旅が終わると、いつか思い出話しもしなくなる。 でも目を閉じれば、余韻は波のように打ち返す。 揺れに身をゆだねれば、思い出はよみがえる。 また旅にあこがれる。‥山へ行こう。 |
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そんなことで、なんだかんだと山に来るわけです。 「ひるがの簡易水道浄排水場」手前の広い駐車場は、京都、石川、神奈川などの車が既に7台並んでいました。私達も準備を終え、フェンス沿いに進みます。 (8:20) |
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登山口の道標に「ここより山頂まで約7Km」との表示です。 今日は、長丁場なのでペットボトル6本を用意しました。ひよこさんが2本、私が4本を持つ公平な割り振りです。 |
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「ダイナランドスキー場」が、向こう尾根に見えました。独身の頃、何度か来ましたが、ゲレンデの記憶は融けて消えています。 ササユリが、登山道を飾ってますが多くの花は終わったようです。それは残念ですが、虫が少ないので助かりました。 |
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やがて鉄塔に出て右に降る道の誘惑を避け、プラ階段の道を登ります。 (8:35) |
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ブナの木の根が、毛細血管のように登山道を這っていました。次第に森は深くなっていきます。 しばらくはミズナ、カエデなど広葉樹林の中の緩やかな登りです。まるでチップが撒いてあるような気持ちよい道でした。 |
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左:アイロン掛けしたいヒメゴヨウイチゴ(いきっこさん) 中:ササユリ(笹百合) 右:ヤマツツジ(山躑躅) |
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万緑に包まれひよこさんは、木の根に手こずってます。 静かな森の中をイメージしますが、とんでもないセミの大合唱です。我家のほうがよほど静かです。 1匹ポトンと落ちてきて直ぐ下草に隠れました。 中小型で透明の羽、ブナ林で鳴いているので“エゾハルゼミ”でしょうか。 |
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左:エンレイソウの実(延齢草) 中:アイズシモツイケソウ(三男山男さん) 右:サンカヨウの実 |
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道石に蝶が、10匹ほど集っていました。朝礼中です。近づくと散会し1匹が、私の手の甲にとまり汗を舐めます。随分フレンドリーな蝶だ。 |
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胸突二丁目と言われた急登をこなします。でも先週の能郷に比べれば距離は短く、思ったほどではありません。 登りきると道は、左へカーブし西に向かいます。 |
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そして第一目標の「いっぷく平」広場です。ここで道程の半分を消化したことになります。 汗をぬぐい冷えたポカリをグビグビ飲みました。充分休憩を取り、熱くなった身体を冷まします。 (9:40) |
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「いっぷく平」からすぐに巨木の森に入りました。 直径1mあまりのブナが、登山道沿いに林立している風景に驚きます。 『すっ、凄い』 |
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左:マイズルソウ(舞鶴草) 中:ゴゼンタチバナ(御前橘) 右:イワカガミ(岩鏡) |
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森を抜けると木立が無くなり、日差しをまともに受けました。暑さにまるで弱いひよこさんが心配です。 ※ゴゼンタチバナは三男山男さんより(6/28) |
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徐々に暑さが堪えてきます。向こうのピークを頂上かと喜ぶのは早い。前山です。 ひよこさんが大木の下、ぬかるみで足場の選択ミスをしてズボッと靴がはまりました。『あっ臭い!泥臭い!いやだ臭い〜!』と汚れた靴に八つ当たりしながら歩いています。 |
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前山に上がると頂上が目の前に見え、四周に視界が開けました。ひよこさんは、暑さと疲労で座り込みます。そこへ兎にも角にも涼しい風が、吹いてきて命拾いです。 山頂から来られた方に、あと何分かを訪ねると『ここまで10分で来たから15分で着きますよ』と思わぬ速さに喜びました。 (11:15) |
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このピークから北を見ると「白山」連峰が望めます。 冷えたお茶を飲み、しっかり休んだら最後の登りです。3本のペットボトルが空になりました。 |
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「大日ケ岳」山頂1709mに着きました。大日如来像、石碑×2、燈篭×2、標柱×2、山名盤、ゴールデンレトリバーなど賑やかです。登山客も30名ほど談笑中で、暑い中みなさんご苦労様です。 (11:50)〜(13:10) |
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さあ大休止!おにぎり“匠の握”を食べましょう。 右端に細く見えるのはアマ無線のアンテナで年配の方が頭に手ぬぐい、上半身裸でずーっと交信されています。 すると新製品の登山用スパッツを履いた若い男性が来たので少しお話をしました。彼は冬、スキーでここまで登って滑り降りるそうです。『雪は標柱ギリギリの2m近くもあり、大日如来像は雪の下です。無雪期に初めて来ました』と言っていました。 |
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周囲は、かすんでいて遠望はこの時期、望めません。日陰は無いけど風があったので永く休めました。 チシマザサの中を帰路につきます。 |
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アカモノ(赤物) 果実は赤く熟し、甘みがありうまいそうです。 |
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左:ガマズミ 中:ユキザサ(雪笹) 右:ツマトリソウ(褄取草) |
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ガマズミ通りを抜けていきました。秋になるとおいしい赤い実がなるのでしょう。 | |
巨木の森に入りました。サワグルミの大木です。ここから日差しを受けなくてすみます。 | |
「いっぷく平」に帰ってきました。左端に毛皮のゴールデンレトリバーが、ハァハァと暑そうです。 (14:15) ひよこさんが、永年圧力をかけペラペラになった携帯座布団を前山に忘れました。『あ〜ぁ』 ここから少し先にあった三角点です。 |
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ブナファンには堪らない、ブナの並木道を通り抜けます。 |
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帰りは鉄塔が、大きな夢と希望です。ここまで来ればあと少し、とうとう水を6本全部、飲み干しました。 (15:20) |
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『やった〜』登山道道標の先に浄排水場、その先が駐車場です。全身汗でびっしょりだ。 (15:35) |
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思い出となった「大日ケ岳」を横に見てひるがの高原を後にします。 道の駅でソフトクリームとひるがの牛乳と白川茶を買い、暑さに耐えた身体へのご褒美にしました。 ラジオで『今日、岐阜の気温が34.5度に達した』と言ってます。緑と暑さが、記憶に焼き付けられた一日でした。 |
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世紀の防草剤発見 恵那の棚田を借りて野菜栽培をしている友人がいます。週末になると一宮からその畑に通っている。彼は滅入った様子で語りました。『この時期、草刈りを必死にするけど、1週間後にはボウボウになっている。棚の斜面はともかく、畑まで草が生えるのでまいっとる。』 そう聞いた私は、彼に小声で囁いた。 『杉林は植生が乏しい。それは落ちている杉葉の成分の影響で、下から草や花が生えないからだ。おまけにその葉は腐りにくい。だから植林地に行き、落ちている杉葉を拾いなさい。恵那の畑で草が生えて困る所にその葉をビッシリ敷けばいい。‥ところでこの世紀の発見を身内以外で話したのは、君が初めてだ。特許が取れたら少し分け前をあげるから、畑でぜひ実験して欲しい。』と申し出たら、彼は笑いこけていました。 少し気が晴れたかな。 |