岳行ノート

東横根 757m/岐阜県大垣市

2009年11月18日(水)


晩秋の黄昏
(下山時、林道より)



 鈴鹿の県境稜線(三重県、滋賀県)は、南から北に進むと三国岳で岐阜県と接し、更に関ヶ原まで延びます。その三国岳は良く登られる山で私も登りました。

 ところがその先の県境稜線にある横根山は、五僧峠に廃屋があったり、岐阜側からの車道が無かったりで奥深いイメージを持ち中々足が向きません。

 今春、岐阜県上石津町時山から滋賀県境の五僧峠まで立派な林道が通ったのです。丁度リンク頂いているジオンさんから、その道を利用する周回のお誘い頂きました。


 山仲間と全11名の団体ツアーです。


 教科書は、西内正弘著中日新聞社刊「地図歩く鈴鹿の山」

駐車場周辺図
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時山駐車地P

登山口

瓢箪池

ダイラ窯跡

県境稜線

ダイラの頭

展望ピーク(ランチ)

東横根

道迷い

五僧峠(林道〜)

薮谷駐車地P
(置車)

時山駐車地P

 ※赤線はGPS軌跡
※五僧峠〜時山駐車地間の林道を車利用

■「この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)、数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平17総使、第98号)」


江南:午前6時50分発  8℃
    曇り、時々誰かが尻もち
往路:2時間55分(以下、小休止含む)展望ピークまで
復路:3時間35分
◆所要時間:6時間30分




 牧田川を上り、時山集落の阿蘇谷登山口前の駐車地に置車。

 里は8℃の朝、登山服は秋仕様ですがリュックの中へ冬予約して橋を渡ります。
(8:50)





 2分ほどで墓地を右手に見ると阿蘇谷ルート(直進)との分岐です。ここを右に折れ尾根末端の登山口から入山します。



 このルートは私が06年3月に歩いているので先導役です。踏み跡はありますが、テープはありません。

 左の山腹へと進む杣道に何度か誘われますが、断固として右端にある急登尾根を進軍しました。

休憩を入れ50分ほどでやっと傾斜が緩み植林は雰囲気のいい二次林になります。
尾根筋が南西から南に変わると瓢箪池です。瓢箪の上部小丸は湿地になっていました。
昨日の雨で相当落葉したようです。池が秋を吸収し、この597mピークは冬への模様替えを急いでいます。
(9:45)



 池から細尾根の小さな起伏を繰り返し15分ほどするとこの鞍部に出ます。この尾根は上に登っていて先は見えません。

 ここから尾根を左に下降します。この斜面は灌木がまばらで藪こぎはなく、幹を頼って右へ斜行すれば数分で‥
(10:10)

どこでも歩くことができる広大な落ち葉の森。これがダイラまで続くのでここを奥ダイラと呼ぼうか‥
ダイラの100倍以上の面積はありそうです。それなら大ダイラが原‥これはどこかで聞いたことがあります。

ここまでガイドテープはほとんどありません。山慣れた方に同行するかやGPS必携でしょう。
南にコンパスを合わせて進み小さな谷地を迂回していくと‥


 ダイラ窯跡に出ます。この先で小沢を渡り‥
(10:55)

 荒くれた谷を詰め、左岸に渡り返しました。急勾配の斜面をジグザグと登り‥





 県境稜線に辿りつきます。ここまで2時間半近くかかりました。本日は三国岳894mは、遠慮して稜線を北西に進めば‥
(11:15)





 ダイラの頭803m。本日の最高点です。天気予報は朝から終日晴れなのに一向にその気配はなく‥
(11:35)





 ガスってくる始末。これはこれで幽玄の世界にどっぷりと浸れます。とプラス思考しても腹はすっかりマイナス指向。
 ダイラの頭の次ピークが好展望地です。『シートを敷こう』11人分のうどんセットを担ぎ上げた乱丸さんは偉い!

 厳しい冬を乗り切るため、秋は食欲が増すようです。11人の欲望は1時間では収まりません。(11:45)〜(13:00)


 展望は北西に鍋尻山838m、その手前に目指す東横根757mです。下山は右へ稜線を降り700mピークで左へ曲折します。

 風が動かないので北の霊仙山1084mは、頂が雲を離しません。伊吹山1377mは(↓)顔を出していました。

さて細尾根を何度もアップダウンしながら西へ向かいます。
東横根
手前で右へ迂回し、峠のような場所にリュックをデポしました。
そこから『ワッセ、ワッセ』と直登し‥




 10分ほどでスペースが殆どない東横根。でも好展望です。本日のピークハントは、出発から5時間半でやっと達成しました。
(14:15)

 正面にハローキティ風の三国山894m。右が最高点 左が山頂、その右斜め下に三角点とややこしい。

 左の黒いピークはダイラの頭。この横根山東横根757m、西横根(三角点)760m、最高点764mとややこしい。

 やっと青空が広がり、展望はこの右のも御池岳・鈴ケ岳と開けています。

再びリュックを担ぎ、秋と冬の境目を歩きました。
今年の紅葉は、いま一つとお話を聞きますが、皆さんはいかがでした?
こんな雰囲気なら森の小人からケイタイに連絡が届きそうです。『ストップ・ザ・温暖化』


 700mピークで道は北から西になります。真向かいには、ようやく雲を脱いでクリアな霊仙山
(14:45)

 さらに赤松の大木で道は北向きになります。急降が終わり、優しい道に少しほっとするとまた急降で‥
(15:00)

 『全体止まれ』尾根を間違えました。左折点をテープにつられ直進したのです。急降から急登へ二本足エンジンを切り替えます。

 早く気づいたので10分ほどのロスでした。正解ルートでは、明治9年設置の測点・地理寮に出合います。
(15:35)



 暗い植林を降りると明るい五僧峠。時山から延びた林道が前にあり、車をここにデポする予定でした。

  しかし途中の小規模な山崩れのため、簡易ゲートが2q先で通行止めしています。そこまで歩かなければいけません。
(15:40)

 鈴鹿は山から暮れていき、黄昏の速さは分かっていても切ない。それでも皆は、泥の付いたお尻をご陽気に揺らしています。

 そう言う私も手とお尻で2回づつ地球にタッチ。この奥深い地域と友達になれて良かった。

薮谷ゲート前駐車地(16:30)〜
デポした車に乗り時山駐車地(16:40)

※ジオンさん、乱丸さん&のこさん(うどん)、shonさん、みれさん(ロールケーキ)、風花さん、ドロフィーさん(ハム)、和たん、長さん、福ちゃん、お世話になりました。


東海岳行

    “不思議な展覧会”

 マイケル・ジャクソンの映画「This is it」は、本当に良かった。50歳であのシャープな動きと柔軟さは奇跡です。彼の「♪ビリー・ジーン」のアドリブ・ソロ・ダンスを見たダンサーたちが拍手喝采するほど。ひよこさんは、もう一度見たいと言っています。11/27が最終日。もう彼はいないと思うとグッと込み上げてきました。



 時々、旧友と名古屋駅で落合いレストランでランチします。そこは1000円でスープ、サラダ、メイン、パンそしてワイン、コーヒー、ケーキ、アイスクリームが飲み放題、食べ放題です。たっぷり食べ、たっぷり喋ったら「北斎展」などの催し物に出かけます。今回は新聞に掲載されていた始まったばかりの展示会に決めました。

 そこは、レストランから1分の至近距離で愛知県産業労働センターです。ここは昔から知っていますが、建替して10/1にオープンし近代的になっていました。8階の「人体の不思議展」会場に入ります。開催期間は、11/14(土)〜1/11(月)10時〜18時で入場料は1500円です。

 パンフには「標本一新。初公開の本物の標本170余点、総展示数200余点になって凱旋」(03年に初回開催)と自慢げ。実は1年前通っていた整体院に人体解剖図鑑がありました。待ち時間に見たのですが、模型でなく本物の写真で驚いたものです。医学関係者の勉強用が、一般公開されたのかと思いました。



 最初のコーナーは、昔の人体解剖絵でレオナルド・ダ・ビンチや解体新書などのパネル表示。そしてメインコーナーに入ると入場者の多さにまず驚きます。

 そして確かに何十体もの標本‥「展示されている人体標本は、すべて生前からの意志に基づく献体によって提供されたものです」との表示パネル。

 食事後なのでちょっと刺激が強い。作製には水分と脂肪を樹脂に何週間もかけて置換し無臭で腐敗しません。骨格、筋肉、神経系、血液系、循環器、消化器‥と解剖された標本。神棚が欲しくなりました。若い人や子供も熱心に見ています。



 標本は男性が多いのは当然と思いますが、ショーアップされた展示に違和感を覚えてきました。その理由は色々あります。『日本人の顔立ちだけど意志に基づく献体?こんなに沢山良くいたものだ』 最後に測定コーナーがあって息が抜けました。骨健康度、血管年齢、肌年齢、脳年齢がひとつ300円です。

 無邪気に測定すると骨と血管は年相応でしたが、肌と脳は10歳若かったので大喜び。気分的にも疲れたので1階のオープン・カフェでコーヒを友人と飲むことにしました。地下1階から吹き抜けになっているのですが、突然下が騒がしくなりました。

 降りて行くとラーメン屋の「六三六」でテレビ収録しています。見物していた人に尋ねると「幸せの黄色い仔犬」という番組で1月16日放送分とのこと。 大声で笑いながらラーメンを食べているのは巨漢の男女。



 彼らは「まいう〜」のグルメレポーターIと女性店員のものまねでブレイクしたお笑いタレントYです。お陰で気分転換できました。この展覧会の主催者は「人体の不思議展実行委員会」となっていて良く分かりません。

 帰ってからネットで調べると驚きました。どうも標本は、医学用でもなく日本人でもないようです。よし決めた。マイケル・ジャクソンの映画をもう一度見に行こう!そして人生に感謝しよう。
2009.11.20/00:40