岳行ノート

大御影山 950m/滋賀県高島市

2012年5月7日(月)



萌えいずるブナ原生林は癒しの道


 滋賀県と福井県の分水嶺高島トレイルを度々歩いていますが、何ヶ所か接続できていないルートがあります。大御影山(オオミカケゲヤマ)もその一つです。

 ここは豊かな自然が残り、美しいブナ林と春の花が沢山咲く魅力的な山です。福井県側から登るか、滋賀県側から登るかを決めかねていました。

 「Club 岳」さんが、5月1日にフラワーハイクをされ、花の情報が入手できました。これは行かねばなりません。滋賀県側の同じコースを歩きましょう。


 北陸自動車道の木之本ICーで下り、湖北バイパスを走り、日置前ランプで下ります。北進して「高島市家族旅行村ビラデスト今津」を目指しました。

 教科書は、山と渓谷社刊「新・分県登山ガイド 滋賀県の山」です。参考書は「Club 岳」さんにお世話になりました。
<駐車場>
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ビラデスト今津駐車場

バイパス道

▲大御影山

近江坂

ビラデスト今津駐車場
 


※赤線はGPS軌跡

※●は主な分岐

■「この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)、数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平17総使、第98号)」


江  南:午前6時30分発   晴れ/11℃
駐車場:午前8時55分着 曇り時々晴れ/14℃
往:3時間55分(山頂まで以下、小休止含)
還:2時間45分
◆所要時間:6時間40分

 ビラデスト今津の総合案内所で入村料300円を払います。北端に停め出発。標高を500mから山頂まで450m上げます。 (9:10)

 左に澄んだ平池。左奥の緑の横線は自生するカキツバタで、1万本が5/末〜6/上に咲きます。右折すると未舗装路となり‥


 200m先が、大御影山登山道入口。標柱の「古道近江坂」は、高島市今津町と福井県若狭町を結ぶ峠道です。
(9:20)

 植林を抜け、渡渉をすると掘割状の山道になります。近江坂(尾根道)とバイパス(山腹道)の分岐標。

 往きはバイパス、還りは近江坂にします。道で春の花が迎えてくれます。

(左)イカリソウ   (中)イワナシ:ツツジ科なので木の花です。 (右)ミヤマカタバ

 近江坂とバイパス道が合流。琵琶湖の眺望があります。中央で突き出ているのが海津大崎(カイヅオオサキ)。

 その右、小さな島は周囲2kmの竹生島(チクブ)です。
(10:05)

 近江坂は、掘割古道が続きます。残雪や融雪の泥濘・水溜りがあり、斜度はなくても歩速が上がりません。

 ブナが現れると両脇にホンシャクナゲが‥


道を覆うように群生しています。この華やかさ、見ごたえあります。
葉組さんが、皆で一生懸命、花組さんを支えているようです。
シャクナゲは無数にありますが、蕾がないものも多い。今年はウラ?


 花を撮影するので進みません。滝谷山分岐に着きました。此処まで2時間かかっています。距離はまだ半分弱。
(11:15)

 ここでイワウチワの元気な子が集まっています。この子は葉の基部がハート形です。

 基部がクサビ形のトクワカソウシャクナゲ・イワウチワが現れ続け、撮影を続けました。

 道の右へ上がるとヘリポートのような広場。298度のパノラマ、南方に左から右へと歩いた尾根が見えます。

 右側のお椀ピークは、滝谷山736m。

(左)カタクリ        (中)オオバキスミレ        (右)バイカオーレン


 河内山林道が下に見え降りました。『雪渓もありま温泉!』 右尾根に登ります。ここで行程の2/3です。
(11:20)


 古道は斜度はありませんが、歩き難い場所に度々出合います。迂回路が必ずあるので大丈夫。

 東の大谷山814mから来た高島トレイルと合流。ここから分水嶺の県境尾根を山頂まで辿ります。

 ム! 近江坂の標柱が、かじられている。きっとkuma‥今日はクマスズをストックに付けています。
(12:20)
山頂が近くもブナ原生林を緩やかに登る。生まれたての早緑(サミドリ)は目に優しい。
娘が赤ん坊の時、モミジのような手で私の頬をペタペタ触わった感触を思い出す。

ブナに癒され、花々に癒され、この山の自然は素晴らしい。
山頂から戻る1人、2人、3人‥次々すれ違います。ランチを終えたのでしょうね。

 4時間で大御影山登頂。コースタイムは往き3:20、帰り2:40。お花のお持ち帰り写真は、300枚超でしょう。
(13:10) 

 腰を下ろす前、北西へ歩くと‥


 関西電力の反射板。防護柵の後ろに岩があり、ここに登ると日本海が見えるのですが‥ダメでした。

山頂に戻り、北へ延びる尾根を見ながらランチします。
素晴らしいブナ林があり、胸高直径が1mを越す巨木が立つそうです。
福井県の白谷登山口からのルートで、チャレンジしてみたい。

頭上に『タカだ』 手元に肉類はないので大丈夫。‥私が肉か。
翼開長が1m近い。上昇気流に乗り、帆翔し獲物を狙っています。
〜(13:35)


 下山は同じルート。尾根から見える光景、若葉燃えれば山高し。奥深い山にも春の営みが着々と進んでいます。
バイパスと近江坂の分岐に着き、近江坂で降ります。
(15:35)

こちらの尾根道は、赤いイワカガミ、白いイワカガミ、青い岩ウチミアト。
群生を楽しみ、登山口へ着くと遠くの空でゴロゴロ『飛行機?』
(16:05)
駐車地に着くとポツンポツんと雨粒、ゴロゴロと雷鳴も近くなってきました。
(16:15)

チャッチャッと靴を履き替え、車に乗り込み海津大崎へ向かいます。
ビラデスト今津から本降り。『危なかったぜ』 幸薄いけど時々がいいことがあるようです。


東海岳行
   “湖北の景観  

 琵琶湖は海のように大きく潮汐はあるでしょうか。月の引力で鉛直方向に0.01mm動くそうです。『眼ではわからん』強風で1m水位が上がることもあります。

 滋賀県と福井県の分水嶺高島トレイルを歩くようになり、湖北には度々訪れています。登山の往き帰りに観光スポットを巡りました。

 名所ではない所もありますが、思いがけない光景に感動することがあります。それらをご紹介します。最初はマキノ町在原(アリハラ)の町並みです。(下左写真)



 積雪1m以上の豪雪地域で、萱葺民家が30戸ほど残ります。これだけまとめて萱葺屋根ある事に驚きました。岐阜県白川郷のように大きな屋敷はありません。

 集落内の道は狭く、村外れに車を置き、歩いて集落を巡ります。昔の農村風景を見るよう。実際に住んでおられますので敷地内には入れません。次はメタセコイア並木マキノ高原南で県道287号線が、南北に直線で延びます。そこに500本が、延長2.4kmに整然と並ぶ壮大な光景です。



 1981年にマキノ町果樹生産組合が植えたのが始まり‥30年以上経つのですね。この樹は、中国原産の落葉高木で和名は曙杉。対称型の整った美しい円錐形の姿が織りなす新緑・紅葉・雪花の景観は、周囲の田園風景と調和。車の窓を開けて走ると爽快感を感じました。(下右)

   

 琵琶湖湖畔の海津の石積み。海津(カイヅ)は、湖上交通の要衝として栄えた宿場町。江戸時代、風波から家を守るため石積みが造られました。当時の代官が徳川幕府に工事を願い出たのですが、城壁のようでよく許可が出たものです。1.2kmに渡り現存してます。(下左)

 今回大御影山登山後、往く予定でしたが行けなかった残念な所があります。琵琶湖西岸にある近江最古の大社白鬚神社。対岸が、ちょうど彦根市になります。創建1900年の歴史があり、近江の厳島(イツクシマ)とも呼ばれ、琵琶湖の中に大鳥居があることは知りませんでした。(下右)

   

 今は葉桜ですが、海津大崎の桜(下左)は有名スポット。4月中旬、湖畔の県道557号線で約800本のソメイヨシノが、4kmにも渡り咲き誇ります。道路は一方通行になり、スーパー渋滞。花見船がこの近くからや彦根からも出ていますが、乗船料が2000円〜3500円ときつい。

 湖上からは間近でない分、迫力不足かもしれません。桜見物はサンルーフ車で走り抜けるのが一番でしょう。私はそういう事情に恐れをなし、開花時に来たことはありません。この日、ここへ着くと降っていた雨が止み、琵琶湖にとても大きな虹が架かりました。

   

 車を走らせると竹生島(チクブ)からレインボーブリッジが始まるように見える園地があります。(上右) ロマンチックな光景に車を停め、見とれていました。小さな旅でも素敵な感動は、メモリーボックスに保存しましょう。

2012.05.13(日)15:20