岳行ノート

荒島岳 1524m/福井県大野市

2012年5月30日(水)


新道「しもやまコース」の降りは、丈夫な大腿四頭筋が必要


 意外だったのは、荒島岳登山口へ江南市の我が家から2時間程度で着けることでした。それは先週、姥ヶ岳へ行く途中通り過ぎて分かったのです。

 また姥ヶ岳で同行のみれさんとひろろとろろさんから聞いた事ですが、荒島岳の山開きに新道がお披露目されました。荒島岳に興味が湧いてきました。

 そこでスタンダードな「勝原(カドハラ)コース」とおNEWの「下山(しもやま)コース」を組合わせ縦走を計画。それには、車の2台体制が必要です。


 そこでいつも近郊低山をご一緒する野良人さんをお誘いしました。山友の画伯と博士もご一緒されます。4人で百名山に挑戦しましょう。

 教科書は、中日新聞社刊「東海・北陸の200秀山」です。参考書は「ヤマレコ」さんにお世話になりました。
<駐車場>
[-]広域図、[+]詳細図、ドラッグスクロールで移動
 東海北陸道白鳥ICで下り、158号線で仏原ダムを過ぎます。馬返トンネルを抜け、カーブ手前の分岐で左へ上がれば…


元スキー場駐車場
勝原コース


しゃくなげ平

佐開コース分岐

荒島岳
下山(しもやま)コース

1250m曲折点

越前下山駅駐車場

    ↓

元スキー場駐車場

 ※赤線はGPS軌跡
 
※●は分岐

■「この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)、数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平17総使、第98号)」


江  南:午前6時05分発  晴れ/16℃
駐車場:午前8時10分着  曇り/13℃ 
往:3時間15分(以下、小休止含)
還:2時間30分
◆所要時間:5時間45分

 元勝原スキー場の広い駐車場には、トイレ、マップ、登山BOX完備。百名山らしく全国区のナンバーが停車中です。

 正面のリフト沿いの道を登ります。
(8:20)

 スキー場は1963年営業開始、2010年に廃止となりました。追憶のゲレンデを歩き、第2リフトの終点で小休止。
(9:00)

 この先に登山口標柱があります。ミズナラの老木が並ぶ急斜面を登ると‥

 圧倒的なブナの原生林に呑み込まれます。太いブナが林立し『立派なもんだなあ』と見上げる。
このコースのブナは比較的、枝が下にあり人間ならさしずめ短足タイプなので親近感が持てます。
しかし、晴れの予報は外れ、雲に覆われた山は白く煙る世界ですが、何より涼しい。

 標高820mにある異様なブナトトロの木と名付けられ未来の窓が開いています。(9:25)

 930mにあるブナコブの木。あの瘤の中には、忍耐が詰まっているのでしょう。(9:35)

 先の白山ベンチでは何も見えず、歩き続けます。階段を登ると深谷の頭1015m、平坦なブナ平

 そして長い直登階段で標高を125m、一気に上げれば‥
 シャクナゲ平1204mです。登山口から850m高さを上げました。北西から来た中出コースが合流。 (10:20)
 北に経ヶ岳1625m↑、白山は時々雲から覗きます。小休止後、降ると佐開コースとの分岐を過ぎ‥


 
鞍部からもちが壁に取り付きます。鎖やロープを補助に汗をかきます。7、8分で勾配が緩みました。そして‥
(10:40)

 『雲海!』 稜線から北東に浮かぶのは、先ほど休んだしゃくなげ平、その左の島が小荒島岳1186m。

 一昨日、昨日と我が街は雷雨でしたが、ここも大雨が降り、花たちは打たれたようです。それでも‥

(左)シコクスミレ    (中)石楠花    (右)キジムシロ 
他にイワカガミ、ショウジョウバカマ、ミヤマキシミ、ユキザサなどとも逢えました。
標高1340m辺りでダケカンバが登山道に現れ、もう少し登ると‥


 白山御前峰2702m(中央)と左隣の大汝峰2684mが、雲上に顔を出しました。撮れる時がシャッターチャンス。

 周りは、笹に変わりました。中荒島岳に残雪。撮影してる間に山友は、もう写真中央を登っています。

 21人パーティが降って来ました。駐車場で見たバスツアーの皆さんです。それなら山頂は空いているでしょう。

 荒島岳山頂はアナログ放送施設が撤去され広い。新標柱は今年3月、愛山会が雪道を3日間かけ引っ張り揚げました。

 方位盤は5月、担いで揚げられたばかり。5/20の山開きで新下山(しもやま)コースがお披露目されました。
 雲海ランチ。(11:35)〜(12:30)

 新道の東稜線は雄大な展望。笹刈りは尋常でない量で大変だったと思います。生まれたてで多くの切り残し。

 踏むとバネのような感触です。「荒島岳山頂あと1km」の道標を過ぎ、出発して30分ぐらいで樹林帯に入ります。

 笹が刈られ陽当たりが良くなり、(左)カタクリ、(中)キクザキイチゲなどに出合えました。
 樹林帯には(右)サンカヨウの群落地。曲折点で尾根を変えると傾斜はきつくなります。
(13:25)
※(中)はアズマイチゲではなくキクザキイチゲでした。ひろろとろろさん、ご教示感謝します。

大岩でひと息、補助ロープ群が感動モノです。太くてグリップがあり、長短合わせ連続25ヶ所。
このロープ場で標高を約430m下げます。いかほどのロープと手間が必要だったか。

新道を開拓された方々に感謝。下山(しもやま)コースは降り専用? コース名が下山(げざん)

30分でロープから解放され(左)ホオノキ下で水分補給。日本の野性の花で最大です。
この先では、根性を入れる箇所は無いはず。 (中)フジ  (右)ユキザサ  

 標高560m広場から木の間に九頭竜川と国道158号線が望めます。びくともしない看板が岩の上。
(14:35)

以後は順調にルートを降り、598m曲折点もノープログラムです。
高度が低くなっても自然林が続くのがいい感じ。集落に近づき、ようやく植林となり‥

 民家の擁壁縁が登山道です。

 右の建物の階段を降ります。舗装道を降ると‥

 JR西日本の越前下山駅前駐車場。列車の周回は、日に5本運行なので諦めました。

 荒島岳はさすがの百名山です。デポ車で出発点の元勝山スキー場まで10km戻ります。
(15:00)


 わがまま企画にもかかわらず山行をご一緒頂きありがとうございました。前列左から野良人さん、画伯さん、博士さんのクレー爺トリオの皆さん。わたくし筋肉痛になりました。


東海岳行
   “驚きの山ガールグッズ  


 偶然ってそんなにありませんが、今回の山頂で起こりました。私たちはランチタイム。近くに若い山ガール2人が座っていました。私はリュックから「道草」で紹介したチェアレスを取りだし身体にセットします。パクパクしていると野良人さんが私に、『お!山さん、それがチェア何とかかい?』

 『チェアレスです。楽チンですよ。野良さんも付けて見てください』
 手渡すとどれどれ‥ほう、こりゃいい。楽だわ』『でしょ』野良人さんが外して私に返す。

 『山さん、見て。あの娘達もチェア何とか持ってるぞ』 振り返って山ガール達を見ると、チェアレスを身体に付けるところで偶然にたまげました。



 ところが付けてもダルダルでアレコレやっています。私が声をかけ『それチェアレスですね。長さを調節できないのですか?』 『えぇ』

 私が『これギターストラップでチェアレスの代用品ですけど付けて下さい』 手前の娘に渡すと『あ、これならいい』『長さは調整できます』

 『あ、これなら手に入るのでやってみます』『通販で買ったのですか?』『インテリアショップで』『私のは千円のバッタモンですが、純正品は数千円はしたでしょね?』『う〜ん‥』
 高い純正品の方が、長さ調節機能が付いてなく代用品があることにショックを覚えたようです。



 山は始めたばかりで、登山用品はどれもピカピカ。さすが山ガール。野良人さんが地元ソロにしもやまコースはどちらですかねえ』と尋ねます。

 南西の笹刈りされた道を指差す。それは旧下山コースで、崖崩れや笹藪激化で廃止されました。私がそれを伝え、『東尾根にあるようですが』『え!?そのコースは知らない』と驚かれどこかへ行かれました。

 私達は新道を確認して200m笹道を降ると、先ほどの地元ソロが前方から空身で歩いてきす。新道を確かめに来たんですね。野良人さんが、『おい、あの娘たち手を振ってるぞ』と指差しました。すると山ガールは、わざわざ高見へ来て私達に手を振っています。慌てて『お〜い』と皆で手を振る。



 気付いた彼女たちは、手を90度以上の角度でしなやかに返してくれました。嬉しくなった爺さま4人は、ギシギシとバラバラに手を振りました。

 『山ガールから手を振ってもらえるのは、多分これが最初で最後だ』『んだ、んだ』 皆はうなずき胸キュンで下山をするのでした。ところでビートルズをプロデュースし84歳にして現役、ジョージ・マーチンの話。

 「歳をとることに絶望しても仕方ない。幸運だから歳を取るんだ。明日は分からないから毎日精一杯生きよう」 私達は幸運にも生きて登山ができ、その素晴らしさを感じた一日でした。

2012.06.03(日)23:55