岳行ノート

<金勝アルプス>
竜王山・鶏冠山 604m・490m/滋賀県栗東市

2009年12月12日(土)


巨石を積み上げた迫力の天狗岩

(右上に人影)



 琵琶湖の南に金勝(コンゼ)アルプスと呼ばれる花崗岩でできた奇岩の低山があります。各所で展望が開け、コースには史跡もあり楽しみのテンコ盛りです。

 その竜王山鶏冠山(トサカ)は、いくつもルートがあります。分県登山ガイドを開けると見所を網羅した決定版ともいえる周回コースが載っていました。

 紅葉も遠ざかった今、いよいよ低山シーズンと勇んで出かけます。


 教科書は、山と渓谷社「新・分県登山ガイド 滋賀県の山」です。
<駐車場>
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落ケ滝

鶏冠山

天狗岩

耳岩(ランチ)

茶沸観音

竜王山

重岩

国見岩

磨崖仏

さかさ観音

オランダ堰堤




 ※赤線はGPS軌跡

■「この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)、数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平17総使、第98号)」


江南:午前6時00分発  11℃
  曇り後雨、すれ違い50名…大人気の山! 
周回:3時間40分(竜王山まで以下、小休止含む)
    2時間00分(駐車地まで)
◆所要時間:5時間40分


 東名阪は失敗。四日市IC付近は朝早くから混んでいました。草津田上ICで下り、6kmほど走れば上桐生バス停です。

 その先、近江湖南アルプス駐車場は(4〜11月:500円要)バイオストイレもあり広大。写真左奥、林道の道標から歩き出します。
(8:45)





 溜池を右に見て山道に入りました。すぐ沢に出てちょっとワイルドで嬉しい。12℃、風もなく歩くには快適ですが雲が重い。


 渡渉して登ると落ケ滝のプレート。寄り道しましょう。3分で大岩盤の行き止まりとなり20mの高さの滝を見ます。
(9:20)

 分岐に戻り、ロープ場を急登すると何と滝上に出ました。遠く琵琶湖の景色は、もやの中で色がありません。

低山とは思えない豪快な岩場が、ガンガン出てきます。
周回ルートは四角形ですが、第一辺でこれだけ面白いならあと三辺が楽しみです。
迷いそうな箇所には「注意 この先 行止り」の注意板がありとても親切クン。




 出発から70分で北峰縦走線出合に着き、リュックをデポします。ここを左折してピークハントに向かいました。
(9:55)


 小さな起伏を三つ越えるとむせび泣く鶏冠山491m。また標高140mを降って出合まで戻るとリュックは無事でした。
(10:20)

 ところがリュックに付けていた私のストックがありません。沢道で何度か枝が引っかけたから…誰か拾ってくれないかな〜



 松の尾根道はザレた花崗岩ですが、奇岩・巨岩を抜け超!楽しい。鈴鹿の青岳根の平峠の県境稜線を思い出しました。

 先に見える天狗岩(TOP写真)天辺から『お〜い』若い声が聞こえます。こちらも手を振り返します。『登れるのか』 

 よくルートがあるものだと感心して天狗岩に到着。高校生が10人くらいだーっと降りてきました。
(11:30)

 ロープで登り、赤ペンキに従い、手すり、鉄橋に助けられ意外と広い岩頭に立てます。風が無く良かった。素晴らしい展望ですが、雲は相変わらず動きません。

20分ほど岩遊びをしてから先へ進むと明るい尾根になり耳岩に着きます。

 ここにはベンチがありランチにしましょう。ところでどの角度なら耳に見えるのかな?
天狗岩ほど高度はありませんが、登られるので上から写真を撮ります。
4組が入れ替わり立ち替わり、ここでお腹を膨らました。
(12:00)〜(12:35)





 やがて尾根は竜王山への分岐白石峰に出ます。ここを左に2分ほど歩くと…
(12:40)





 茶沸観音(チャワカシ)の彫岩がありました。『ん?ヤカンは持ってなさそう』観音のプレートですが、像は阿弥陀様のようです。

 小さな登降を繰り返すと山頂直下に金勝寺(コンショウジ)八大龍王の祠。龍王さんは、雨乞いの神様です。

 そして竜王山605m四等三角点。運よく陽が差してきました。(13:00)

北を眺望すると写真右、雲のかかる三上山432m
左の岩稜越しには、競馬の栗東トレーニングセンターの周回走路
市街地の向こうに薄っすらと琵琶湖が広がってます。



 さて尾根道を戻り、分岐の白石峰から10分弱でこの重ね岩。この山の岩々は火事で焦げたように表面が黒ずんでいます。

 仏像らしいものが彫ってありますが、風化してよくわかりません。
(13:25)


すぐ国見岩の展望ベンチに到着。西方向に金勝山トンネルを抜けた新名神高速が延びています。
 近江の森林は、江戸時代までに乱伐されて殆どハゲ山になり、河川の氾濫など災害が多発。
明治から治山事業が行われ緑が蘇った…と「近江湖南アルプス自然休養林」の看板を思い出しました。
(13:30)〜(14:00)

 30分も休憩したので元気回復。岩道を急降すると何ケ所にも石垣がある広い狛坂寺跡(コマサカ)に出ます。(1200年前創立)

 そこの狛坂磨崖仏は寺創立前の奈良時代後期に制作されたと考えられています。国史跡ですが、残っていることがすごい。

 中央が如来像(悟りを開いたお釈迦様)、左右が菩薩像(修行中のお釈迦様)
(14:10)


 下山は歩きにくい谷筋の道になり、やがて桐生辻方面からの林道と合流。道標にある「上桐生バス停」方向へ右折です。
(14:40)
 
 途中2ケ所分岐がありますが右を取ります。10分くらい歩くと曇り空が我慢できず、雨を落としてきました。




 カッパを着て林道をゆけば、車の音が聞こえて新名神を潜り左へ行きます。ここは高速が、金勝トンネルを抜けた所です。
(15:00)

 右岸に逆さ観音と東屋があります。鎌倉時代初期に作られたときは山上にありました。

 下流にオランダ堰堤を作るとき、石材が不足して一部が削り取られたのです。するとバランスが悪くなります。

 ずり落ちて逆さになりました。身を削って大洪水から人々を守っている…とうまい解釈が看板に載っています。
(15:25)
 その堰堤は120年前の完成。胸像はヨハニス・デ・レーケ氏で彼は木曽三川の治水や岐阜市松尾池も指導しました。
(15:25)

 やがて駐車場に着くと私のストックが、車のトランクに帰っています。『何だ持っていかなかったのか』
(15:30)

 帰宅して用具を片付けてるとひよこさんが『私の登山靴がない』『駐車場に忘れたきた』二人で声を揃え『どうしよう…』 


東海岳行

    “3D元年”

 映画館に行くときは、ちょっとした外出着。料金を払ったら暗闇の館内では知らない人に囲まれおしゃべりは禁止。2時間はじっとして映画に集中します。テレビで映画を見るときは、明るい部屋でパジャマを来て、CMのときは席を立ちおしゃべりも自由です。映画館は非日常の世界。

 今から114年前の1895年フランスのこと。スクリーンに列車の動く白黒映像を映し、観客が驚嘆したのが映画の始まりです。それから32年後、1927年「ジャズ・シンガー」でトーキー映画が幕開けしました。そして全編カラーになったのは意外にも早く、それから2年後の1929年「エロ大行進曲」(なんちゅうタイトル!)でした。


 小学生のころ、塾の先生がときどき8o上映会を開いてくれました。無声の白黒映画短編ものですが、キートンやチャップリンにゲラゲラ笑いころげました。以降エンターテイメントとしての映画は大好きです。



 現在、映画撮影はビデオで撮影しフィルムを使わなくなってきました。デジタルで撮ればコンピューターでの画像処理は楽なものです。ところが映画館は、フィルム仕様なのでビデオ映像をフィルムに落とさなければなりません。そうした作業で画質は劣化し、初期の「スターウォーズ」ではザラついた画面が見受けられます。

 撮影から上映までをデジタル化すれば利点がありますが、映画館がデジタル用映写機を導入する設備投資が大変です。その切り替えの切り札として登場したのがデジタル3D(立体)映画でした。2005年、映画イベントでスピルバーグとルーカスが「3D宣言」を発し映画界にインパクトを与えます。

 同年CGアニメの「チキン・リトル」3Dと普通のものと上映したところ、入場料が高いにもかかわらず3Dは4倍の動員がありました。飛び出す立体映画は珍しくなく私も以前、赤青の眼鏡をかけていくつか見ましたが、太秦映画村やUSJのターミネーターなどが記憶に残ります。見終わると目が疲れました。



 最新のデジタル3Dは、もっと自然に見られるようです。よく行く木曽川キリオの映画館もこの12月にやっと3D映写機が設置され「クリスマス・キャロル」「カール爺さんの空飛ぶ家」が上映されています。

 入場料に+300円必要です。いくら立体映画でも映画の内容が良くなくてはいけません。二人で協議の結果「カール爺さん」を観賞。映像技術の進歩が見られ、絵も、ストーリーも、テーマも良くひょっとしたらアカデミー賞を取れそうだと思いました。

 夫婦は、晩年必ず一人になります。そうなったとき再び生きる目的を見つければ生きる力が湧いてくる。というような人生再出発の物語です。カールさん夫婦の出合・結婚・老い・別れを始めの10分間、セリフなしで人生ダイジェストを見せます。



 どうして家に風船2万個も付け飛ぶハメになったか、どこへ飛んでいくのか…その必然がきちっと描かれています。後半は思いがけない冒険の展開となり、78歳対94歳と高齢者の戦いが傑作です。

 3D映画の感想は、絵が飛び出るというより奥行き感があります。スーパーマン・カラーの専用メガネはちょっと重く、画面の照度は上げてありますが若干暗く感じました。眼鏡を外すと映像はピントがあってないように滲んでいます。

 「カール爺さん」はCGアニメですが、年末公開の「アバター」は実写版3Dです。地球人が他の惑星を攻めるという今までの逆パターンであの巨匠キャメロン作で期待が持てます。今年が3D映画元年だそうで米国では19本の作品が作られました。来年は50本以上が予定されています。
2009.12.14/21:40