岳行ノート

伊吹山/米原市  標高1377m
2005.7.31(日)江南6時30分発 
           曇り 28℃ 
登り:計2時間05分(小休止含)三合目より
東西コース一周:1時間15分
降り:計1時間15分(小休止含)
 独身の頃、会社の同僚と南区の実家で麻雀をしました。夜中に終り「伊吹のご来光を見に行こう」となり、田村君のカローラにみんな乗り込みました。
 熱田区で突然雷雨となり、西区で道路は川です。「ダイジョーブ。行け行け!」とみんなの後押しに田村君はアクセルを踏みました。ところが反対車線の車の横波をくらいエンストです。車を押そうとドアを開けたら水が浸入し床上浸水になりました。みんなは笑って大騒ぎですが、田村君は半べそです。
 もちろん「伊吹山」には行けませんでした。24歳の伊吹の思い出です。

 30日の中日新聞朝刊に『別天地‥涼感の花畑』と伊吹山山頂の五分咲きのシモツケソウの写真が出ました。「気温は25度」と記事があおり、さらにハイキング客を誘います。 『記事で紹介すると山頂は、スーパー混雑になるに決まっとる!』 でも、私もあおられた一人なので文句を言えません。

 ガイドブックは、山と渓谷社「名古屋周辺の山200ベストコース」です。参考書は「せきすいの山遊録」にお世話になりました。単独です。

自然のデザイナー制作“奇跡の花園”
 


ゴンドラ乗り場P

高原ホテル(三合目)

伊吹山山頂

東コース

西コース

高原ホテル(三合目)

ゴンドラ乗り場P

※黄線はゴンドラ
※赤線は実測ではありません。
■「この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)、数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平17総使、第98号)」
  “養老の三角点”さんより先週、笹又から「伊吹山」へヒル絨毯の中を必死の登山をされたと書込みをいただきました。

 私も登山者の端くれです。負けないように三合目まで一気に車で登ろうとやってきました。‥この時点で負けてる。

 ところが麓の三宮神社から林道を200m進むと、ゴンドラ乗り場あたりで通行止めです。
 戸惑う私に民間駐車場のお婆さんが寄ってきました。『ごめんね。三合目で自転車大会をやってて選手が危ないから車を止めてるの、ごめんね。はい駐車料金1000円!ごめんね』‥固まった。

 他の登山隊も仕方なさそうにゴンドラの切符を買っている。三合目から上る意思は、固いので往復分1000円を払いゴンドラに乗ります。

 早くも2000円の出費です。ドライブウエイ料金は、3000円なのでいい勝負になってしまいました。
(8:00)
 
 8分ほどで三合目に到着です。確かに「第6回パナソニック・スポニチMTB大会」が、昨日今日と開催されています。チビッコ選手も緊張しているようです。

 競技コースの邪魔にならないよう登山道が導かれていました。
(8:20)
 

歩き出すといきなり夕方に咲くユウスゲの群落をはじめ、幾種類もの花が咲き乱れています。

左:カワラナデシコ(川原撫子)  中:ハクサンフウロ(白山風露)  右:?
 花を愛でながらゴンドラの横を緩やかに登ると四合目です。ここから広い山道になります。
(8:35)
 五合目には、休憩所・自販機・トイレもあり一息入れました。今日は曇りで直射日光がないので助かりますが、水分は、早めに多めに摂ります。
 頂上は、まだまだ遠い。
(8:50)


左:イブキノトラノオ(伊吹虎の尾)  中:メタカラコウ(雌宝香)のモンキチョウ(紋黄蝶)三男山男さんより
 右:ヤマホタルブクロ(山蛍袋)

登ってきた道を振り返ります。(三合目の伊吹高原ホテル方面)

左・中:ケムンパスが大発生しています。   右:メメタカラコウ(雌宝香) 
 登山道では、蝶々が何か話しています。
『サントリーのバブルマン・ソーダ・ジェットが売れすぎてどこにもないチョー』
『無いと聞くと飲んでみたいチョー』


※エゾスジグロシロチョウ(蝦夷筋黒白蝶)が石灰質の土からミネラル分を含んだ水を吸っています。(三男山男さんより)
 斜面が好きなシシウド(猪独活)も登山道沿いにいっぱい生えてます。
 六合目の祠でも水分を取るため休憩しました。
(9:50)
 野の花は、小さな風が好きです。
コオニユリ(小鬼百合)が少し揺れています。

 登山道は岩がゴロゴロしていて歩きにくい。岩の天辺はみんなが足を乗せるのでピカピカです。

 ここほど花の種類の多い山は知らない。石灰岩質は多くなるのか?どうしてなのか分からないが奇跡だ。日本の宝です。
 西コースのお花畑周遊道との合流点が、九合目となります。もう頂上はそこです。
(10:15)


 人類でいっぱいです。中日新聞の記事のことを何人か口にしていました。ヤマトタケル(日本武尊)像の後ろでランチとします。食後、えびすやで300円の名物ソフトクリームを食べ「伊吹山お花畑植物ガイド」を3冊300円で購入しました。おかげで花の同定がすらすら出来ます。
(10:25~11:00)

左:ミヤマコアザミ(深山小薊)  中:イブキボウフウ(伊吹防風)とアサギマダラ  右:キリンソウ(黄輪草)

東コースは沢山のカメラマンが、でっかい望遠レンズでお花畑を撮っています。

左:クガイソウ(九蓋草)  中:オオバギボウシ(大葉擬高田珠)  右:クルマバナ(車花)
 周回中、雲がドンドン押し寄せてきました。
 雨が心配なので早く行こうと思っても団体さんで詰まってます。
 東コースが終り、山頂駐車場に着きました。当然車がいっぱいですが、ドライブウエイも延々と渋滞しています。
(11:40)
 駐車場を横切り西コースに入りました。急ぎたくてもバスから続々観光客が降り、列を成しているのでペースが上がりません。

左:キオン(黄苑)  中:キバナカワラマツバ(黄花川原松葉)  右:シモツケソウ(下野草)
 九合目に戻ってきました。遠くでドーンと雷鳴商会のご挨拶です。これは堪らない。
 さっさと降りますが、雲を被った山道は視界が5mくらいしかない時もありました。
(12:15)

 まだ早い時間なので登ってくる人は、絶えません。『いいんかな?みなさん絶対雨になりますよ』
 途中、雨粒が落ちてきたときもあります。そのため一度も休まず、四合目のゴンドラ最奥部まで来ました。ここまで来れば一安心です。
 MTB大会は、まだ続いていました。振り返って山頂方面を見るとすっかり雲に覆われています。
(13:30)
 三合目からゴンドラで降りました。ここでの眺望が今日一番でした。

 駐車場に着き、着替え終わると本気で雨が降ってきます。朝のお婆ちゃんが出てきて『ちょうど良かったのう』と慰められました。
(13:40)
 高速を走っているとラジオから山下達郎の「高気圧ガール」が流れてきます。でも外は、低気圧ドーロで大雨です。一緒に大声で歌えば、ストレスも雨も弾き飛びます。車は花の思い出を積んで家路を走りました。『あっ!三角点に寄ってない・・・・・・・』

      <三角点探し>    

 私がまだ山登りに興味がない10年前、アウトドアが趣味の青山君に聞いた話です。

 彼が奥さんと山歩きしていいました。突然、藪の中から65歳くらいの男性が現れたそうです。ビックリしてその男性の話を聞くと地理院の地図に書き込まれた三角点を定年後、毎日のように探し歩いているとのこと。『お気をつけて』と別れたそうです。

 次の日青山君は、私に『どう思う?』と聞きます。『そういう趣味じゃないの』『彼はいいさ。好きなことやってんだから。しかし家族は、彼が家に帰ってくるまでずーっと心配してるんだぞ。そこで何かあったらどうするんだ!』と怒り口調です。その時は家族の身になれば、それはそうだなと思いました。10年前の話です。

 話し変わって先日、定年退職した先輩の谷さんと会いました。『どうですか。毎日が日曜日なのは?』と私が、羨ましげに聞きます。すると谷さんは、次のような表を書きました。
毎日日曜日 独りでする事 夫婦でする事
家でする A B
外でする C D
   『この表を埋められるかね?実は定年になって気がついた事がある。女房は私が会社勤めのときは、1週間に2日面倒を見ればよかった。今は毎日私の世話をしなければならない。どうも私が家にいることで、女房が自分のペースをとれずストレスが溜まりギクシャクしている。君も今から表を埋められるように準備した方がいいよ。特に毎日できるCが必要だな』

 家で表を埋めて見ました。A:独りでHP[山たまごの東海岳行]を作る。B:夫婦で山に行く準備をする。 C:単独で山に行く。(毎日はできないな)D:夫婦で山に行く。(これも毎日はできないな)
 『山ばっかりだ。う~む?!』 その時突然ひらめきました。
 
 そうか三角点のおじいさんは、Cの「独りで外でする事」のために山へ出かけたのだ。三角点探しは、そのいち手段で、奥さんのため外へ出ることが主目的だったんですね。10年前の謎が解けました。あのおじいさんは、奥さんを大事にするいい人なんだ。