岳行ノート

北横岳2480m・三ツ岳2360m・雨池山2325m
長野県茅野市
 

2014年9月3日(水)


縞枯れる北横岳

縞枯れ北横岳では、シラビソ・オオシロビソが一斉に立ち枯れ、その跡に稚樹が一斉に成長し
また100〜150年経つと一斉に立ち枯れるというサイクルを繰り返します。そ
こが標高に沿って帯状に見え、その帯が年々移動していく現象です。



 八ヶ岳は、愛知県から行くと中央道の岡谷JCTで急角度で折れ、南東に向きを変えます。私は折れ個所から先をとても遠い所と感じていました。

 でも一度八ヶ岳を歩くと心理的な距離感は修正され、何度も登山に出かけています。特に北八ヶ岳は日帰り可能で、よくピークハントしました。

 今回は北横岳を最高峰に周回をします。野良人さんは、八ヶ岳をロープウェイから雨池をスノーハイクしただけと言われるのでお誘いしました。


 中央道諏訪インターから北東に蓼科湖方面へ走ります。湖から6km、白臼第別荘地を右折して山道をくねれば、北八ヶ岳ロープウェイ山麓駅

 教科書は、るるぶ社刊「山頂駅からの山歩き」です。参考書に多くのHPのお世話になりました。
<駐車場>
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RW山頂駅

北横岳南・北峰

三ツ岳

雨池山

RW山頂駅

山麓駅駐車場

※赤線はGPS軌跡 ●は主な分岐点
■この地図の作成に当たっては国土地理院長の承認を得て同院発行の数値地図50000(地図画像)数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである(承認番号 平17総使、第98号)」


江  南:午前6時00分発   曇り/24℃
駐車場:午前9時25分着   曇り/20℃
往:1時間10分(横岳北峰まで、小休止含)
還:2時間45分(ランチタイム除く)
◆所要時間:3時間55分

 無料駐車場に車を停め、券売所へ行きます。往復1900円(Web割引200円!)、100人乗りで20分間隔。

 標高差466m、歩けば1時間半かかるところをロープウェイは、僅か7分で駆け上ります。

 標高2237mの山頂駅を出ると「坪庭」入口です。坪庭は、八ヶ岳最後の噴火でできた溶岩台地。

 1周30分の探勝路があります。一方通行で左が順路。北横岳へのスタート地点です。
(9:55)
標高差243mの登り。涼しく長袖一枚では寒く風除けシェルを着ました。
茅野市は、10時以降晴れ予報ですが、曇り空で風があります。
平地の予報は、高い山ではあてになりませんが、、、

坪庭は、まともな土壌が少なく、ハイマツ・コメツガ・高山植物がけなげな姿を見せています。
北には縞枯れる北横岳、左のピークが南峰山頂です。

 
東方面、周回順に左から三ツ岳V峰・U峰・T峰、右ピークが雨池山です。
辿る山が、こうして最初にすべて見えるのも珍しい。両山とも縞枯れています
八ヶ岳の縞枯れ現象は、縞枯山、蓼科山でも見ました。


 第二休憩所ベンチを過ぎると分岐です。左折して登山道へ入りました。
(10:05)


 歩きやすかった探勝路から山道に移るとシラビソの原生林。木橋を渡れば、急坂に木の階段があります。


 登りきると稜線の分岐点。後で周回する三ツ岳の方向を確認し、反対方向の北横岳へ向かいます。
(10:35)

 北横岳ヒュッテに到着。左端の小屋が有料トイレです。テーブルは無料なので登頂後、ランチに利用しましょう。
(10:40)

 野良人さん(右端)の右に七ツ池へ降りていく道があります。寄り道して…

 100m木道を歩けば、この最初の池です。少し離れた右隣に二つ目の池。その先は進入禁止です。

 地形図は、四つ池が描かれています。植生保護で周回不可になったようです。ヒュッテに戻り、山頂を目指します。
(10:50)

シラビソ原生林と苔むす林床。森の香ばしい匂いが懐かしい。。。
遥かな八ヶ岳、野の香り♪

 北横岳南峰2472m三等三角点です。晴れると思っていたのですが全然、、、展望がゼロなので北峰へ向かいます。
(11:00)

 150m進めば、北峰2480m。こちらが8m高い。自然の紗がかかり、御見苦しい姿がボケてます。山頂は火口縁のようで下を覗くと‥
(11:05)

 『火口湖!』長さ10mですが、湖と言うには小粒です。右側の半分以上が干上がっています。

 暫く待ったのですが、三大アルプス八ヶ岳蓼科山など、パノラマはお預けになりました。ヒュッテへ戻ります。

 ラーメンでもいい気温です。食後を東へ辿ります。(11:30)〜(12:00)

 分岐点を過ぎると道の両側はシャクナゲ、シャクナゲ。登山道は、溶岩ゴロゴロで歩きにくい。 

分岐点に「三ツ岳は岩場で危険です」と注意看板、いよいよ核心部分に来ました。
北八ヶ岳では、溶岩の累積した場面によく出合います。当然、踏み跡はゼロ。

ペイントマークや鎖&ロープが適切にあり、悩むことは殆どありません。
写真中央右ハイマツとの境あたりに野良人さん。このバベルの塔が三ツ岳V峰2360mです。
(12:40)

 どれくらい深くまで岩は積まれているのか。岩塊をどけたら何があるのか。なぜこのような岩場になったのか、、、

 雲の中、謎は続き岩場も続く。ここが次のU峰です。(12:55) 15分間隔で並んでいてT峰到着。(13:10)

 その後、降りの岩場で膝がブルブル喜んでいます。北八ヶ岳は、岩塊の多い山地ですが、不思議に池が多い。

 東北東に長さ400m、北八ヶ岳で2番目に大きい雨池が見下ろせました。私は未踏です。因みに白駒池が1番。

  結局、鞍部まで緊張の降りが続きました。一か八かの危険個所は無く、良かった。
雰囲気が変わりダケカンバの笹分け道。『今日の山旅も終盤だな〜』っていう感じです。


 最後の雨池山2325mは、登山道横の道標が山頂を教えます。周囲は樹林です。2分進むと岩場の展望台。
(13:45)


 降りると雨池峠の交差点です。向こうに縞枯山2403mが、ちょっと現れました。右折して西へ木道を歩きます。
(14:00) 

 ガスる縞枯山荘。左端の風力発電のプロペラがすごい勢いで回る。雨にならなくてオーライ。
(14:05)

 木道はRW山頂駅まで続きます。『骨のある岩場は面白かった。今夏一番の涼風登山だ』と野良人さんの感想。
(14:20) 

 
東海岳行
  道草セレクション “遭遇” 

1.食事

 『ヨー、久しぶりに飯でも食べようか』と旧友の社長から電話がかかってきました。私の小・中学校の同級生で昨年の“道草”(道草:P玉の行方 &事件)の彼です。食事をしていると話がしたくて仕方がないっといった様子。また面白い話が聞けるかと私もちょっと“ワクドキ”です。

 『最近、商売どう?』『ダメだね。大きいのは全然ない。仕方がないので個人のリフォームの仕事を回してもらっている』彼の本業はビルの内装業です。今が我慢のし時でしょう。景気の悪い話ばかりしてても食事はうまくありません。ビールを勧めて口を滑らかにさせてみましょう。

 『何かいい話はないの?と誘う。『おう、いい話じゃないけどそういえばここ一年で俺さあ、事故に5件も遭遇したんだ』『自分が事故に合わなかったのは不幸中の幸いだ』『まあね』そして彼の話が始まりました。



2.県道

 日曜日に県道を走っていたら、欄干に車体をぶつけた軽自動車が止まっている。俺は車をその手前で止め、ハザードランプを点けて下りた。おじいさんが外でぼーっと立っている。車は左前をぶつけていた。大丈夫ですかと声を掛け、車内を見ると助手席におばあさんが挟まれたままだ。

 ドアは、グチャグチャで一人では開かない。車がビュンビュン通り過ぎるけど誰も止まらない。みんな冷たいなあ。俺はケイタイで119に連絡してあげた。まもなく救急車のサイレンが聞こえてきたので発煙筒を焚く。おばあさんは、シートベルトをしてなくてフロントガラスで顔を切っている。


 車から救出しようと救急隊が四苦八苦。俺は車のこと詳しいだろ。おじいさんに了解を得て、後部ドアを開け、バックシートを取り外した。ようやく救急隊が、おばあさんを引き出す。生きてるけど足が折れていた。救急車におじいさんが乗る時、『お名前と連絡先を教えてくだされ』と聞く。

 『名乗るほどの者じゃありません』
と応えて車に戻ったんだ。『お前らしい、かっこいい』



3.スーパー

 仕事が終わって夜10時ころ、雨が降る中、家の近くのスーパーの前を走っていた。駐車場前でワンボックスと軽自動車が、ぐちゃぐちゃになって転がっている。察するに視界が悪い状況で駐車場から出たワンボックスが、道路を走る軽の横腹に突っ込んだようだ。

 たった今、事故をした様子で俺も車を止め傘をさしながらドアを開けた。軽のホーンが、大きく鳴りっぱなし。車外でおばちゃんが、二人寄り添って立ち尽くしている。ワンボックスの女性は、警察にケイタイしているようだ。おばちゃん二人に傘を貸してあげ様子を聞いているとパトカーが来た。


 おばちゃんが鳴り続くホーンに動揺して『止めて!』と若いお巡りさんに頼むけど止め方を知らないと言う。俺は車のこと詳しいだろ。そこでおばちゃんに『壊すけどいいか?』と了解を得てコードを引きちぎってやる。やっと街は静かになった。

 2人はペコペコ俺に頭を下げ、『お名前と連絡先を教えてください』と聞く。 『名乗るほどの者じゃありません』と答えて帰った。『かっこいい‥けど傘は?』『そうなんだ。傘を一本損した』


4.林道

 次の仕事先に急いでいた。ナビを距離優先にして指示通りの道を走る。車一台がやっとの道幅になり、街路灯もガードレールもないひどい道になってしまった。周りは植林で薄暗い。おまけに右は山を削った崖、左は奈落の谷底だ。今さらUターンもできない、ゆっくり進む。

 で、しばらく行くと道が左カーブして、前方に軽自動車が崖側に止まっている。谷側は少し開いているけど絶対俺の車が通れる道幅ではない。しょうがなく下りて車内を覗く。誰も乗っていない! キーは刺さってる。前に回ると驚いた!車体と崖の間におじいちゃんがうずくまっている。


 『どうしたのですか?』と尋ねると小声で『左の谷に気を取られ右へ寄り過ぎて前輪が溝に落ちちゃった。慌てて外に出てタイヤを出そうと車体を持ち上げたら腰が砕けた』と苦しそうに言う。そりゃ700kgはあるだろう。若い者でも絶対無理だ。おじいちゃん、無茶するなあ。

 お蔭で俺は、救急車とJAFを呼ばなくてはならなかった。最初見たときは、事故で車に挟まれたかと思い本当に驚いた。ビックリ腰とはなあ。(ギックリ腰だ! と突っ込みたいけど話しの流れを遮ってはいけない) まだ話しは続きそうです。あとビールが何本いるだろう?

2014.09.08(月)00:20