岳行ノート
油日岳~三国岳/伊賀市  標高696m~700m
2005.12.10(土)江南6時50分発 
           晴 4℃ 
登り:計1時間35分(油日岳:小休止含)
降り:計2時間15分(小休止含)
 ネットで「中部地方道路情報提供システム」を見ると鈴鹿の県境越え峠は、鈴鹿峠以外は雪で閉鎖です。鈴鹿山脈の南端「油日岳」なら道路に積雪はないでしょう。ここは大昔、油日大明神が山頂に天降って姿を現したとき、大光明を発しその名が起こったそうです。昔の話は、スケールが大きい。

 教科書は、中日新聞社刊西内氏著「地図で歩く鈴鹿の山」・「鈴鹿の山ハイキング」です。 

甲賀町「塩野義ラボラトリーズ」より左端:油日岳から右端:三国岳の稜線
 
駐車場周辺図




油日岳

三国岳

加茂岳

忍者岳

ゾロ峠



※赤線は実測ではありません。
■「この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)、数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平17総使、第98号)」
[自慢話] 夜になっても腹が減らない。お昼に松坂牛の鉄板焼きを食べたから。いつもは腹9分で止めるけど、150%は詰め込んだ。
 
 こんなに美味しく、後先考えず、たらふく食べたのは「御呼ばれ」だから。10年振りの松坂牛‥懐かしい味。

 ひよこさんも同じように150%詰め込んだら拒否反応が起き、今日は寝込んでいます。貧乏所帯の悲しい性です。
 そんなバブリーな日は続かない。今日は、体が慣れ親しんだローソン・ワンコイン・ランチ(500円以内)にします。

 伊賀市の「余野公園」に着きました。舗装道を奥に進むと心細い一車線になります。
 東海自然歩道分岐とトイレがある所が、駐車場です。今は日没が、午後4時40分と1年で一番早い。こんなときは、短時間の周回コースがいい。
(9:20)
 奥の案内図板の横から水路を渡ります。右岸を写真の手すりに沿って進むと道標です。「油日(アブラヒ)岳」は左と指していますが、奥にある堰堤を右へ渡り返します。
 しばらくは、植樹された斜面の階段を上がって行きました。分れ松を目指して尾根を進みます。

南西方面の展望、奥の霞んだ山は「笹が岳」
 尾根なので松が多く結構急です。それに潅木が道を覆い、藪漕ぎもあって二重に楽しめます。
 県境尾根に出ました。風がゴーゴーと唸ってます。天気予報は、風速5mだけどそれは平地のこと。3倍以上ありそうです。
(10:10)
 所々出てくる痩せ尾根の緊張。それにこれでもかの急登で頭は真っ白、ストレス解消は間違いない。
 「三馬渓」から登ってきた道と会います。すってんの雪道となり冬将軍の影に少々おののく。
山頂です。25000分の1地図では693m
西内氏のガイドブックでは696m
現場の標識では698m

標識が訂正されている。
61万円株を1円と間違えることもある。
(10:55)
 山頂には「岳大明神(ダケダイミョウジン)」の奥宮が祀られています。この里宮が「油日神社」で全国油業界の信仰が厚い。帰りに寄りましょう。
 甲賀平野が広がりますが、かすんでいます。桧の巨木の横を少し下ると参籠所です。10畳ほどの広さがあります。
 一息ついてから、痩せ尾根に積もった雪に注意を払い進みます。15分ほどで山頂らしくない「加茂岳」に着きました。すぐ出発。
(11:20)
 次の「忍者岳」までは、崩壊した箇所が次々出てきます。ここは四つんばいになり恐怖と戦いました。
 大きなキレットに出るとお隣の「那須ケ原山」方面が好展望です。大休止はここしかないでしょう。


 風が音を立てていますが、潅木を風除けにします。おにぎり雑炊のランチです。
(11:30)~(12:10)
 一人旅を続けます。5分で「忍者岳」頂上に着きました。名前はインパクトありますが、通過点のようなところです。
 そこから降った鞍部の道標に「不鳥越(トリコエズ)峠」とあります。『あれ?ガイドブックと違う』
「望油峠」と書き込みされてます。

 眼前に試練の岩壁が立ちはだかる。『んんん!』忍者の様に壁に取り付きます。
 幹と根の友情に助けられ、10分間岩登りをしました。すると『三国岳』頂上です。ここは展望はありませんが、5分ほど降ると南側が広がっています。
(12:35)
 尾根の岩塊の間を降りますが、よく見ると巻き道のチョイスもありました。
 開けたザレ地に出て、道標に「伊賀甲賀方面展望」と書かれています。ここがガイドブックの『不鳥越峠』でしょう。

 ここから右に降り『不動谷』へ進むと、いきなりいばらのとげに襲われます。登山道には雪があり、転向してゾロ峠に向かうことにしました。
(12:50)

 時々のピークが好展望です。ご夫婦連れに逢い『不鳥越峠』の道標のことが話題になりました。やはり西内氏のガイドブックコピーを持ってられます。本の売れた数だけ鈴鹿山行の人が増えている。拍手!
 植林の端を降りますが、テープが巻かれているので安心です。
 『ゾロ峠』に到着しました。道標には「ぞろぞろ峠」とあります。ここは東海自然歩道への右折です。
 よく踏まれた道で緊張感から開放されました。
 渓谷沿いを景色を見ながら、緩やかに降っていきます。
 向うに『奥余野森林公園』のトイレが見えたら山旅もエンディングです。
(13:45)
 着替えて甲賀市の「油日神社」に寄り道しました。

 室町時代に建てられ重要文化財です。檜皮葺きで簡素ですが、本格的な神社建築で、境内には樹齢700年以上の高野(こうや)マキがありました。




  『三丁目の夕日』

 映画は、設定が非日常的なほど刺激が強い。SF、スリラー、パニックなどがそうです。でもこの「三丁目~」は、日常的なので逆に新鮮でした。世の評判がよく情感があって泣けるとのこと。ひよこさんと『さあ、泣きに行こ!』と木曽川キリオに出掛けました。

 オープニングのつかみは、面倒で手間のかかるシーンだけど面白い。
 
 家の中を写していたカメラが、ドンドン引いてガラス戸が閉まっているのに外に出て鈴木オートの外観を撮る不思議な映像。ヒチコックの『裏窓』(だと思う)を彷彿させます。
 街中で少年二人が模型飛行機を飛ばすとカメラも飛行機を追って飛び回る。トム・ハンクスの『フォレスト・ガンプ』の羽(だと思う)が飛ぶエンディングを思い起こします。

 監督が観客サービスに富む絵を作ろうとしていることが伝わりいい感じでスーッと入っていけます。

 湯たんぽのお湯で洗顔、月1発行の少年雑誌、タバコは『新生』‥映像の昭和村だ。美術や大道具さんも昭和を復元することをがんばってる。

 私がのめり込める映画は、うまい運転手が運転する車に乗っているようなもの。車窓の景色に感情を持ち、運転手や車の意識がない。でも変なブレーキや急ハンドルがあると現実に戻ってしまう。

 一平のセーターに当てたツギのお守りが、洗濯のときどうなるか心配してしまう。ヒロミ(小雪)の日本人離れしたスタイルや外で遊ぶ子供の足の長さはあの時代にはなかったと思ってしまう。街の道路に現実感がなく平坦でセットっポイと思ってしまう。

 でもそんなことは、ハンドルの小さな揺れで映画自体は上質です。いい映画だから注文を出してしまう。

 吉岡秀雄演じる茶川竜之介が、転んで眼鏡を落とす。その裸眼で少年を見るときの眼の演技に驚いた。力のない近視眼の表現が抜群だ。うまいなあ!
 金曜日の中京TV「まさかのミステリー」を見ていたら古行淳之介少年(須賀健太)が、健太役で探偵役を演じていた。映画とぜんぜん違う。うまいなあ!
 
 『蛍の墓』ではボロボロ泣いたけど、あれはかわいそう、悲しいという涙でした。『砂の器』も親と子の情感で泣けたけどやはり悲しい涙でした。

 この『夕日~』は親は子を愛おしみ、子は親を慕う愛のお話し。当たり前だけど永遠のテーマに胸はジーンなり沢山泣けました。