岳行ノート

金冠山・達磨山 816m・982m/静岡県伊豆市

2011年1月14日(金)


初富士

(東名高速道路富士川サービスエリアより)


 昨年11月、本年1月15日(土)静岡三島市で開催される講演会のチケットを購入し、1泊で行くことになりました。それならと西伊豆の金冠山・達磨山の富士見登山を計画します。

 最初、1000円高速利用の土日予定でした。ところが直前にその二日間のお天気が良くないとわかり、金土に急遽変更します。往きの1000円高速も3500円に変更。

 仕方がありません。富士山が見えなければ富士見登山にならない。この時期に車中泊はできないので三島市内のビジネスホテルを予約しました。


 それがとてもリーズナブル!朝食バイキング付きで2名1泊6980円です。さあ準備はできました。スパースター富士山にひよこさんと逢いに行きます。


 教科書は、山と渓谷社刊
「新・分県ガイド 静岡県の山」です。
<駐車地>
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だるま山高原レストハウス
駐車場

登山口

達磨山分岐

金冠山

戸田峠

小達磨山

スカイライン出合

達磨山

戸田峠

達磨山分岐

駐車場


 ※赤線はGPS軌跡

■「この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)、数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平17総使、第98号)」


江  南:午前6時50分発   2℃晴れ
駐車地:午前11時25分着  2℃晴れ
往:1時間50分(達磨山まで以下、小休止含)
復:1時間20分
◆所要時間:3時間10分



 名神高速道路小牧インターから静岡に向かう時ちょうど日の出時刻。サンピラー(太陽柱)が、垂直に昇天しています。

 日の出、日没時に見られる大気光象で始めて見ました。東名高速道路の沼津インターまで走ります。

 修善寺有料道路の修善寺インターから西へ走り、だるま山高原レストハウスの駐車場に止めます。展望所から富士山が見えました。

 昨年10月発売の伊藤園のみそ汁缶で車中ランチします。かつおだしで具はなめこ・わかめ・青ねぎです。食べ終わる頃、黒い雲が覆ってきました。

 駐車場西に登山口があります。伊豆山稜線歩道として整備されたルートを辿ります。
(12:25)

「伊豆山稜線歩道」:伊豆市修善寺虹の郷から天城峠までを結ぶ全長43キロの伊豆尾根トレイルです。

 14時間以上の行程で大海原と雄大な富士山展望が各所で楽しめます。




 広い防火帯の道は、芝生に覆われ金冠山までゆるき坂登りです。嬉しきことに晴れ間が広がり、道が明るくなります。



 視界に電波中継塔を乗せた金冠山が現れました。あの南斜面はマメザクラ群生地で、春に淡いピンク色で覆われます。

 この先の達磨山分岐を直進すれば、山頂まで一登りです。
(12:50)

金冠山(キンカンヤマ)816m山頂は、360度のパノラマ。金曜の午後1時の空、自由な雲‥
登頂した時は山頂に雲がかかっていましたが、標識の右上方向へ流れてくれました。
今日は南アルプスが見えませんが、富士山だけで充分雄大な風景です。
(13:00)





 眼を転じると駿河湾の向こうに昨年2月に縦走した沼津アルプスが連なっています。中央が最高峰の鷲津山392mです。

 もう一年たったのですね。その右奥に箱根山が薄く見えています。





 満足して降り、達磨山分岐に戻ったら電波中継塔用の舗装道路で南下です。
(13:10)



 2004年から無料開放された西伊豆スカイラインの起点戸田峠(ヘダ)725mに出るとひよこさんが車で先に来て待っています。

 久し振りの登山なので歩く区間を間引きしてあげたのです。

(13:15)





 山稜の道は、アセビの長いトンネルになります。アセビは土壌の浅い尾根筋など乾燥しやすい土地に多いようです。





 風の強い風衝地や岩場の隙間にも生え、果実は始めは緑色、熟すと茶色になります。青空に映え美しい。 

長い階段を登り、アセビトンネルを抜けると西に駿河湾への眺望が広がります。
御浜岬に囲われた戸田港、2年前に伊豆半島を1周したとき訪れました。思い出の匂いが届く。
そのとき0m地点から金冠山達磨山を見上げたのですが、歩くとは思いませんでした。
(13:30)

 道では霜柱が土を押し上げています。踏んで歩くと子供の頃、聞いた懐かしい音がします。

 尾根に作られた強引な道を進むには、長い階段を再び歩かなければなりません。

でもそこから振り返れば、まるで空中画廊を歩いているように見るたび景色が変わっていきます。
富士山で生まれたての雲と消えゆく雲に願い事をゆだねたら空高く放ちましょう。
中央の白い鉄塔は、金冠山山頂です。




 ピークの小達磨山(コダルマヤマ)860mは、金冠山から達磨山までの中間にあります。ここは眺望がありません。
(13:45)



 降りになり達磨山山頂への道が見えてきました。一旦、西伊豆スカイラインに出て右折すると、100m先に登山口があります。

 登山道から車道へ出るには用心しましょう。「飛び出すな!車はキュウリを踏みたくない」
(13:55)




 笹割れ道は眺望がいいけど風当たりは強い。足元には残り雪もありました。達磨山(ダルマヤマ)982mは一等三角点です。
(14:15)


展望は四囲に広がります。北に富士山と沼津市街‥


東南には、百名山の天城山(アマギサン)1406m。
右端鞍部が天城峠でこの伊豆山稜線歩道の終点です。


下山は空中散歩。きらめく駿河湾、対岸の富士市を見ながら標高差1000mの光景を楽しめます。



 ひよこさんは、戸田峠の置車で先にレストハウス駐車場へ帰ってもらいます。
(15:05)

 私はピストンで達磨山分岐から防火帯の道を歩き、駐車場に帰着しました。
(15:35)



 一泊して翌日、渡部氏の講演会が終わり、高速で帰ると‥すべてのライトが閉じ込められる猛吹雪。

 旅の日程を変えて良かった、良かった。


東海岳行
   “戦場カメラマン” 

 金冠山・達磨山登山後、沼津市内の格安ホテルで一泊しました。翌日15日(土)は楽しみにしていた戦場カメラマン渡部陽一氏の講演会です。三島駅前の市民文化会館に開場時刻の17時に行きます。入口前のポスターには「チケット完売しました」の赤紙が貼ってあります。彼は富士市出身なのでご当地で凱旋講演です。

 低い声でゆっくりと話す独特の優しい口調は、癒し効果があるようで聞く人をリラックスさせます。昨年、テレビで見ない日は無いほど大ブレークしました。さて私達の席は、前から10席目でまずまず良い席です。

 舞台背景に地球の絵が投影され、講演用の机が左にあります。定刻17時半、袖から戦場カメラマンは登場しました。39歳身長180センチ体重65キロでモデルばりのスマートな容姿ですが、とても腰が低い。



 13年前、妹にもらったベレー帽とベストのお馴染みの姿です。低い声で『みなさん、こんばんは』それだけで観客席から笑い声が上がります。最初、彼は講演会の流れを話しました 三部構成で一部は戦場カメラマンになったいきさつ、二部が戦場で感じたこと・伝えたいことを写真を交えて紹介、三部は質疑応答です。

 舞台を右へ左へと歩き、大きな声と独特の身振り手振りを交えて話が続きます。詳しい内容はネタばれになるため避けますが、テレビで語られたこともありましたので一部紹介します。学校を卒業し戦場カメラマンになったのですが、10年間まったく写真は売れません。

 サンデー毎日の連絡で急に空いたスペースを埋めるため、彼の写真が初めて採用されました。そして二部の写真レポートでは、1歳くらいの幼児が裸で2mの紐に犬のように繋がれていたのが衝撃的。その戦地では、両親が働かないと食べていけないため、彼を縛りその近くの建設現場で働くのです。



 三部の質疑応答は何でもよいということで彼の活躍するテレビのことが主な質問でした。『テレビ出演する最初のきっかけは?』 2009年末TBSの色々な職業を紹介する「1億3000万人の法則」で取材出演します。

 それを見た千原ジュニアから電話があり、スタジオに来て欲しいと依頼されました。それがTBSバラエティ番組「笑撃!ワンフレーズ」です。『逢って嬉しかった芸能人は?』 大ファンの西田ひかるさん、「しゃべくり007」で逢ったトム・クルーズ

 『出て良かった番組は?』 2週連続で放映された「金スマ」で自分のテーマである戦争と子供たちを扱ってくれたから。『尊敬できる芸能人は?』 明石家さんま、あれだけの大御所にもかかわらず腰が低い人です。



 ファンから求められれば一人一人サインをキッチンとし、一生懸命後輩を指導する姿を見るとテレビに映る芸人さんまさんとは全く違い感銘したそうです。『これからの夢は?』 戦場カメラマンを失業して学校カメラマンになること。世界が平和になれば失業だから。

 この講演会はネットで知り、面白いと思い早々とチケットを購入しました。ところが1ケ月後のDMが岐阜県土岐市や愛知県犬山市の開催を知らせます。購入を後悔しましたが、富士山も見れ良かった良かった。因みに有料講演会でなく学校などで行う聴講無料の講演料は、昨年10月から10万円アップして40万円です。

11.01.17(月)19:05