2010年7月20日(火) 群れをなして咲き誇る高山植物の女王コマクサ (本白根山の涸釜斜面) |
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昨年10月学生時代の同窓会が長野県湯田中でありました。翌日、友人がドライブしながら帰ろうと言うので任せます。案内してくれたのは隣の群馬県草津温泉でした。 硫黄臭と湯煙りの湯畑や西の河原はテレビで見たことがあります。珍しい光景をひよこさんにも見せてやりたいと思いました。その次、私達が向かったのは志賀高原。 そこは昨年8月二人で志賀山の登山をしました。何と峠を挟んで草津温泉と志賀高原があるとは。それなら草津白根山登山と温泉散策を兼ねたら素敵です。 そこで「格安温泉お泊まりプラン」を組んでみました。なお白根山、本白根山、逢ノ峰等の一帯を総称して草津白根山と呼び、バリバリの活火山です。 教科書は、JTB社刊「山頂駅からの山あるき」です。参考書として「自然公園財団:草津白根/ハイキングマップ」、「湯Love草津(草津温泉観光協会サイト」他、多くのHPにお世話になりました。 |
<駐車地> [-]広域図、[+]詳細図、ドラッグスクロールで移動 |
白根山駐車場 ↓ 湯釜展望所 ↓ 弓池湿原周回 ↓ ▲逢ノ峰 ↓ 登山口 ↓ コマクサリフト分岐 ↓ 遊歩道最高地点 ↓ 本白根山展望所 ↓ 鏡池 ↓ ロープウェイ山頂駅 ↓ 白根山駐車場 ※赤線はGPS軌跡 ■「この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)、数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平17総使、第98号)」 |
江 南:前日午後6時25分発 26℃晴れ 駐車地:午前8時30分着 22℃晴れ |
往:2時間50分(まで以下、小休止含) 復:2時間05分 ◆所要時間:4時間55分 |
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長かった梅雨のトンネルを抜け出るとエメラルドの青空に眼がくらみます。 高速上信越道の信州中野インターで下り、志賀高原を走り渋峠からは群馬県です。 すると道路沿いに素晴らしい展望の「日本国道最高地点2172m」があり下車します。 南を見ると土色の右端が白根山2160m、その左、緑の台形状右端が三角点峰2165m その少し左のとがった地点が本白根山(モトシラネサン)2171mです。ということは、ここ国道の2172mから 白根山を見下ろしていることになります。中央奥の浅間山2568mも百名山、もちろん未踏です。 |
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翌朝草津温泉から走り、硫黄の匂いを嗅いで白根レストハウス駐車場(410円)到着。湯釜遊歩道入口へ向かいます。 (8:35) 見学コース規制があり西のコンクリート歩道を観光客と一緒に登りました。振返ると次に行く弓池、逢ノ峰(アイノミネ)2110m。 |
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火口縁から湯釜(ユガマ)がパッと眼前に開けると『これはすごい』と驚く。直径300m、水深30m、水温約18℃の火口湖です。 世界で最強の酸性湖といわれています。荒涼とした山肌とエメラルドグリーンの対比は『ここはどこ?』と思ってしまいます。 昭和58年(27年前)白根山は、ここで噴火したのが最後です。 (8:50) |
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駐車場に戻り、道路を横切れば弓池。ここも火口湖の一つで周囲約800mです。 ワタスゲなど湿原植物が茂る水辺を木道に沿って散策しました。 そして再度車に戻り、ひよこさんはウエストポーチ、私はリュックを背負います。 (9:05) |
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無料シャトルバスがロープウェイ山頂駅まで送ってくれますが、私達は逢ノ峰登山口に向かいました。 (9:35) |
逢ノ峰へは、最初歩きやすい木階段です。先日のNHK「ためしてガッテン:7/14驚き!超ラク山登り術」のように演歌を歌ってゆっくり登りましょう。 |
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山頂に六角形の東屋があり、北に好展望。左端白根山2160m(立入禁止)、中央奥横手山2307m、右奥裏岩菅山2341m。 火口壁の中に湯釜の美しい湖面が見えません。最初に登った展望所からしか見ることができないのが味噌です。 (9:55) |
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下山していくと眼下に本白根コマクサリフト乗り場。その右側が登山口で登山道がゲレンデを横切り、森へ進んでいきます。 (10:15) |
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その道は単調で画一性の著しい亜高山帯針葉樹林の登りです。15分で傾斜が緩くなり、コマクサリフト分岐・登山者カウンターを過ぎます。 |
『これ珍しいね』とひよこさんが登山道横を指さしました。4種類の樹木が寄りそうように並んでいるのは、確かに変わっています。 |
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樹林帯から突然、砂礫地に飛び出ると斜面には天然記念物コマクサのお花畑。女子の黄色い声にピンクの花びらが揺れます。(TOP写真も) |
涸釜(カラガマ)に出ました。その内側に切られた登山道を歩くと崩れやすい斜面、驚くことに全面に途切れなく可憐な花が根を下ろしています。 | ||||
コマクサは過去に観賞用や薬草として乱獲され、30年前からこの地では保護活動が始まりました。 やがて中学生も参加しての移植活動へとつながります。ピンクと白花が自生で、赤花は移植されたものです。 現在、関東ではここが唯一の生育地。2000m級の山でもコマクサが咲くのですね。根は50〜100cm! 私ごとですが、学生時代、学校の近くに「こまくさ」という喫茶店の前をよく歩きました。 当時、貧乏学生が喫茶店を利用する余裕はなく一度も入店したことはありません。 店名の意味を友人に尋ねると高山の花ということです。やっと実物に出逢え、とても感慨深く思います。 |
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この涸釜は、直径300m深さ40mもの巨大な爆裂火口跡です。雄大な眺め、コマクサの大群落と人差し指が忙しい。 |
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涸釜を半周し右折すると平地です。コマクサ畑を見て左へ大廻りしあの稜線へ登り右へ歩きます。 (11:00) |
その尾根道は展望が良く、南に群馬長野県境の峰々。でも雲が多い。ヒメシャジンがコマクサに負けじと咲いていますが分が悪いようです。 |
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稜線に上がり涸釜方面を見ると左端に本白根山2171m。そこには登山道がなく登れません。 この辺りの登山道は、自然保護のためロープや丸太の木枠でコースが明示されています。 帰路は、右端の本白根山展望所2145mからの下山です。 |
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そして本白根山遊歩道最高地点2150mに着きランチにします。「ためしてガッテン」どおり靴を脱ぎました。 だけどお薦めしていた味噌汁はありません。左のなだらかなピークが三角点2165mですが、ここも進入禁止エリアです。 (11:25)〜(11:55) |
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同じ道を戻る途中で白花コマクサ発見。 涸釜の分岐で右折すると、ちょっと苦しい登りです。『酸素、少ないから』 |
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でも5分ほどで本白根山展望所2145m。この斜面にもコマクサ群落があります。右の標柱横は四阿山(アズマヤマ)2354mです。 (12:20) 展望は草津温泉、浅間山、赤城山まで広がっています。 |
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砂礫地から樹林に入り、登山道を降るとまもなく右下に静かな池が現れました。 火口跡にできた鏡池2059mは、珍しい亀の甲羅形の「亀甲構造土」が黄色で水面下に見えます。 冬場、池底の土が凍結・融解を繰返し、礫が漸次移動しできたようです。標識から15分で往復できます。 (12:45)〜(13:00) |
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往きと違いこちらはNo観光客。でも60cm幅の木道では擦れ違いが苦しい。実はホームセンターで地下足袋を探しました。 鳶用だけで林業用は無かったので「ためしてガッテン」の教示通り、小さな歩幅で降りましょう。 |
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トラバースの道は、起伏がなく楽ちんです。崩壊した沢道は、アルミと鉄の階段で修復されました。 (13:25) |
やがてロープウェイ山頂駅。100円でトイレを借り、建物左から逢ノ峰山腹の近道遊歩道で下山します。 (13:40) |
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15分で白根レストハウスに帰着。ぶどうソフトを食べ別世界を旅したような山行を二人であ〜だこ〜だと反芻します。 でもこの後、灼熱の5時間ドライブをこなさなければ家に帰れません。 (14:00) |
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東海岳行 |
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“草津旅情” | |||||
草津白根山登山の前日は、温泉散策と決め込みました。高速を降り志賀高原を通り抜ける前、道草「雪猿」でご紹介した地獄谷野猿公苑へ寄り道します。 ここはひよこさんが絶対喜ぶと思ったからです。夏でも温泉の周りには、50匹以上のサルたちがいました。小猿がお湯に浮かんだ餌を取ろうとしています。『かわいい!』 そして国道292号線で長野県境を越え、今回の第一コマ「日本国道最高地点」で展望を楽しみ草津温泉へ向かいました。ここは徳川家康のお抱え学者、儒教者の林羅山が選んだ「日本三大名湯」の一つです。因みに他は兵庫の有馬温泉、岐阜の下呂温泉。 西(サイ)の河原公園のおそば屋さんに入り食後、河原へ向かいます。プールのような広さの「西の河原露天風呂」は今回はパスしました。 ここは草津温泉の西にあり、遊歩道の周りには溶岩がゴロゴロ転がっています。湯川沿いに至る所から50度以上の温泉が湧き出ていました。 強い酸性の温泉の為、河原に草木は育ちません。数百m下流へ歩き、お土産屋・饅頭屋が並び観光客で賑わう西の河原通りを抜け草津温泉の中心地へ出ます。するとよくテレビに映る光景。湯畑(ユバタケ)とはよく名づけたものです。 ここは草津温泉のシンボルとして毎分ドラム缶25本分の湯が沸き出す町一番の源泉。ずらりと並ぶ木樋は湧き出たばかりの高温の湯(約70度)を冷たい外気で温度を下げ、湯花を採取し旅館へ送られます。左写真は、木樋からザーザーッと湯が音を立て勢いよく流れ落ちる「湯滝」。 記念撮影をするには絶好の場所です。滝壺のお湯は、エメラルドグリーンに見えます。これは、温泉に生育する藻イデユコゴメによるもので大変綺麗です。1円玉が何日かで溶ける強酸性ですが、すごい生命力だ。湯畑前にある草津名物『湯もみと踊りショー』が見られる熱の湯に入りました。 「湯もみ」とは草津独特の入浴法「時間湯」の際に行われるもので、高温な温泉の温度を自然に下げる方法です。熱の湯では、この湯もみをショーとしてこの日は1日6回の30分間公演。入場料は1人500円で2階席センターに陣取りました。 細長い板を使って一斉にチョイナー、チョイナーの草津節に合わせて湯をもんでいきます。ザブーンザブーンと大きく湯がもまれるシーンは楽しい。見学者の体験コーナーが2度あり二人とも参加してみました。ネエ様のように板でコンコンと音を立てることができません。ユニクロの青シャツが私で参加賞は手拭いでした。 夜、湯畑はライトアップされ昼間とは違う、幻想的な湯畑を見ることが出来ます。「♪草津よいとこ一度はおいで〜」チョイナチョイナ。いいフレーズですね。これ以上の宣伝文句はありません。温泉地や白根山のトイレに入ると金属部分は腐食しています。 海辺の家のように自動車や家も早く痛むのでしょうか。それならこの辺りに住む人は大変です。でも皮膚病や風邪は引かないかもしれません。 そうそう温泉に入るとお湯はとろみがありました。飲むとピロリ菌は死滅するけど胃壁まで溶けそうで飲めません。 |