2011年2月16日(水) 雪化粧の深山イブネ 綿向山の幸福ブナから北東を望む 正面がイブネ1,160m、右の稜線ピークが杉峠の頭1,121m 右端の鞍部が杉峠で、目を凝らすと老杉先端の緑色が‥ |
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霊峰綿向山の標高は1,110mです。日野町では、標高にちなみ1996年より、11月10日を「綿向山の日」と制定しました。考えた人は素晴らしいアイデアマンですね。 青森県白神岳のように1,232m以上の標高だと、このアイデアは使えません。さて綿向山では、その日は「ふれあい綿向山Day」としてイベントが開催されています。 15回目の昨年は1,000人の登山者が登ったそうです。私も’02年に参加し登山証明書をゲットしました。今回は「乱丸お出かけ」さんから霧氷登山のお誘いを頂きました。 パーティは8名で、私は積雪期の綿向山は初めてです。 教科書は、山と渓谷社刊「新・分県ガイド 滋賀県の山」です。参考書として「綿向山を愛する会」にお世話になりました。最新情報は「掲示板山小屋舎」でチェック。 |
<駐車場> [-]広域図、[+]詳細図、ドラッグスクロールで移動 |
駐車場→ヒミズ谷小屋→→あざみ小舎→五合目小屋→行者コバ→▲綿向山→幸福ブナ→駐車場 ※赤線はGPS軌跡 ■「この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)、数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平17総使、第98号)」 |
江 南:午前5時55分発 -2℃ 駐車場:午前7時50分着 -3℃晴れ |
往:3時間00分(以下、小休止含) 復:2時間15分 ◆所要時間:5時間15分 |
家を出た途端、携帯でひよこさんから『お茶を忘れたよ』慌てて戻る。その後、名神を走り八日市インターで降ります。 477号線の音羽交差点で左折、西明寺バス停で右折。直進→右折で西明寺川の御幸橋駐車場、道に雪はありません。 皆さんとご挨拶を交わし、駐車場横の左岸を歩き出します。と、すぐ! (8:05) |
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『サングラスを忘れた!』慌てて戻る。今日の為に用意した物です。よく忘れ物をします。待っていただいた皆さんに陳謝。階段で林道に上がると‥ |
川崖に接触変質地帯の看板。大昔、押し寄せたマグマに石灰岩がアッチッチとなり、何種類もの石(ザクロ石等)が生まれたものです。 |
林道が終わるとヒズミ谷出合小屋です。平成12年に建てられ、中の伝言板に最新の綿向山情報が書かれていました。 ここが表参道登山口、山頂までの標高差650mを登ります。 (8:30) |
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鉄橋を渡るといよいよ登り開始。植林のジグザグ道は、歩きやすい勾配です。一合目、二合目の道標を過ぎ‥ |
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三合目で林道に出たら右折し、数分で道標を見て再び登山道へ入ります。 何とペットボトルの水がシャーベット状になってきました。雪が深くなってきたので‥ (9:15) |
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平成14年に建てられたあざみ小舎で簡易アイゼンを装着。靴の滑りに神経を使わなくても良くなり、四合目を過ぎ‥ (9:25) |
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しばらく行くと視界が西に開けます。竜王山826m越しに近江盆地。琵琶湖の向こうに比良連峰が望めました。↓ 左:蓬莱山1,174m、右:武奈ヶ嶽1,214m (9:55) |
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そこに五合目小屋が、抜群のロケーション。平成16年「綿向山を愛する会」により建てられました。 登山道にあったヒズミ谷出合小屋もあざみ小舎も会の建造です。 壁に「日本初日付高度の山11月10日綿向山の日」初は誇れます。 竣工日が10月11日‥おしい!11月10日なら標高ピッタリでした。 入口の頭上に鐘があります。「夢●の鐘」見ると「咲」の字が、剥がれていました。鐘を鳴らすと『今日も誰かが登っているなあ』と里の人が思うそうです。 |
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雪は更に増し、樹木にもどっさり。天候が良いため、時々枝から垂(シズ)り雪がシャワーのように降り注ぐ。 背中に入ると、なすすべなく悶えます。 |
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周囲がブナの原生林になれば、七合目の行者コバです。昔、山伏の儀礼が行われた場所で、今も町内の信者により行者堂が祀られています。 (10:15) |
ここからは通行止の山腹道を避け、積雪期限定の尾根道です。山頂まであと標高差180mですが、4段の急登が待ち受けます。 |
膝まで入る雪と急勾配。30分の頑張りです。でも踊り場のような平地で、ひと息つけます。 |
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そして霧氷の展望地に到着。お天気が良すぎて霧氷のつきは良くありません。 (10:50) ※霧氷:寒地で霧の粒が枝などに付きできる氷。樹氷はこれの一種で花のように美しく見えるもの。 |
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最高時は、山肌の樹木が一面真っ白になるそうです。でも登山道には、エビの尻尾が残っていました。 「好天で霧氷無し」か「悪天候で霧氷あり」、どちらが良いか‥山頂に答えがあります。 |
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そして青と白、アース・カラーの山頂です。正面の大嵩神社(奥の宮)は、545年に建てられたのが始まりとのこと。 古来より祠を20年毎に建て替える式年返遷宮が、今も続きます。写真中央に石積みの大ケルン青年の塔があります。 1970年、町の青年団が資材を運び上げ半年後に完成し高さ5.3mです。中のタイムカプセルは、50年後に開けられます。 その2020年、あの青年団はどれほど変貌しているでしょう。今から8年後、私もできるならその瞬間に立ち会いたいものです。 景色をご馳走にと言いますが、景色では腹は膨れません。早速雪上ランチに突入します。風もなく寒さに震えない雪山に感謝。 (11:05)〜(12:25) |
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上空で飛行機雲が、クリスタイル・スカイを切るように伸びています。 抜群の展望、白銀と光が織りなす凛とした峰々は、尊くも厳かです。 ↑東の展望、左はイブネ1,160m、中央は重厚な雨乞岳1,238m、右端が雪が乗りにくい鋭峰鎌ヶ岳1,161m。 北東に目を転じると右奥に御岳山3,063m、その下がタイジョウ1,065m、中央ピークは大峠の頭1,080m。 その左奥に薄く乗鞍岳3,026m、左端の雪山が竜ヶ岳1,099m。山頂に展望図盤があり、同定は容易です。 次に↓北方面、左端雪山は霊仙山1,084m(手前)と伊吹山1,377m(奥)が重なっています。 その右奥が能郷白山1,617m、写真中央のピークは鈴ヶ岳1,130mです。 その右の鞍部に遠く白山2,702m、更に右が台地状の御池岳1,241m。 ランチが終わる頃、団体で登山者が上がってきました。席を譲って下山しましょう。 |
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山頂からすぐ分岐があり、竜王山826mルートへ緩く降ります。細い尾根筋には、雪庇が美しく危険なカーブを見せています。 |
数分で「ブナの珍変木 幸福ブナ」の案内板。潜ると幸せを呼ぶと言われていますが、この状態で潜ると不幸な有様になるので誰も潜ろうとしません。 (12:30) |
そこは展望が良く、綿向山東尾根に樹氷が見えます。 中央が双耳峰の仙ヶ岳961m、左はアンテナを乗せた野登山852mです。 |
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往きの急斜面が、帰りには絶好の尻セード傾斜。お尻に何も敷かなくても結構滑られます。しかし、パパラッチに狙われる。 すると登って来た人に『奈良の人?』と突然、声を掛けられました。何を持って奈良県人か話題になりましたが、謎です。 |
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好天で樹木や道の雪が溶けてきました。五合目で休憩を取り、植林の登山道へ入ります。 (13:30) |
ヒズミ谷出合小屋でもひと休み。アイゼンは、まだ外さないで降ります。 (14:20) |
結局、アイゼンは駐車場で取りました。 皆さんとお別れの挨拶を交わし、車に乗ります。 西明寺バス停の公衆トイレに寄ると奈良のクラブの貸切バスが停車していて謎が解けました。 急斜面で私達に声をかけた方は、団体から遅れを取った人でしょう。 (14:40) 麓から望むと綿向山山頂までは、900mの標高差があり迫力充分。 左ピークは竜王山826m、最高峰が綿向山1,110m 右ピークは水無山985mです。 日野町の国道477号線沿いにある馬見岡綿向神社(ウマミオカ ワタムキ)は 山頂の大嵩神社里宮として796年建立され1200年の歴史があります。 信心深い方はぜひお参り下さい。 |
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乱丸&のこさん、mayu&脱力登山家、Kさん夫妻、Dolphyさん、お世話になりました。また写真のご提供ありがとうございます。 |
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東海岳行 |
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“カーナビ” | |
商店街で時々利用するお店があります。ある日久し振りに行くとシャッターが下り、営業してる気配がありません。駐車場へ戻ろうとすると、お店の奥さんが勝手口から出て来たので挨拶します。旦那さんと二人で切り盛りしていた店も子供が跡を継ぐ気もなく、奥さんが還暦を迎えたのを機に店仕舞いしたと話されました。 奥さんが話し好きで立ち話をしてると車の話題となります。ご夫婦は10年近く買い換えなかったので近々新車を購入する予定だそうです。私が車であちこちの山へ出かけていることは知っています。すると『カーナビは、付けた方がいいですか?』と聞かれました。 『私は10年ほど使用していますが、知らない所でも間違わずに行け、道探しでキョロキョロしなくてもいい。特に雨の日や夜は助かっています。安全と安心には欠かせませんね』とカーナビの感想を伝えます。奥さんは、もう少し聞きたそうでお茶を誘われました。 お店の椅子に座ると、お茶&お菓子を運んでこられます。これは長くなりそうだ。こちらのご夫婦の趣味は、各地の温泉巡りです。宿の予約もせず車を走らせ、現地で泊まる宿を探す気ままな旅と言われました。 カーナビが付いていないので旦那さんが運転、奥さんが地図を調べるナビゲーターと役割が決まっています。最近、嫁いで行ったお嬢さんが帰省され奥さんと車購入の話になったとき『新しい車には絶対、カーナビを付けるべきよ』と強く言われたそうです。その理由が、奥さんはちょっとショックでした。 『お母さんは、旅行中地図ばかり見てるでしょ。今まで車から旅先の風景を落ち着いて見たことないでしょ。カーナビがあれば、そこで見た風景も思い出になるのよ』数々の旅を振り返るとお嬢さんの言う通りでした。私にもその必然性を確認したかったのでしょう。二人で話をしていると旦那さんが帰ってきました。 彼も同席すると奥さんがカーナビの話を遠ざけます。お店の商売柄、旦那さんが関白であると思いました。お節介ですが、私が話題を車→新車購入と誘導します。そして装備品のことを切り出し、『カーナビは?』と言うや否や‥ 『あ〜ぁ、あれはいらないね。こいつが地図を見るから』指さされた奥さんは伏し目。しばらくして私は『お邪魔しました』とそこを出ました。それから1年過ぎた頃、偶然スーパーで奥さんと出合ったのです。カーナビの件は気になっていたので尋ねました。『新車には付けませんでした』やはり、ところが‥ 旦那さんが運転、奥さんが地図係りの旅は止めたと言います。あれから温泉旅行は、気の合うお友達とバス・電車で行っているとそうです。旦那さんが道を知っている所へドライブするときは隣に乗ります。『じゃあ、旦那さんは旅行はどうするのですか』『独りで行っていますよ』 夫婦には役割があるものですが、当然と思っていることがそうでない場合があるようです。私も孤独な夫にならないように気配りしなくては行けません。 |