびたび土石流を起こしてきました。この黒川沿いには、その跡が残っています。

 こんもりした土石流堆(リュウタイ)がその名残です。


 1.7kmの「こもれ陽の径」は、東エリアの浄水場で終わりUターンします。
(14:35)

 黒川の清流は、江戸時代に作られた用水路で大田切川上流から取水しています。散策道を戻れば、涼しい旅も終わりです。
(15:10) 


東海岳行

    “岳人”

 5月初め、一本の電話でその話は始まりました。ジョニー社長からです。
 ヒル忌避剤『ヒル下がりのジョニー』が、山の専門誌岳人で紹介されるとのこと。ヒルの特集記事が組まれるそうで『全国区になりますね』と喜びの気持ちを伝えました。

 社長のお話は続きます。編集の方が商品の特徴を確認しようと後日『ヒル下がりのジョニー』のブログを見ました。その中に詳細なヒル山リストがあったので特集記事の参考にしたいと社長に確認の電話をしたのです。

 『それは私が作ったのではなく山たまごさんが何年もかけて作った“ヒルがイル”というコーナーです』そして社長は編集の方へ私に確認下さいと伝えられました。そこで前もってジョニー社長が、私にそのことを連絡してくれたのです。



 やがて岳人編集部から連絡が入りました。7月号と8月号でヒルの特集を組むということです。7月号はヒルの生態を中心とし、8月号で具体的な防御方法やヒルのいる山域を紹介するそうです。それがエリアマップ的なものか、まだその時点では確定していませんでした。

 私のHPがメジャー雑誌に取り上げてもらえることは光栄なことで東海岳行の“ヒルがイル”の利用は当然承諾します。実は、東海岳行岳人がヒントです。締切日が迫るうち、ある日東海岳行の表紙を送って欲しいという依頼がきました。そこで最新の「6月14日八千穂高原」が[NEW]の表紙をコピーして送信します。

 8月号の特集記事では、ヒルの詳細なリストがあるHPということで紹介されるようです。山の本では以前、ヒルがいるヒルがイル ことを具体的にあまり書かなかったようですが、情報開示の時代ではそうもいかなくなったのかも知れません。



 私は出版物にとってHPは、ある意味商売仇なようなものかと思っていました。雑誌は、本屋さんに出るまでに取材や編集と時間がかかり情報としては1ケ月前のものになってしまいます。HPは即時性が強みです。でも情報の信頼性や掘り下げは、雑誌の方があるでしょう。

 私も山行はガイドブックで決め、HPで最新の情報を得ています。いずれにせよこのようなことは二度とないので岳人8月号が発売されるまで本当に楽しみでした。毎月15日発売なので7月15日が、心待ちdayです。ところが記事に協力したということで8月号が発売3日前に自宅に宅配されました。

 「ヤマビルを追うA」のページに送った表紙写真が嬉しいことに載っています。添えられた文はあらかじめ連絡いただいてましたが、内容の紹介・ページ記載の文章・編集者の感想とまとめ方はさすがです。この雑誌は家宝ですが、HPをやってつくづく良かったと思います。



 発売前に本の内容を明かすのはルール違反。発売後、表紙の“ヒルがイル”ボタンの上にアイ・キャッチを付けて訪問者に探しやすくしました。先週の道草では、この題材はNGでしたので今週ご紹介させていただきました。自慢話で恐縮です。

 “ヒルがイル”
に掲載させていただいておりますHPの管理人の方々、また情報メールをいただいた方々にはこの場を借りて御礼申し上げます。皆さんのお陰でいい思いをさせていただきました。ありがとうございます。

2009.7.22/15:40