岳行ノート

イブキ550m・イワス640m・比婆之山670m
/滋賀県多賀町

2013年3月30日(土)


イワス山頂より原石採掘跡

右下に錆びた小屋、砕石の搬送設備の長い管
左上の送電鉄塔右は御池岳1247m、左端上は鍋尻山838m


 時として山旅は、思わぬ出合いがあるものです。今回は、教科書のガイドブックが低山三山をうまくつなぎ、見所も沢山あり楽しそうです。

 鳩吹山で鉱山跡を見てこのコースを思い出し辿ることにしました。三山は其々三角点の山、原石採掘跡の山、比婆神社の裏山と特徴を持ちます。

 途中、屏風、後谷、甲頭倉の三つの山間集落をつないぐコースです。操業中の鉱山は昨年末、経塚山の下山時に出合いました。


 閉山して半世紀経つ鉱山は、何を残し、何を語りかけるのでしょうか。教科書は、西内正弘著中日新聞社刊「鈴鹿の山 万能ガイド」です。
<駐車地>

大きい地図
  名神高速道路の彦根ICで下り、国道306号線で多賀町に入ります。



芹川駐車地

登山口

イブキ

イワス

比婆神社

比婆之山

芹川駐車地


 ※赤線はGPS軌跡 
●は主な分岐点

■この地図の作成に当たっては国土地理院長の承認を得て同院発行の数値地図50000(地図画像)数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである(承認番号 平17総使、第98号)」


江  南:午前7時分05発    晴れ/8℃
駐車地:午前8時分35着    晴れ/8℃
往:3時間25分(小休止含)
還:2時間30分(ランチタイム除く)
◆所要時間:5時間55分

 久徳の看板「河内の風穴7km先→」から県道17号線を4km走り、左の広いスペースに停車。芹川右岸の県道を300m戻ります。(8:55)

 右斜面に壊れかけの古い小屋。手前から踏み跡が登る登山口です。岩を削った急勾配の道になると一気に高度が上がります。


 勾配は緩み、草地に出ると『キョン』鹿2頭が植林へ消えました。この道は、集落への古道のようです。

 山腹を行くと正面に屏風の集落が見えました。(9:40)

 舗装道に出たら左折、8分で林道分岐になり右折して北へ登ります。

鉱山の操業時には活気があった後谷の集落を抜けました。
外れの谷で変わった堰堤に出合います。
中央の円筒は、とぼけた顔のようです。8年前に作られました。


 上方に、これから行く原石採掘跡のイワス山頂が見えます。
堰堤の右を巻き上に出ると円筒にはビッシリと詰まった細かい砕石。
沢水は、とぼけた顔の目と口が中を通るのでフィルターの役目かな。→
(10:00)


 堰堤から谷を5分遡ると右に低い三角屋根‥謎の建造物です。左の斜面に取付き、山腹を適当に斜行して登れば‥


 尾根道がありました。往時後谷集落から鉱山へ通勤道でしょうか。ルートはS字を描く尾根上に刻まれています。


 第一山イブキ三等三角点頂上。東北東と北に尾根があり、北へ降ります。壊れた時計も謎です。
(10:45) 

 鈴鹿らしい2次林の谷を右に見て、尾根なりに行くと地道に出合いました。鉱山へトラックが走っていた道でこの地道を右に取ります。
(11:15)

 後谷集落から見えていた原石採掘跡入口に壊れた金網ゲート。住友セメント多賀鉱山の注意書。自己責任で入らせていただきます。
(11:25)

壮大な光景。広い跡地に草が殆ど生えてないのが不思議。
残こされた設備が悲しい。昭和11年操業開始し、昭和40年閉山。
セメントの材料、石灰岩の採掘場です。


昭和の産業遺産は荒涼としていますが、ぐちゃぐちゃではありません。『あれれ』
全自洗「愛妻号」ナショナルの20年前のもの、ソニーカラーTV16年前のが捨てられていました。
錆びた小屋右(TOP写真)に登り口があり、岸壁を回り込み左方のイワス山頂へ歩きます。


 荒れた広い道で右下にサイロと砕石のコンベア。ジグザグ登ると平地に出て錆びた建物・設備をいくつも見ます。

←ベンチカットされた山肌に階段跡が残っています。
西に彦根市街と琵琶湖、左上にぼんやりと対岸の武奈ヶ嶽1247m。
右端の小山は左和山233m、その斜め左の森に彦根城『ん〜


セメントになり損ねた1m以上の石灰岩が転がっています。→
鉱山は、操業時に100年は続くといわれましたが、30年で閉山。

岩を砕く大きな音、大勢の男たちが働く姿‥想像できません。
半世紀の時が過ぎ、ただ寂寞とした地肌が広がっています。

 端に着きました。下まで高低差80m余り、イワス(別名:原石山)に到着。怖くて真下は覗けません。

 心にしみる景色を眺め、ランチします。
(12:20〜12:55)

 明るい山頂台地から北へ行くと植林入口です。降って鞍部から左カーブすると639mピーク。尾根は東へ方向を変えます。

 鉄塔に出合い、伊吹山1377mの眺望。次のピークが比婆之山ですが、山頂手前で左へトラバースします。(13:10)

2次林に苔むす石灰岩の尾根を降ると左下に灯篭が見えました。
参道に降り立ち、左折すると岩壁に荘厳な比婆神社(ヒバ)。左の御神木は折れたようです。
唐破風の屋根が荘厳な雰囲気を醸し出し素晴らしい。建物は建て替えられて間もないようです。
(13:25)


 参道入口まで戻ると車道が近くまで登ってきていました。Uターンして降りてきた緩い尾根を登りきると‥


 テープが異常に多いポイントに着きます。三山目の比婆之山(ヒバノヤマ)山頂。山名板が割れています。
(13:55)

 山頂から東南尾根で下山。道は笹枯れ進行中で5分で小さなコブに着きます。ガイド本は、ここを右折してますが‥

 コブを越えた鞍部にテープが沢山。地形図の点線のルートです。谷を見ると歩きやすそうでここを降ります。
(14:10)
 大堰堤に出ました。ガイド本では左を巻きますが、踏み跡は右にあります。(14:30)

 越えて谷に降りるつもりが、斜面の踏み跡を追ってしまいました。不正解で怖かった。

 尾根端から隣の谷の堰堤に降り、集落の外れに下山できました。(14:50)


 集落内を降ると両脇に10件民家はありますが、気配はなく、甲頭倉(コウヅクラ)集落は、寂静廃村状態です。

 長い坂道を進めば、県道合流地手前にゲート。
(15:20)

 県道に出て右折すれば駐車地までひと歩き。今日の強烈なシーンが心に映るので振り返ってみます。
(15:.25)


東海岳行
   “春風駘蕩” 

 3月23日(土曜日)の夕方、ひよこさんが夕刊を取ってきて部屋でじっ〜と見ている。いつもならすぐ手渡すので『何を見てる?』と覗きこみました。そこにあったのは、第一面に4段抜きで載った三重県いなべ市の梅林公園の写真です。27p×13p『これはすごい! 素晴らしい写真だ』


 梅の錦を鳥瞰で撮り、一面ぶち抜きのインパクトもあり、行きたくなりました。いなべ梅林公園は、私のパソコンの「行きたい名所」ファイルに入っていますが未訪です。翌日は日曜日、新聞を見た人で大混雑が予想されます。天気の良さそうな火曜日に行くことにしました。入園料500円。

 記事によると、公園は耕作放棄地を藤原町が、14年前買い取り整備しました。ナゴヤドームより広く、梅林を造ったのは定年退職した人が中心です。

 多いときは60人で作業。2002年に開園し、100種類4500本が咲き誇ります。写真の撮影場所はすぐ見つかりました。園内道路を造るとき削った崖の上です。



 構図をパクってカシャ。実は翌日の水曜日に梅林公園背景の藤原岳フクジュソウ花登山でした。「岳行ノート」で使おうと思った写真も撮ったのですが、雨予報が出て登山は中止。(上左)

 その水曜日、低山をご一緒する野良人さんから書き込みを頂きました。 岐阜県可児市の鳩吹山北山麓のカタクリが見頃になったということです。

 暖かくなると花被片が反り返る春色のかんざしを見るのは、週末までなら大丈夫。金曜日午後に出かけました。岐阜県下一の群生地は、平日にもかかわらず結構な人出です。今年は、すごくボリュームがあり、まさに密生しています。


 お世話される方たちに感謝。『綺麗ね‥』という声があちこちから聞こえます。大満足して次のお花に‥。芝桜は愛知県では茶臼山が有名で毎年5月中旬頃から6月上旬にかけ「芝桜まつり」が開催されます。 開花はその頃だと思いました。

 茶臼山は高地なので遅い時期に咲くのですね。江南市に戻って木曽川の堤防道路を走ると両側のサクラはほぼ満開。フラワーパークに車を停めます。

 堤防に歩くと紅・白・桜色の絨毯は可憐な芝桜。今日は桜づくし。春風駘蕩‥ダウンジャケットは引込めました。ストーブはそろそろお役御免です。


13.04.02(火)15:00