岳行ノート

戸隠高原 1170m~1350m/長野県長野市

2011年5月14日(土)


鏡池に写る鋸刃の戸隠山

戸隠神社奥社の祭神は、天手力雄命(あめのたぢからおのみこと)で
天照大神が隠れた天岩戸をこじ開けた大力の神。
神話では天手力雄命が投げ飛ばした天岩戸が、現在の戸隠山であるとされる。


 「♪水芭蕉の花が咲いている 夢見て咲いている~」女性合唱の名曲です。中学生のとき習いました。特に「夢見て咲いて‥」の箇所が印象に残ります。

 同じ音を続けるワン・ノート・メロディーが新鮮でした。この♪夏の思い出(作詞江間章子/作曲中田喜直)は、昭和24年NHKラジオで放送され、全国に知れ渡りました。

 それでは水芭蕉を見に行きましょう。あの尾瀬は遠いけど、この戸隠も結構遠い。金曜日の夜、上信越自動車道の黒姫野尻湖PAで車中で前夜泊しました。


 翌朝土曜日、次の信濃ICで下車して高速1000円対象です。そして戸隠森林植物園に向います。


 教科書は、信濃毎日新聞社刊
「信州高原トレッキングガイド」です。
<駐車場>
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戸隠森林植物園駐車場

奥社入口

市営戸隠キャンプ場

ささやきの小径入口

随神門

戸隠神社奥社

随神門

鏡池
どんぐりハウス(ランチ)

硯石

小鳥ヶ池

戸隠神社中社

戸隠森林植物園駐車場


 ※赤線はGPS軌跡

■「この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)、数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平17総使、第98号)」


江  南:前日午後17時05分発        22℃晴れ
黒姫野尻湖PA:前日午後21時45分着     10℃
植物園駐車場:午前7時05分着   10℃晴れ後くもり
往:3時間25分(戸隠神社奥社まで以下、小休止含)
復:2時間25分
◆所要時間:5時間50分


 戸隠森林植物園は、自然林のまま整備されています。この施設を始め戸隠山一帯は上信越高原国立公園です。

 この駐車場から高原散策に出発。朝早くても既に50台ほど関西関東など全国の車が停まっています。
(7:15)




 まずみどりヶ池に沿って歩くと水のほとりに水芭蕉が夢見て咲いていました。『いっぱい!』ひよこさんのテンションも上がる。



 池端から探鳥路に入り、木道の水芭蕉の小径へ移ります。両サイドは、これでもかの水芭蕉が素晴らしい喜ばしい。

 駐車場に車が多いはず。あちこちに鳥を狙うカメラマン多数。声は聞こえても遠く小さな被写体を見つけるのは至難の業です。


賑やかですね。ひよこさんが何度も『今日で一生分見た』とはしゃいでいます。
水芭蕉は、花後に大きな葉になります。それがバショウの葉に似て水辺に自生
するのでその名になりました。松尾芭蕉の閑居した庭に植えられたことからとも。

バショウの葉                                       
                                          


 やがて森林植物園から戸隠神社奥社大鳥居前に出ました。 道標が示すキャンプ場へさかさ川歩道を歩きます。
(8:00)

 路傍には、春の妖精たち「スプリング・エフェメラル」が明るい小さな舞い。とても嬉しくなり来て良かったと思うときです。

 高原の春はハイスピード。  (左)コキンバイ   (中)カタクリ    (右)キクザキイチゲ 

周囲が、白樺林からカラマツ林になりました。木道が水芭蕉群生地にカーブを描きます。ビバ水芭蕉
向こうに見えるのは山小屋ではなく立派なトイレです。舗装道に出たら左折して市営戸隠キャンプ場へ‥
(8:40)




 すぐ広大なキャンプ場入口に着き、写真右端のウェストンの碑から奥へ行きます。舗装道を詰めれば戸隠牧場の入口です。

 その手前左にささやきの小径の案内板があります。キャビンの中の石畳を通り抜け‥
(9:05)

 西方向へ緩く登るとキャンプ場のはずれです。そこにある木杭から遊歩道らしくなります。日差しを浴びるスプリング・エフェメラルが歓迎してくました。

(左)コンロンソウ(崑崙草)       (中)オオタチツボスミレ           (右)ニリンソウ
 ゆるゆるの登りなので快適な気分で散策できます。小さな清流に小さな橋が何箇所も。大きなトチノキに解説版があります。
(9:45)

 高原には毛細血管のような多くの沢、道まで沢になっています。

 やがて昭和20年代に植林されたカラマツ林。寒さに強いカラマツは、日本唯一の落葉針葉樹です。先に参道を歩く観光客‥ 

 そこが萱葺・朱塗りの戸隠神社随神門(ズイシンモン)。神域に邪悪なものが入らないように御門の神を祀ります。

 みなさんは、5コマ目の大鳥居からこの門まで1km歩いてきました。それでは‥
(10:20)
私たちも門を潜り、ツアー客に交じり、奥社へ向かう参道を800m歩きましょう。
道の杉並木は400年前に植樹され約200本‥感動的な見事さです。
神域のため周囲の森林も伐採を禁じられ、原始林として保存されています。

 高原は1200m以上なので鈴鹿の稜線より高所です。酸素が少ないとは感じませんが。
杉並木が終わる頃、エネルギーが足りない。あ~シャリバテの身に堪える石段です。
 ゴールは、創建千数百年の戸隠神社奥社、背後には戸隠山の稜線。拝礼を済ませ九頭龍社下の戸隠山登山口へ。↓
 
 レストランで食事するため、腹の膨れるものはなく、お菓子を食べることにしました。
(10:40)~(11:05)。


 随神門へ戻り、観光客と別れ右折して戸隠森林植物園の東端にある散策道へ。(11:35)

 水芭蕉の小群生地を抜けるとこの
天命稲荷です
(11:55)

 二拍子を刻んで行くと、流れは集まって広くなり鏡池へ注いでいます。
池には車道が来ていて観光客で賑わっていました。
桜咲くウッディなレストランどんぐりハウスで空腹を黙らせなければいけません。
 鏡池の絶景を見ながらお洒落なランチをしましょう。 

 「ハムとチーズとタマゴのガレット900円」なんのこっちゃ? そば粉を使った、おフランス・ブルターニュ地方の伝統料理です。
(12:05)~(12:55)

 心地よくなった胃袋。レストランから南へ行き道標で山道へ。カラマツ林を緩く登ると伝説の硯石です。
(13:25)

 ここは展望が利き、東に飯縄山1917m。思い出が蘇ります。40年前、山頂にレザー光線が届いた山です。(大道草を見られた方、覚えてますか?)




 硯石から降り小鳥ヶ池。この池も鏡池も人工池です。森の向こうに黒姫山2053mが、覘いています。
(13:35)
 山道を降ると県道に出合いました。観光地のように賑やかで道を渡り石段で戸隠神社中社へ行きます。(13:50)

 車道を1km歩き、稚児の塔と過ぎると森林植物園です。停める所が無い駐車場は、大変なことになっています。(14:15)



東海岳行
   “信じられないニュース” 

 先日、宇連山を周回したとき、ご一緒したリッターライダー(排気量1000cc以上の大型オートバイクのライダー)の岳魚さんから信じられないバイク事故の話を聞きました。私は知らなかったのですが、ご存じな方もみえると思います。それはこんな内容です。

「2007年8月13日午前6時半ごろ、浜松市西区篠原町の国道1号浜名バイパスで同市南区の会社員の男性(54)がオートバイで中央分離帯に接触し、右足をひざ下約10cmで切断した。男性は接触に気づいたがそのまま数分間走り、2km先のインターチェンジで初めて自分の足がないことに気づいたという。

 静岡県警浜松中央署は痛みが強すぎて分からなかったとみている。
同署の調べでは、男性は仲間10人とツーリング中、緩い左カーブを曲がりきれなかったらしい。切断された足は仲間が現場に拾いに戻り、男性と一緒に救急車で同市の病院に搬送されたが、つぶされるように切断されていたという」

 


 
と新聞・テレビで報道されました。普通のバイク事故なら新聞記事になったかどうかですが、足を切断したまま2kmも気づかず走ったと言うところが衝撃的です。痛みは?出血は?事故は謎だらけです。後日、岳魚さんがネットで調べられメールを頂きましたが、私も親しい知人のリッターライダーにこのことを尋ねました。

 当時バイクの仲間内で話題になった事故だそうです。8月は暑くあまりツーリング向きではありません。事故の日は、暑さの厳しくない早朝ですが、お盆なので交通量は通常より多かったと思われます。バイクの機能ですが、右ペダルの役割は後ろブレーキ。つまり右足がなければ使えません。

 前ブレーキ右ハンドルを握ると効きますが、ぶつけた時壊れました。アクセルは、右ハンドルを回して使用しますが、めったに壊れません。ということは前後ブレーキ不能、アクセルOKなので走りは可能。事故るとバイクはコケますが、バイパスでは後続車が怖い。

※浜名バイパス:大倉戸IC~篠原IC間12.7km、片側2車線信号無、制限速度80km/h、2005年3月~無料開放

 痛みをこらえ安全なインターチェンジまで走ったのでしょうか?そこまで約2km、惰性では走れません。時速80kmでも1分半かかります。ブレーキが壊れ、止めたくても止められない状況でエンジンブレーキをかけ、やっとスピードが落ち止まったのでしょうか?そこでコケたようです。

 また中央分離帯は平らな面に仕上げてあるのですが、そこにたまたま何cmかの段差があり、数mの摺った跡がありました。その事故現場はどこでしょう。上地図を見ると左の新居弁天IC東に緩い左カーブがあり、その2km先が右の馬群インターです。ここが現場?

 それにしても54歳のベテランが、なぜ中央分離帯にぶつかったのでしょう。ライダーの知人が言うには10名でツーリングする場合、道路走行は隊列を組むそうです。ちどり走行という方法で下のように一車線の中にバイクがジグザグに並びます。

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 道を知っている上級者が先頭を取り、運転技術の低い人が後ろに続き、後方も先頭者のようにハイレベルの人が固めるのです。中高年のライダーは、仲間意識が強くこのような集団行動に適しています。この走行をすると間に車が入りにくく集団が分裂しません。

 ところが自分の位置をキープしようと頑張ることがあります。例えば左カーブに来て左側のライダーの技術が低いと外へ膨らみ、右側のライダーに接触しそうになったりして危険です。カーブの内と外で距離が異なるため、隊列がバラケることもあります。それを正すためスピードを上げることもあるでしょう。

 事故直前は、このグループもバラケた状態だったようです。しかし本当のところ、どのような状況であったか、ご本人に尋ねなければわかりません。一番の驚きは、痛みに耐え1分以上走ったということです。すると知人は、痛みに耐えたド根性ライダーの話をしてくれました。このお話は、次の機会に‥


11.05.24(火)18:25