獅子ケ岳 733m/三重県度会町 |
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2010年1月17日(日) 度会(ワタライ)の宝 獅子岩の絶景 -正面奥は五か所湾- |
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先回の岳行ノートでは、大紀町(タイキチョウ)の七洞岳(ナナホラダケ)778mを登りました。その後、W登山でお隣の度会町獅子ケ岳(シシガタケ)へ走ります。 この山は北から登る注連指コース、東から日の出の森コース、南には小萩コースの3コース。一山目からの便を考え注連指コースに決めます。 両山ともガイドブック掲載のコース。事前にHPで確認すると少し気になることがありました。特に山ねずみさんのHPで見た日の出の森駐車場の広さです。 そこで「道草」にわかったことをまとめました。 教科書は、山と渓谷社「名古屋周辺の山200」です。参考書は、多くのHPにお世話になりました。 |
<駐車地> [-]広域図、[+]詳細図、ドラッグスクロールで移動 |
P ↓ 沢から離れる ↓ 日の出の森分岐 (以降ひよこさんと別行動) ↓ ×(道迷い) ↓ 獅子岩 ↓ ▲獅子ケ岳 ↓ P ※赤線はGPS軌跡 ■「この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)、数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平17総使、第98号)」 |
江南:午前6時10分発 晴れ、風をてなずけられたら‥ |
往路:1時間35分(小休止含) 復路:55分 ◆所要時間:2時間30分 |
度会(ワタライ)町でも多くの茶畑が見られます。町を流れる宮川の朝霧で育まれた「わたらい茶」が特産品です。 |
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宮川の支流、注連指川を林道終点まで登ります。チュウレンシ?意味は不明ですが(シメサス)と難しい読み方です。 度会町も難しい。ランチは済ませたのでひとつ軽量リュックを背負いました。 (13:55) |
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川沿いをいくつか堰堤を見て登ります。度会町HPにこのコースは、ヒルが多いと載っていました。その雰囲気は十分。 |
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やがて沢から離れ尾根に取り付きます。小さなジグザグを重ね、植林が次第に薄まり‥ (14:15) |
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10数分で樹木が伐採された明るい尾根に出ました。ここまで、はっきりとした一本道です。 |
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間違いやすい個所には、丁寧な案内板が親切クン。ところがこの辺りから勾配が激アップ‥ |
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更に小さくジグザグを切り、立木に頼らなければなりません。高度100mを頑張って登ると‥ |
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ヒメシャラ、ケヤキ、コナラなど、雰囲気が良い広葉樹林の平地に出ました。 案内板に頂上まで[500m30分]と表示されています。 計算すると日没17時近くの帰着で余裕がありません。W登山でひよこさんもバテ気味です。 (15:05) 撤退を決め日の出の森分岐で休憩していると山頂から青年と二人の中学生男子が降りてきました。 尋ねると『山頂まで10分くらいです』私の年齢係数を掛ければ、往復20数分でしょうか。そこで 私が駆け足でピストンし、その間ひよこさんが彼らの後ろからゆっくり下山してもらうことにしました。 |
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大急ぎで山腹を回り込みます。右写真で左方向の岩尾根へ進むと様子が変!道間違いに気づきます。 (TOP地形図の×地点) 慌てて戻り、写真の右へ降りると黄色の案内板がありました。 『ホッ』でも5分のロス。 |
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そこから急登すれば、すぐ獅子岩に出ます。里から猪の鼻に見え、以前は猪ケ鼻と呼ばれていました。 『獅子はイノシシか』各務原市伊木山にはキューピーの鼻があります。固定ロープで角度のある岩壁を登れば‥ (15:20) |
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360度、スッキリとした最高の眺望で南東には太平洋・五か所湾。 途中、案内板に「度会の宝 絶景.大岩盤→」と表示されたとおり見事です。 努力した人かつ、ラッキーな人は富士山を見ることができます。 私ひとり占めでは、ひよこさんに申し訳ないと思い写真を沢山撮りました。 |
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南方200mほど下に不思議な三角形の広場が見えます。あの辺りが小萩登山口でしょうか。 |
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さて、ゆっくりしてられません。獅子岩から目指す山頂が、西に指呼の間で早足すれば‥ |
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山名標の左に寄り添う三等三角点。初日の出登山も盛んで、干支が猪のときは大変な人出だったでしょう。 (15:30) |
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北西に堀坂山(ホッサカサン)757m、右下に注連指集落。(←何と読むか覚えていますか?) しかし今日、午前中に登った七洞岳がここから見えないのが残念です。 山頂より西へ4km先の七洞岳までいくつものピークが連なります。 度会アルプス(←何と読むか覚えていますか?ドアイではありません)と呼ばれる縦走コースです。 写真を撮ったら急いで下山します。 |
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獅子岩を降りるとき靴が小石に乗り、尻餅をついてしまいました。油断してはいけません。ロープをしっかりつかみます。 |
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急傾斜の細尾根まで戻り、ここは慎重に斜め降りで‥ (15:45) |
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谷沿い道でひよこさんにやっと追い付きました。1時間ぶりの再開で一気に話しかけられ‥ 『青年達は、日の出の森から来た事に気づき途中から引き返した』 『急傾斜で足に枯れ枝がからみ転んだ』 『沢に降りかけ、間違いだとすぐ気付いた』 たくさん事件がありましたが、転んだり間違ったり似た者夫婦です。 |
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私はひよこさんが一本道を辿られるか心配でした。ひよこさんは私が戻ってくるか心配したでしょう‥少しくらいは? そうこうして何とか日没の17時前には下山できました。 (16:25) |
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車で宮川に来るとちょうど上流に日が沈んでいくところです。 でも今日の思い出は心の中で当分、沈まないでしょう。 |
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東海岳行 |
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“風の計画” | |
さてTOPの前説で現した獅子ケ岳の登山口のひとつ日の出の森の駐車場はどうして広いのか。利便性や規模から考えるとかなり大きい気がします。 (右写真は山ねずみさんに提供いただきました) そして私が獅子岩からたまたま撮った南方向、三角広場の謎(↓)。するとネットで日の出の森コースの途中に風力測定ポールがある写真を見つけました。 調べていくと興味深いことがわかってきます。2005年度会町では、風力・太陽光・小水力など「新エネルギーパークわたらい」構想を掲げ地域の活性化を立案しました。 メインは風力発電機を獅子ケ岳に設置する計画です。三重県青山高原で高さ50mの風力発電機(34基)を見たことがあります。他にも登山中、何か所で眼にしました。愛知県渥美半島の蔵王山(1基)田原町(11基)井山(3機)、岐阜大船山(13基)などです。全国では、40都道府県に1517基(2009年3月)あります。 石油代替エネルギーとしての風力発電は、二酸化炭素を出さないクリーンエネルギーとして注目されていることは間違いありません。 風力ですから当然、年中強い風が吹くことが条件です。発電事業可能ラインは、年間平均6m/秒の風速となります。「環境影響評価方法書」をネットで確認しました。 2006年三重県内を測定すると獅子ケ岳では、2月に北西風が最大9m/秒あり、年間平均では6.9m/秒と可能ラインを上回りました。風速条件が良い場所でも自然公園内ですと制約が多く開発が困難です。 また風力発電機の風切り音(100ヘルツ以下の低周波騒音)で周辺住民から体調不良の苦情が出ました。その点、獅子ケ岳は自然公園でもなく近隣に民家もありません。条件的には揃っています。2007年の新聞記事では「設置計画は風力発電機25基。 直径80mの3枚プロペラ、最大の高さ100m-青山高原は50m!、発電量は2000kW/1基で総出力5万kと三重県最大規模。電力は中電へ売電。(売単価10円/1kWhなら年間50億円の売上?)工事用資材・機材の運搬道路は日の出の森への林道を利用」 2007年7月段階では「2009年10月に林道拡幅・鉄塔建設工事に着手し2011月2月完成を目指す」となっていました。総事業費は120〜140億円を予定していますが、景気も悪くなり計画通りには進んでないようです。 因みに徳山ダムが3500億円、最新立体映画「アバター」230億円の製作費とダムや映画より低い額です。しかし建設を始めると1年半足らずで完成してしまうのですね。下の「方法書」の建設予定図を見れば、日の出の森駐車場が要になっています。 駐車場の広さの謎は解けました。上の写真の三角スペースもその準備の一つかもしれません。以上のことは私が愛知県在住なので、これだけのニュースを知らなかったのだと思われます。景気も良くなり、この計画が順調に進めば、完成は早くて3年後か4年後でしょうか。 ◆黒線はW登山した七洞岳と獅子ケ岳のコース、Pは駐車地 県道8号線中川大橋方面↑ (丸印は発電機、赤線は鉄塔・電線路、緑線は管理用道路、茶色は林道) 両山の黒線は、今回私が辿ったコースと駐車場Pです。 →栗原方面 左の計画図では獅子ケ岳山頂尾根に11基、日の出の森コースには4基並んでいます。 道路は山頂尾根にも作られ、そこからの眺望は素晴らしいでしょう。でも一般車の利用は? そうなると景観は随分変わり、100m風車が直列する異次元世界が現れるでしょう。 さてその時、獅子ケ岳から七洞岳の度会アルプスが消滅してしまいます。その縦走コースを歩くと「日の出の森P〜(1:00)獅子ケ岳〜(2:30)〜七洞岳〜(1:00)藤コース林道終点」と4時間30分といい時間です。この縦走には、車のデポが必要条件になります。いつか歩かねばなりません。 そう、度会の宝が獅子岩から風力発電機に変わる前に‥ |