岳行ノート

御池岳(池巡り)  1247m/三重県いなべ市

2005.5.14(土)江南6時00分発   天狗岩まで:計3時間30分(小休止含)
    晴れ時々曇り 13℃    駐車場まで:計3時間10分(小休止含)



 元池にて(御池岳丸山を背にして)

「地図で歩く鈴鹿の山」表紙と同じアングルで。
西内氏の本には6人と1匹がほとりに立っています。

 映画『Shall We Dance?』を最近見て山登りに対する新鮮な気持ちと意欲がよみがえりました。利用した夫婦50割引は、マーケティングの優れたアイデアなのに6月末で終わるのは残念です。(夫婦どちらかが、50歳以上なら2人で2000円)
 さて西内氏のガイドブックには、奇抜なバリエーションルートが載っています。「野登山」で砕石地を通過したり、「綿向山」でガレ場の文三ハゲを登ったり、また「お金明神」「水舟の池」の紹介など私のような初心者でも鈴鹿の奥深い所を知ることができます。
 「御池岳」の池巡りもその一つで楽しいアイデアハイクだと思いました。山頂部へは、未踏の鞍掛峠から「鈴北岳」経由で辿り、頂上台地にある池を10ケ所探し歩きます。今回も単独行となりました。

 ガイドブックは、西内正弘著/中日新聞社「地図で歩く鈴鹿の山」です。参考書は「鈴鹿樹林の回廊」さんにお世話になりました。




鞍掛トンネル東P

鈴北岳

a)元池@
b)お花池A

c)西ボタンブチ
d)夕日のテラス

e)ひょうたん池B
f)丸池C
g)風池D

h)天狗鼻
i)ボタンブチ

j)幸助池E

御池岳(丸山)

k)幻池F
l)道池G
m)北池H
n)真の池I

鈴北岳

鞍掛トンネル東P
     
※赤線は実測ではありません。

■「この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)、数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平17総使、第98号)」

 コグルミ谷の駐車場は既に満車でした。人気のある山です。国道306号を更に登って鞍掛トンネル東駐車場に着きました。車の後ろには、悲しいゴミが散乱しています。

 今日は距離があるので水分をいつもより多めに持ちました。写真の右手より登山口です。写真に見える鞍部の「鞍掛峠」まで意外に急登で、息が切れ汗が出ました。
(8:10)
 峠には、かわいいお地蔵さんが賽銭を溢れさせ座っています。当然ここで一本立てポカリスエットで汗の補充をしました。
(8:30)
 峠からは、比較的なだらかに登っていきます。雰囲気のいい雑木林のトンネルには、淡きみどりのカエデ・シロモジ‥秋にはカラフルアーチで楽しめそうです。
 やっと「鈴北岳」頂上が見えてきました。ここからは笹の道に変わります。懐かしくも4月に登った「茶野」の頂上が右手に望めました。
 山頂1182mです。ここからは厳しい登りは、なくなるはずで「御池岳」広大な頂上台地を左回りで周回してここに戻ってきます。高原散策を楽しむつもりですが‥。
(9:40)
 草原に降って行くと開放的で素晴らしい景観が展開します。草原の中に細い道が続いている。カレンフェルト(石塔地形)を横に見ながら幸福感が湧き上がります。
 苔のじゅうたんの間を進むとニリンソウの群生地が向こうに見えます。
@元池
 池の向こう側に行き、池越しに「御池岳丸山」を望むアングルで撮るとページトップの写真になります。
(9:50)
 「元池」から「天狗鼻」まで登山道はありません。ガイドブックを確認して薄い踏み跡を辿り、向こうに見える尾根を越えます。
Aお花池 
 尾根を越え、少し降ると池とは呼べない水溜り状態の「お花池」がありました。写真を撮り次に向かいます。-残念ながら違っていました。
(10:15)
 「西ボタンブチ」のピークからは、鈴鹿の滋賀方面の雄大な展望が広がり、中央の「天狗堂」がキリリとした姿で目立ってます。
(10:25)
 岩峰の「夕日のテラス」に着くと単独行の男性が端に座って写真を撮ってられます。このルートで人に会うとは思っていなかったので驚きました。
(10:35)

 私がチョコマカ写真を撮っているとその方が顔を向こうに向けたまま『コンニチワ。ここは良く来られるのですか?』と言われます。
私『いいえ御池は2度目ですがここは初めてです』  初心者丸出しです。するとこの展望の解説をしてくれました。

 話の内容から察すると名のある山岳会の達人か、大御所のHP管理者かもしれない。挨拶をして次に向かいます。


鈴鹿を好きな人ならどなたも知っている方でした。
 

Bひょうたん池 かすかに水溜り(10:50)-同定に自信ありません。

C丸池 ここも水溜り(11:00)-また違ってました
 「丸池」を探すのに笹地を廻っていたので方向感覚が無くなり、とんでもない方へ歩いているのに気づきました。磁石もこのときなぜか変なので、時計の短針を太陽に向け南を探します。

 そして南東方向に狙いを定め尾根を離れなるべく崖に近い場所を進みました。そのためD風池は、通り過ぎてしまったようです。
 突然、明るい声が聞こえほっとしました。樹間から笹原の向こうに「天狗鼻」に集う人影が見えます。

 歩いてきたルートの印象は、バイケイソウと苔の岩、そして色々な動物達のおびただしい糞‥。今日はきっと人生で一番多量の糞を踏みつけた日に違いない。
 

 「天狗鼻」でランチタイム。向こうは「ボタンブチ」です。実は左の写真で白岩の右端(天狗の鼻先)に小鳥がいます。
 
 この鳥が近くの枝に飛び移り、食事中ズーッと独唱してくれました。隣の関西弁の方が、ヒバリだと言われます。『?』   →ホオジロの雄
(11:40〜12:15)

「ボタンブチ」に来ました。(12:20)

その手前の「天狗鼻」を望む絶好のポジション
 「ボタンブチ」の笹原は、2年前に訪れたときに比べると笹枯れがすごい勢いで進行中で、平泳ぎで進んだのが嘘のようです。
E幸助池
 やっと池らしい池に出会いました。以前どなたかが、HPでここを『男前の池だ』とうまい表現をされていました。
(12:25)

 もう一度、笹原に戻り山頂を目指します。途中登山道が、深い溝になっていてそこを跨ぐとき枯れた笹がズボンの裾に引っかかりすべって溝に尻餅をつきました。笹のたたりだ。注意しよう。


 一登りして「丸山」山頂1247mです。
(12:50)

 山頂から南へ50mのピークに行きました。「鈴鹿樹林の回廊」さんの山行記(04.04.25)に紹介されていた“小野田恐るべし”の杭を発見できました。

 すると向こうから「天狗鼻」で一緒だった関西弁の方達が、こちらに登ってこられます。そうかガイドブックには、載ってないけど頂上から天狗に直行できるだ。覚えておこう。
 山頂から降りて来て、真の谷分岐よりコグルミ谷へ向かうにはチェックを受ける。横綱級の横幅では、ここを通り抜けできない。注意しよう。
(13:20)
F幻池
 コグルミ谷に向かう途中、県境稜線の尾根に登り、石灰岩から左下に降りると静かな池‥。かなりバテてきましたので長めに休憩しました。水分を余分に持ってきてよかった。最後に見る歩数計が楽しみです。
(13:30)

 ここから山腹を南西に降りると登山道に出て「日本庭園」方面へ向かいます。

G道池 浅い池です。(13:55)

歩きやすい道-いいなあ、のどかで
H北池 
 「真の池」手前の右のピーク裏にあります。ここも水溜りだけになっている。-またまた違ってました。
(14:05)
 「北池」から登山道に戻るときに見つけた謎のブラックホール。陥没したのでしょうか。勿論覗いてみましたが動物の巣ではないようです。
I真の池
 さすが真打。大きさ・水量申し分ありません。池の名札が付いていたのはここだけでした。左の藪にに登山者が2名移ってます。
(14:10)

 池巡りは、結局10箇所中5箇所を見つけたことになります。人力GPSで到達率5割です。嬉しさと悔しさを分け合いビミョウな気持ちですが、ちょっと古いタイプの人力GPSですからこんなもんでしょう。
 判定を頂いた長谷川さんありがとうございました。
 思い出となった頂上台地の「日本庭園」を振り返ります。今日は、30名近くの団体をはじめ、何組もの団体とすれ違いました。それでも広大な御池の中で人は点になっています。

 一人でガイドブックと地図を頼りに歩き通した充足感と疲労感を左右のポケットに入れ「鈴北岳」から朝、来た道で戻ります。

鞍掛峠を過ぎると駐車場が見えてきました。足の筋肉がパンパンです。

登山口で登山届を回収して終了−26,647歩!!
(15:25着)

05.05.16.22h30m
 「鈴鹿の山風」さんが同日の「御池岳」をレポされました。もしやとBBSに書込みして確認したら驚いたことに「夕日のテラス」でお会いしたのはご本人でした。当方のゲストブックにも返事をいただいてます。引き出しにエピソードが増えました。

     コグルミ谷の親タヌキ    

 2年前初めて「御池岳」を訪れたとき、“心の山”と刻まれた石碑からコグルミ谷に入るやいなや、みずみずしい豊かな自然に包み込まれました。日常から非日常へあっという間の場面転換に心が躍ったのを思い出します
 
 帰路は、タテ谷からコグルミ谷に戻って来ました。登山口まであと200mほどの所で前を行く年配のご夫婦が、私達に口へ人差し指を当てて立ち止まっています。

 ご主人が、指刺すほうを見ました。窯跡の丸い窪みの向こうでタヌキが、頭を上下させながら困ったような眼でこちらを見ています。フラッシュで写真を撮っても逃げません。

 『不思議だなあ』とその方が言われます。よく見るとそのタヌキの下の石積みに穴が開いていました。『子ダヌキがいるのでは?』と私が小声で囁く。

 数分間、私達とタヌキは対峙していましたが、結局そこから逃げようとしません。きっと身体を張って必死で子ダヌキを守っていたのでしょう。
 
 昨年台風のとき、コグルミ谷が土砂崩れで荒れてしまったと聞きます。あのタヌキは、無事だったのでしょうか。